★郵政分割民営化攻撃の中、
4・28処分取り消し高裁勝利判決を引っさげ
JPU奈良大会闘争を闘う!
6月22日から二日間にわたって、JPU(全逓)第60回定期全国大会が、奈良市「なら100年会館」で開催された。
前夜から降り続いた雨は、会場前に到着した朝7時半には上がった。
私たち4・28連絡会をはじめ、全国の全逓労働者、支援の仲間など49名で、330名の代議員、傍聴者など大会参加者1500名に対して、「4・28通信」「強制配転反対!近畿の会」などのビラを配布し、リレートークという形で、全国の仲間たちが「郵政民営化=大量首切り攻撃を阻止しよう」「郵便内務事務のアウトソーシングなど公社提案フェーズUの丸飲みを許さないぞ」「労働組合の責任で4・28被免職者の職場復帰を実現しよう」と訴えた。
本部は職場をどうしたいのか
中央本部は、当初三日間の大会日程を二日間に短縮して、「今回大会は民営化反対総決起集会として開催する」として、生田郵政公社総裁や全国特定郵便局長会会長といった、労働者の権利など眼中にもない連中に発言させた。
中央本部は、現場労働者の雇用問題に一切触れず、「自民党反対派」「特定局長会」と手を結んで「闘う」などと言っている。そして、「民営化を阻止するために、増収増益をめざして効率化と生産性を高める」として、公社提案の「アクションプラン・フェーズT」1万9千名削減に続き、「フェーズU」1万人削減にも「積極的・能動的に対応」し、郵便内務事務のアウトソーシング、10時間2交代制勤務の導入、 「人材活用センター」の設置に全面的に賛成するという態度だ。結果、職場は、民営化を前にすでに民営状態にある。それでも本部は「民営化反対」だと言う。闘う労働組合・労働者なら、そんなものを「民営化反対」とは言わない。
生田総裁に野次2回「何人殺したんだ!」
大会会場内では、初めて全国特定局長会(全特)会長を組合大会に招待し、挨拶させた。5月の全特総会にJPU委員長(菰田)が初めて参加し「特定局制度撤廃闘争」を闘ってきた全逓の歴史を「迷惑をかけて申し訳なかった」と頭を下げたのに続き、特定局労働者の思いを踏みにじる裏切りだ。特定局制度の下で、ただ働きの長時間残業、局長一家の炊事・洗濯までやらされて、まさに「権利の全逓」として一歩も引けない闘いだったはずだ。
そして、郵政公社・生田総裁は「アクションプラン=効率化は、民営化があろうがなかろうが、将来の飛躍と成長のために生産性と利益を求めていくのは当然」「公社になって黒字を達成した。JPUの皆さんにはご苦労様、ありがとうと言いたい」と、臆面もなく言い放った。会場からは「何人殺したんだ!」と二度にわたって野次が飛んだ。
会場の外では、共同の昼集会を開催した。近畿の会の仲間の司会で、宮城、東京、兵庫、愛媛の全逓労働者が職場からの怒りの発言。さらに、加古川局小包請負業者の労働者が組合を結成したとたん、業者から全員解雇。指揮したのは郵政当局だ。ストライキで闘い抜いている関西合同労組・関西トランスポート分会の仲間から支援の訴えがなされ、最後に、4・28被免職者の向島局・徳差、赤羽局の池田、大崎局の神矢から、不当処分以来、全逓本部の切り捨てに屈せず闘い、昨年ついに「処分取り消し」という高裁勝利判決を勝ち取ったこと、27年目の闘いに入っているが、職場復帰をめざして闘う決意が、昼休憩に入った代議員・傍聴者の注目の中で訴えられた。
本部に「4・28」を申入れ
集会途中には、中央本部高橋総務部長に対して申入れを勝ち取った。4・28被免職者を先頭に、「昨年の高裁勝利判決は、本来なら全逓として勝ち取るべき判決ではなかったのか」「労働組合なら被免職者の職場復帰を求めるのは当然ではないのか」「公社に対して上告取下げを要求しろ」とガンガン追及。しかし、総務部長は「4・28は組織的には整理済み」と、反マル生闘争が本部の指令で闘われ、4・28処分は全逓に対してかけられた攻撃であることを忘れてしまったかのように、無責任な発言に終始。大会終了後、再度話合いを持つことを約束させた。続いて、職場の仲間が、「強制配転」「深夜勤」の中止を求めて申入れを行なった。
来年の全国大会は横浜での開催となる。最後に全逓兵庫の仲間の音頭でシュプレヒコールを上げて、大会闘争をしめくくった。
前日に全国職場交流集会
大会前日の6月21日午後1時から、大会会場近くで32名の参加で開催した。
司会は全逓京都の仲間。最初に、全逓大阪の仲間から「民営化攻撃の本質と全国大会議案批判」と題して問題提起【別掲】がなされた。
続いて、特別報告として、450名の組合員で組織する奈良市職従の仲間から、 「ヤミ・カラ」キャンペーンを通して、諸手当の廃止攻撃がかけられている中で、20数年前から労使協議で当局に認めさせてきた諸権利を断固守り抜いていく闘いの報告が行なわれた。
全逓兵庫・三田局の仲間からは、近畿の会の統一候補として5名が代議員選挙を闘い抜いた報告(663票差の1847票を獲得)と、無風状態だった大阪でも5区中4選挙区で対立候補が出る状況が生まれてきていることも報告された。
さらに、全逓尼崎の仲間からは、接遇マナー4級未取得者に3月15日からの泊まり込みの4日間、JRの「日勤教育」とも言うべき「特別研修」の実体験が報告され、それぞれについて質疑や意見交換が行なわれた。
そして、全逓加古川の仲間からは、加古川局の小包請負労働者の組合結成ー解雇ーストライキの闘いが報告された。最後に、4・28被免職者・神矢から、翌日の全国大会闘争の闘いについて提起が行われ、奈良の酒場での交流会になだれ込んだ。
【別掲】 民営化攻撃とは何かー大量首切り許すな
民営化攻撃とは何か。
(1)特定局長にだけ公的身分を与え、27万人の郵政労働者の公務員身分を剥奪し、「首切り自由」の立場で、いったん全員解雇し、「郵便会社」「保険会社」「貯金会社」「窓口会社」に選別的再雇用するという攻撃だ。公務員制度も終身雇用制度も解体し、労働基本権の解体さえ狙うとんでもない攻撃だ。
(2)民営化される会社は政府出資の持ち株会社の元での、4分割された子会社になる。小泉の直接的狙いは、財政投融資制度=貯金・保険会社の解体と、構造的に赤字体質である郵便会社への貯・保からの支援打ち切りにある。
民営化される会社がいきなり子会社とされ、実際の経営方針は親会社・持株会社が握り、郵便会社などには実際の経営決定権は持たされない。(持株会社は、金融危機の中で97年に独占禁止法の改悪の中で認められた制度で、その本質は労働者の解雇と弱小資本の整理にある(子会社の企業整理に対する親会社との労使交渉を閉ざすものになっている)。労働基本権が剥奪された中に叩き込まれることになる。
(3)アクションプラン・フェーズUでは差立区分などの郵便内務事務のアウトソーシング(外注化)が初めて打ち出された。これは今までの非常勤化による減員とは全く次元を画する攻撃である。加えて、配達デポ方式、Uネット(旧・新集配システム=非常勤による受箱配達)を見ても、集配部門のアウトソーシングを狙った攻撃であるのは明らかだ。民営化・4分割構想は、NTTの50才定年制、全員解雇−子会社への再雇用攻撃のように、持ち株会社の下に郵便子会社、郵便子会社の下に差立て専門会社、配達専門会社、小包配達会社、と限りなく孫会社を作り、リストラ、解雇を行なおうとする攻撃だ。このスクラップ・アンド・ビルドの中で、郵便から物流事業の転換を行なおうとしている。
(4)法案165条で「公社の職員は…継承会社のいずれかの職員となるものとする」と書かれ、新会社への雇用の継続が言われている。しかし、新会社の定員も再雇用される人数も全く明らかにされていない。再雇用の条件も全く明らかにされていない。07年新会社スタート時までに公社職員をどんどん首切り、削減した上で、新会社に首切り自由を与えようというものだ。賃金体系、一時金、年休、退職金、年金を含め、いったん解雇ー再雇用という関係の中では断絶であって、何の継続も補償もない。民営化の目的は首切り、リストラなのだ。
(5)労働協約も、いったん全部破棄され、その上で「郵便株式会社は、承継職員の労働条件に関する労働協約を締結するための交渉をし、及び承継労働協約を締結することができる」(169条)。その際、「公社の職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に配慮するものとする」(171条)となっている。しかし、雇用形態、賃金 (体系)、勤務時間、年休その他の現在の労働協約は国公法、公労法をベースにしたものであり、全く違ったものが提示されるのは間違いない。さらに、どの会社の職員に雇用されるのかということも「施行日の2週間前までに」通知すればよい(168条)というものだ。今の人事交流の内示=強制配転という感覚で、3月31日付の解雇通告と、その2週間前に雇用先が内示されるというもので、形式的にも継続雇用と呼べるものではない。【前日の職場交流会・問題提起より抜粋】
「奈良は厳しいんだ」
「さぁ!ビラまき準備だ」と思ったら、近畿地本の役員が「敷地内ではビラまきも集会も禁止。今までとは違う。奈良は厳しいんだ」。会館所有者・奈良市の管理者も 「別の団体が道路使用許可を取っているから、そっちでやってくれ」などと。奈良県警も20数名が繰り出して、機動隊バスまで用意して「敷地内ではやらせない!」と。中央本部が到着して、やり取りの末、今まで通り敷地内情宣・集会の妨害をしないことを約束させた。あわせて、本部に対する「4・28問題」での申入れも行なうことを確認させた。
大会傍聴記 【「Web版めいなん通信」より抜粋転載】
大会開始のブザーが鳴ると、突然会場が暗くなり、5月15日の有明での「民営化反対集会」と、国会に菰田委員長が参考人で呼ばれた時のビデオが上映され、大会が始まった。驚くことに、壇上にはJPU旗もなく、真ん中に大きく「ストップ!郵政民営化 守ろうみんなの郵便局」というボードが掲げられる中、スーツに身を包んだ本部役員が登場した。
■生田総裁登場、そして「効率化は将来の飛躍と成長のためのもの」と挨拶
大会が始まると、議長選出や委員長あいさつより先に民主党幹事長。そして、生田総裁。「昨年、共にパートナー宣言して以降、情熱的なJPUに感謝している」「公社発足してこの2年間で数値の上では黒字を達成した。皆さんにはご苦労様、ありがとうと言いたい」「フェーズUは『効率化ありきなら反対』と言われてますが、効率化は将来の飛躍と成長のためのもの」と発言。また、職場での「キチッとした労務管理の下での残業なら支払うべきだが、ダラダラ残業は根絶すべき」との発言もあり、郵政民営化問題については「民営化するなら、将来において成長できるものであるべき」「アクションプランは民営化があろうがなかろうが、市場の中で与えられた限り、生産性・利益を求めていくのは当然」というものだった。
この生田総裁のあいさつの途中、「何人殺したんだ!」という怒りに満ちた声が会場から二度にわたり放たれた。これまで「事業の発展のため」に現場はどれだけ厳しい現実に叩き込まれているのか。その中での生田総裁の「ご苦労様、ありがとう」という挨拶に怒りの声を上げたくなるのも当然だ。さすがの生田総裁もこの怒りの声に顔をこわばらせているのがよくわかりました。
■ようやく委員長あいさつへ
その後、議長団が選出され、ようやく委員長あいさつに。菰田委員長は「公社の現状として、アクションプランに基づく改革の成果と職場組合員の賢明な努力で2年連続の黒字計上した現状を率直に評価。夏期手当交渉でプラス10,000円の決断は評価すべき」
「郵便局が21世紀の主人公・ヒーローになるとの理念の下に郵政事業を発展させなければならない。郵便ネットワークは世界に類例のない日本人の知恵と文化。現在の公社を維持し一層の改革を進めることがこの国の幸せにつながるものと確信している」「いま部内の力を合わせなくていつ合わせるのか」。そして、あいさつの後、突然、「郵政民営化に反対する団結ガンバローを行ないたい」と委員長自ら発議し、その場で団結カンバローが行なわれた。
そして、来賓挨拶として、高橋全国特定局長会会長が「共に勝利するまで頑張っていこう」と、先日の菰田委員長の全特総会での謝罪の内容を重く受けとめたとする挨拶だった。さらに、連合事務局長、与党の自民党、公明党(一斉に野次)、郵便局ファンの会、JPU国会議員団と続いた。
■アクションプランはどこへ?
ここまでの間、「今大会で論議・確認する」としたアクションプランには全くふれられず、「民営化反対」と言っても私たちとは決定的な違いを感じました。ただ一人全逓議員団の人が挨拶の中で「雇用・生活のために反対しましょう」と付け足しても、私たち現場組合員の「雇用・生活」の不安がどのようなもので、何が原因なのか、一切かえり見ず、ただただ「国益のためのユニバーサルサービス」だとか、そのための「三事業一体」としか言わない本部に対し、あらためて怒りが沸いた。
■発言スタート。「明るい将来展望」は見えたか!?
【九州】スタンディングワークは精神的・肉体的に苦痛あり廃止を。アウトソーシングは雇用と勤務内容の関係からも実験も含めて行なうべきでない。10時間二交代制も現場では強い抵抗感があり導入すべきではない。配達デポはしっかり実態調査を。【北海道】新集配は状況と理念が乖離している。整理してから2ネットは実施する必要あり。業務運行は要員不足。運行基盤の確立と配達区の平均化を。スタンディングワークは疲労感だけで効果が期待できないので固執すべきでない。
【南関東】平和憲法を堅持すべき。アウトソーシングは郵便内務の雇用がなくなってしまうのが不安。貯保の非常勤化はお客との会話を大事にしてきた職員という財産を失うことになる。人事評価制度は中身を理解していない管理者が多く、差別が主な目的となっている。
●沖縄地本から「戦没者の追悼と恒久平和を願い黙祷を」と提起され参加者一同で黙祷。大会二日目の6月23日が沖縄戦・戦没者の「慰霊の日」だからです。しかし、「憲法改悪」問題と切り離されたように感じたのが残念であり、また不思議でならない。
【東海】10時間二交代制は、勤務時間見直しの「深夜勤」導入後、検証されていないし、負担が大きい。組合として、定年まで働けるよう再度見直しを。アウトソーシンクされれば雇用がなくなる。現場からは反対の声が上がっている。具体的ビジネスモデルの提示を。本部は極めて慎重な対応を。配達デポ実施局の意見としては、業務運行確保のため局所に合わせたやり方を。取りやめも含めた方向も視野に丁寧な運動を。憲法改悪反対の声を。アクションプラン・フェーズU導入前に職場実態の検証を。本武者減で非常勤に頼らざるをえないが、集まらないし、定着率も悪いので処遇改善と、本務者への登用も考えるよう。輸送は組合として、これ以上賃金引き下げは受け入れないように。今が雇用を維持できるギリギリの線。よいサービスの提供にはそれなりにコストがかかるのは当然。そうでないとJR西日本のような事故を招く。
■本部見解【アクションプラン・フェーズU】
《総体》多くの痛みを伴う施策だったが、フェーズTの評価として最大のものは2年連続で黒字を出したことで民営化論者の論所の一つを封じたこと。改善すべき点はあるが、郵便事業はこのままでは縮小再生産。経営基盤の確立、業務運行基盤の整備、成長分野への投資をはかるための原資の生み出しは必要。フェーズUは効率化施策も含まれているが、成長分野への3000人もの増員計画も認識しての対応としたい。増収増益に転じ明るい将来展望をめざす立場から積極・能動的に対応する。
昨年末、年賀はがき・イベント小包の無理な買い取りをしないよう指示文書を出した。本来の営業の姿を求めていく。
《アウトソーシング》職員の労働条件に大きな影響があるが、@雇用の継続・安定に向けた対応策、A職歴を考慮した人材活用のあり方、Bサービス低下・品質低下を招かない業務運行対策、C実験の位置付け、の4点の見解を公社に求め、慎重に対応する。
《10時間二交代制》@10時間二交代制勤務の必要性の有無、A交代制職場の労働条件のあり方、B今後の業務運行態勢のあり方、を中心に大会以降、公社と検討に入る。本部としてもしかるべき決議機関にかける。
都市部における集中処理局と配達専門局の機能分離の施行については、今後の事業展開を考えると、必要な施策であり、今大会終了後、交渉に入る。
【その他、交渉課題】年末年始繁忙手当については、国家公務員諸手当制度に対する世論との関係もあり、見直していく。本大会終了後、要求書を提出する。妥結判断は本部に一任を。
不払い残業撲滅に向けた労使共同宣言とも言える挨拶を生田総裁から受けた。今後とも勤務時間管理の徹底と発覚した時の厳正な処置など、具体的に求める。
【改憲問題】連合の方針を基本にしながら憲法問題に対応していく。(議案書には提案されていない! ちなみに、連合の笹森会長はかつて「護憲平和と吠えていて平和が守れるか」と発言しています)
■現地での会話…
「今回の全国大会は『民営化反対の総決起集会にする』と本部・地本は言っていた。にもかかわらず、職場からの悲惨な現状も意見として噴き出していたと思う」
「特に、アクションプラン・フェーズTの総括を求める声や、フェーズUの個別施策ら関して危惧する発言。JPSへの不満やその中でもスタンディングワークに反対の声も多かった」
「はっきり『アウトソーシング』『10時間二高態勢勤務』に反対と言っていた地本も5、6あった。でも、フェーズUに関しては受け入れざるをえないと、ほとんどの地本が言っていたのが気になったし、本部見解も議案書そのままの内容だった」
「それに『アウトソーシング』について、本部は“慎重に対応”と言ってたけど、この“慎重”の中身が問題だ。“事業に失敗は許されない”から慎重なんじゃない?B雇用を第一に考えるなら“慎重”じゃなくて反対とか見直しを求めるはず。結局、本部見解でまとめられて悔しい。
「でも、以前の全国大会の発言に比べれば、職場からの意見をほとんど全部の発言者が言うようになってきたのをみると、そう悲観的になることはないなと思う。やはり職場から声をあげていく大切さが今回の全国大会に参加して、痛感した。
「郵便接遇・マナー特別研修」体験談
《あいうえお、いうえおあ、うえおあい、えおあいう、おあいうえ》《かきくけこ、きくけこか、くけこかき、けこかきく…》
まさに「日勤教育」
3月15日から18日までの4日間、奈良にある近畿郵政研修所での泊り込み研修だ。参加させられたのは、滋賀・大阪・兵庫・奈良の8局8名(集配6名、郵便2名)。「ヒゲ」「茶髪」「氏名札」「ネクタイ」「課長に挨拶しない」などが理由のようだ。
一日目は10時半集合で5時15分まで。二日目からは8時半から5時15分まで。官執勤務の、まさに「日勤教育」。
一日・二日目は、4級未認定の8名とそれぞれの所属課長(課長も同罪?)計16名が受講者として、コの字に並べた机に着く。その後ろには、近畿支社の担当者が3〜4名。課長たちは三六交渉などのために、二日目に姿を消し、奈良中央の郵便課長だけが最後まで残る。所属課長と交替して二日目以降に来た管理者は、支社の担当者と同様、後ろに座り、受講者兼現認要員だった。
一日目。まず「起立!礼!」から始まる。私ともう一人は座ったまま(その後も研修を拒否)。課長が飛んで来て「指示に従いなさい。問責の対象になる。何時何分」と言う。その様子を苦虫を噛み潰したような表情で眺めながら、支社郵便事業部渡辺課長が講和と称してめんどくさそうに話をする。「接遇・マナー研修は郵便事業部の施策である。郵便事業が競争に勝つために必要。研修は4級認定が目的ではない。4級なんて誰でも取れる(つまり、お前らは取る気がないんだ)」というものだった。即、「なぜ自分がここにいるのかさっぱりわからない。この研修を受けたら4級認定されるのか」と質問が飛んだが、「認定は各局の判断による」という答え。
その後、すでに各局で全員見せられている接遇・マナーのビデオを見せられる。さらに、これも各局ですでに実施している、研修会社「ザ・アール」作成のマニュアルに基づく素人っぽい研修を、支社の担当者が長々とやった。研修を拒否している2名と質問を続ける者には、何度も課長が飛んで来て「指示に従いなさい。問責の対象となる。何時何分」を繰り返した。
結局、合格は一人だけ
二日目から三日目が本番で、静岡県にある「管理者養成学校」から来たプロの講師。我々未取得者はスーツか制服・ネクタイで来るように言われていたから、講師もバッチリ決めてくるのかと思ったら、さにあらず。体育の教師のようないでたちで、トレッキングシューズを履いている。首に紐を回して胸のポケットに何か入れているから、笛かなと思っていたら、後でストップウォッチと分かった。彼は最初に「これは研修ではなく、訓練だ」と言った。「根性をたたき直す」という意味を込めたのか。
内容は、ラジオ体操、発声練習、礼儀・挨拶訓練、「行動力基本動作10ヶ条」の唱和、学校創設者の著書「これが指導者だ」の一節を読み上げる「素読」、「良い印象を与える6ヶ条」の唱和、1分間スピーチ、「共感論争」というディベート、「行動2則」の作成、感想文、スピーチ「これからの私」など。極めつけは、カツゼツと称して、「あいうえお、いうえおあ、うえおあい、えおあいう、おあいうえ」「かきくけこ、きくけこか、…」と直立不動・大声で言わせる。
「行動力基本動作10ヶ条」の第1条は「ぐずぐずと始めるな、時間厳守。行動5分前には所定の場所で、仕事の準備と心の準備を整えて待機せよ」。この唱和で、三人目の反乱が起きた。「これは、時間前着手・ただ働きを奨励するものだ。承服できない」と唱和を拒否。
この唱和で、あのストップウォッチが登場する。10ヶ条のうち5ヶ条を講師が選んで、1分以内に一字一句間違えずに暗唱させる。これを繰り返し繰り返しテストするが、結局合格したのは、8名中1人と郵便課長だけだった。
「改善スケジュール」提出強要も
研修所生活では、毎日飲み屋で交流会をやってけっこう楽しかった。
そして、職場に帰れば、「ヒゲや課長へのあいさつは、〇月はこうして、〇月にはこうする」という「私の改善スケジュール」の提出を強要する。これを拒否すれば 「口頭注意」の処分。局によっては厳しい処分もあるようだ。
未取得者ということで、「対面配達させない」「日曜・祝日配達させない」「夜勤もさせない」という嫌がらせをやられた。そのため、班の仲間に仕事のしわ寄せがいってしまう。当局は「あいつがあんなことやってるから、俺たちに迷惑がかかってる」と仲間を分断させたいのだろう。しかし、「なぜ、そんなことで、あいつを担務からはずすんだ」という声が出てきたのだ。そんな声に押されて、結局局長判断で4月1日から対面配達をやっている。
この「4日間特別研修」は、他の未取得者に対しても行われていく。第2回は6月27日から、第3回は7月4日から。そして、取得者には「一つ星バッチ」が配布され、着けてる者と着けてない者の差を見せていく。「人活センター」・清算事業団送りの予告そのものだ。たとえ、人活センターに送られ、「1047名」の一人になっても、仲間たちと切れることなく、地道な団結をつくっていきたい。
【全逓尼崎/相川文男】
●小包配達下請会社での組合結成に
会社ー加古川局一体の全員解雇攻撃
加古川局で2波のストライキ打ち抜く
滑ヨ西トランスポートは加古川郵便局の小包を配達する下請け会社だ。そこで働く労働者は「完全出来高歩合制」で1個105円、行っても不在なら支払われない。8時から21まで働く。20時まで再配達の電話受付があるので、ひどい時は23時・24時まで働く。月に15〜18万がやっとだ。しかも車の経費・ガソリン代は自分持ちだ。3月11日、加古川局職場11名中8名で組合結成を通告した。
【詳細は前号】
「関西合同労組・関西トランスポート分会(関トラ分会)」は、最低限の生活を求めて、@歩合給をやめ月給制にすることA全員を請負契約ではなく雇用契約にすることを要求した。第1回団交も開いた。その矢先だ。会社は5月25日、局との契約を2年余りも残しての撤退を決め、加古川局で働く11名全員に6月30日をもっての解雇を通告。
一方、加古川局当局は、「契約打ち切りは会社の都合」などと言っているが、明らかに、下請け会社組合が結成されたことを嫌って、近畿支社主導で、契約打ち切り・全員解雇が行われたのは明らかだ。全逓加古川分会は、組合結成への支援を行なってきたが、上部機関は「加古川分会として関わるな」などと言ってきている。
そして第一波スト
関トラ分会は、解雇撤回を求めて、6月11日早朝からストライキに立ち上がった。加古川局門前には当該・支援の30名近くが陣取る。近畿支社はスト圧殺要員として10人も派遣してきた。関トラの常務も来た。そして、スト破り業者として、加古川東局の下請け業者「福栄物流」が来る。「スト破り!」のシュプレに、社長は「やってもいないうちからスト破り、スト破り言うな」とわめいてほうほうの体で退散。福栄物流を当てにしていた当局は、あわてて翌日曜日も告一職員の総動員で小包配送に追われた。そして、当局は関トラ分会2名の組合員を脱退させた。
スト破りを許さず第二波
6月19日、日曜日。関トラ分会5名の組合員と支援の仲間40人が結集して、第一波を上回る熱気で第二波ストを打ち抜く。スト当日、当局は役職者や、ゆうメイトを呼び出し、必死の配送体制だ。脱退者2名もスト破りに動こうとしたが、分会長の辻本君の懸命の訴えで、配達を思いとどまった。しかし、当局は、加古川東局まで小包を運んで、福栄物流に配達を依頼。組合と支援は局を一周するデモを闘い抜いた。 その日の午後、スト連帯集会が70名の結集で開かれ、支援カンパは5万円以上集まった。
奈良大会闘争で発言
そして、6月22日のJPU奈良大会昼集会に、辻本分会長が参加して、支援を訴えた。その場で、赤い檄布に「共に闘う」寄せ書きがされ、カンパ袋が回される。4・28連絡会からのカンパも手渡された。
同じ職場の仲間として共に闘おう
解雇期限の6月30日と7月1日、局通用門前で、解雇撤回を要求して闘った。解雇は強行されたが、労働委員会や裁判闘争などの争いも準備されている。
激励先/関西合同労組・関西トランスポート分会
神戸市長田区梅ヶ香町2−5−2 078(652)8847
FAX 078(652)8848
「解雇通告」
〇〇〇〇殿 平成17年5月25日
平成17年6月30日をもって、加古川郵便局との小包委託契約を終了することとなりましたので、貴殿との請負契約は同日をもって解約とさせていただきます。以上 滑ヨ西トランスポート
●高裁勝利判決から1年
大崎局闘争ー総務課長を追及
6月28日の昼、局窓口前を旗・横断幕で飾りつけ、ビラまきとマイク情宣。昨年6・30高裁勝利判決からもう1年になる。最高裁の判断はまだ出ない。しかし、高裁判決が示す通り、処分の不当性と大崎局の争議責任は明らかだ。当局は、いつものように立入禁止のバーを設置して、管理職数名で監視体制。被免職者を先頭に、団交開催の申入れを行なうが、総務課長は「関係ない」「答える必要はない」と言うばかり。「関係ないとは何だ!上告不受理で判決が確定しても、神矢を大崎局に戻さないのか。答えろ」。それでも「関係ない」「知らない」と言うばかりだ。抗議のシュプレを叩きつけた。局利用者からは「頑張って下さい」と千円のカンパが渡された。
この日は、今年一番の暑さ。36・2℃もあった。暑さ対策でゼッケンなし、腕章、麦茶に氷。16名の結集。権力はなし。
●「移転」後、初の東京支社朝ビラ
4・28処分は東京郵政局長の名で発令された。公社になって東京支社となり、今年5月、大手町から麻布・飯倉に500名で引っ越してきた。引っ越し前には、入口全てを囲む巨大な鉄扉工事を行なった。大手町の時も、私たちの団交要求行動に対抗するため鉄扉工事をしたが、それこそ「ムダ」な経費というものだ。道路を挟んでロシア大使館もあり、警察の警備は厳重。
7月11日。13名の結集でゼッケン着用でビラまき。支社当局は、10名以上の職制が出てきて、早速、鉄扉の一部を閉じ、「敷地に立ち入るな」の看板をあちこちに掲げる。麻布警察の公安も動員するが、介入を封じ込め、最後にシュプレを上げて終了。この日も朝から暑かった。
保険職場で一千名以上が処分
6月24日、郵政公社は「平成16年の懲戒処分の状況」を発表した。戒告から免職まで全部で2669件だが、特に、保険関係が約半数を占めている。「無面接」が特に多く、「本人確認不適性」「告知事項不記載」「事務処理ずさん」が続く。
保険職場の労働者にとって、保険事業が目標額を順調に達成し、「優績者の給料袋が机の上で立つ」と言われた募集手当のバブルの時代、「無面接」「本人確認不履行」「告知欄の職員による代書」「『契約のしおり』の契約者への不交付」などが横行しているのは、公然の秘密だった。
むしろ、就学児童や就労中のサラリーマンを被保険者や契約者にする契約は、これなくして時間内に成約するなどほとんど不可能だったのだ。また、異姓契約・超過契約も目標達成優先主義という当局の施策の中で、検査・監査を逃れ、成約してきたのだ。
事実、どう考えても同居していそうもない祖父母や孫を被保険者にする契約を同一の契約者が締結したり、加入限度額が200万円の当時、併せて500万円・1000万円の証書を持って、貸付や入院保険金・死亡保険金の請求に来た客が散見されたのだ。
当時の郵政局・現場の管理者は、これらの存在を充分熟知していたはずである。それは、これ自体矛盾したことなのだが、「良質募集の確保」「面談率の向上」「監査体制の強化」というスローガンを掲げ続けたことに如実に現れている。
バブル経済がはじけた後、保険事業をめぐる環境は急激に悪化した。しかし、当局は、高目標主義を維持し続けたのだ。管理者への上局からの締め付けは強化され、職員へのノルマ達成への目標管理は強化された。苦境に立った職員は、「無面接」「本人確認不履行」「告知欄の職員による代書」を不正募集と承知しながら行なわざるをえなかったのだ。いわば「風吹けば桶屋が儲かる」式の泥沼の状況が職場に生じていったのだ。
この3年ぐらいの間、社会的な悪徳商法の蔓延に伴い、「消費者保護法」「本人確認法」等が施行された。当局は「コンプライアンスの徹底」「法の遵守」をことさら叫び始めた。
また、金融機関の各種の不祥事に端を発し、金融庁は監査を強化した。全国の中央郵便局に対し、初めて実地監査を行なったのだ。そして、今年2月の明治・安田生命に発せられた営業停止命令のような自体になることを恐れた当局は、なりふり構わず、目標額を84・6%に下げ、未達も恐れず、過去3年間の契約を見直し、「無面接」「本人確認不履行」「告知欄の職員による代書」を暴きたて、自らの営業方針・施策によって醸成され、また、これなくしては目標額を達成できなかった事実を頬っかむりして、一切の責任を職員に転嫁してきたのが、これらの処分に他ならない。
4・28反処分闘争の勝利へ
夏一時金カンパのお願い
郵政省(現・郵政公社)による4・28不当処分から26年が過ぎました。全逓本部(現・JPU)から切り捨て
られてから14年が経ちました。この長く厳しい年月を、皆さんに支えられ、昨年、地 裁不当判決を覆して、高裁勝利判決を勝ち取ることができました。
勝利判決以来、「これが最後のカンパ要請」と思いながら、公社は上告し、最高裁の判断は一年たった今も出されず、今夏、また要請させていただくことに非常に恐縮しているところです。
しかし、「処分撤回・職場復帰」の実現に向かって、闘いは大詰めに入っています。郵政分割民営化攻撃との闘いも正念場です。
厳しい不況と職場状況の中で、心苦しい限りですが、ぜひ、あたたかい一時金カンパを寄せてくださるよう、心からお願いする次第です。
カンパ振込先
[郵便振替口座] 00150−8−605198
加入者名/ 4・28連絡会