宮原学研社長、上告断念?!
株主総会での名誉毀損で社長の適格性疑問
 前号でも報告したように、2021年株主総会での宮原学研社長の答弁(一般株主向けに「組合に3億円を要求されている」と虚偽の事実を述べて組合を誹謗)につき「名誉毀損」との判決が、今年3月の東京地裁につづき、10月4日の東京高裁判決でも出されました。社長と学研の代理人は、即日、損賠金の支払いを組合側弁護士に伝えてきました。
 原審の地裁判決は、学研が労働委員会や裁判所からの和解勧告の際、金銭解決を提案したものの、組合がこれを拒否し、その後の宮原社長の時代にもあくまで学研の雇用と業務の保障を求めてきており、金銭要求などしてこなかったことを、宮原社長は知っていながらこのような虚偽答弁を行ったことは「悪質である」と指弾しました。
学研HDのウェブサイトでも株主向けに倒産攻撃の真相隠す言い逃れ
 学研・宮原体制のこうした虚偽報告は、ウェブサイトの「株主・投資家のみなさまへ」とのコーナーでも、学研経営が下請労組潰しを狙って東京ふじせ企画から委託編集業務を総引き上げし、会社倒産・全員解雇の攻撃を仕掛けた事実をおし隠し、学研とは無関係に倒産した下請け会社の労組が学研に言いがかりを付けてきているかのような説明をしている箇所でも同様です。
 昨年12月の株主総会では、学研経営の方が言いがかり訴訟の損賠請求攻撃を仕掛け
組合のニュース記事を「名誉毀損」として提起した裁判(=「さくら損賠」)で、組合が勝訴した事実を株主に知られないように、総会で挙手している私たちに一切発言させず、そればかりか、事前に提出している質問書につき紹介してきた最低限の運営さえ取りやめて、ここでも真相を押し隠す暴挙に出てきたのでした。このような宮原体制下の学研経営陣の末期的な状態は、経営の混乱を露呈し、社会的責任がより重くなるだけです。1973年から78年にかけて悪質な労組弾圧で、本社ー下請け貫き争議を       10・6学研社前行動
引き起こした責任をいまこそ認めて、争議解決を図るべきです。
10・6〜10・9日韓連帯行動を打ち抜く!
10・6学研社前・明大包囲貫き争団連統一行動を展開
 同様の民事手段を使った労組弾圧に抗して、韓国の仲間と連帯した闘いが強まっている。10月6日、日韓連帯行動、また争団連統一行動として、第一現場の学研社前行動を展開した。社前には学研・ふじせ闘争のいつもの横断幕に加え、韓国双竜自動車闘争の青い旗が翻った。8時からの朝ビラとマイク情宣では、2日前の「宮原損賠」での勝利の報告を学研労働者にアピールした。社長も役員も姿を見せない中、8時45分から社前抗議集会を開催した。当該から10・4判決の内容と学研の民事弾圧の破綻状況を推し進め、勝利をめざす決意が述べられた。

続いて、連帯挨拶を争団連から明大生協労組からの発言。そして、韓国から金属労組前仁川支部長のキム・チャンゴンさんから、「学研社員の表情は4年前と同じで曇って重たく変わっていない。私たちが諦めない限り闘いは負けず勝利する」と、韓国GM非正規のキム・テフンさんは「自分たち非正規の置かれている過酷な状況と国境を越えて共に闘おう」、巨額損賠攻撃に抗して市民運動で労組へのカンパ態勢をつくってきた「黄色い封筒運動(ソンチャッコ)」のユン・ジソンさんから、「40年を超える闘いはすごい。学研社員はKさんから会社が奪った人権を守り取り戻してほしい」とのそれぞれ熱のこもった発言をいただいた。続いて共同行動から韓国の「国家保安法」弾圧、治安法をめぐる日本の動向を合わせ共に闘う発言を受けた。決意表明として、ふじせ支援共と集中闘争で取り組んだ南部交流会(南部労組福祉協会の発言で、最後の韓国語も受けた)。早朝からの行動に53名の結集。
 第2現場は、西神田公園に集合、11時30分から集会、当該発言、双竜自動車のキム・ドクチュンさん、ソウル市カムジョン労働従事者権利保護センター心理相談員のユ・クムブンさん、元民主労総委員長のハン・サンギュンさんからの発言、争団連からふじせ労組、差別・排外主義に反対する連絡会、明大闘争支援共からの発言で前段集会を終え、大学包囲デモに出発、駿河台下から明大リバティタワー、大学会館前で明治大学に抗議の声をぶつけ、お茶の水聖橋口から下って、解散地公園までデモを打ち抜いた。解散地で日韓民衆連帯委員会、他から挨拶、中部交流会、争団連のまとめの発言を受けた。99名の結集。
 この後、午後3時から、神保町区民館で交流・討論の場が持たれ、日韓双方の闘いにつき活発な質疑・討論を行い交流を深めた。この内容も貴重な成果だった。


10・8日韓労働者国際連帯集会を開催!
 10月8日には今回の日韓連帯行動のメインの取り組みとして、中野産業振興センターでの国際連帯集会が開催された。争団連からの基調報告、ハンサンギュンさんの現情勢・状況に対する情熱的な講演、上記韓国各団体からの内容の濃い報告が行われ、質疑応答も交えて4時間近くの熱気にあふれ、かつ集中した集会は日韓連帯運動に新しい歴史を刻む、極めて意義の深い集会となった。結集面では66名で、6日の統一行動の新しい参加者には、もっと参加してもらいたいイベントだった。翌日の日韓民衆連帯委員会主催の民衆運動全体の交流会と合わせ5日間の日韓連帯は大きな成果をあげるものだった。

 熱弁をふるうハンサンギュンさん

 韓国では、尹錫悦大統領が、2月21日の閣議で国家経済の発展のためという視点から、「国家がこれ以上労組に譲歩すれば企業や経済はどうなるのか。起業家たちが今、韓国政府を見極めようとしている」「強硬な労働組合が建設現場において、金品の要求、(組合員の)採用の強要、工事の妨害などの違法行為している」などと労組の正当な活動を歪曲して違法視し、民主労総への対決姿勢を露わにしている。
そして、国情院と警察は昨年末以降、 慶尚南道・昌原・全羅北道・全州・済州道で国家保安法違反容疑で市民団体関係者の自宅などを捜索。今年1月には、「民主労総」幹部や市民団体関係者らのソウルの本部など約10か所を国家保安法違反容疑で捜索した。
 日本でも、岸田政権が昨年12月の安保関連三文書閣議決定、敵基地攻撃能力の保有表明・大軍拡、原発新増設策を打ち出し、辺野古新基地建設・南西諸島へのミサイル基地・自衛隊配備=対中包囲網の前線化を推し進め、治安管理体制の飛躍的強化と一体の生活破壊・生存の侵害、労働基本権・人権の剥奪、改憲・戦争国家化へ突き進んでいる。
 労働者・民衆への弾圧・抑圧が共に強化され、日米間軍事一体化が進む中、これに抗する日韓労働者国際連帯を強化して共に闘っていきたい。
労働法連絡会 11・6学習・討論の集いへ参加を
 労働法制改悪・解体を許さない!

■日時: 2023年11月6日(月)
             18:00開場 18:30〜21:00
■場所: 南部労政会館 第3集会室
■提起: 久原穏さん 東京新聞・中日新聞経済部編集委員
     分断が進む「働き方改革」下の労働者の現状

イスラエルのパレスチナ民衆虐殺を許さないぞ!
 10・24イスラエル大使館抗議行動を展開
争議団連絡会議と地域共闘交流会は、10月24日午後、麹町のイスラエル大使館への抗議行動を行った。同大使館は、公道から路地へ入った奥にあるが、現在、警察は、
公道の入口に蛇腹状の扉を据え、デモや抗議の団体が表通りから公道に入るのを不当に阻止(一般の通行人のみ通す)し、大使館に近づかせないようにしている。抗議しても閉鎖を解かず、「代表団5名だけ」の申入れのみ認めるなどという対応だ。やむなく代表団が大使館前まで行き、大使館側は誰も出て応対しない、警察は「インターホンを押してはいけない」などの規制の中、抗議文を読み上げ、シュプレヒコールを上げ、ポストもないので、抗議文を柵の下の地面に風で飛ばないように石を載せて引き上げ戻って本隊に合流した。表通りもコーンを並べたゾーン内での行動しかさせない中、そこで
マイクでの抗議アピールを行って行動を打ち抜いた。
 イスラエルは、10月7日の攻撃への「報復」と「テロリスト殲滅」の名目で空爆からガザ侵攻=パレスチナ人へのジェノサイドにつき進もうとしている。これに対して、
アラブ諸国のみならず、ヨーロッパ各国、そして米国を含む世界の民衆の抗議行動がまき起こっている。アメリカの首都ワシントンではユダヤ系の平和活動団体も、連邦議会で座り込みを行い、「ユダヤ人の名の下に戦争をしないで欲しい、アメリカこそ強く停戦を求めるべきだ」と訴えている。ドイツ、フランスでも、イスラエルに忖度してパレスチナを支援するデモが禁止される中、数千人〜10万人のデモが行われている。
10月7日のハマスとイスラエル軍の戦闘は何故起きたか
 1948年のイスラエル建国は、パレスチナの人々が住む地へ一方的に押し入り、パレスチナ人を武力で追い出し、難民となった人々の帰還を許さず弾圧をくり返す中で怒るアラブ諸国を巻き込んで中東戦争が繰り返されたが、米国を後ろ盾にした圧倒的な武力と近代兵器で勝利したイスラエルは不法に占領地を拡大してきた。
難民の帰還の権利は国際的に認められており、いくつもの国連決議などでも明文化されているが、イスラエルは頑なに拒否して国際法違反の入植活動を続けている。昨今、世界的に著名な国際人権団体がついにイスラエルの差別的な政策を、人道に対する犯罪である「アパルトヘイト」と認定したほどだ。
1993年の「オスロ合意」は、パレスチナ全土独立という目標が民主的に決定したわけではなく、認められたパレスチナ自治政府がイスラエルと協力して、パレスチナ人の活動家などを逮捕して拷問するようになると、多くのパレスチナ人に「植民地支配者が押しつけた傀儡政権」とみなされるようになり、オスロ合意後イスラエルによる違法な入植活動はますます促進され、植民地支配はむしろ強まったと指摘されている。2006年、パレスチナ自治政府の選挙が行われたが、イスラエルや欧米諸国は自治政府の主流が勝つものと高をくくっていたが、ふたを開けてみると、オスロ合意の譲歩を否定するハマスが圧勝した。日頃、民主主義を標榜する欧米諸国は民主的に選ばれたハマス政権をボイコットして、自治政府への資金提供を打ち切り、自治政府は本拠地だったガザから西岸に逃げ込み、ヨルダン川西岸とガザの分断統治が生じた。
現在のイスラエルの首相のネタニヤフは右派政党「リクード」の党首で、すでに合計16年余りも首相を務める右派だが、昨年12月に発足した第6次政権で選んだ連立相手は、イスラエルが紀元前1000年ごろのヘブライ王国のダビデ王の時代のように運営されることを掲げ、極右の宗教政党と言われる「宗教シオニスト党」や、やはり極右政党で超民族主義や反アラブ主義を掲げる「ユダヤの力」など、彼よりさらに極右勢力だ。しかもこうした極右、宗教政党の党首が、占領地であるヨルダン川西岸やガザ地区の民生を担当する第2国防相、あるいはヨルダン川西岸の警察業務担当の国家安全保障相という重要な閣僚に就任し、パレスチナ人に対して一層厳しい抑圧政策を実施し始めた。パレスチナ難民を天井のない監獄に閉じ込めてきたガザ、イスラエルの入植地拡大と弾圧・人権侵害がさらに激増しているヨルダン川西岸は、パレスチナ人を弾圧や虐殺で、生きるか死ぬかの極限状態に追い込んでいた。10月7日のハマスとイスラエルの戦闘は起こるべくして起きたのだ。ライフラインも遮断されたまま数千回の空爆に襲われ、明日生きているか分からないパレスチナ民衆の姿が世界の眼と怒りを呼び覚まし、米国、西欧のNATO諸国のイスラエル加担の醜悪な姿を浮かび上がらせている。
 国内ユダヤロビーに政財界が動かされイスラエルの蛮行を支持し続けてきた米国政府、第一次大戦末期の三つ叉公約の一つ、バルフォア宣言でパレスチナにユダヤ人の国家を建設することを認めた歴史的大罪の責任を負うべきイギリス政府などは、全世界での批判の高まりに動揺深め、「国際人道法」への配慮をイスラエルに進言するポーズを取っているが、一時停戦は人質救出のためでしかなく、パレスチナ人皆殺しもありのイスラエルを擁護し続けているのだ。
 実力抵抗やテロが国家の暴力に向かわずに行使されれば、人の道を逸脱し民衆同士の連帯を阻害する。批判は免れられない。だが、国家の暴力に抵抗する者をテロリストのレッテルを貼って、抹殺しようとするイスラエルの選民意識にかられた蛮行を許してはならない。バイデンは、ネタニヤフに9・11直後からの対テロ戦争の失敗を教訓にして自制を求めた、というが、「失敗」などでなく根本的な錯誤と考えていない(9・11が何故起きたかに答えられない)から、イスラエルがこれからだけでなく、もうずっと行ってきている「対テロ戦争」の錯誤と運命を共にするだけなのだ。
 世界の民衆と共に、空爆と武力侵攻=ジェノサイドを許さない闘いへ!