民事弾圧破綻、社長虚偽答弁は名誉毀損との判決で
混迷の中、争議責任居直りを画策する学研経営
皆さん、学研の下請け労組潰しを狙った委託業務総引き上げ=会社倒産・全員解雇攻撃の争議責任を追及する私たちの闘いは、この2025年、大きなヤマ場を迎えています。昨年末までに二つの裁判での組合側勝訴が確定しました。「サクラ損賠」事件判決で、学研経営の争議圧殺の民事弾圧が行き詰まり、「宮原損賠」判決で、株主総会での宮原答弁が悪質と指弾されたことは、学研経営の争議に向き合う姿勢の根本的な誤りを示すものとなりました。
宮原社長の株主総会虚偽答弁は名誉毀損との確定判決
その意味する重たい事実に向き合い、争議を解決せよ!
2021年12月の株主総会で、「組合に3億円を要求されている」などと根も葉もない答弁を行い、それ以前から組合を誹謗する名誉毀損の発言を行ってきた宮原社長と学研に対して、組合と支援共闘会議が22年6月に提訴し争ってきた名誉毀損・損害賠償裁判が、昨年8月19日に最高裁で上告棄却となり、宮原・学研側の敗訴が確定しました。23年3月、東京地裁藤澤裕介裁判長は、「東京ふじせの業務再開を求めてきた原告労組の社会的評価を低下させるものと認められる」と判示し、「雇用回復を強く求め、金銭解決を固辞してきた原告労組の
4・9学研社前行動
名誉を毀損するものである」、「被告宮原は、原告労組の要求内容について知悉しながら、本件発言に及んだことは・・殊更虚偽の事実を摘示したものと読み取れるから、悪質というべきである」と指弾し、損害賠償金の支払いを命じました。23年10月には東京高裁でも宮原・学研側の控訴が棄却され、宮原・学研の最高裁への上告がされていたものです。「サクラ損賠」(判決批判のニュース記事に学研経営が、名誉毀損などと言いがかりをつけてきた損賠請求訴訟)の昨年2月最高裁での確定につぐ連続勝訴確定となりました。
宮原社長の虚偽答弁の狙いと、それが指弾された意味
宮原社長は、2021年の「3億円発言」以前から、株主総会で私たち東京ふじせ企画労組に対して、学研に言いがかりをつけて金を脅し取ろうとしているかのような説明をくり返し、他にも「学研こども園の児童にビラを配った」など、事実に反する言動を
行って、誹謗・中傷をしてきました。これは、私たちが、組合潰しの倒産攻撃を仕掛けた学研経営の責任を明示し、ふじせ組合員から奪った雇用と生活の回復(「業務再開」・「解雇撤回」)を求めて、争議解決を要求してきていることを歪曲し、株主の目をそらそうとしてのことでした。学研は、自社ウエブサイトの中の株主・投資家の皆様へ、とのコーナーでも、「東京ふじせ企画労組との問題とは」という弁解の頁をわざわざ作っていますが、その中での説明も、「東京ふじせ企画の経営破綻にともなって、同組合が学研に押しかけ、言いがかりをつけて、学研を誹謗、業務妨害等をくり返している」と歪曲・誹謗の限りを尽くしています。宮原答弁の狙いは、この争議の本質から株主の目をそらそうとする点で全く同一のものです。
真実は、何故、東京ふじせ企画は「経営破綻したか」を究めれば、明らかですが、学研経営はそれをごまかし続けているのです。「宮原損賠」判決は、宮原社長が組合の要求を意図的にねじ曲げて説明し、争議の本質を押し隠そうとした点を突いたものとなりました。宮原虚偽答弁が裁判所に指弾されたことの重みは決定的です。
争議の金銭収拾を固辞してきた組合と、学研の「金銭」収拾への態度
いま、学研経営は二つの事件の6度の判決で指弾され、争議解決を決断することを求められています。私たちは、これまでの長い争議の経過の中でも、仮処分事件をめぐって裁判所から、また労働委員会審問をめぐって中労委から等々、たびたび「争議和解」を打診され、学研経営のわずかばかりの涙金での金銭収拾案を拒んで、職場復帰を目指してきました。現在の局面で、争議解決に当たって問われているのは、学研経営が組合潰しを狙った倒産攻撃の争議責任を認めること、それに伴う解決金や当該の雇用をどうするかです。とりわけ学研経営は、宮原社長の株主総会発言にも現れているように、「金銭支払い」の意味を誤った仕方で強調・歪曲して、組合による「恐喝」のように捉えてそれは株主利益に反するなどとしていることです。争議責任を堂々と認めて、それに伴う解決金を支払うことはもちろん、暗に争議責任を認めて支払うにせよ、解決金を会社の解決への意思を表すものとして支払うことは何ら、コンプライアンスに反するものなどではありません。ここのところ、関西生コン労組への刑事段圧で無罪判決が出されている顕著な事例でも明白なように、労組の抗議行動、正当な要求に従って経営側が解決金を支払ったことを「恐喝」などとする警察・検察の弾圧は指弾される判決が出されているのは当然のことです。2月の京都地裁の判決では、「そもそもストライキをはじめとする争議行為は、その性質上、労働組合が使用者に一定の圧力をかけ、その主張を貫徹することを目的とする行為であって、業務の正当な運営を阻害することはもともと当然に予定されている」「1億5000万円という金額も過去の労働争議に比べて高くない」などと判示し、2023年の和歌山事件・大阪高裁の判決に続く、「関生支部は産別労組、正当な組合活動」と、きちんと判断しています。
私たちは、中央公論社争議で、会社が裁判所の不当判決に依存することなく、労組の抗議行動と要求に応じて、争議責任を認めて解雇撤回・職場復帰で解決したこと、ジャパマーハイツ争議では、東映は最後まで使用者責任は認めなかったものの、労組の株主総会での批判や現場抗議行動を受けて、争議責任を認めて、解決金の支払い、関係会社への雇用保障を行った事実を何度も指摘してきています。これらを含めて、解決した争議につき、「コンプライアンス違反」などという株主からの批判はなく、まして株主代表訴訟が起こされた事例などありません。争議解決を拒むこのような口実は通用しないのです。宮原社長らの「組合の恐喝」論は許しがたい争議責任居直りなのです。
4・9学研社前行動
4月9日には昼休み〜14時までの時間帯に学研経営に抗議、争議解決を求める社前行動を展開しました。朝の社前行動と違った学研への出入り通行があり、ふじせ争議をさらに多くの学研関連、取引先等の皆さんに知らせる有効な情宣となりました。
4・20全国争議団交流会、4・21現場結集行動を打ち抜く!
4月20日、全国争議団の交流会議が、神田公園区民館で開催されました。東京・九州・関西の各地で争議・労働運動解体攻撃に抗し闘いを持続している仲間が参加、各地の状況や共通した弾圧・労働法制改悪等の現状につき討論。ケミカル・プリント闘争、武蔵学園闘争につき局面を共有。次回は7月13日に東京で開催と決まりました。
4・21学研社前行動 宮原社長を直撃し展開
翌日は「サクラ損賠」「宮原損賠」に勝利し、学研に迫る局面を形成しているふじせ闘争の学研社前行動を展開。
、
8時からのビラ配布、マイク情宣、座り込み抗議を行いました。
リレートーク形式で、当該からの発言に続き、ケミカル、九争交のグリーンコープ自立労組、明大生協労組からの発言を受けました。 この最中にいつもより長めの10時30分までの行動にしびれを切らしたか、宮原社長が行動終了を待つことなく愛用の高級車センチュリーで出社。これに皆で抗議の声をぶつけることができました。 (上の写真右 宮原社長に抗議 )
学園解散攻撃を許さない!武蔵学園・社前行動
続いて、12時から、学園解散攻撃との闘いがヤマ場に入っている連帯武蔵学園闘争の社前行動を闘いました。東京都私学審議会では武蔵学園の解散・清算についての議題はまだ入っていない状況。リレートークは東京ビジネスサービス、東邦エンタプライズ、三信、ふじせ、福岡GC自立、日韓民衆連帯委員会の仲間から力強い連帯アピールを受け、シュプレヒコールを上げ14時終了。33名の結集で大変盛り上がった行動となりました。
<学研・ふじせ闘争とは>
学研の下請編集プロダクション「東京ふじせ企画」に勤め、「○年の科学」「マイコーチ」などの編集業務を行っていた私たちが無給長時間残業・低賃金などの超劣悪な労働条件の改善のために組合を結成すると、わずか一週間後、学研は私たち34名に行わせていた業務の一切を引き上げ、会社を倒産させて全員の首を切りました。
これ以前に本社では、全学研労組結成への14名の解雇・賃金差別、管理職らを総動員した吊し上げや集団暴行等で73年〜92年まで争議が続きました。結成直後から全学研労組員に仕事干しを行い、スト対策のために労組員から取り上げた業務を下請化した会社がふじせ企画でした。そこにも組合ができたことに学研経営が焦っての暴挙です。下請けの経営者も後に「組合潰しは学研の指揮・命令」と事実を明かしています。
倒産後に東京ふじせ企画破産管財人が学研相手に起こした損害賠償訴訟では、東京地裁が「組合を解散に追い込む目的で学研が業務を引き上げた」と争議責任を有する事実を認定、ふじせ労働者に直接管理・監督して雑誌・教材を制作してきた学研の実質的使用者実態も認める判決を出しました(経営同士の損賠は否定)
学研経営が唯一、居直りの口実にしているのが、この地裁判決と逆に学研の使用者性を認定しなかった労働委員会の命令です(後に行政訴訟で確定)。「労働者派遣法」が85年に制定された流れで出されたものです。直接の雇用者と派遣先経営者を分離して、派遣先の使用者責任を免罪する悪法が親会社や派遣先の労働者使い捨てと今日の派遣切りを生み出しました。都労委不当命令は、組合潰しの業務引き上げ等の事実認定の中でも学研が主導した部分を意図的に削除し、下請経営者がやったことに書き換えて、「使用者でない学研が何をしたかは認定する必要がない」と言っているひどいものです。使用者性の有無を差し措いても、学研が下請会社を倒産させた事実は明らかで、労働者を解雇状態に追い込み、生活を奪った争議責任は重大です。
争議解決のための話し合いを拒んで居直るばかりか、最近は組合のニュース記事に
対して損害賠償訴訟を濫発し、組合員の自宅を差押える等の悪質な金の取り立てまで
して争議責任追及の活動を潰そうとする学研経営の対応は許しがたいものです。