close

【掛け軸ができるまで】

小学六年生の由貴ちゃんが、2004年の夏休みに自由研究として、本格的な表装技術に挑戦致しました。由貴ちゃんが、掛け軸を仕立てながら書き記した「掛け軸ができるまで」のレポートの一部をご紹介致します。

最初のページには、寸法まできちんと記入された完成予想図が書かれています。1分≒3mm、1寸≒3cm、1尺≒30cmの記述もあります。掛け軸を仕立てる時は、今でも尺貫法を使います。由貴ちゃんも小学生ながら、尺、寸、分そして、厘という単位を使いました。使用した道具も本格的なものです。刷毛、丸包丁、のこぎり、小刀など。さぞやり難かった事でしょう。



7月31日(1日目)・・・由紀ちゃんが描いた金魚の水墨画の本誌に合わせて裂地選び テーマは夏。ノートには、本誌の写真、選んだ裂地や裏打ちに使用した手漉き和紙も貼ってあります。

(1日目の感想)

(2日目の感想)

(3日目の感想)

8月9日(4日目)・・・中裏打ちをしている写真も貼られています。写真からも丁寧に作業している様子が伺えると思います。綺麗にまとめてあります。

(4日目・5日目の感想)

8月12日(6日目)・・・中裏打ちをして仮張り板に貼った作品を剥がし、巾を決め、丈を決め、耳折をします。張り手を張って総裏打ちに使用する宇田紙を準備している所です。

8月27日(11日目)・・・7日目、8日目と多くの作業をこなし(レポートも沢山書かれています)、11日目には、風帯を作成。一番面倒な糸で縫って作成する方法を選びました。

8月28日(12日目)・・・。仕上げ作業です。軸棒や八宗の取り付けには、のこぎりや小刀も使用しなければならず、風帯を取り付けるには針仕事も必要です。小学生には大変な作業だったと思います。怪我もせず上手に仕上げました。レポートには金具や掛け紐も貼り付けてあります。

仕上がった作品です。由紀ちゃん自作の金魚の水墨画を本格的に下げ風帯を付けた大和三段表装で仕立てた掛け軸作品です。如何でしょうか。掛けて置くだけで涼しげな感じがする掛け軸になりましたね。

展覧会場では、熱心にレポートを読んで下さる方が大勢いらっしゃいました。小学生がまとめたレポートは、とても分かり易かったようです。由貴ちゃん、レポートと掛け軸作品のご提供、ありがとうございました。
close