●全郵政と合併し、「増収・増益のために血を流せ」とまで叫ぶ本部
 JPU横浜大会闘争を全国共同で闘う
 6月14日から三日間、神奈川県民ホールでJPU(全逓)第62回定期全国大会が開催された。
 今年の全国大会議案は、「民営郵政の増収・増益をめざし、効率性と生産性を高める」などとして、組合自ら人減らし合理化を推し進め、そして、とうとう第二組合・全郵政との合併を提案する、決定的な大会だ。
 私たちは、前日13日、横浜市内で全国職場交流集会を開催し、集配拠点の再編=郵便局統廃合など現在職場に矢継ぎ早にかけられている攻撃や現場からの反撃など全国の職場状況や、4・28反処分闘争の現状などを共有した。

 ビラ配布とリレートーク
 大会当日は、早朝7時すぎに会場に到着し、横断幕などの準備。心配した雨も降らず、用意した「4・28通信」を手に、代議員・傍聴者の到着を待つ。大会開会は9時半の予定だ。待つ事しばらく、やっと9時近くになって、いきなり続々とやってくる参加者に配布する。忙しい事この上ない。さらに、全逓神奈川の仲間の司会で、リレートークを開始。全国の職場の仲間、4・28闘争を闘う三団体などが入れ替わり立ち代わりマイクを握って代議員・傍聴者に本部方針に反対するよう訴える。

        
 80名で大会会場包囲デモ
 10時になって会場前からデモに出発。浜風に吹かれながら横断幕・赤旗をなびかせ、横浜港局前では次々に配達に出発する赤バイクの仲間たちに声を掛けつつ、「民営攻撃に抗して共に闘おう」「4・28反処分に勝利しよう」とシュプレヒコールを上げながら会場まで戻る一周デモを闘った。
        
 「4・28」「職場課題」で本部申入れ
 「全国大会闘争参加者一同」による本部申入れ。事前に本部中執・高橋総務部長の了解を取っていたにもかかわらず、突然「今回は対応しないことにした」という約束違反の回答。全郵政との合併話はついにここまできたか!と色めきたち猛抗議。慌てた職員、再度確認に走り、結局「大会運営の都合上、抜けられない」と理由を変更。本部職員に抗議の意を伝え、読み上げて手渡した。
 職場課題では「全国の集配特定3600局・4万7千人を要員協議にかける集配拠点の再編合理化反対」「深夜勤の廃止」「自衛のための戦争を認める連合・民主党方針に反対し、大会で改憲反対の決議を」と求めた。
 4・28関係は、「闘争終結を撤回し、労働組合として反処分闘争に取り組みこと」「高裁勝利判決の上に、郵政公社に上告取下げを求めること」「全郵政との合併反対」「被免職者組合員の組合室立入り問題など不当な権利制限を即刻改めること」などを強く求めた。
      
  代議員は仲間の顔を思い浮かべて、本部方針の否決を
   会場前昼集会で全国の仲間が訴えた
 昼集会は、全逓神奈川の仲間の司会で始まった。
【愛媛】
 集配再編合理化で四国は72%にのぼる集配業務の廃止になる。局間30qある集配局が統括局に統合される。労働者の切り捨てと請負化、地域の切り捨てだ。愛媛だけでなく、高知や特に徳島などの山間地では深刻だ。代議員選挙は反対派の得票が特に徳島地方で伸びた。怒りが票に出た。指導部は「利益のためには民営化も合理化もやむを得ない」と言う。利益が目的化されると労働者は不安定雇用化され、首切りにつながる。ヤマト・ペリカン・佐川の労働者と根底的なところの交流と団結をつくりたい。
【奈良】
 本部は現場の声を何一つ聞こうとしない。現場不在の経営推進大会に等しい。現場では、もう仕事をやめたい、しんどい、どうしようにもできへんという声が充満している。71年から35年間全逓一本で通してきたが、今日ほど全逓が変質して、労使一体の状況になっていることに怒りを持って今日の闘いに参加した。
【東京】
 6月の勧奨退職は2千2百数十名。この何年かは1年に数千名の労働者が勧奨退職で職場を離れざるをえない状況に陥っている。個人的な理由もあるだろうが、職場の労働条件がきつい、労働組合が労働者のためにならない、当てにならない、何の意味もなくなっているからだ。来年で定年。再雇用で勤めるつもりだ。全郵政との合併反対、郵政民営化絶対反対、9条改悪絶対反対で闘っていく。
【4・28連絡会】
 不当処分から27年。大崎・向島局、日本郵政梶E公社本社と郵政当局を貫く現場闘争を闘っている。最高裁が公社の上告を棄却し、私たちが職場に戻るとなれば一番いいが、今の政治状況を含めてどんな決定が出るかわからないが、どういう形になっても職場復帰するまで闘う。79年10・28労使確認「郵政パートナー論」以降、坂道を転げ落ちるように労使協調を推進してきている。その行き着く先が全郵政との合併だ。被免職者の排除も含まれ、様々な問題のあるこの合併には絶対反対だ。代議員は、現場の状況を訴え、闘う労働組合として全逓・JPUを再生させていくことを取り組むべき。4・28反処分闘争、職場での闘い、その一切合財に勝利していこう。【4・28ネット】
 全逓・JPUが労働組合としてどんなに変質しても、現場の仲間、地域の仲間が闘いを支えて2年前に東京高裁で勝利判決を勝ち取った。代議員・傍聴者の皆さん。本当のところはこんな組合はダメだ、労働条件を守る当り前の労働組合であってほしいという思いは誰にでもあるはず。僕らと共に、4・28処分撤回、マル生・合理化・民営化反対という当り前の事を一緒に進んでほしい。
【赤羽闘う会】
 最高裁から「職場に戻れ」という回答が来年民営化前に来ればという気持ちがある。現場で皆さんが苦しんでいる中に私たちも入って、共に喜び、涙を流し、汗を流して働きたい。最近、被免職者のところに保険労働者やゆうメイトなど現場組合員・労働者からの相談が多くある。集配特定局はこれは指名解雇ではないかと言われる。小さな局で減員1名となれば自分しかいない。周辺局といって全部減員な訳だから広域配転するしかない。自分から辞めるという話も聞いてる。労使による首切り方針だ。
【埼玉】
 埼玉での越谷局のJPS。労働者の心と体をさいなむ本当にひどい職場だ。私の局は統括センターではないが配達局が移管されてくる。民営化の先取りだ。一つひとつ闘いを積み上げ、労働者と結びつくような闘いをこの1年間で築きたい。
【宮城】
 今大会は今後を決する重要な大会だ。大会議案が通れば、仲間はバラバラにされ、望まない職場に飛ばされ、あるいはどこにも行けない人達は自ら退職を選ばざるをえない立場に立たされる。労働組合は一体誰のためにあるのか、代議員の皆さんはいま一度考え、本部提案を否決してほしい。自分達の仲間を、組合員すらも資本の前に差し出す労働組合にしていいのか。小さな田舎町でも、現場はまだまだ闘う力がある。代議員や専従は「そんな事できる訳がない」と思っているかも知れないが、組合の方針がダメだからなんだ。ぜひ、この大会で踏みとどまり、大会議案をひっくり返す形で実現してほしい。
【人事交流反対!近畿の会】
 支部長を支部外に放り出す、高齢者や病弱者が強制配転で泣く泣く職場を去る。こうした攻撃に私たちは支社に対する抗議行動や配転先の局前での抗議集会を何回も闘ってきた。民営化攻撃もそうだ。支部委員会では自分達の雇用が実際にどうなるのか不安や怒りが相次いだ。苦情処理も当局が一方的に配転の内示をするための極めてインチキな苦情処理でしかない。この9月1日から、民営化の実体がこんなものだったのかということに直面する。絶対反対で最後まで闘う。
【神奈川】
 郵政民営化攻撃は労働組合解体攻撃だ。昨年尼崎でどういう事故があったのかと言いたい。労働組合は会社組織ではない。自主的な労働者が団結する組織なのだ。労働者に顔を向けて運動してほしい。労働組合として反戦・反基地、改憲反対を闘おう。 *
 昼集会は、丁度、会場外のレストランでの昼食に向かう代議員・傍聴者が行き交い、発言に聞き入る姿が多く見られた。

 来年は沖縄。その前に2月中央委
 代議員は発言の前に、決まり文句のように「議案を支持する立場で」とか「本部を支える立場で」と言った上で、実際の発言内容は、現場の怒り押されて、「集配拠点再編」反対、「JPS」「スタンディングワーク」「2ネット」の中止、「地域給導入」反対、「労働組合としての役割を果たせ」など、職場の声を一定反映する発言が相次いだ。職場は本当に限界なのだ。前日の全国職場交流会では「集配拠点再編で、東北6県で7000人が要員協議にかけられている。6月1日『配転希望調書』が 『6月8日までに提出しろ』と配布された。『退職を希望する』という項目まで用意されている」という報告もあった。
             (配転希望調書の現物は「4・28通信」に掲載)
 とはいえ、「民営化」を既定事実とした「民営・組織統一の成功へ」「一枚岩」という本部のしばりの前に、結局は運動方針案は89%の賛成、組織統一推進のヨイショ発言も出された。現場に充満している危機感を真摯に受け止める代議員はわずかだ。対立候補を出せない「地本枠」や、完全連記制、さらには東京での選挙公報の廃止など、選挙制度も本部に都合よく作られてきている。しかし、これも裏返せば危機感のあらわれか?!
 来年6月の全国大会は沖縄開催。その後に、「JPU」「全郵政」の解散大会、そして、「新組合」結成大会をやって、10月民営化を迎えるという。現代版・産業報告会など許してはならない。まずは、職場で闘いを積み上げ、2月中央委へ!

  賛成票89%でも反対意見が続出
【南関東】議案は具体的内容がない。帰属問題も新会社の業務内容・ビジネスモデルも明確にすべきだ。Uターン希望、転籍、苦情処理で万全の対応を。労働条件の大幅な変更はだめだ。
【沖縄】集配拠点再編は集約される局どうしの違いが大きすぎる。JPSで10%の削減に成功したと言うが、現場はただの人手不足になってる。米軍基地反対の意志は変わらない。改憲攻撃への本部見解を。スムーズな組織統合を。
【近畿・逓病】病院での効率化による人員不足は死につながる。深夜勤の人体への影響など健康管理部門の体制強化を。
【東京】2ネットは本務者の超勤で乗り切ってる状態だ。JPSは本当に意味があるのか。検証と見直しを求める。深夜労働の見直しを本部に求めているが変わらない。夜働く事をどう思っているのか。健康面で限界だ。アウトソヘシングに踏み込むべきでない。
【東海・輸送】輸送部門は労働条件が悪化し年間150万の減収もある。長距離便の競争入札となれば倒産の危機も。
【九州】集配再編はサービスの低下。山間離島を抱えている。委託化の線引きはどこか。JPSは今こそ立ち止まって考える時期。スタンディングワークは廃止を。
【中国】組合員の将来にモチベーションを保てず、定年まで引き止められない現状だ。【北陸】集配再編はサービス低下だ。地域の信頼を得られない。JPS=労働強化であってはならない。組織統一はいいことだ。
【関東】保険は高い掛け金、少ない保障。研修は精神論のみだ。帰属問題は人生を左右する。明確にせよ。
【東北・日逓】競争入札は雇用に悪影響。入札回避を。
【四国】効率化施策は非常勤確保が困難。欠員のため勤務時間も守られない。将来展望が見えず、疲れだけが残る。JPSをやればやるほど成果が見えない。人が減る一方、やる事が増える。やめるべき事はやめることが大切。キャリアスタッフ、人数が少ない。全員がキャリアスタッフになれるように。
【信越】非常勤が集まらず本務者対応だ。36協定ギリギリの状態だ。欠員が多く新規採用ゼロではモチベーションが低下する。キャリアスタッフ全国で1000名は厳しい。JPSは結果のみの追及だ。見直しを。
【北海道】JPSで3年たった。JPS自体が郵便局に合わない。立ち作業もスピードアップになっていない。何のメリットもない。2ネットは非常勤が集まらない。時代を逆行している。ノルマを課すのが営業ではない。売れないものを作りすぎてる。地域給の導入反対。
【東海】各会社の労働条件が不明確だ。地域給受け入れがたい。組織統合速やかに。【近畿】現場に痛みはもういらない。JPSは収益に結びつかない。郵便は輸送なり。輸送へのしわ寄せやめろ。郵便事業と長岡問題は同根。雇用期間延長の協約化を。
【東京】島の業務。要員配置を強く望む。苦情処理制度、未加入者との差をつけろ。人事交流、本人希望でない者への柔軟な対応を。組織統合、本部の努力を。
【九州】2ネットの非常勤、山・坂が多く50ccは辛い。46局で計画が遂行できない。地域給反対。これ以上不安材料を増やすな。計画年休制度は引き継がれるのか。アウトソーシングは雇用に大きな影響かあり、踏み込むな。事故原因を見ず、処罰一辺倒の始末書提出は問題。
【東北】計画人員が確保されず訓練期間も確保されない。JPSはやったら逆に無理が生じる。正しい数字が報告されない。廃止を。地域給は地方いじめだ。
【南関東】物品が買えない。灯の消えた職場、必要な経費まで削減している。組合として「自分の身は自分で守る」職場にしてはだめ。
【四国】組合員の不安を解消するのが組合の仕事のはず。病休者の増加を公社はどう見るか。財産は人である。組織統合支持。
【信越】信用・信頼・安心・安全のない職場になってる。あかしいと感じた人が声を出せるように工夫すべきだ。
【本部最終見解】
●JPS「基本的考えは生産性の向上にあり、必要な施策だ」
●集配拠点再編「大綱整理したように、サービス低下ではないので計画は見直さない。実施後、実態調査を行なう」
●帰属「共通事務の不明確さ。センター、直営店舗も不明確。9月1日に従事している業務が大原則だ。明確さがない点は早期に解消できるようにしたい」「調整、希望調書はいたずらに希望を抱かない。従事している場所が基本」
●Uターン「最大限実施すべきと判断している。人事交流など別枠での実施。異なる会社は転籍」
●輸送「雇用の確保が職場の願いであることは知ってる。公社内部には厳しい意見がある。支部長会議を強化する」
●組織統合「大会後、全郵政との間で協議のためのテーブルを持つ。それぞれの資産等いろいろな扱いの検討もあり、ワーキングチームを設立する。スピードを持って行ない、来年2月の中央委員会で大筋の中間報告を行い、6月全国大会での証人となる。単なる数合わせではなく、理念をめぐって厳しい議論も予想している」
 また、菰田委員長は、最後に「次期大会がうまくいけば、最後の大会になる」と発言。
●反戦平和「平和問題は連合の中で主張したい。来年の大会は沖縄なので、そこから平和を発信していきたい」(委員長あいさつ)
●深夜勤については一切答弁なし
 運動方針一票投票
  代議員定数335、出席332、配布枚数332
  有効投票331、賛成295(88.9%)、反対36(10.8%)、無効1 信任投票
  菰田委員長 反対32    難波書記長 反対64
 
6/28日本郵政鞄ャ争を21名で闘う
 今年1月23日に「日本郵政株式会社」が発足した。来年10月からの民営郵政の4つの事業会社の持株会社として、また、それまでの間は「郵政民営かに向けた準備企画会社」として、公社の職員や資産の振り分けなどの承継計画を策定するという。 こうした日本郵政の位置付け、役割を見れば、郵政省ー郵政事業庁ー郵政公社と引きずってきた4・28解雇争議について、日本郵政が承継するのは当然だし、事実上の経営トップとして、責任をもって解決すべき、また解決できる位置にあるのは当然だ。
 今年3月9日、4・28連絡会は、西川社長宛に「処分取り消し・職場復帰を命じる高裁判決が出されている今、いたずらに争議の長期・泥沼化という道を選択するのではなく、上告を取下げ、判決を受け入れ、争議解決のための団体交渉に応じることこそが、初代社長のやるべきことだ」と内容証明で団交要求書を送付した。しかし、回答はなく、3月24日、初めて日本郵政社前での闘いを展開した。総務関係の職員が慌ただしく受付前にたむろし、ガードマンを何人かピケットに立たせた。
 そして、6月28日の昼下がり。「都心で初の真夏日」ということで気温も30度を超えた。社前に到着後、横断幕や赤旗などを設営し、ビラ配布とマイク情宣。ビル前の歩道は極度に狭く、そこに21名の仲間の赤ゼッケン。いやがうえにも目立つ。この日もガードマンが3名出てきて「敷地内から赤旗を撤去しろ」「荷物をどけろ」「警察を呼ぶぞ」などと言ってくる。「判決に従わないのは誰なのか。日本郵政は争議の当事者だ」と言い返す。「そんなこと知らない」と言うガードマンに「西川社長は知ってるから連れてこい」と言うと、後は沈黙。
 小さいビルだが、事業内容からいって人の出入りは多く、ビラの受け取りも良く、情宣効果は高い。結局、権力の登場もなく、ビラも完配。最後に抗議のシュプレが虎の門界隈に響き渡った。


4・28反処分闘争の勝利のために
      職場闘争の前進のために
        夏カンパのご協力を

      [郵便振込口座]00150−8−605198
              加入者名/ 4・28連絡会

 ●通信事務封筒4通使用で免職
 日本橋局高倉さん人事院で証言ー結審
 人事院公平審査が6月14日・15日の二日間の日程で開かれた。初日は、処分者側の証人として@日本橋局一集課長A同局総務課長B東京監査室監査職の3名。二日目は午前中にC郵政公社東京支社人事部人事課グループリーダーで、午後から原告側証人となった。
 最初の原告側証人は、高倉さんと8年間同じ班だったNさん。Nさんは高倉さんを「人を引っ張っていくタイプ。仕事も転入・転出など地域に詳しく頼りになる人」と評した上で、「職場の仲間が亡くなった時に局の電話で連絡することがある。はがきは50円、電話は10円、葬儀の連絡も祝いの連絡も同じではないか」と述べた。
 次に、77年入局のKさん。高倉さんと同期で同じ集配で同じ休憩室で同じ全逓で野球仲間でもある。入局当時、日本橋局は800名で、野球部も3チーム。チームは違うが局内の親睦対抗試合で一緒になった。「高倉は監督兼キャプテンで、局代表チームのメンバーとして関東ブロック戦に出場した事も。統率力・まとめ役・雑務もこなし、最高の監督だ」「組合がレクをやらなくなってからは、音頭をとって、春は花見、ソフトボール大会、夏はバーベキュー、屋形船、冬は忘年会、新年会、人事異動の季節は歓送迎会、引っ越し手伝いと、とにかく面倒見が良い男だ」「たぶん、それは職場の和を考えてやってた事で、実際に仕事にもつながっていた」「他の仲間の仕事を手伝い、管内の魚屋・板丁など地域との親睦も作っていた」と述べた。
 高倉さん「もう一度職場に戻りたい」
 そして、本人尋問。
「77年、18歳で入局し、昨年4月28日、勤続28年で免職になった」
「仕事は例えば中勤。午前は書留の多い区の補助で午後は速達専門。午前の短時間職員が完配は無理だなと思えば、自分の配達を終わらせて、短時間の配達先のビルの前で待ってて残りの半分をもらって配達して、12時終了に間に合わせた」
「レクや歓送迎会をやったのは、自分も入局した頃、右も左もわからず、先輩達にお世話になり、今度は自分がやっていこうと思った。30年祝いもそうだ。かつては組合が中心になってやっていたのだが…」
「業務用封筒を使ったのは今回が初めて。今思うと軽く考えていた。こんな重い処分になると思ってなかった。監察に呼ばれても、業務上の何か書留のミスかなと思うぐらいで、業務用封筒の事とは思い浮かばなかった」
「一集課長に『自分から退職しないか』と言われ、総務課長にも『上に頼むから退職願いを書いてくれ』と言われた。自分は一集課長から良く思われていないので、退職に追い込まれるのではないかと思ったし、これで免職になると思わなかったので、二〜三日、できれば一週間位考えさせてほしいと頼んだが『今日返事がほしい。今考えろ』と言われた。退職願いは書けなかった」
「3年前に借金があって、給与の差押えを受けた事で課長の心証を悪くしたと思う。実は、交通事故にあって借金をした友達の保証人になって、900万の借金を負った。6〜700万は返したが、高額な利子を付けられ計1700万になり、いきなり差押えがきた。弁護士に相談して元金だけ(2〜300万)の返済でいいと話がつき、差押えのまま返していくことにした。課長は『差押えの状況は良くない。一括して返済しろ』と言ってきた。あれ以来、良く思われていなかった」と述べた。
 *公社側の反対尋問はほとんど内容のないものだった。
 原告側は、公平審査に先立ち「主張書面」を提出。処分の前提となった事実・背景については争わない、過去の処分例と比較して不当に重すぎるとして、過去2年間の料金逸脱事案の免職率は、東京支社以外の事案では40%でしかないのに比較して、東京支社では80%と不当に重くなっていること、過去20年間の処分歴も訓告だけであり、勤務・職務状況も「免職」にすべきマイナス評価の材料はないと訴えた。
 勝利判定で復職を
 傍聴は神田局の仲間をはじめ東京中部の仲間や4・28被免職者など25名が傍聴席を埋めた。最終陳述書の提出期限を7月31日として閉会した。
 高倉さんも同僚の証言も、職場で一生懸命生きてきた労働者を、事務封筒4通でいとも簡単に首を切ってしまう理不尽さを糺すものだった。近畿郵政局長・高祖憲治の組織ぐるみの選挙違反や、長岡局の27億円の不正割引を見ても、巨悪を許し、現場労働者は断罪する、郵政当局の仕組みがあらわになったといえる。
 かつて、4・28免職処分でも人事院で1名が「重すぎる」として停職12ヶ月に修正された事がある。人事院で何とか勝って、再び日本橋界隈で高倉さんが元気に配達している姿がみたい。その時には、今度は私たちが盛大に祝う会をやってあげたいと思う。

 命を削る「深夜勤」廃止裁判
      
東京地裁不当判決に控訴
 【原告団声明】

 本日、東京地裁は「深夜勤」実施を定めた就業規則の無効を求めた私たちの訴えを棄却した。判決は、郵政公社の労使関係を「私法上の行為たる性格を有する」と認定し、公法関係とする被告・公社の主張を退け、訴えの利益を認めたものの、不利益の程度を過少に認定した不当なものである。私たちは、不当判決に抗議すると同時に、「深夜勤」の廃止をめざし、控訴して闘う決意を明らかにするものである。
 「深夜勤」の連続指定や最高8回もの勤務、深夜帯の勤務時間の増加を認めて 「不利益に変更された」と認定したが、不利益の程度は「本件運用細則改訂の合理性を失わせるものではない」としている。生身の人間が深夜働くことの過酷さ、それを支える家族の大変さに何一つ思いを馳せることなく、あたかも労働者を機械と同一視するような判決は到底受け入れることはできない。
 カット時短の廃止については、判決は、労働時間が大幅に増加したことは認め 「勤務時間(実労働時間)が不利益に変更された」としつつも、「4週160時間になったにすぎない」としている。労基法に違反しなければ良いと言わんばかりで、労基法の精神に反する判断と言わざるを得ない。しかも、カット時短は「実際に勤務していない時間につき給与を支払うというもので、その合理的理由自体見出し難い」としているが、判決が証拠として採用している労働省の「夜業に関する研究会」の中間報告でも夜間交替制職場の半数以上が週40時間未満になっている。判決はこうした事実を意図的に無視したものである。
 既に何人もの現職死が出ていることを指摘し、医学的根拠に基づいて健康への影響を指摘したにもかかわらず、判決は「具体的な健康障害が生じたことを認めるに足りる証拠はない」として、「深夜勤」の健康への影響を認めていない。しかし、深夜勤務が健康へ悪影響をもたらすことは周知の事実である。「身体を壊してから来い」と言わんばかりの態度は絶対に許せるものではない。
 判決は、常勤職員の8割を組織する2労組(JPUと全郵政)が労働協約を締結したことも不利益変更の合理性を認める根拠としている。組合員の反対や機関手続きを無視して締結された協約の有効性を追認する判決にも怒りを禁じ得ないが、それ以上に「深夜勤」導入=労働条件改悪に手を貸してきた両労組に断固抗議するものである。                                                   2006年5月29日
  「不当解雇でも職場に戻さない」
       「労働契約法」制定策動

 労働者をめぐる状況は戦後最悪だ。平均賃金は7年連続して下落し、年収200万円以下の世帯数が全体の20%,生活保護は100万世帯に急増、「経済格差」と生活破壊が顕著だ。
 失業者の3人が1人が1年以上の長期失業者となっており、職場では成果主義導入などの競争の強要と賃下げによる生活不安などのストレスで精神傷害を発症したとして労災申請した件数が過去最大を更新し、自殺も3万4千人と過去最多となり、それも「経済・生活問題」が動機とみられる自殺が最も増えている。派遣労働者が230万人を超え、パート労働者が1080万人(4人に1人)と、不安定雇用も増大している。
 そして、労働者を守ることのできない労働運動の現状は、労働組合の組織率に一目瞭然だ。30年連続下落し、18・7%にまで落ち込んだ。労組法改悪や「労働審判制」の成立などこの間急速に進む労働法制の改悪はこうした労働運動の解体状況と軌を一にしたものだ。厚生労働者は昨年4月「採用から解雇に至るまで」の労働契約全般についての法律整備の検討に入り、05年9月最終報告が出された。
 その一つは、就業規則など労働条件の決定・変更は職場に設けた「労使委員会」で協議・承認するというものだ。労働組合の解体状況の中で、労働者代表の不透明な選出も重なって、使用者が恣意的に労働条件の引き下げを可能とするものだ。さらに、「解雇の金銭解決制度」の導入も提案している。不当解雇とされたものでも経営側から申請があれば「職場復帰」をさせず、争議を金銭で買い取ることができるという 「解雇自由」のルール化を狙うものだ。三つ目は「雇用継続型契約変更制度」で、使用者が「労働契約の内容変更を提案し、もし応じられなければ解雇する」という提案を法的に認めようというものだ。等々、どれも労働者・労働組合が勝ち取ってきた権利の一切を奪うものとなっている。来年07年の通常国会に提出されようとしている。 さらには、年収が「一定の水準以上(経団連は400万円以上と提案)の労働者には残業代を払わないでも良し」とする労働時間制度の見直し「自律的労働制度」の創設も提出されるという。
 東京の地域共闘や合同労組等で構成する「労働法制改悪阻止!職場闘争勝利!労働者連絡会」は、この間厚労省前での抗議情宣や申入れを行ない、7月7日には決起集会を約50名で開催し、8月4日には銀座デモを計画している。共に頑張りましょう。
    労働契約法反対!銀座デモ
    8月4日(金)午後6時45分〜銀座・水谷橋公園(JR有楽町下車)

 南部労組テック工業で
 画期的な「労働協約」勝ち取ったぞ!
 6月20日の団交で「(人事約款)会社は、解雇・勤務形態及び職種の変更・配転・出向・賃金体系の変更等、組合員の人事・労働条件の変更については、事前に組合と十分に協議し、同意を得るものとする。(会社の解散・倒産についても同様)」「(就業時間内の組合活動)団体交渉の出席、当社に関する裁判所・労働委員会その他官公署への出頭は出勤扱いとする」「組合掲示板を設置し、利用を認める」など全7条を締結した。さらに、賃上げ5000円も獲得し、妥結。