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学研・ふじせ闘争 社前版
2025年2月27日号
東京ふじせ企画労働組合
ふじせ闘争支援共闘会議
問われる学研経営の争議解決姿勢
「サクラ損賠」「宮原損賠」裁判、学研経営6連敗の意味するもの
2025年、学研・ふじせ闘争をめぐる状況につき、学研で働く皆さんに改めてお伝えします。学研経営は、「サクラ損賠」、「宮原損賠」が昨年相次いで最高裁決定で学研の敗訴確定となった中で、争議に向き合う姿勢を厳しく問われることになっています。
「サクラ損賠」敗訴は、学研の民事手段を使ったふじせ闘争圧殺策が破綻し、行き詰まったことを示しています。そして、「宮原損賠」敗訴は、争議をめぐる経営の隠蔽体質が法廷でも露わになり、その一端が指弾されたことを意味しているのです。
<学研の民事弾圧破綻に至る経過>
この10年間余り、私たちの争議責任追及の闘いを圧殺するために学研経営が仕掛けてきた訴訟攻撃との攻防につき振り返ってみます。
学研ココファン居住者から寄せられた声の掲載に対して仕掛けられた損賠攻撃
学研の高齢者福祉施設ココファンあすみが丘(千葉市)の居住者から寄せられた待遇改善を求める声を組合ニュースに掲載したことに対し、2013年に学研ホールディングスと事業会社学研ココファンは1320万円の損害賠償訴訟を仕掛けてきました。判決は2016年2月に東京地裁、9月に東京高裁から相次いで出され、不当にも損害を認定し(額は、学研HDとココファンに計99万円と請求より減額)、証言席に立って記事は真実であることを述べた居住者の方につき、「施設と対立していた者で信用性がない」などと酷い判示を行い、また学研の使用者性を否定する労働委員会不当命令が行政訴訟で確定したことを理由にして争議の正当性をも見誤っています。私たちは、非組合員も含めた全員解雇の倒産攻撃を仕掛けた学研の争議責任を追及しています。使用者性の有無にかかわらず倒産攻撃の責任を追及する労働組合の正当な闘いの歴史もあり、学研の争議責任は明白です。使用者実態についても破産管財人が起こした訴訟では認定されているのです。
組合員の預金口座差し押さえ、さらに自宅を2度も差し押さえ
学研は、ココファン損賠事件での仮執行付き一審判決後、組合員の預金口座を差し押さえ、学研HD分の33万円(+遅延損害金)を取り立て、さらに高裁判決を追認した17年2月の最高裁棄却決定を受け、学研ココファン分66万円(+遅延損害金)を債権として組合員の自宅を差し押さえるという悪質金融並みの暴挙に出てきました。弁済し不当な差し押さえを取り下げさせましたが、学研は同時にネット記事の削除を命じる間接強制を申請、組合は間接強制決定に従ってネット記事を削除しました。ところが、この決定に誤記(元々の一審判決の判決文から続く誤記)があったために、記事の一部に削除漏れが発生すると、なんと学研はその事実を組合に知らせて削除を求めるのが間接強制の趣旨なのに、67日経過してから「間接強制決定違反金」(1日20万円×67)1340万円を債権と言い立てて再び組合員の自宅を差し押さえてきたのです。組合は請求異議審を提訴して争ってきました。
請求異議審判決、学研の権利濫用を認定し、違反金を大幅減額
請求異議審で私たちは、間接強制金の多額過ぎる請求が「権利の濫用」になる、とした判例や、「間接強制の上限無制限から生じる過酷執行」を指摘した東京高裁裁判官の論文(2013年)、など間接強制制度の問題点を指摘した司法関係者、研究者の主張などを援用して学研側の請求の不当性を明らかにしました。 19年4月、東京地裁7部、三木素子裁判長は、「(決定文の誤まりを裁判所が正した)更生決定後の40日間については間接強制決定違反金発生は認めましたが、「競売申立ては原告(組合員)の生活の本拠である自宅不動産を対象にしており、組合員に及ぼす影響を総合考慮すると、本件間接強制決定に表示された金額(学研とココファンで670万円)をそのまま請求債権として強制執行することは、・・・債務者である原告らに対して過酷な結果をもたらすものであって、正当な権利行使とは言い難く、本件間接強制決定のうち、各社の80万円を超える部分の権利行使は、権利の濫用になると認めるのが相当である」として、違反金を大幅に減額しました。目に余る学研の権利濫用はさすがに容認できず、法外な金額は退けられたのです。
請求異議審高裁判決は、さらに厳しく学研の権利濫用を指弾!
19年11月の高裁判決では学研の権利濫用を「著しく信義誠実の原則に反し、正当な権利 行使の名に値しないほど不当なもの」と、さらに一審以上に厳しく指弾しています。
株主総会の運営を問題にした記事への損賠訴訟で不当判決
学研の法外な請求が認められない判断が出され、組合弾圧に手詰まり感を抱いた学研は、今まで以上に無理筋の損賠訴訟を仕掛けてきました。私たちが18年12月の学研の株主総会に際して、この年9月にココファンまちだ鶴川で起きた殺人事件につき、学研の記者会見も開かない等の対応につき、ロングライフサポート協会の代表理事がブログで不可解である旨を指摘し、これへの書き込みもされていることにつき、学研は見解を示すように、と質問書に記載した記述と、翼賛株主に組合への誹謗・中傷を行わせ、組合株主の質問中にマイクの電源を切断するなどして答弁を打ち切る等々の不当な総会運営をくり返している事実を記載したことを、「名誉毀損だ」として、19年2月に計1650万円の損賠金支払いとネット記事の削除を請求してきたのです。到底あり得ない提訴です。ところが、21年3月に東京地裁民事49部の松本真裁判長は、「(ブログ記事の)引用という形をとって学研の社会的信用を低下させることを狙ったもの」などと驚くような認定を行い、悪質な総会運営の実態も組合提出の過去15年分の詳細な株主総会記録で明らかなのに、55万円の損害を認める不当判決を出しました。学研は引用元のブログには抗議さえしておらず、本心では名誉毀損などと考えてないのです。
判決批判の記事にさらに損賠請求するも棄却で組合勝訴
上記の一審判決が出された直後に組合は判決批判のニュースを掲載しましたが、なんと学研は、21年7月、これをも名誉毀損などして330万円の損賠請求訴訟を仕掛けてきました。しかし、組合の「名誉毀損」とされた表現につき再掲載して裁判での主張と判決につき説明したことは、学研の言うような「名誉毀損事実の再摘示」などではない、との主張を全面的に認めて、22年9月、東京地裁は学研の請求を棄却し、23年3月には東京高裁でも控訴棄却、24年2月の最高裁でも上告棄却で組合勝利の判決が確定しています。
株主総会での宮原社長の虚偽答弁は名誉毀損との判決!
また、21年12月の株主総会で宮原学研社長は、争議解決の意思を質した組合の質問に、「3億円を要求されている」などという虚偽の答弁を行いました。以前から総会では毎回のように「組合はゆすりたかり集団」という印象付けを図っていましたが、組合は金銭要求などしておらず、裁判所や労働委員会などで争議の金銭収拾を提案してきたのは学研です。組合は「雇用と業務の保障」による解決を請求してきたのが真相です。
一般株主向けに組合を誹謗する許しがたい名誉毀損の発言を行った宮原社長と学研に対して、23年3月、東京地裁藤澤裕介裁判長は、「東京ふじせの業務再開を求め、金銭解決を固辞してきた原告労組の社会的評価を低下させるものと認められる」と判示し、「雇用回復を強く求め、金銭解決を固辞してきた原告労組の名誉を毀損するものである」
、「被告宮原は、原告労組の要求内容について知悉しながら、本件発言に及んだこと、・・・殊更虚偽の事実を摘示したものと読み取れるから、悪質というべきである」と指弾し、損害賠償金の支払いを命じました。「宮原名誉毀損」判決は、東京高裁(23年10月)、最高裁(24年8月)でも維持され確定しました。
企業トップが平然と嘘をつき争議責任を居直っているのです。
「宮原損賠」判決は、続いてきた学研経営の争議・不祥事隠蔽体質が現経営陣にも引き継がれており、悪質であることを鮮明にしたものです。
学研HDのウェブサイトで、結成されたばかりの東京ふじせ企画労組を潰そうと、東京ふじせ企画に倒産攻撃を仕掛けた事実を隠蔽して、組合が学研に根拠なく言いがかりをつけ嫌がらせ行為を繰り返しているかのような説明(「東京ふじせ企画労組との問題とは」)をしていることが端的な事実です。
現経営陣は、争議を抱えてきた歪み、問題体質が生んだ不祥事の歴史を直視すべき
古岡秀人社長、古岡滉副社長の時代に引き起こされた争議は、沢田、小松、遠藤社長と代替わりしても責任が引き継がれないまま異例の長期争議になりました。宮原社長は争議発生当時に学研に在職していず、争議の真相に与り知らない位置にあります。争議を抱えた問題体質は必ず経営の歪みを引き起こします。その中で山一証券との泥試合、高額教材の押しつけ販売など社会的にも注目された事件のみならず、数々の不祥事が起きてきました。争議責任居直りの体制を無自覚に継承している姿勢を改めて、今こそ争議解決を決断するべきです。
最近も、絵本作家「なかやみわ」さんの担当編集者(Gakken社)が、著者に無断で販売した分の著作権料をプールしていた問題が起き、全国幼保園への販売中止が第一段階として決定される、ということになったことが伝わってきています。この問題は、さらに大きく拡がりかねない事態となっているようです。
学研HD株主総会、ふじせ株主を指名せず
質疑打ち切り!
学研教室指導者株主にも誠意ある回答を避ける


報告が遅れました。12月20日、学研ホールディングスの第79回株主総会闘争が開催され、私たちは会場内外での闘いを展開しました。会場は、目黒雅叙園、これで3年連続となった。午前9時前から雅叙園前で総会参加者と通行人向けにビラを配布、マイクで訴えた。横断幕を据え、ゼッケンを付けての行動は今年も注目を浴び、雅叙園前を通って行人坂を登り目黒駅へ向かう出勤途上の人々に有効な情宣行動となりました。
9時半を回ったところで、全体でシュプレヒコールを上げ、株主になっている当該と支援の仲間たちは会場内に向かいました。雅叙園の2階、奥まったところにある舞扇の間には既に参加株主の殆どが入場して座っているが、昨年より参加者は少なく100名弱というところか、10時から始まった総会は、事業報告、監査報告、決議事項の説明などが型どおりに行われ、事前メール質問への回答に続き、質疑・応答に入りました。
挙手しているふじせ関係株主には一切発言させない不当な運営
私たちは、今年7名の株主が参加、一斉に挙手したが、他の株主の挙手も少なくなく議長を務める宮原社長は、全体を見回しながら、ふじせ関係株主の顔を最近は殆ど覚えて、慎重に指さないように回避、次々と一般株主が発言。新規事業、当期純利益、ROEの課題と事業計画、取締役の報酬、少子化に対応した課題、等々の質問があり、「宮原さんは顔がいい」などとくだらない発言で持ち上げる翼賛株主もいました。
中で良かったのは、学研教室の指導者の人たちが、今年は3人が発言を獲得して、「据え置きされたままの月謝で高額なロイヤルティーを取られており、このままではやって行けない」と抗議の声を上げたことでした。前回総会でも発言があり、その後2024年1月には学研教室指導者の労働者性を否定する都労委不当命令が出されていましたが、屈することなく今年も総会で抗議の質問を行ったものです。都労委命令には当該からは言及がなく、学研経営側の答弁では、学研は使用者ではない旨の発言や、地域の子どもや親への配慮ばかり語って教室指導者の窮状に答えない、誠意を欠いた答弁がされていました。
昨年は社長がふじせ株主の一人をうっかり指して発言させて、高裁で出された宮原損賠組合側勝訴判決についての追及の質問を浴びせられ、「係争中」を口実に答弁を拒否していましたが、今年は一切質問させない対応が徹底されました。挙手している私たちに発言させないまま、決議事項に移り、総会を打ち切った不当な運営でした。