「組織統合」で団結ひっこみ競争通る
「人はいない」で「完配しろ」「営業しろ」
JPU(全逓)第62回全国大会(6/14〜16神奈川県民ホール)。
横浜大会は23年ぶりのことです。1983年の時の横浜大会は、前年の蒲郡全国大会で「全逓運動の30年総括」「職場闘争から交渉重視への転換」を決定したのに続いて、制度・政策運動方針」を決定した大会でした。
「今度はどういう横浜大会になるのか?」
大きな不安を持って議案書を読んだことと思います。「制度・政策運動方針」以上に重大な大会であることは間違いありません。
全国の仲間の皆さん。
4・28連絡会は訴えます。「大会議案書」は誰に読ませたい文章なのでしょうか。労働組合の大会議案書というよりは、「新会社の会社紹介」と言ったら言いすぎ・書きすぎでしょうか。
第二組合=全郵政の定期全国大会も札幌市で全く同じ日程です。「対等合併」を提案しています。JPU新聞「JPUスクエア」(5/6号)で「仮に組織統合をめざすとすれば」と、本部難波書記長が述べています。「えっ。もう内々では相当話を進めているんではないの?『仮に』ではないでしょう。共済や財政をどうするとか」
「元気で明るい職場になったのか」
【第60回奈良全国大会・北陸代議員発言】
大会議案を一読して思うのは、何というか、むなしいというか、白々しいというか、よくもこれだけ現場を無視して書けるものだなと、変に感心させられてしまいます。
60回大会代議員発言
●「JPS、看板の付け替え、テープの張り替え、また立ち作業のみを強調し、具体的な業務内容変更について説明が全くない」(東北)
●「スタンディングワークは、機械的作業により人として心の通わない職場環境の姿に、精神的苦痛が大きく、肉体的に非常に苦痛が多く、笑顔さえ出ない職場関係」 (九州)
●「職場で進められている効率化は施策のみが先行し、サービスを提供できる質も量も含めた要員及び職員への理解・納得という当たり前の環境整備がされないまま実施されている」(四国)
●「役職者は翻弄されているため、役職者への志願者は少なく、降任願を提出する役職者が多くなっている」(東海)
●「4月1日の新規採用者を補充しても欠員状況は解消されず、その欠員を埋めるための非常勤労働力も確保できない郵便局が増えており、綱渡り的な業務運行を強いられている」(南関東)
●「業務運行を確保するのに精一杯であると同時に、目標達成主義と成績至上主義が台頭し、ES向上とは名ばかりで、働き甲斐のある公社とはほど遠く、疲労感とあきらめが蔓延している実態」(北陸)
●「今は暑中見舞いはがき『かもめーる』の季節であります。現場では一人200枚とか300枚という販売が割り当てられています。当面は自分で購入し、後からそれをお客様に売ればいい。その時に領収書を切ればいい。売る時間も、売る人もいなければ、結局のところ自分で抱え込むしかありません。各個人に切手の販売も定められ、金券ショップで換金する事例が後を絶ちません」(東北)
●「不払いの発生に伴う措置を、罰則がないことをいいことに『労基署にそれで終わり』とする事例が、本社による調査以降存在しています」(近畿)
●「職場は施策に次ぐ施策に追われ、施策の真意が伝えられないまま実施されている状態です。欠員補充もままならず、安定した非常勤職員の雇用ができていない局所も多く見られます」(東京)
●「多くの個別施策の中で、さまざまな非常勤化が提案されていますが、果たして公社は必要な非常勤職員を確保できる確証があって提案しているのでしょうか」(関東)●「スタンディングワーク施策、冬期間、冬道を走って、帰局後も立ちっ放しで事後処理をすることが本当に効率的な業務につながるとは思えません」(北海道)
●「不払い残業撲滅についてです。3ヶ月間の調査で32億円という結果になったことは皆さんもご存じだと思います。しかし、32億円が氷山の一角だということもみんな感じています」(中国)
日曜出勤者の週休まで奪われる職場
一年前の大会で全国の代議員がこのように発言した職場状況は改善されたのでしょうか。しかし、現実は、改善されるどころか増々悪化しているのではないでしょうか。この事は2月臨時全国大会代議員発言を見ても明らかです。
このような職場状況に全く無関心に書かれているのが本大会議案です。
3月31日付「勧奨退職者」がありながらも、2ヶ月以上過ぎた現在に至っても後補充がされていません。
非常勤労働者が確保されていないにもかかわらず、「受箱配達」「対面配達」の2ネットを強引にスタートさせる。このことによって「日曜出勤者」の週休を付与する事ができず「廃休」に追い込まれているのである。
「元気で明るい職場にしてほしい」と切に訴えた代議員の声を無視する本部を許すことはできません。
4・28反処分闘争を被免職者ごと切り捨てた本部は、とうとう、JPU組合員を無権利のまま、会社に差し出そうとしています。
労働組合の役割は
労働条件悪化に手を貸すことなの?
職場には労働組合などないに等しい状態になっています。そのため、職場は、アクションプランによる際限のない人減らし合理化が押し進められ、非人間的な連続深夜勤や立ち作業、成果給の推進の下で自爆を促進する営業ノルマの強要、人事交流、慢性的な欠員、労働過重、過労死、精神疾患、早期退職など、抜き差しならない状態に陥っています。
労働組合は、雇用・賃金・労働環境など経営のさまざまな攻撃から労働者一人ひとりを守り、労働条件を向上させるためにあるものです。その労働組合が、経営と一緒になって、「増収・増益のために血を流せ」というのでは、「一体何のための労働組合なのか」ということになりかねません。
「闘いなくして安全なし」という言葉があります。団結・闘いなくして。労働条件一つ向上させることはできないのです。
「処分取り消し」高裁勝利判決から2年。 今年こそ最高裁勝利決定を勝ち取るぞ!
1979年4月28日、全逓反マル生闘争に対して、懲戒免職55名(東京)など全国8千名を超える大量・過酷な報復処分がかけられました。そして、全逓本部は1991年、「労使協調」を理由に、闘いも被免職者も切り捨てました。
しかし、私たちは、心ある郵政内外の仲間たちに支えられ、02年6月30日、東京高裁で地裁不当判決を覆す逆転勝利判決を勝ち取ることができました。処分から実に25年ぶりのことでした。被免職者の頑張りと、どんな状況の中でも4・28闘争を支え続けた全ての仲間の皆さんと共に勝ち取った、画期的な勝利判決でした。
しかし、担当する最高裁第三小法廷は、判決から丸2年を経過しようという今に至っても判断を出していません。5月23日には、判断を出さないまま裁判長が定年で退官してしまい、さらに引き延ばされるという状況です。現在の郵政民営化攻撃の中で、高裁勝利判決を確定させることに危惧を覚えた政治的判断としか言い様がありません。私たちはこうした状況を許さず、何としても最高裁での勝利決定をもぎ取り、処分撤回・職場復帰を果たしていく決意です。4・28も職場闘争も、労働者の権利問題です。根は一つです。最後までのご支援を心から訴えます。
長岡局だけの事例なのか?他局は?
5月13日の新聞を見て「どうしてこんな事が?!」とビックリしました。「別納制度で不正割引」「27億円損失」という見出しでした。記事によれば「53億円もらうところ、26億円しかもらわなかった」ということでした。割引率50%以上です。
私たちが心配するのは、本部が「JPU組合員全体の営業力アップで損失を取り戻そう」などと檄を発し、さらなる「自腹営業」に追い込むのではないか?JPU信越地本や長岡支部に対して「全国の公社職員に迷惑をかけた」とプレッシャーを与え、「損失分は地元がなんとかします」などと、地本・支部組合員に営業強化・労働強化を強制しまいかということです。
しかし、今回の事件の原因は、公社の政策とそれに追随するJPU本部にこそあります。民間との競争を煽るばかり、ダイレクトメール発送代行業者などを「大口」として、一般利用者に比べ「超割引」の優遇措置を行ない、「まだ高い」と言われれば、さらに「超法規的」に値引きする構造になっていたからです。佐川急便との関係を見れば明らかです【別掲】。
新潟や長岡局だけのことではありません。こうした事件は全国で続発しているのです。昨年5月には、福岡で業者からの料金後納郵便を不当に安い料金で請け負い、約6億円の損失を与え、00年12月には、大津郵便局でダイレクトメール発送代行業者から正規の別納料金から徴収しない代わりに賄賂を受け取った事件も発覚し、今年5月には、03年4月に、埼玉・草加郵便局で業者が持ち込んだ6万8千通を4万4千通分の料金しか徴収せず約200万円の損失を与えた事件も発覚しました。長岡局担当課長は「手続違反を承知で引き受けてる。大口客を失うわけにはいかない」と語り、福岡の局では「厳しいノルマが不正を生んでいる」と批判が出ているのです。
長岡局では職員らが処分を受けています。しかし、「労働者に責任はない。追いやった当局に責任があるんだ」ーこの事をはっきりさせ、公社当局の責任を追及すべきです。
さらに言えば、信越地本は2月臨時全国大会で「仕事に対する意識改革」を語り、「民間の会社員になることの変化を理解し、能動的に取り組むことが労働組合として必要」と発言しています。労働組合の役割を見誤った運動観、27億円損失に至る構造を許してしまったのではないでしょうか。信越地本の皆さん、どうですか。
相談相手にもなれないでいいの?
「労働相談17万件超すー昨年度」(5/26朝日)
解雇や賃金カットに対して全国の労働局に寄せられた相談件数が17万6千件になったという。前年度比10%だという。
連合、JPU等の労働組合に相談してきたのではない。相談相手にもなっていないということではないか。労働局に寄せられた労働相談は、JPUに向けられたものでもある。郵政職場は、パート等非正規労働者の存在なくしては一日も仕事が回らない状況になっている。来年10月の民営化。その雇用継続について、「正規職員のことだけ考えている」と非正規労働者に思われるような状況になっているのではないか。だから全然、相談されないのである。
ここで例を一つ。
あなたの局のゆうメイトは「社会保険」に加入していますか?兵庫県神戸市内の郵便局では、社会保険事務所から指摘されて、嫌々4月から加入させました。しかし、「勤務時間数や出勤数を減らして、適用外に持っていこう」という動きをしている局もあります。こんなことを相談されたことありますか。代議員・傍聴者の皆さん。
民営化前に全郵政と組織統一か
「組織統合に向けた本部の判断」では「その具体化への環境整備に入る」「郵政事業に携わる全ての関係者(職員、管理者、特定郵便局長)が歓迎するとともに、その幸福を実現するもの」としてと、提案されており、5項目の基本的考え方も示され、「組織統合検討PT」を設置し、内部検討するとしています。
ちなみに、全郵政の大会議案では「統合にあたっては、あくまで『対等合併』。本大会終了後、JPUに対し、協議する場の設置を全郵政として正式に申し入れる」としています。
大会開催日も同じ、提案されている内容もほぼ同じです。「全郵政からJPUに提案」という形をとりつつ、それは形だけのことです。すでに皆さん、気付いているでしょう。全郵政は数が少なくても「対等合併」は譲らず、すでに水面下で話が進んでいることを。共済、財産、専従役員の数、等を取り合っていることを。
しかし、だからといって、組織統合が労働者の「幸福」になるかというとそうではありません。労働者の「幸福」は「職員、管理者、特定局長」と並べられた3分の1でしかありません。「三方丸くおさまる」ではなく、「労働者を丸め込める」組織統合といえます。
●全郵政の合併方針
「全逓の全郵政化」を狙うもの
全郵政も、同日開催の全国大会議案書で、「全逓は反マル生運動以降、柔軟・現実路線に転換し、綱領を廃止し、組合名称もJPUに変更した」が、「一部地域で未だに過去の全逓運動を引きずっている行動が見られる」とした上で、「JPUが自ら過去の運動を総括すること」を前提に、「対等合併」を提案し、これが「反事業的勢力を一掃するチャンス」だとして、職場で今なお権利闘争を闘う組合員・労働者を「事業の阻害要因」として新会社からの排除を画策している。
今年2月の全郵政中央委員会でも、書記長答弁で「旧体質の職場実態や活動、働かない職員をどう無くすかは、JPUに対しても要求として突き付ける」と、JPUの屈伏を執拗に求めてきている。まさに、「全逓の全郵政化」方針だ。
※編集部 注 「4・28通信」紙上では、全郵政議案書を抜粋掲載しています。
★JPU静岡みなみ支部HP掲示板より抜粋
同じ配達でAは80円、Bは55円
●奇妙なことは、東京都の発送代行会社から新潟の長岡の局に差し出される構造である。以前、静岡南局にも郵便が全国から宅配ダンボールで持ち込まれて、大口割引差立てがあった。さらに数をかき集めるために集中差し出しさせる。それは全国とこの局でもよい。そうなると、郵便局の全体の収益ではなく「わが局が…」で、不正なダンピング=融通がまかり通るようになる。一方、担当の責任者は、腰掛け管理者で、自分の居る間だけ何とかすれば…と、その場しのぎの対応で難題を後に残していく。そんな構造が今も続く。「不正値引き」は減給処分より、郵政が徹底して追及するのは賠償請求。誰がどう払うのか。
そして、郵便事業のコストは配達である。封書AとBを同じ家に配達して、Aは80円でBはなんで55円を切るのか。莫大な大口差出数割引の考えこそが元凶である。そして、多額な不正を生むし、事業経営を悪化させるのではないか。
●先日、集荷1万通の差立てをやった。久しぶりに区分局の気分だが、封書での1万通は30ケースを超えた。差出は、ダンボールやら業者プラケースやら。だから、区分けして同一ケースで分量を量り差出数を計測したが、はたしてハガキなどの差出の際はグラム単位で大きく誤差が出る。「ハガキ差出1000通」という微妙なケースは、100数えて10倍の目測では違反だろうか。むろん、検査管理者立会いも難しい。なのに、検査印は押さされる。
さて、かの事件でイーホームズが検査が甘いと付け込まれたように、「あの局は甘い」と目を付けられると恐い。何より、「名義貸し」ならぬ「検査印貸し」で後で追及ともなりかねない。本気で局を挙げて「引き受け査察」に取り組むのなら、管理者こそが現場に印鑑を持って立ち、汗をかくべきである。そんなこんなの、今夜も夜間窓口担当である。
新・日逓会社役員に
JPU、日通、ヤマト幹部が!
「事業改革」の一つとして、輸送部門にもメスを入れる。5月12日に郵政公社に着任した日本通運の山崎勝英・前副社長(64)をトップにした、日逓に代わる輸送物流会社の設立である。常務には今年4月に郵政公社就任が明らかになったヤマトホールディングスの子会社ヤマトホームコンビニエンスの上沼雄治前社長(55)が内定し、民間物流のノウハウを新・日逓に活かすねらいだ。
すでに生田総裁・高橋副総裁は、新井忠之社長(元郵政省郵務局長)以下旧日逓経営陣の更迭を決定、連結子会社21社、関連会社12社の日逓グループの解体を決断した。
これにより、新会社は、高速郵便輸送、軽四輪部門を切り捨て、区間輸送を中心としたスリムなものになる。それに代わる新規業務が、日本通運との合弁を視野に入れた小口物流展開、企業間物流、引っ越し事業への進出なのである。
実質的な日逓解体・切り売り計画であるが、もう一人、新会社常務には郵政労使の代弁者として今年6月のJPU定期大会で退任予定の本庄吉幸副委員長(54)をあてることとした。スムーズに日逓関連労働者の大量首切りを行なうためである。
もはやJPUは民営郵政のリストラ労務部に純化しようとしている。
【赤羽局闘う会ニュースより】