委員長のきまぐれ「週報」 争議団的暮らしとは

第15回 「神出鬼没の「イベント闘争」」
( 2001年2月4日〜2月25日)

組合活動週報
2月4日(日) 全国争議団交流会企画会議
5日(月) 争団連統一行動(大道測量社前闘争ー国鉄和田さん鉄建公団闘争)
6日(火) ケミカルプリント社前闘争
7日(水) 機械工業新聞労組・一族追及闘争
8日(木) 全金本山東京支店闘争、柴田法律事務所闘争・池袋事務所前、ジャパマーハイツ労組・毎日映画コンクール情宣
9日(金) 教育社高森社長宅、南部労組鳥井電器・解雇無効本訴
10日(土) 地域共闘交流会例会
13日(火) 鳥井電器社前闘争、出版関連労組交流会議作業
14日(水) ふじせ労組東京地裁前情宣、全国交流会担当者会議、争団連事務局
15日(木) 三河島そうじ団山本社長宅、出版関連労組交流会議・出版労連臨時大会情宣、鳥井電器闘争を支える会例会
16日(金) ふじせ闘争支援共闘会議、日野市遺跡労市役所闘争、品川臨職共闘・23区区長会闘争
17日(土) 教育社労組・イベント闘争
18日(日) ふじせ闘争・自分史文学賞授賞式会場前情宣&申し入れ
19日(月) 鳥井電器専務自宅闘争、大道測量社前闘争、南部交流会事務局会議
20日(火) 連帯杉並・区庁舎闘争、三多摩合同労組聘珍楼本社闘争、旭ダイヤ社前、全金港合同反弾圧集会
22日(木) 加部建材・三井道路本社闘争、機械工業・一族闘争
23日(金) ふじせ学研本社朝ビラ、洋書センター労組・神保町&極東書店抗議、南部労組大会報告集作成、洋C公判対策会議
24日(土) 山田書院労組・一族追及荻窪闘争、在日アジア労働者と共に闘う会・役員追及闘争
25日(日) 連帯大地・イベント闘争


 ふじせ闘争の2月は、恒例の北九州市自分史文学賞授賞式に対する行動があり、今年は小倉ではなく東京で2月18日に行われました。これは、北九州市が主催するイベントですが、学研が後援していることに抗議をしているものです。文学賞受賞作品を学研で発刊しています。北九州出身の作家・佐木隆三氏がこの賞の選考委員の一人で、かつて学研の創業社長=古岡秀人(小倉出身)に世話になったということから、後援依頼の橋渡しをした、ということのようです。
 私たちは、誰もが抱えている固有の自己史(「自分史」)をかけがえのないものと考えるとすれば、その尊厳を暴力的労務政策によって踏みにじるようなことをして恥じない学研が、「自分史文学賞」を後援する資格に欠けているという理由で反対しています。また北九州市が、そのことに目を向けるべきであること、また、地域に根ざした文化振興の一環として、人々の自分史に光りを当てる事業を行うなら、東京の大手出版社という権威に頼ろうとする発想そのものも間違っている、として、このイベントの会場前で抗議のビラ配布、マイクでの訴え、そして市への申入れ行動を行ってきています。
 学研の争議責任というものが、社会的な場面ではそのような意味を持っている、という切り口からも追及しているわけです。争議行為としての闘いの領域を拡げ、あらゆる場で学研の責任を追及しているわけですが、他の多くの争議団も、このように他方面からの闘いを展開しています。経営側は「会社の利益に反する行為」として反発を強め、組合を非難しますが、それは争議を引き起こしておきながら開き直っている会社の実態を外に知られて泣き言を言っているに過ぎないわけで、結局は企業の問題体質を押し隠す論理でしかないわけですから到底通用しません。争議団の闘いは、企業の外での行動という形態だけでなく、その内容において日本の伝統的な企業内組合を越える質をもった闘いとなりうるものであることがここにも現れていると考えています。
 イベント闘争(株主総会闘争等も含む)は、その一形態として面白いなと感じています。むろん、私たちは、そこで訴えている内容に責任を負い、学研の職場や学研関連の人々にとっても利害が対立するものでないことに自信を持って行動展開しており、最近は特に共感と信頼を増していることを手応えとして感じています。 イベント闘争は争議相手の企業、経営によって多様で、面白いエピソードも結構あります。今月も背後から倒産を仕掛けた東映資本を相手に闘うジャパマーハイツ労組のイベント闘争がありましたが、この争議でのイベント闘争では、国際映画祭などで、すごい人出になったり、また、多数の有名俳優が来たりで、同闘争の支援メンバーの中には情宣を忘れて、いつの間にかやじ馬やミーハーな追っかけに変じて「きゃーきゃー」言ったりしている光景も見られましたね。「あまり、人のことを言えない」という一件がふじせ闘争のイベントでも昔ありました。学研の古岡秀人会長(当時)が馬主になっていて、その馬がダービーに出走することになった時、私たちは府中の東京競馬場まで出かけて、パドックで横断幕を掲げたのでした。「馬主=古岡秀人学研会長に潰されずに頑張れ」という出走馬への応援メッセージと共に、「下請け組合潰しと闘うふじせ労組」と大書した横断幕はパドックの観客はもちろん、競馬場のオーロラビジョンやテレビのスポーツニュースでも一瞬でしたがしっかり映し出されたのでした。かなり自己満足的な喝采をしている私たちのメンバーでしたが、その中に混じって一人だけ、そんなことは眼中になく、自分が買った馬券の当たりはずれに一喜一憂してレースに熱中している労組員のIの姿を見つけたときには、ずっこけてしまいました。競馬場でのイベント闘争は、これっきりとなったことは言うまでもありません。
 これとは違って、例年積み重ねてきた「自分史文学賞」闘争は、昨年も、大賞受賞者の玉井史太郎氏とも出会い、交流も生まれるなど、励みになるイベント闘争になっています。また、例年は小倉の地で行われ、地元の北九州自立連帯労組、福岡合同労組をはじめとする仲間が支援にかけつけてくれ、行動終了後、東京とは比べものにならない新鮮な海の幸で歓待してくれる等、楽しみな行事にもなっています。