7・10間接強制・損賠攻撃
         に反対する全国集会を開催!

 7月10日、「間接強制・損賠攻撃に反対する第3回全国集会」が開催された。
不当解雇撤回などを求める労組・争議団の会社前の行動や社長・役員追及行動を「業務妨害」や「面会強要」などとして禁止する仮処分、さらに仮処分決定に違反したら金を取り立てる間接強制、あるいは損害賠償請求等の攻撃が、頻繁に行われ、質的なエスカレートが顕著になっている。この団体行動権・表現の自由をも絞殺しようとする民事弾圧攻撃は、沖縄高江の反基地闘争、上関原発反対闘争、経産省テントなど身体をはって自力で抵抗する住民運動へも広がった。
 こうした労働運動・市民運動等への民事弾圧をはね返す全国的な共同の闘いを強めていこうと、全国各地の仲間が実行委員会を持ち、今年で3回目になる集会へと積み重ねてきた。
裁判所への抗議・申し入れ行動を展開!
  実行委員会は前段で裁判所への抗議・申し入れ行動を闘い抜いた。午後3時から裁判所前に集合、各争議団の横断幕、そして新作の横断幕が設営された。迫力ある景観となった。そして裁判所内へ40名の仲間が結集し、不当判決を出し続けている東京地裁民事9部、11部、19部、36部、48部、高裁8部、22部の各書記官室へ抗議文を持参し、各事件当該の仲間が先頭になり、不当判決や一方的な訴訟指揮を指弾した。最後は裁判所前に戻って抗議のシュプレヒコールを上げた。





集会で民事弾圧を打ち破る各地の闘いの報告と成果を確認
 午後6時半からは南部労政会館で、全国集会を開催した。最初に基調報告が実行委員会(三合労ケミカルプリント分会)から提起され、昨年集会以降のこの1年間の闘いの経過や、ユニオンみえ勝訴確定の内容や、関西生コン支部の星山建設仮処分却下決定獲得、明大生協労組の福岡国賠訴訟開始などの成果や前進的闘いにつき確認、今後の共同での反撃の強化などが呼びかけられた。
 続いて、連帯労組・ライフエイド、明大生協労組、中部労組旭ダイヤ、同スーパー冨士屋、東京ふじせ企画労組、フリーター全般労組、連帯労組・大道測量、全日建関西生コン支部、経産省テント広場の各団体からの報告が行われた。続いて行われた共に闘う弁護団から4名の弁護士さんからの発言もこの日のハイライトとなった。弁護士さんへの質問も含め熱心な討論も交わし、60名の結集による充実した集会となり、最後はシュプレヒコールで締めくくった。2次会(懇親会)も、弁護士さんを囲み、24名が参加、こちらも盛り上がった。




最高裁で「スト禁止の仮処分申立は違法」との判断が確定!  ユニオンみえ7・5報告集会を開催
 さる5月19日、最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)は、ユニオンみえ及び同鈴鹿さくら病院分会が病院当局を相手に3年間闘って来た『スト禁止仮処分申立損害賠償請求訴訟』について、裁判官5名全員の一致で、病院側の上告を棄却しました。
ユニオンみえの仲間から、「7・10間接強制・損賠攻撃に反対する全国集会基調」に掲載する報告が寄せられ、また7月5日に開催の報告集会への参加呼びかけが行われました。基調掲載の報告の一部と7・5集会についてお伝えします。
<7・10基調=ユニオンみえ報告から> 
「この決定により、2012年9月12日の津地裁への提訴、2014年2月28日の第1審での組合勝利判決、同年11月27日の名古屋高裁による控訴審勝利判決と続いた闘いに、最終的な決着がついた。・・・組合は、病院当局による非組合員に対する「ヤミ手当」やパワハラ問題の解決に向けて団体交渉を行っていたが埒があかず、被告に対し、平成24年8月17日付で8月20日〜24日のストライキ通告を行った。これに対し病院側は、8月20日、津地方裁判所に対し、ストライキ通告書に基づく争議行為を禁止する仮処分を申し立て、津地方裁判所(関川亮介裁判官)は、8月22日、無審尋でスト禁止の仮処分決定を行った。
 組合は、保全異議申立の準備をしつつ、津地裁に対して起訴命令を求め、それに応じて津地裁は病院側に起訴命令を発した。ところが病院が仮処分を取り下げたため、本訴及び異議申立審で争うことが不可能となり、損害賠償訴訟を起こした。
 病院は、仮処分申立時においても、その後の一審、控訴審においても、病院の被保全の権利として「患者の生命・身体の安全」を挙げ、ストライキにより患者の生命・身体の安全を危機に瀕したと主張した。しかし、組合は、ストの対象を4個病棟内の1個病棟に、それも夜勤帯に限定した上で、「病院側の真摯な努力にも拘わらず必要な看護要員確保が出来ない場合には保安要員を提供する」とスト通告書に明示しており、患者の生命・身体の安全確保には最大限の配慮を示していた。
 この点につき、第一審の津地裁判決(山下隼人裁判官)は、病院側が被保全権利として主張する『患者の生命・身体の安全』について、「本来的には入院患者に専属する権利であるが、この点を措くとしても病院において入院患者の生命・身体の安全を確保する真摯な努力をしたにもかかわらず、本件ストライキによって入院患者の生命・身体の安全に危険が生じる具体的な危険性があると認められなければ、本件ストライキの差し止めを求める被保全権利を求めることは出来ない」とした上で、「本件ストライキにより患者の生命・身体に危険が乗ずる具体的な危険性があったとは認められない」「病院は、組合に対し、保安要員の提供を要請した際、組合から求められた本件ストライキ期間中のシフト表を開示せず、保安要員の必要性について具体的な説明をしていないのであるから、入院患者の生命・身体の安全を確保するための真摯な努力をしたということもできない。」「したがって、病院が本件ストライキの差し止めを求める被保全権利を有していたと言えない」とした。
控訴審の名古屋高裁判決(揖斐裁判長)は、この点について、明快に「患者の生命・身体の安全』については入院患者に専属する権利である」と断定した上で、一審同様に病院側の被保全権利を否定している。当然の判断である。病院にとって「患者の生命・身体の安全の確保」は患者に成り代わって主張出来る権利ではなく、病院に課せられた義務である。病院が主張出来る被保全権利は、せいぜい「医療業務を正常に行う権利=営業権」に過ぎない。営業権を盾に憲法上の権利=争議権の行使、ストを差し止められないことは自明の理だ。・・・
今回の上告棄却決定は、病院のスト禁止仮処分申立が違法だったこと、関川(基調掲載文では山下裁判官と誤記)裁判官のスト禁止仮処分決定が違法であったことを、最高裁が認めたことに他ならない。
 この勝利判決を、スト無し労働運動の現状に風穴を開け、間接強制・損害賠償攻撃を跳ね返す武器にして頂きたいと思っている。」
<7・5裁判勝利報告集会に参加>
 7月5日、三重県津市の教育文化会館において『鈴鹿さくら病院裁判闘争の勝利を祝い、成果を全国に広める集い』が開催され、東京の間接強制粉砕対策会議から参加してきました。「鈴鹿さくら病院分会のストライキを軸とした闘いの軌跡」と題した1983年以降の詳しい闘争年表も配布され、これに触れつつユニオンみえ塩田委員長が勝利に至る闘いの経過について報告を行いました。全国ユニオンネットやユニオンサポートみえ、地区労センター等から連帯挨拶が行われました。裁判を担われた中谷弁護士(名古屋共同法律事務所)が、判決の法的位置を解説、さらに「裁判で争えばよいという声もあるが法廷闘争至上主義では駄目」と現場闘争の大切さを力説されていました。こちらで持参配布した「7・10間接強制・損賠攻撃に反対する全国集会」のビラのことにも触れてくださり、全国で拡がっている民事弾圧との闘いの重要性も訴えられました。勇気づけられる発言でした。鈴鹿さくら病院の坂分会長がここまでの支援・連帯に感謝する挨拶を行い、集会決議文が採択され、第1部の集会を締めくくりました。「スト無しの労働運動を変えていこう」といった、この裁判への焦点の当て方もよい内容の発言が続き共感の持てるものでした。第2部のパーティの方で発言を要請され、民事弾圧の全体的状況報告と7・10集会への訴え等を行いました。結集は70名を越えていたかと思いますが、よい集まりでした。
                                                     (ふじせ労組K)


       写真=7・5報告集会(三重県教育文化会館)