委員長のきまぐれ「週報」 争議団的暮らしとは

第3回 めげない私たちへの警視庁公安二課の果たし状
「警察はしっかりしろ」などと言う気には・・・
( 2000年5月22日〜6月10日)

組合活動週報
5月22日(月) 大道測量社前闘争、全国争議団交流会担当者会議、明大生協労組駿河台校舎前闘争
23日(火) 洋書センター闘争神保町情宣、教育社ニュートンプレス社前闘争、柴田法律事務所労働争議団・池袋闘争
24日(水) 鳥井電器闘争支える会・例会
25日(木) 連帯杉並・区長団交要求、争団連事務局会議、労働法連絡会職場報告会
26日(金) 三多摩労争連統一行動(国立学園社前集会、自衛隊立川駐屯地申し入れ、ケミカルプリント青梅社前闘争)、ス労自主闘争報告集会
27日(土) 加部建材闘争弾圧統一救対会議、地域共闘交流会、洋書センター弾圧統一救対会議
29日(月) 北部共闘集中行動(渡辺工業社長宅、加部建材朝霞社前闘争)、品川臨職共闘区庁舎前闘争、出版関連労組交流会議例会
30日(火) 鳥井電器武蔵小山駅頭情宣・社前闘争、電子経済研究所社前集会
31日(水) 全金本山昭和電工本社前情宣、4・28連絡会向島局前闘争、ふじせ闘争支援共闘会議
6月1日(木) ふじせ・学研本社前闘争、ふじせ・行政訴訟、三河島そうじ団社長宅
2日(金) ふじせ・学研本社前闘争、教育社ニュートン社前闘争、刑法改悪阻止・反弾圧集会
3日(土) 争議団連絡会議6月例会
4日(日) 全国争議団交流会・企画会議(於大阪・港合同・田中機械)
5日(月) 関西争議交流会統一行動(南労会松浦診療所前−ケミカル・メッシュ工業大阪本社−国鉄和田・鉄建公団近畿支社前)
6日(火) 鳥井電器解雇無効本訴
7日(水) 機械工業新聞経営一族追及麹町闘争、南部労組執行委員会
8日(木) 洋書センター弾圧統一救対会議
9日(金) 南部交流会事務局会議
10日(土) 地域共闘交流会・外国人労働者問題学習会


 3週間、空いてしまい、ほんとに「気まぐれ週報」ぶりを発揮しています。3週間分、まとめてふりかえります。

 まず、ふじせ闘争ですが、5月に続き、6月も1日、2日と連続で会社説明会時の社前行動を行いました。先月に比べると、訪れた就職学生の数は減って、両日とも150人弱でした。学研関係者の一部には、「ふじせ労組のせいだ」と言いがかりをつける向きもあったようですが、的はずれです。いずれにしても、争議や不祥事を起こして居直る学研のほんとうの姿が知られることに責任を負うべきは学研経営です。6月も、ほぼ全員に近い学生がビラを受け取り、そして今回は「頑張ってください」と激励の声をかけてくれる大学生まで何人かいました。彼(彼女)らが、入社してくれることを秘かに願っている委員長でした。
 この5月、6月の情宣の後、このホームページにいくつかの大学からのアクセスがありました。個人のPCからのものを合わせると、HPアドレスを記載したビラを読んでくれ、アクセスしてくれた学生たちの数は少なくありませんでした。感謝すると共に、就職難にめげずに頑張って欲しいと思います。学研に入社したり、受験しなくても、今回行き会うことができた学生の皆さんが、こうした現状につき考えてくれるきっかけになればいいなと思っています。
 6月1日には行政訴訟が結審となる予定でしたが左陪席の裁判官が交替したことから、事件内容を把握するために、結審法廷は8月31日に延期となりました。東京都労働委員会、中央労働委員会、そして行政訴訟第一審(東京地裁)と、第三者機関での争いも長期となっています。会社(学研)側から起こされた、現場行動禁圧を狙った仮処分・間接強制も合わせると、法廷闘争もずいぶんやってきたことになります。この件については闘争ニュースや、「特集」に記載していきますので、そちらを参照してください。

 共闘関係の出来事としては、今年3月に成功をかち取った全国争議団交流集会の来年第20回開催に向けて、早くも大阪で企画会議が持たれました。全国から40名を越える代表が集まり、夜は楽しい交流の場となりました。
 東京では、ひき続き、刑事弾圧の救援対策会議が入っていたのが目立ちます。第1回の「週報」の中で、私たちが独自の闘いのスタイルを築きながら多くの長期争議を共に支え合いながら闘っていること、そして、これに対し圧殺していこうという動きもあることにつき、触れました。公安警察(警視庁公安二課)を先頭にして、洋書センター争議に大弾圧が仕掛けられたことについては、「特集」の方でも触れました。子会社解散による解雇=組合潰しという私たちの争議と似た攻撃を受けて闘う洋書センター労組・同闘争支援共闘会議の仲間が、争議の黒幕=親会社・極東書店に対して行ってきた団交要求は、受付の設置してない会社のフロアー入口付近で代表団を先頭に、申し入れを行うという、ごく当たり前の争議行為でしたが、これを「建造物侵入」「威力業務妨害」に仕立て、またもう一件は、会社前で出勤してきた極東書店の菅野社長に、話し合いの場を設けて争議を解決するように追及と説得を行っていたことを「逮捕・監禁」として、弾圧したものでした。
 「事件」から二年近く経ってからの二回にわけての逮捕・再逮捕、大規模な家宅捜索、闘争からの転向強要に終始した長時間の取り調べ、起訴、3人が9ヶ月、1人が10ヶ月という長期拘留とその間の接見禁止、保釈後も被告同士の接触を禁止して共闘・団結活動を認めない保釈条件指定、等の数々の不当極まりない攻撃は、闘争潰しを狙った悪質な弾圧でしかありません。いま進んでいる刑事公判の内容と共に今後、別途、経過を報告していく予定です。

 ここでは、この弾圧が、「争議団連絡会議と洋C支援共の計画的・組織的犯行」(捜索令状)との位置づけで行われたことについて述べます。労働運動への弾圧を専門にしている警視庁公安二課は、この洋書センターの「事件」を、争団連が指導し、洋C闘争支援共闘会議にもメンバーを送り込み、共謀して起こしたというシナリオを描いてでっちあげています。しかし、争団連は争議団同士の共闘組織であり、いわゆる上部団体ではないので、これは無理な筋書きです。
 労働運動が後退し、現場で経営者の責任を追及して、争議に勝利するというごく当たり前の運動が相対的に少数化するという流れは権力・資本にとって歓迎すべきことですが、それに逆らって闘う存在は目の仇ということになります。徹底的に潰し、根絶したいということでしょう。その存在を無視できない本質的な危機感はどこに由来しているかと言えば、私たちのような至極まっとうな闘い(と自負している)が、人々と繋がっているということにあるでしょう。私たちは、政党や旧・新左翼のように政治信条・理論で、またオウムや法の華等々のように宗教で結合しているわけでもありません。日常的な労働者・民衆の関係のあり様は権力を成立させている基盤でもありますが、そこに連なり、かつそれを変容させるかも知れない動きを権力は自らを脅かす存在と感知するのでしょう。しかし、同時に、そんな集まり方を、権力は根本的には理解できないので、既成の観念に当てはめて弾圧するという方法を取ります。
 その結果、とられたのが、争団連の運動を「民暴=企業対象暴力」として、昨夏制定した「組織的犯罪対策法」を先取りして適用し、洋C弾圧をかけてきたのです。「争団連は企業を脅して金を奪い、その金を傘下の争議団から吸い上げて、幹部が生活している」という虚構を仕立て上げていることが取り調べ段階から明らかになっています。むろん、争団連はそんな組織ではありません。各争議当該が身銭を切って現場にかけつけ、各争議団は自主的方針決定と独自の財政(カンパやアルバイト)確立を成しとげて、互いが対等の共闘関係を結んでいる集まりです。各争議団がめざしているのは、不当解雇等につき経営者の責任を取らせ、職場復帰して、職場で労働者の権利を確立することであり、もの取り主義ではありません。
 元々、労働争議(民事)に介入することが許されないにもかかわらず、介入・弾圧を強め、自らの腐敗した官僚組織の中から生じたものでしかない「組織観」を私たちに当てはめて、挑戦状を送りつけてきた警視庁公安二課ですが、私たちは、この様な弾圧に萎縮することなく、さらに強く、のびやかに闘っていくつもりです。ひき続き、加部建材闘争や東工大の学生への弾圧など、が仕掛けられていますが(別途報告参照)、共に弾圧を打ち破って闘争勝利を実現していきたいと思います。 身内の犯罪を隠蔽する等の相次ぐ不祥事をひき起こし、腐敗体質をさらけ出している警察組織。批判が集中したのは当然のことですが、「怠慢捜査」への批判を逆手に取って警察が市民社会のどこにでも介入するようなことを許してはなりません。警察を批判しても、叱咤激励(「しっかりしろ」などと)はしない方が良いかも・・・・・。こんな警察に「通信傍受」という名の盗聴の権限を与え、警察が組織犯罪と見なした団体の活動を重罰化し、その収益を没収する、えん罪事件を助長する匿名証言に道を開く、等の「組織的犯罪対策法」の危険性を改めて指摘しておかなければなりません。