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3月14日(水) | 柴法争議団池袋事務所前、加部建材刑事公判 |
15日(木) | 鳥井電器闘争支える会会議 |
16日(金) | 教育社高森社長宅、鳥井電器地労委調査 |
17日(土) | 南部交流会矢口養護卒業式日の丸・君が代反対闘争、地域共闘交流会集中討論 |
19日(月) | 西部共闘集中・大道測量社前闘争、品川庁舎前、出労交幹事会 |
21日(水) | 南部交流会集中・鳥井電器解雇6周年社前・社長宅全日闘争 |
22日(木) | 三河島そうじ団社長宅、鳥井電器解雇無効本訴、4・28連絡会処分無効本訴、4・28裁判報告集会 |
23日(金) | 全国争議団交流会担当者会議、争団連事務局会議 |
24日(土) | 南部交流会集中討論 |
26日(月) | 東工大刑事公判、出労交作業・例会 |
27日(火) | 本山みずほホールディング抗議、品川臨職共闘・支援共総会 |
28日(水) | 渡辺工業竜岡門、機械一族Y&J、南部交流会作業、南部交流会春季集会 |
29日(木) | ふじせ学研社前闘争、教育社拡大会議 |
30日(金) | 鳥井電器ユーザー申し入れ、中部交流会春季集会 |
先回書いたように春季の共同闘争がいろいろ入りはじめ、大変忙しくなりました。最近はほぼ毎月出していたふじせの学研社前ビラ「パルス」も、3月発刊ができず4月にずれ込むことになってしまいました。行政訴訟判決延期、学研の3月決算(=連結で74億の赤字)や社長交替等、まとめて報告する記事があります。
さて、この2週間は、南部地域の集中行動、春季集会などの行動がありましたが、特に外国人労働者の不当解雇に対する鳥井電器の争議が6周年闘争、地労委、裁判の結審と、続き、焦点になりました。外国人労働者の課題という点については、また別の機会にお話ししたいと思います。ここでは、他の争議でも通常取り組まれるユーザー闘争について報告します。
私たちが共に闘っている数々の争議において、相手の当該経営の取引先やユーザーへの働きかけを行うという場合があります。不当解雇を開き直り、一切の話し合いを拒否している経営に対し、ユーザーを通して抗議の声や圧力をかけていく行動形態です。ユーザー闘争と一口に言っても、一般の消費者から大口の取引先までいろいろです。消費者であれば抗議の声を寄せて欲しいとビラを配って訴える程度ですが、取引関係が密接であればあるほど、私たちの働きかけの内容も強くなります。もちろん、取引先企業に直接の争議責任は無い場合が殆どですから、基本は責任追及というより申入れによる当該経営への働きかけの要請という形態になります。相手側企業の対応も一様ではありませんが、人事・総務が窓口になって、「とにかくどういうことなのか話は聞こう」、という対応が普通です。取引先企業が争議を抱えていることに全く無関心ではいられないからです。その上で、「申し入れがあったことは伝えるが、会社に争議を解決しろと強く言える立場ではない」、と答える所、「これは見過ごせないので解決してもらわなければ」、と動き始めるところ、等々があるわけですが、中には、こちらの申し入れを拒否するところもたまにあります。密接な関係にある会社は、特に最初は、争議会社を庇い、私たち組合側に対し構えた対応を取ることがあります。私たち労組・争議団の側とは異なる立場にあり、経営者同士の利害の方が一致し、取引関係を持つことは経済活動の自由であり、たとえ争議を抱えた会社であろうと関係ないという言い分になるわけです。そのような場合、私たちは争議を引き起こした会社に重大な責任があり、そのような会社の姿勢を知った上で黙認し、何も言わずに取引関係を継続するのは商法上の責任は問われなくとも企業の社会的責任や道義的責任が問われること、また、争議を抱えていることは双方の会社にとってマイナスであることを訴えて説得します。資本・人事の関係があったり、密接な提携関係があれば、よりその責任を問います。面会そのものを拒否したり、そんなことは関係ないという不誠実な姿勢を取る会社には抗議行動の矛先を向けることもあります。結局、大抵のケースでは、争議会社に対し、なんらかの働きかけがおこなわることが多くなります。
バングラデシュから来日して働いてきたシャジャハンさんを不当解雇した配線器具メーカー鳥井電器に対する闘いは、外国人争議としては異例の6年間という長期争議になっていますが、一昨年末から、ユーザーの蛇の目ミシンや西友が鳥井電器に争議解決を働きかける、という局面になり、状況が動き始めています。これらの会社の対応の詳細は省きますが、密接な取引関係にある蛇の目ミシンは当該の所属する東京南部労組の抗議を受けて、ついに鳥井の社長を呼び出して解決を勧告、西友は申し入れの早い段階から「人権と環境はこれからの企業のキーワード」として鳥井電器の外国人使い捨てに批判的な態度を示し、すばやく勧告をしました。鳥井電器は動揺を深めました。しかし、対外的に解決の努力はするかのようなポーズだけで、結審した地労委、裁判所からの和解打診では、全く争議責任を自覚しない「解決案」しか持ってこず、ここでの和解は決裂しました。シャジャハンさん、南部労組はこれは許せないとして、闘いを継続、いま、ユーザー闘争も拡大しています。
最近、私も支援者の一人として鳥井電器のユーザーの一つのある企業への申し入れに参加しました。少し頑なだったけれど最後は折れた蛇の目ミシン、スマートな対応だが過信は禁物な西友、これらの大企業と違って、鳥井電器と同規模の従業員200人ほどの中小企業でした。総務関係者がなかなか連絡がつかず、社長に直接取次ぎを求めた結果、何回目かで電話口で話ができ、事前に送っていた申入書に即して話したい旨を伝えました。「お会いしてもご期待に添えるか」と答える社長は、申入書に記載されている争議経過についての組合の記述を素直に読んでくれた様子で、「申入書のとおりなのでしょうから私からは鳥井さんに言いにくいですね」と困ったように話します。2回ほど、こんな電話でのやりとりをし、検討期間を過ぎたということで、とにかくお会いしましょうと持ちかけると、3月30日に最寄りの営業所に立ち寄るので、そこへ来て欲しいと言われました。
さて、当日の話です。この日はシャジャハンさん本人が来れなかったので、南部労組の仲間と二人で約束の5時に営業所に行くと、受付カウンターの近くに社員と上司らしい人がいました。応接コーナーに案内され、やがて上司の指示を受けた社員の人が近くに買いに行ったドトールコーヒーを3つ運んできました。やがて私たちの前に腰を下ろし、「私が社長の○○です」と言ったのは先ほどの「上司」でした。下調べしておいた社長の年齢より10歳は若く見え、社員と接していた態度も少しも社長然と威張った様子がなかったので本人とは思いませんでした。軽く挨拶をして次々と退社して行く何人かいた社員に社長は「ごくろうさま」と声をかけて、残ったのは自分一人だけになりました。社長自身が会うこともめずらしいわけですが、誰かを同席させることも待機させることもなく私たちと面会しようというのです。変な警戒心が全くないことを感じさせました。早速、話しに入りましたが、こちらの話しを熱心に聞いてくれ、それもこちらに調子よく話を合わせて切り抜けようという態度とは無縁で、裁判所の判決やその背景等について質問もしてきたりもしました。話し合いの詳細は伏せますが、驚いたことの一例として、次のようなことがありました。これはユーザー行動での基本的な質問事項ですが、鳥井電器とこの会社の取引の内容について聞くと、社長は包み隠すことなく教えてくれ、「不正確ではいけないので」と席を立って、デスクの電話から事業部に電話し、わざわざ数字の確認までしてくれたのでした。銀行から融資をうち切られそうになったこと等、これまでの苦労話しも交えて会社の実状についても質問に答えてくれ、話し合いの最後に、社長は、「お役に立てるかどうか分からないが鳥井の社長さんに話して見ます」と約束してくれました。最後にエレベーターホールまで同行して見送ってくれた社長と挨拶を交わした後、うーん、これは今まで私が会って抱いているいろいろな社長像のどの範疇にも当てはまらない人物だと思いました。
もとより私たちは、経営者に対して「打倒すべきもの」とか「階級的憎悪の対象」とかの古典的教条を抱いておらず、人格としての経営者ではなく、資本のあり様を体現する存在に批判を向けます。彼が、置かれている関係の中で労働者に犠牲を強いてくることを許さず、これをはね返し、そのような互いの関係を変えていくことを目指しているものです。無責任に逃げ回る経営者や開き直る経営者等、争議に直面して映し出された社長さんたちの姿はどれも哀れで滑稽で人間として小さく見えました。大企業の官僚的な機構を背景にした権力的な社長像も中小企業で大資本からのしわ寄せのつけを労働者に回して押しつけるワンマン社長もその点では同じように情けない存在に映ります。
しかし、他方で同じような位置に置かれても、自分や自分の環境と格闘している、責任感の強い尊敬に値する人物はいるのだということをこの日感じ、このような社長と会えたことにほっとしたのでした。同じぶつかり合うことがあったにしても、張り合う甲斐があるなと思ったわけです。
さて、学研では、小松さんが退いて、遠藤洋一郎さんが新社長となります。このかん、取締役の一人として学研本社前などで追及してきて、結構ナイーブな面もある人と私は見ました。ここまでは無責任経営陣の中に埋没していたわけですが、自身も周囲も変えていくことができるか、注目されます。私たちは当然、それを迫っていくことになりますので、覚悟しておいてくださいね。