経営敗訴判決隠蔽狙った運営を突き破り
学研HD株主総会闘争打ち抜く!
昨年末=12月22日に開催された学研ホールディングスの第78回株主総会で、学研のふじせ闘争への民事弾圧が破綻し、裁判では経営側4連敗となった事実を押し隠しての乗り切りを図った経営陣の思惑を打ち砕き、私たちは質問と抗議の声で会場内外を席捲する闘いを打ち抜きました。
総会は今回も900万円もかけて目黒雅叙園で開催!
株主総会は、2022年から、ふじせ労組関係株主には挙手しても一人も発言させないことが徹底され、また、事前に会社に届けた「質問書」については、従来は概要を紹介して不当な内容ながら説明・回答をしていたやり方
12・22株主総会会場=目黒雅叙園前で情宣
だったが、紹介さえしませんでした。「さくら損賠」(翼賛株主にふじせ株主を誹謗・中傷する発言を行わせていると報告した組合ニュース記事に対して、学研経営に加担する不当な判決が出された前訴につき判決批判をした組合ニュースをさらに「名誉毀損」などとして学研が訴えてきた裁判)で学研の言いがかり訴訟が認められなかった件と宮原社長の21年株主総会での虚偽答弁(「組合に3億円を要求されている」との発言)を「名誉毀損」と組合が提訴した裁判の事実を一般株主に知られたくないために、一層悪質な総会運営に切り替えたのでした。
今回 23年末も、さらに「宮原損賠」で春と秋に地裁・高裁で組合勝利判決が出たことで経営の焦りと悪質な総会対応が予想されました。
防衛大出身の宮原社長、その独裁体制の危うさも露呈
今期の学研の業績は増収減益でしたが、来期の飛躍も打ち出している状態で、にもかかわらず「Gakken社(=出版部門)の業績が悪いので・・」と、グループ内連帯責任というとんでもない理由で、全社的に一時金は軒並み低査定に、「社員の自主退職が続いている。」「‘コスト’である社員の人件費を限りなくカットし、自分(たち)は贅沢三昧」と告発の声が社内から届いていることは前号でもお知らせしました。
当日、目黒雅叙園前での情宣は通行人を含め多くのビラを配布、結集した仲間と共に抗議のアピールを行いました。10時からの開催へ、シュプレヒコールを上げ、株主は会場内へ。経営陣は、今年も同じ方式で構えていた会社側でしたが、・・・以下、総会の内容です。
株主総会は宮原社長が議長を務め開会。取締役16名の他、執行役員12名が参加。
監査報告に続き、事業報告は映像付きで場内アナウンスがされる。
<教育分野をとり巻く環境>では、
「経済環境に加え、急速に進行する少子化という逆風を受けながらも、・・・足もとでは新しい3つのトレンドが勢いを増しています。」として「一つ目は、首都圏を中心とした高所得家庭向け市場の成長です。二つ目は、教育DXの流れです。三つ目は、リスキリング需要の拡大です。」と言っています。
<医療福祉分野をとり巻く環境>
「介護業界では、2023年推計で65歳以上の高齢者人口の割合が29.1%と過去最高を更新し、80歳以上の割合は初めて10%を突破。急速な高齢化に伴いさらなる市場拡大が見込まれています。サービスの担い手である介護従事者は依然として業界全体で不足しており、人員配置基準の緩和や業務負担軽減に焦点を当てた議論や、ロボット・ICTの活用を推し進める動き」を指摘。
<事業の概況>
「このような市場環境において、当連結会計年度の連結業績は、売上高164,116百万円(前年同期比5.2%増)、営業利益6,170百万円(前年同期比4.0%減)、経常利益6,477百万円(前年同期比6.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,194百万円(前年同期比7.2%減)と報告。次に、事業の報告セグメント別の状況報告。オンライン英会話「Kimini」事業、園・学校事業、幼児教育等の説明。 サービス付き高齢者向け住宅は当連結会計年度には、新規に13拠点を開設し、累計で203拠点(FC含む)、10,361居室。入居率も高水準を維持、過去最高の97.1%(前年同期比3.2%ポイント増)。 認知症グループホーム事業 メディカル・ケア・サービス株式会社が運営する認知症グループホームは累計で307棟、5,858居室。
(4)対処すべき課題
「新中期経営計画「Gakken2025」では、『SHIFT』を中核テーマに掲げています。少子高齢化が進行し、教育業界においてはデジタルを活用した新しい学習方法や、非認知教育などの需要が拡大しているなか、各事業の戦略やリソース配分の明確な転換、さらに意思決定の迅速化を推し進め、事業環境の変化を見据えた事業ポートフォリオ構築と収益力回復を実現。教育分野のリカレント・リスキリング領域、医療福祉分野の周辺領域及びグローバル領域において新たな柱につながる事業開発を推進し、M&Aを含むグループの変革と成長に資する投資を戦略的に実施。2025年9月期には売上高2,000億円、営業利益70億円、親会社株主に帰属する当期純利益35億円を目指します。」とのこと。
<インターネットの事前質問>
今回からメールへの事前質問に関して決議事項に関するものなどは、総会で紹介するとして、以下の紹介と回答がされました。
・学研教室の高いロイヤルティー、安い月謝のままで、教室指導者は運営が困難との質問があった。福住副社長(学研エデュケーショナル)は、、「教室指導者とは労働契約ではない」と突き放す答弁をした。宮原社長は、「全国統一月謝なので」と弁解、「ロイヤルティは公文より低い」「一番大切なのは、子ども」と自制求める回答。
既に公文事件で教室指導者の労働者性が認められる命令が出ています。
・学び全体への質問
五郎丸取締役「デジタル、リスキリング、人材戦略」 百田取締役が「グローバル戦略で開発、成長する市場にグローバル化年頭の商品開発」、地球の歩き方担当社長が「日本のエリアで領域を増やす 紙・エジタル両面で」宮原社長「少子高齢化をいかに乗り切っていくか。海外展開 M&Aなどで」と発言
・自社株買い への質問
沢田執行役員 11月10日。76万株=7億5千万円で100円の株価上昇、PCRの改善。株価に一定の効果。今後、240万株 を予定と答弁。
・生涯学習、英会話、インバウンド等への質問
社会人向けの教育、語学、各種資格、リカレント。 医療でのEラーニング、これを多方面へ。増える外国人介護者、看護士海外展開、江戸カルチャーセンター、海外留学生向け、学習塾と学校が一緒になっての「学研高等学院」構想
小早川常務 介護事業者全国で一番の規模、入居率も良好。学研アカデミーで人材育成。日本は、全体で介護者数十万になる、数百名の外国人育成、などの回答がされた。
・抱える裁判についての質問 東京ふじせ企画労組からの訴訟について 安達取締役「係争中の案件で回答は控えます。」「答えなさいよ」と抗議の声。
学研は宮原損賠高裁判決後すぐに、組合側に損賠金の支払いを告げてきました。その上で最高裁に上告。株主総会で「係争中」と内容説明回避を狙っていたと推測したが、案の定の回答でした。
・昨年、挙手していても指名されなかった株主がいたことをどう考えるのか、 また、決議の際に騒ぎたてている株主がいたが、これについて説明してほしい
これには、「都合のいいやらせ質問にするなよ」と抗議の声
安達取締役 議長の専権事項 昨年の総会についても適正に運営されている、昨年、騒ぎ立てた株主というのは、東京ふじせ企画労働組合なる団体の構成員およびその支援者。
「一切発言させないからだろう」の声
「ご存じない方に若干説明させていただきます。」と常套文句での歪曲説明。 使用者性案件のみ説明、「無関係なのに様々な嫌がらせしている」など組合への誹謗。
株主総会での宮原発言が名誉毀損との判決が出たことに答えてないじゃないですか」「使用者性がなかろうと倒産攻撃の責任がある」「宮原社長、あなたのこの株主総会での答弁が名誉毀損との判決が出ているんだよ」「説明しなさいよ」
「質問を封じてきたじゃないか、いままで」
と各所から抗議の声あがる。
安達 いろいろな質問に企業価値向上の観点から答えてきた。法令に則り対応 してまいりたい」
「組合に3億円要求されているなどという虚偽答弁が名誉毀損だという判決につきどう考えているのか」「決議事項の1に関わる問題、社長としての適格性が問われるじゃないか」の声。
宮原社長 「お時間の関係で全ての質問に答えることはできません」
「上告しているが最高裁で確定したらきちんと説明するんでしょうね?」の声
<質疑・応答> 「学研教室」「ふじせ宮原損賠」で紛糾!
株主A質問 学研グループの長期的なシフトについて
山本取締役、細谷取締役が回答
株主B質問 27年間、学研教室運営。社長に3年前に渡した手紙を紹介します。新ロイヤルティは教室の赤字が拡大し、辞めた人も多く出た。結局、学研の損失になる。それよりも生徒増と月謝を上げ、お客様が納得できるようにすることが先ではないでしょうか。これは会社側だけが得しようとしているもの。
あれから3年、会社から手紙への返事はありません。この2大改革の失敗の責任を会社はどうとるのか、お聞きしたいです。(大きな拍手が起こる)
川端執行役員 膨大な新聞チラシでなく効果的な改革をめざしてきたものと説明。 福住副社長 ネットにシフトしている。フランチャイズ契約は指導者と一体。
宮原社長 コロナ禍で赤字になった。子ども達が主役、会社とフランチャイズは 我慢しなけばならないこともある。話し合いで妥協点を見いだしたい。
株主C質問 宮原氏に英語で、「You are very nice president」と持ち上げ、さらに「細谷取締役に期待している」と自己紹介をお願いする発言.
宮原社長 「37歳で優秀な人」と紹介 細谷取締役が自己紹介
「ここでやる話でない。質問と回答をきちんと」と抗議の声。
株主D質問 16年、学研教室をやっています。先生達が辞めたいという動きが多くなっている。本社と教室指導者の間に乖離が。指導者が軽視されている。
「ダイバーシティ」とか言っているが、そこに大勢執行役員とかいるが、女性が殆どいない。そのあたりを変える気はないのですか
宮原社長 学研教室の指導者は殆ど女性
川端執行役員 コロナ禍が明けて、先生方と面談。指導者と共にありたい。 上席執行役員(女性)グループ76社では女性の社員の方が多い 外国人も
だが、管理職・役員は圧倒的に少ない、変えていきたい
株主E質問 事業内容と売り上げに関して 地域の学校、いっぱいいっぱいの生徒がいた。学習よりも実験をやりたい子が多い。 教室に新しい内容が必要では、新しい事業を
福住副社長 英数国社理の教科教育ばかりやっていた。国は、「考える力」を非認知能力部門で足場を築こうとしている
宮原社長、想定外の質問 「宮原損賠」判決につき追及を浴びる
質問F 学研の教育系の専門雑誌を愛読してきている。社員の方は頑張って編集しておられる。だからこそ、会社のあり方について質問させていただきたいのですが、一昨年の第76回株主総会での宮原社長による東京ふじせ企画労組への事実無根の中傷発言が東京地裁・高裁で「名誉毀損」に当たると判断された、・・・
宮原社長 「株主総会の目的事項にそった発言を行ってください」と妨害、
株主F 先ほど事前質問への説明のような木で鼻をくくったような回答でなく、 ちゃんと経緯について踏まえて回答していただきたい、そういう姿勢だからこそ、先ほどから言われているように学研教室の指導者の人たちが頑張っているのにもかかわらず、問題を抱え、教室指導者の人たちが労働組合を結成し、現在、東京都労委で・・
宮原社長「お答えしている内容になりますので」と口を挟む
株主F 「ちゃんと答えてください」
安達取締役 株主総会は特定の争いにつきする場ではないので回答は控えさせていただきます。
「この株主総会での発言だったんですよ、それは」の声
宮原社長 争議の発端につき事実認識の間違いをさらけ出し、長期に闘っていることを、「労働問題でなく政治・社会問題との認識でやっている」「震災の翌日に社前でビラをまいた」などと「非国民だ」といわんばかりに非難。ふじせ争議をまたも誹謗し対決姿勢を表明。
抗議の声が会場で巻き起こり、騒然となる。
株主G 学研さんの売り上げが9割、出版で30年の付き合いにお礼。
五郎丸取締役、紙の本の意義についても説明。
宮原社長 「戦後の墨塗りの教科書の時代に、子どもたちを思って古岡秀人氏が学研の「学習」「科学」を立ち上げた」、と創業者を称えました。
墨塗りは、占領軍の下でされたが、学研の「学習」「科学」は、戦犯として公職追放になった元学校長らを頼りに古岡秀人が直販ルートを「学校直販」として作ったもの。学校の校庭でこれら学研の教材が売られていた。1971年に日本消費者連盟が告発、学研は撤退し、家庭直販(「学研のおばちゃん」)に転換。学研は「私設文部省」などと豪語していた。古岡秀人は御用組合しか認めず、暴力労政で全学研労組を弾圧し、ふじせ争議も引き起こした。その頃、彼は自伝でも筑豊の炭田で働いていた父が落盤で死亡したというつくり話をしていたが、猪瀬直樹(後の東京都知事)がルポライターとして元信州大全共闘議長の面目を失っていない頃に、「現代虚人列伝」(「現代の眼」)として古岡秀人を批判する中で、調査し、この嘘を暴いています。
宮原氏は、創業者が墨塗りされた部分を惜しんだ、という意味で言ったのではないでしょうが、いま極右の「ハート出版」などがこの愛国主義、戦争賛美の墨塗り部分や教育勅語の復活をうたっている状況があります。宮原社長の言動の端々には危うさが垣間見えることがあり、それが反組合主義にも繋がっているとすれば見過ごせません。
この日は、例年より長く総会が経過し、質疑を打ち切って決議事項(役員、監査役選任)採決して12時頃に総会を終了。抗議の中、役員たちは退場。
(紙幅の都合で記述を省略している部分があります)