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学研・ふじせ闘争 社前版
2024年12月5日号
 東京ふじせ企画労働組合
 ふじせ闘争支援共闘会議


2024年「サクラ損賠」「宮原損賠」
              学研の敗訴確定の意味

一層問われる学研経営の争議への向き合い方
  11・9学研社前行動
 学研で働く皆さん!今年もあと1ヶ月足らずとなりました。今年1年間の学研・ふじせ争議をめぐる局面は、学研経営が私たちに仕掛けた損害賠償訴訟である「サクラ損賠」事件と、私たち組合・支援共が宮原社長と学研経営を相手に起こした損賠訴訟である「宮原損賠」の2件の裁判で、2月、8月に最高裁棄却決定が出されて、いずれも学研・宮原社長側の敗訴が確定したことに象徴的に現れている、と言えます。学研経営の連続敗訴確定の意味するものとは何なのか?それに触れる前に超長期化している学研・ふじせ闘争の本質・核心に触れておきたい、と考えます。
1977年12月5日学研の下請編集プロダクション「東京ふじせ企画」に勤め、「○年の科学」「マイコ ーチ」などの編集業務を行っていた私たちが無給長時間残業・低賃金などの超劣悪な労働条件の改善のために組合を結成しました。すると、下請「ふじせ企画」と孫請け「東京ふじせ企画」の両社長を学研に呼びつけ、黒川巌学習科学編集局次長、角宮科学編集部長が「下請けに組合は作らせない」「ショック療法で組合を潰そう」と言って、結成からわずか一週間後、学研は私たち34名に行わせていた業務の一切を引き上げました。「ふじせ企画」は学研の業務を請け負っているトンネル会社(工藤社長の他は経理1名だけ)で、実際の業務遂行は「東京ふじせ企画」(「ふじせ企画」から後に分離登記され、カイライ須田社長と形だけの管理職=部長1名、副編集長2名、平社員31名)で担っていました。黒川局次長らは、工藤社長の口から「組合を解散しないと学研の仕事は戻らない」と言わせ、また学研本社に派遣されて働いている組合員へは各部の管理職が組合脱退工作を仕掛けるなど、学研人事部をあげて組合潰しを行ってきました。しかし、これに抗して25名が結集・参加した組合が解散を拒むと、黒川局次長は、工藤社長に「東京ふじせ企画に不渡りを出させろ」と工藤社長に命令、78年1月20日に東京ふじせ企画は倒産させられ、35名(経理1名、編集部員34名)
全員が解雇となりました。黒川局次長から工藤社長に伝えられた学研としての狙いは、組合のいる東京ふじせ企画を潰して、後にふじせ企画で組合脱退者と新しく雇った社員で学研の業務を行わせる、というものでした(これらの経過は、工藤社長と共に行動していた須田カイライ社長から後に組合に明らかにされました。また、さらに後に、学研から資金援助を受けて組合から逃亡しながら学研をかばっていた工藤社長も、労働委員会の審問の途中で「学研に全て自分の責任にすり変えられてきたが、学研こそ争議の張本人である」と明らかにし、工藤社長・須田社長共に学研の指揮命令で行った組合潰しであることを詳細な経過を含めて認めました。
 この東京ふじせ倒産・解雇争議の背景として、学研本社では、当時の御用組合から独立して結成された全学研労組への14名の解雇・賃金差別、管理職らを総動員した吊し上げや集団暴行等で73年〜92年まで続いた争議がありました。1973年の結成直後から全学研労組員に仕事干しを行い、スト対策のために労組員から取り上げた業務を下請化して行わせた会社がふじせ企画でした。そこにも組合ができたことに学研経営が焦っての暴挙だったのです。
 倒産後に東京ふじせ企画破産管財人が学研相手に起こした損害賠償訴訟では、1985年に東京地裁が「組合を解散に追い込む目的で学研が業務を引き上げた」と争議責任を有する事実を認定、ふじせ労働者に直接管理・監督して雑誌・教材を制作させてきた学研の使用者実態も認める判決を出しました(経営同士の損賠責任は、東京ふじせ経営者も委託業務引き上げ=契約解除に不本意でも合意していた故に損賠請求は失当として否定)。
 学研経営が唯一、居直りの口実にしているのが、この地裁判決と逆に学研の使用者性を認定しなかった労働委員会の命令です(後に行政訴訟で確定)。「労働者派遣法」が85年に制定された流れで出されたものです。直接の雇用者と派遣先経営者を分離して、派遣先の使用者責任を免罪する悪法が親会社や派遣先の労働者使い捨てと今日の派遣切りを生み出しました。都労委不当命令は、組合潰しの業務引き上げ等の事実認定の中でも学研が主導した部分を意図的に削除し、下請経営者がやったことに書き換えて、「使用者でない学研が何をしたかは認定する必要がない」と言っているひどいものです。
 後の行政訴訟では、東京地裁は、学研ーふじせの関係が最高裁判例の朝日放送事件判決(1995年)との同一性を有しているかどうかが争点であるとして、立証を求めてきたので、私たちは学研の実質的使用者実態を示し、学研とふじせは、朝日放送と下請三社以上に一体的であることを示しました。ところがいざ判決を迎えるや、東京地裁は期日を再三延期したあげく、自ら争点だとしていた同一性の有無の判断を一切することなく「学研は使用者でない」との結論ありきの判決を出してきました。都労委命令に続く、驚きの政治判断にはあきれました。不当判決を批判しながら、私たちはやむなく「使用者責任追及」のスローガンは降ろして、なおかつ学研の倒産攻撃の責任追及をメインスローガンにして、闘いを継続してきました。使用者性の有無を差し措いても、学研が100%学研の業務で成り立っている東京ふじせから業務を総引き上げして会社を倒産させた事実は明らかで、労働者を解雇状態に追い込み、生活を奪った争議責任は免れないものです。
 学研経営はこうした労働運動の使用者概念拡大の歴史に全く無知で、ただ争議責任を逃れるために、「使用者性」が否定されれば、何ら争議責任は生じなくなると思い込んで、この誤信にしがみついてきただけなのです。
 争議解決のための話し合いを拒んで居直るばかりか、最近は組合のニュース記事に 対して損害賠償訴訟を濫発し、組合員の自宅を差押える等の悪質な金の取り立てまでして争議責任追及の活動を潰そうとしてきましたが、その論理は最初から破綻しており、そして、ここへ来て損賠請求=民事手段を使った私たちへの圧殺攻撃も実際に破綻してきているのです。それが、冒頭に記述した、「サクラ損賠」「宮原損賠」での学研敗訴の意味するところです。「学研に争議などない」(IR「よくあるご質問」コーナー記載)というトンデモ理論へのしがみつきをやめて、争議を解決することを私たちは勧告し、求めるものです。実際、学研社内からも争議解決を望む声が聞こえています。かつては、全学研労組潰しの先頭で暴れていたO監査役が、身内を襲った事件を契機に生き方を変え、全学研争議に続きふじせ争議に学研は責任を取って解決したいと申し出てきたこともありました。こうした動向は、最近では、定年で退職する際に、職場で交流のあったふじせ労組員に「元気で頑張ってください」と声をかけて去っていったり、職場から激励を送り続けてくれる方たちの存在にも窺えます。学研経営は、こうした状況に思いをはせ、争議解決を決断すべきだと考えます。責任を自覚し、解決することこそ、社内や学研関連の人々からの信頼を得る道です。
2024年、今年の闘いを振り返って
 
 1月23日の学研社前行動から今年の闘いをスタート、ニュースでは前年12月22日の学研HD株主総会の詳細と組合・支援共の取り組みにつき掲載、学研で働く仲間に配布しました。社前行動終了間際に宮原社長の乗った車が出社してきて、抗議のシュプレヒコールをあげました。
 2月2日には、 学研本社で開催された「学研・文理学参・辞典勉強会」というイベントに対する情宣に取り組みました。

 2月18日には、昨年7月に続く第2弾の宮原学研社長宅(東新橋のタワーマンション)への抗議・申入れ行動を打ち抜きました。「さくら損賠」が高裁に続き2月の最高裁決定で組合勝訴確定となった後の行動でした。社長は不在の様子でしたが、会社でも会おうとせず、逃げている宮原社長への面談を求めての申入れ行動であることも住民の方たちにも知らせて展開しました。
 3・1社前、3・13社前、3・29学研入社式
と3月連続社前行動を展開しました。3・1のニュースでは、新進気鋭の法務室長が「会社に愛想をつかして」という理由らしく、辞めたことなどを報告、3・13は昼休みの時間帯にかなりのビラを社員・来客に配ることができました。3・29は学研入社式当日の行動で、強烈な風と雨で全身びしょ濡れになる中、早朝からの行動を打ち抜きました。新人社員の皆さんも傘が壊れる等の状態での出社でした。
 4・26社前集会、は、この日朝の日本知的障害者福祉協会の社前行動につづく、南部交流会の統一行動として取り組まれたものですが、当該からの裁判連続勝訴を踏まえた闘いの現状報告や、争議団連絡会議、日韓民衆連帯委員会などからの連帯挨拶、ふじせ支援共、南部地区交流会からの決意表明を受け、集中して盛り上がった闘いになりました。

 5・22、5・28中間決算説明会、5・30イベント闘争と5月連続行動を展開しました。30日のイベントは高齢者住宅協会主催の「地域包括ケアのまちづくりセミナー」で、学研ココファン協賛の下で学研本社で、基調講演=厚生労働省労健局落合明美氏、座談会を小早川仁学研常務(ココファンHD会長、サ高住協会会長)がコーディネーターを務めて行うなどのプログラムを実施して開催されたもので、争議状況を多くの参加者に訴えることができました。
 6・27、メインバンクでかつて組合員預金口座の差し押さえに協力した三井住友銀行の株主総会闘争を今年も行いました。学研経営は、ココファンあすみが丘損賠事件での仮執行付き一審判決後、組合員の預金口座を差し押さえ、学研HD分の33万円(+遅延損害金)を取り立てたのですが、私たちは個人の預金口座情報を開示した三井住友銀行に抗議を続けているものです。同行は私たちの追及に口座情報を「教えた」とも「教えていない」とも言わぬ曖昧な態度をとり続けています。教えたのです。


8月2日には、恒例の社員家族参観日(学研ファミリーディ)が行われた本社で情宣行動を行いました。昨年夏は、テレコムセンターにあるグローバルゲートウエィで開催されたこのイベント、今年は本社で行われ、親子連れの一部や行き交う来客にかなりのビラを配布することができました。猛暑の中、太陽が照りつける中、全都の多くの仲間が参加してくれて行動をやり抜くことができました。


 8月19日、2021年12月の株主総会で宮原学研社長は、「組合に3億円を要求されている」などという虚偽の答弁を行った宮原社長と学研に対して、組合と支援共闘会議は22年6月に提訴し争ってきました。この「宮原損賠」では昨春3月の東京地裁での判決が「東京ふじせの業務再開を求めてきた原告労組の社会的評価を低下させるものと認められる」と判示し、昨秋10月の東京高裁での控訴棄却、そして、今年8月19日に最高裁でも上告棄却となり、宮原社長と学研の敗訴が確定したものです。
9月26日、秋季第1波の学研社前闘争を展開しました。出社してきた小早川常務に抗議の声をかけました。朝ビラ配布では、「宮原損賠」での組合側勝訴確定(8/19最高裁)を報告。また、学研教室の指導者200人が加盟して結成された労働組合への学研(エデュケーショナル)の団交拒否事件で今春、都労委が出した棄却命令についての批判、等を掲載しました。
10月12日、宮原社長自宅への抗議・申入れ行動を行いました。
午前中から外出していたのか、不明でしたが、社長に会えなかったのは残念でした。応対のない中で、マイク情宣とビラ配布を行いました。出入り通行するマンションの住人の皆さんの受け取りは前回に増して多く、争議の実情を知ってもらえました。ガードマンが出てきてクレームを付けてきましたが、労働争議における組合の正当な行動であることを伝え、介入を許さない姿勢の前に、引き下がって遠巻きに見ている状態になりました。


11・9品川区と共催の防災イベント情宣、11・19高齢者住宅協会主催のセミナー情宣)など、秋季・年末攻勢の展開に入っています。
12月20日には、学研HDの株主総会が、今年も目黒雅叙園で開催されます。今年の締めくくりで学研経営陣の良識が問われることになります。争議を解決しなさい。