「品川臨職闘争」ニュース03・11・25号

11・11地労委命令出る!
組合主張を基本的に認定
   しかし政治的判断で棄却

佐久間さんは労組法適用の単純労務職員と認定
当局の要綱、地公法適用を否定、法的位置づけを厳格に示す

 学童保育クラブに働いていた臨時職員佐久間さんに対して区が行った「雇用期間満了」は、違法・脱法による解雇だとして、区の団交拒否を不当労働行為として救済を求めた地労委命令が、11月11日出された。救済申し立ては棄却されたものの、組合側主張はほぼ認められた。内容と主文の隔たりが大きく、なぜここまで組合主張を認めて「棄却なの?」。極めて政治的な硬直した判断であった。
刑事判決とは別事件
 「刑事判決の 既判力は地労委の審問の前提となり事実認定を拘束する」との当局主張は退けられた。当局は主体も内容も異なる別次元の問題をあえて主張し、地労委に混乱を持ち込もうと狙ったが、採用されなかった。
  「佐久間は一般職行政系臨職として任用したのだから、労組法の適用がないとする区の主張は、佐久間らが関わった刑事事件の判決を根拠としていると見られる」。「しかし、同刑事事件は組合とは異なる争議団としての品川臨職共闘が区に対して行った団体交渉権を有するか否かを争点として、その過程での判断である」「上記刑事事件と本件とでは事案の内容、争いの性格等を異にし、刑事事件の確定判決を持って本件救済申し立てが不適法であると断ずることはできない」

「要綱」に基づく採用とは見られない
 人事・厚生事務組合は、区の「要綱は二回更新となっており脱法」と指摘。地労委もこれを認定した。周知も徹底もされなかった「要綱」の杜撰な実態が暴かれ佐久間さんへの要綱適用が否定された。
  「佐久間の任用にあたっては雇用期間5か月、1か月の勤務日数は25日程度であり、雇用期間の更新は認められず、そして承諾書を提出していないなど、要綱に基づいてなされた採用とは見られない面があり、必ずしも要綱による臨職であるとも断定できない」
地公法も該当しない
区の最大の根拠が失われた。長い歴史の中で、佐久間さんに対して一般職行政系臨職などという法的根拠は、地労委に提出した区の「答弁書」で始めて出されたことであった。まさに組合の申し立てを否定するために持ち出されたものであったが、区の浅はかな考えはこうして退けられた。また、佐久間さんが従事していた職について、1999年特別職非常勤職員へと切り替えてきており、区の「佐久間は一般職」とする主張自体が大きな矛盾であった。
  「佐久間の担当した職は現在でも存続する恒常的に置かれている職であるから『緊急の場合臨時の職』とは考えられず」 「刑事事件で本間収入役が同人との契約は一般の雇用契約であると認識していると証言していることを併せて考えると」「佐久間の任用は地公法22条5項に該当する一般職行政系臨職であり労組法の適用がないとする区の主張の根拠が必ずしも明らかとなったとはいえない」
 また行政系との主張についても人事委員会は、組合の質問に対して、「臨職に職務の区分はない」と、回答している。また、同委員会の冊子「勤務条件等のあらまし」においても、臨職の区分は、記載されていない。このことから言って区の主張に根拠がないことはそもそも明確であった。地公法に違反し、違法・無効の雇用と解雇であることが厳格に示された。
臨職の救済に道を開く
業務実態に照らした法的位置付け
「法の狭間」に置かれてきた臨時職員が、恒常的業務に従事してきた歴史は長い。こうした労働者の法的救済の道として、組合は単純労務職員として法的に位置付け、労働基本権を保障すべきであると主張した。地労委はこれを全面的に採用した。
「佐久間の従事した学童保育クラブの業務は、正規職員の補助として、施設の清掃や遊具の点検整理、間食の調理及びおやつの提供、そして遊戯の相手などを毎日繰り返し行っていたことからすれば」「技術者、監督者及び行政事務を担当するものではない」「単純労務職員に該当することが相当」
組合の団交権、区の応諾義務を認定
長年にわたる区の南部労組否認、団交拒否を厳しく批判した。 「申し立ての権利は存在しない」「交渉権を有するのは職員団体に限る」「労組法は適応されない」とした区の主張を全面的に否定した。組合は団体交渉を求める権利があり、区はこれに応じる必要があると認めた。
  「本件のように単純労務職員である佐久間が合同労組である組合に加入した場合、その後の団体交渉による解決の手段が保障されなければ労働者の団結権の保護から著しく妥当性を欠く結果を招来することになる」
 「労組法の適用を受ける佐久間に関する団体交渉については、区が労組法上の使用者としてこれに応じる必要があるというべきである。結局、佐久間には労組法が適用されず、又、区に団体交渉を申し入れる権利がないとして却下を求める区の主張は、採用できない。
組合と区は団交が成立する関係、期間も徒過してない、と認定
 不当労働行為に居直った、区の悪質な主張は、以上のようにことごくとく退けられた。 「組合と区は団体交渉が成り立ち得る関係にある」と、区の20年にわたる団交拒否の責任に言及した。また、元収入役が過去に地労委に斡旋して解決を探ることを提案してきてもおり、いまさら「不意打ち」「濫用」は、地労委には通用しなかった。区は「刑事事件最高裁判決で確定している」と主張した。それは「区との交渉権を有するのは地公法上の職員団体」、「地公法22条の5項の臨時的任用の要件に適合」というものであった。しかしこの内容の全てが否定された。
 佐久間さんが行っていた業務は恒常的である。佐久間さんは要綱にも地公法にも適用されない単純労務職員で労組法が適用される。組合は区に団体交渉を求める権利があり、区はこれに応じる義務がある。申し立て期間も徒過していない。と認定したのだ。
 全国には恒常的業務に働く臨職・非常勤は30万人以上いるといわれている。そうした労働者を労組法適用労働者として認定したことは画期的内容といえる。1985年新潟県巻農地事件で新潟地労委が硬直化した判断で下した「一般職の臨職だから地労委への申し立て資格がない」、とした命令内容を覆したのである。私たちはもちろん、巻農地を初めとした全国の仲間たちの闘いの蓄積による成果であるといえる。このことは、いまだ圧倒的に存在する全国の臨職・非常勤の労働基本権獲得にむけて、大きな道を開いたということができる。
「区は佐久間の任用期間満了から20年余を経た本件救済申し立てを『不意打ち』であり権利濫用にあたるから、却下されるべきという」「しかし、組合と区とは団体交渉が成り立ち得る関係にあると解されるのであるから、却下すべき理由はなく、区の主張は採用しない」 「申し立て期間も徒過していないのは明らかであって、この点に関する区の主張も採用しない」
誤りの歴史に終止符を!
品川区では、2001年から臨職と非常勤の人数に逆転が生じている。その3年前には佐久間さんが従事していた学童保育クラブでも臨職から非常勤への身分切替が行われた。これはすなわち当局がこれまでいかに多くの恒常的業務に臨職を導入してきたかを示すものであり、私たちの主張を認めてきたからに他ならない。
 当局は臨時職員の法的位置付けを誤ってきた。28年間にわたり偽りの説明を行ってきたのでありその責任はきちんと取らざるを得ないのだ。
 地労委は、佐久間さんの行っていた業務は、地公法にも、要綱にも該当しないと、当局主張を否定した。佐久間さんは労組法適用の単純労務職員と認定したのである。このことは、当局の「期間満了であって解雇ではない」との主張を覆したことであり、違法・脱法の雇用と解雇を無効とするものだ。
 当局にこのことを自覚させ、地 労委命令が出た今こそ、争議全面解決の決断を迫っていく。
苦しい棄却の理由
法的地位の認定の踏み込と矛盾する命令!争議の継続性認めながら
20年を空白期間として「区に団体交渉を命じるのは相当ではない」と、
硬直した政治的判断を持ち込んで許せない〃棄却〃

 責められるべき点がないではないが、と区の団交拒否ー不当労働行為を批判している。 しかし、団体交渉拒否の成否についてでは許しがたくも、組合の主張を退けた。
 職場では少数で配置され、分断され、団結すること、労働組合を結成すること、それ自身が闘争形成の困難性なり、大きな壁となって立ちはだかっているという現実、実態から目をそらしたものである。争議解決の具体的方途を不問にしたまま、当局の長期の不当労働行為のやり得を免罪するものであり、まったく許されない。
中労委で闘うぞ
7年越しの地労委闘争は、主文では敗北したが、内容は画期的であり、わたしたちは「勝利的」なものと評価している。恒常的業務に働く自治体臨職を、ここまで救済し得る道を切り開いたことはかつてなかったといえる。職場労働者の労働基本権獲得の道を開いたが、しかし、佐久 間さん解雇問題での団交応諾は退けられた。棄却取消を求めて、中労委で徹底的に争っていく。共に勝利を!
 「佐久間の期間満了に伴う問題について、区が団体交渉申し入れ書の受領を拒み続け、組合を全く相手にしてこなかったことには責められるべき点がないではないが」「組合は佐久間の期間満了に伴う問題発生後20年余を経過してから団体交渉を申し入れたのであるから区においては佐久間が在籍しない一定の安定した状態が20年余にわたって継続し、この間に証拠の散逸、記憶の喪失なども容易に想定されるのであり、社会通念上合理的期間を著しく越えた団体交渉の申し入れとして、区がこの申し入れを拒否したとしても正当な理由のない拒否とはいい難く区に団体交渉応諾を命じるのは相当ではない」
11・25中労委に再審査申立て!
 上記当事者間の東京都労働委員会平成8年(不)第22号不当労働行為救済申立事件について2003年11月11日同労働委員会が再審査申立人組合に対して交付した命令が不服につき労働委員会規則第51条第1項の規定に基づき再審査を申立てる。
 第一  不服の要点
1、初審命令の主文を取り消す
2、再審査被申立人東京都品川区は、再審査申立人の申し入れた佐久間登喜子組合員(以下、「佐久間組合員」という)解雇に関する団体交渉を拒否してはならない。
3、再審査被申立人は、再審査申立人組合に対して、他の組合との差別にあたる行為をしてはならない。
4、ポストノーティス(略)
第二  不服の理由 追って詳細に主張する。
10・31庁舎前団交要求・集会
争団連統一行動、南部交流会集中闘争
45団体72名が結集して当局に解決を要求
権力の集会妨害をはねのけて当局に争議解決の決断を促す!

10月31日争団連統一行動、南部交流会集中闘争として庁舎前団交要求・集会を闘い抜いた。
 加部闘争から長い長い移動を経て、それでも一行は早めに庁舎前に到着。しかし、庁舎前には管理職も権力も不在、チェーンは解除のまま。・・ 。こんな様子を見ていたかどうかはわからないが、管理職は慌てて飛び出してきた。経理課長を先頭にしてチェーン設置、二四名の管理職と総務職員が階段上に居並ぶのを尻目に、旗・幕を設営。昼食をとりに出てくる職員にビラまき。当該のマイク情宣で団交要求を開始した。経理課長は階段の上でにやつきながらも監視。そもそも当局の指定した争議窓口である総務部長、課長への面会を要求するもしらんぷり。怒りのシュプレヒコールをたたきつけて集会を開催した。
 まず、当該から基調提起。地労委闘争の位置付け、7年の闘いの過程で勝ち取ってきた成果、スマイルスクール事業設立に伴う当局の組合潰しの現状、地労委命令を契機として当局に解決の決断を下させる闘いの高揚を勝ち取ることを決意表明した。
 この間、元神田署現品川署公安、制服らが複数現れ発言者の前を強引に通過、集会妨害を策動した。これに断固抗議し集会を続行。板橋区幼児教室指導員の削減に反対する会、三合労中大生協、全関労東急分会、渋谷・野宿者の生活と居住を勝ち取る自由連合(のじれん)から連帯の挨拶をいただいた。南部交流会から決意を表明し、争団連から統一行動まとめの発言を持って闘いを成功裡に貫徹した。
反動判決、反動命令を許さず、加部建材闘争成功裡に貫徹!
品川の闘いの前段で加部建材闘争が闘い抜かれた。ダンプ運転手の労働者性を否定した裁判判決、逆に労働者性を認めつつも不当労働行為を容認した地労委命令。こうした第三者機関の反動命令、決定に抗して、自主交渉での争議解決を求め加部建材、三井道路への申し入れ、集会を開催した。52名の仲間が早朝から結集し、闘争勝利に向けて闘い抜いた。