7・30 労働法制改悪を許すな!
講演と討論の夕べを開催 講師:竹信三恵子さん
7月30日、労働法連絡会は「極限化する生活と雇用の破壊〜私たちは現場からどう対抗すべきか」と題して、竹信三恵子さんの講演と討論の夕べを大崎の南部労政会館で開催した。南部交流会からも連絡会の一員として多くの仲間が参加した。
竹信さんのお話は、フランスの経済学者トマ・ピケテイが著書『21世紀の資本』で指摘している格差拡大と言う話と日本で起きているアベノミックスの雇用政策と実は密接な関係がある、として始められた。
ピケティーは2世紀にわたる税制の分析を行い、先の大戦時、富裕層の資産が崩壊したり、戦費調達のため富裕層への累進課税が定着、戦後の社会保障費に回したなどで、格差縮小の仕組みが出来たことや、1980年以降、それが著しく崩されていることを見出し、今日の格差の拡大を説明している。本来、資産の収益率(平均4~5%)に対して所得の伸びは追いつかない。にもかかわらず、現在全世界的に富の再配分を弱めて、富裕層の富を増やしている。富裕層への税率低下(累進課税を下げる)を行い、高額報酬を受け取る人々の「強欲」の背中を押しているのだ。それが国家財政の破綻にも繋がる矛盾を生んでいる。
アベノミクスでは、円安・株高で資産を増やし、他方消費税増税で格差を拡大している。大手と中小企業でも格差は増大し、賃上げも大手と中小で差が広がった。生活保護基準の引き下げや介護報酬の引き下げ、労働者の低所得化を進める派遣労働の拡大で、さらに格差拡大を進め、資本と労働者の力の差を圧倒的なものにしている。
政策の決定も以前は「金権政治」だと言われたが、今は「企業直営政治」だ。パソナの竹中会長ら企業トップが産業競争力会議で政策を立て、閣議決定でお墨付きを与えて、労政審などは形骸化させ、労働法制の仕組みを経営者のためのもに逆転させている。
運動への提案では、税金が足りないから「財政再建」と称して社会保障を切り捨てるのではなく、ちゃんと税金を(富裕層から)取れよ!との声を拡大していく。横のネットワークを作り、SNS等で情報の発信・拡散して、権力によるメディア抑圧・操作に打ち負かされずに、雇用と生活破壊に対抗していくなどを提案された。
質疑では、実質サービス残業をさせている職場の実態や分社化等で経営責任が曖昧化されている企業実態の報告、労働現場の闘いと接続し格差拡大を指弾・是正させる社会運動(ウオール街占拠の意味なども質問)をどう展開していくか、など活発に行われた。
講演の後、刑事訴訟法改悪に反対する仲間、間接強制対策会議から発言を受け、主催者からまとめの発言を行い、講演と討論の夕べを終えていった。参加44名、竹信さんのお話で盛り上がった集まりになった。今後の取り組みに生かしていきたい。
労働法制改悪阻止・職場闘争勝利!労働者連絡会(南部交流会K)