「宮原損賠」控訴審でも組合勝利!
宮原・学研側、即日「損賠金」の支払い
2021年株主総会での宮原学研社長の答弁(一般株主向けに「3億円を要求されている」と虚偽の事実を述べて組合を誹謗した)につき「名誉毀損」で組合・支援共が宮原社長と学研ホールディングスを提訴した損賠裁判の判決は、今年3月の東京地裁での勝訴につづき、一昨日の10・4高裁判決でも「控訴棄却」で当労組の勝利となった。
学研代理人は、即日、損賠金の支払いを組合側の浅野弁護士に伝えてきた。
しかし、高裁判決の内容は地裁判決より後退している。高裁の吉田徹裁判長は、かつて東京地裁時代にふじせの「ココファンあすみが丘損賠」裁判で2016年に超不当な判決を出した人物で、今回の判断はどうか注目していた。吉田裁判長は、宮原社長発言が組合が行ってもいない虚偽の事実を摘示しており、「名誉毀損」に当たることは認めざるを得なかったが、本件の地裁判決では「組合が金銭要求などしておらず、逆に学研からの金銭解決案に対し常にこれを固辞してきた事実を知りながら、宮原社長が虚偽答弁を行ったことは悪質である」とまで認定をしたことには触れず、「組合には争議の正当性がない」との判断を強調して付言することに腐心している。「本件発言において、被控訴人が控訴人に対 して支払を要求しているとされた3億円という金額 は、・・・それ自体、支払義務のない控訴人会社に対して要求する金額としては多額に過ぎ不当であるという印象を与えるものであり被控訴人の社会的評価を低下させるものであった」などと言い、「被控訴人の控訴人会社に対する組合員の雇用の確保などの要求が、裁判所により正当な争議行為や組合活動ではないものと判断されており、およそ実現困難ないし不可能な ものであるにもかかわらず、被控訴人がこれを極めて長期間にわたり執拗に継続していたとしても、控訴人会社 に億単位の多額の金銭支払 を要求することは質的に異なるものであるから、たとえ被控訴人のしている争議行為や組合活動が不当なものであるとしても、それとは異なる不当な要求をしたとの事実を摘示することによって被控訴人の社会的評価 が低下することは否定できない。」
この裁判では、「組合側の争議行為に正当性があるか否かは、宮原発言の名誉毀損該当性の判断を左右しない」ことは、当労組・支援共も主張してはきた。しかし、ここまで「争議に正当性がないこと」を前提事実であるかのように言うことは許されない。この吉田裁判長の認定は、2016年の「あすみが丘」判決で、組合側証人として学研の高齢者施設での待遇を告発した現役の居住者に対して、「施設と対立していた者で証言に信用性はない」などと学研経営とのズブズブの一体性を体現した。さらに学研の使用者性を否定した労働委員会の不当命令取り消しを求める行政訴訟の最高裁で組合敗訴が確定したことは、一切の争議行為につき正当性を否定する根拠にはならないにも関わらず、最高裁判決をもって全否定する判断を吉田裁判長は打ち出した。倒産争議で、使用者責任を認めない会社や背景資本に雇用を保障させて争議解決した事例は労働運動史に山のように存在する(争団連の仲間で、東映相手に勝利したジャパマーハイツ闘争などは好例だ)。
未だに学研経営をかばいたい吉田裁判長は、損害賠償金の特定に当たっても、「最高裁判所の決定により判決が確定しており、それにもかかわらず 、被控訴人が控訴人会社 に対して長年 にわたり労働争議を継続して団体交渉等を要求していることからする と、多額の金銭の支払を不当に要求したとの事実が摘示されることによって被控訴人の社会的評価が低下することは否定できないにしても、その程度は限定的なものにとどまると解するのが相当である。また、本件発言は、原則として控訴人会社の株主及び関係者のみが出席する控訴人会社の株主総会においてされたものであり、本件発言の内容を出席者以外の者にあえて伝達し、周知させるようなことがなければ、これを知り得る者 の範囲は相当に限定されており、その影響もまた限定的なものにとどまるというべきである。」などと言っている。
地裁判決でも、損害賠償金の減額の理由を「争議の正当性を否定する判決が出されている」との一言で語ったことと、ふじせ闘争支援共闘支援への賠償を認めなかったことは不当だったが、これにに比べて、上記のような理由の拡張を行っている酷い認定も度しがたいものだ。
勝訴は当然だが、こんな裁判所の判断を容認しない。不当判決を濫発し、多くの争議団への民事弾圧に加担している裁判所でさえ、学研経営と宮原社長はかばいきれなかったということだ。当労組と支援共闘会議は、闘う争議団・労働組合の仲間たちと共に司法の現状を撃ち、闘い続けていく。仲間は下記のように日本だけに限らない。
10・6~10・9日韓連帯行動へ
10・8日韓労働者国際連帯集会へ結集を!
韓国から来日した民主労総と市民団体の仲間と共に本日、10・6統一行動を打ち抜きます。この学研本社前行動に続き、11:30西神田公園集合12:30駿河台デモ出発で、情宣禁止の弾圧裁判・執行官攻撃を許さず、明大生協労組の大学包囲デモを打ち抜きます。
組合員への巨額の損賠・仮差押さえとの熾烈な攻防を展開してきた韓国の双竜自動車支部を初めとする民主労総では、2019年5月、日本でも争議圧殺の損害賠償訴訟・強制執行攻撃等の民事弾圧と闘っている争議があることを初めて知って、呼びかけに即座に応答してかけつけてくれました。民事執行法が改悪されようとしている最中の国会の院内集会、争議現場での共闘、不当判決を出す裁判所への抗議、そして日韓労働者交流集会と連日の行動を共にしました。交流集会では、映像を交えた双竜自動車での争議の経過、差し押さえで生活と生存を奪う攻撃に、「黄色い封筒」運動で多額のカンパを集めて支える市民運動=ソンチャプコの活動の報告を受け、
19年5月学研社前 19年8月韓国GM社前
私たちは大いに共感し、勇気づけられました。
同年8月には、日本の3つの争議団の代表が韓国を訪問、民主労総仁川本部や市民団体への訪問、双竜自動車支部との交流、GM社前等の現場行動への参加などを実現、また9月には再び韓国GMの正規・非正規労働者、市民団体の仲間らが来日し、日本の争議現場での共闘と交流会を重ねてきました。
2020年からは、コロナ禍で互いに行き来が出来なくなりましたが、オンラインで結んで日韓連帯集会を絶やすことなく継続してきました。その中でも情報交換や経営・裁判所等への抗議署名、激励メッセージのやりとりを行ってきました。
昨年5月の政権交替後、尹錫悦大統領は、「国家がこれ以上労組に譲歩すれば企業や経済はどうなるのか」と民主労総への対決姿勢を露骨に表明、民主労総や市民団体への国家保安法を適用するなどしての弾圧を激化させています。私たちは、いま、一層の日韓連帯の強化が求められています。
日本の100年前の関東大震災時に朝鮮人大虐殺を行った事実をおし隠しての改憲・戦争国家化への突進・弾圧を許さず、打ち破る労働者国際連帯、日韓連帯行動は極めて大切な課題となっています。「民事弾圧・刑事弾圧粉砕!争議の勝利を!」として韓国の労働運動との連帯を築いてきた道をさらに推し進めていこう!
10月8日(日)日韓労働者国際連帯集会
冒頭映像上映 (「韓国ワイパー闘争」
基調報告 日韓労働者連帯闘争の経過と、日本・韓国の闘いの現状
講演 民主労総元委員長 ハン·サンギュンさん
報告 双竜自動車闘争 韓国GM非正規職闘争 ソンチャプコ・黄色い封筒運動
13:00開場13:30~ 中野産業振興センター
JR中野駅南口から徒歩4分
10月9日(月)韓国民衆運動の共有10:00~日暮里サニーホール 日韓民衆連帯委員会
8・11学研イベント=ファミリーディで情宣
毎年、学研は、家族参観日として社員家族や一般の家族を学研本社に招いて職場を見学してもらう、というイベントを行ってきていましたが、今年は、グローバルゲートウエイー=東京都英語村での開催になりました。
争議責任を居直り民事弾圧を濫発してきた学研経営に対して宮原損賠、サクラ損賠勝利で反撃し、現場・法廷で闘っている現状を情宣し、争議状況を現出することができました。猛暑の中、結集してくれた皆さん、ありがとうございました。
8・20南部労組第30回定期大会を開催
8月20日、東京南部労働者組合の第30回定期大会が大崎第一区民集会所で開催された。今期は、5月末から7月にかけて労働相談を受けてふたりが新しく組合に加入した。ひとりは、「識学」というマネジメントコンサルティング会社の、もうひとりは、障害者向け滞在型グループホームを運営している「一般社団法人リフレーム」の正規労働者である。それぞれ組合の納得の行く解決を目指して団交の場に臨んでいる。それぞれの自己紹介と、組合活動が初めてのひとりからは、加わってのイメージや、活動内容を広めるためのインターネットを通じての提案もされるなど、有意義な討論を持つことができた。連帯挨拶は、昼休憩後の再開時に、争団連、連帯労組、三多摩合同労組、中部労組、から活動の現状と今後の課題、争団連・地域共闘交流会等での連帯共闘のさらなる発展、私たちを取り巻く政治的・社会的課題の解決・前進へ向けて強い決意が述べられた。渋谷のじれんは都合で午前中に参加、発言をいただいた。役員の改選とスト権の確立は滞りなく決まり、財政報告が承認された。新規組合員、賛助組合員、神矢さんと佐久間さんの出席もあって活気あふれる大会となった。
8・20南部労組大会 9・19南部交流会学習会
9・19南部交流会学習会
「分断社会と横行する差別・ヘイトにどう対抗するか」
表題のテーマで南部地区労働者交流会の学習会を開催した。日本では、国家が改憲・戦争・治安管理へ突進し、一方これに抗すべき現場の日常にあっては、SNS等メディアや街頭でのヘイトや差別的な言動が分断社会に蔓延している深刻な状況が生まれている。在日朝鮮人・外国人労働者、障害者、性的少数者・女性、学歴、雇用形態等々、差別と不平等が構造化し、差別されているマイノリティにあっても別の面では差別するマジョリティの側におかれているなど交錯した状況の中に私たちはいる。
根強く長い歴史を持つ部落差別に対する解放闘争に関わりながら、東日本部落解放研究所が主導してきた「差別論研究会」では多様な差別の課題領域で活動や研究している皆さんの会での熱い討論を展開してきており、この討論の中心的呼びかけ人である同研究所副理事長の吉田勉さんを講師に招き、表題の講演・提起を受けた。被差別部落地名リスト出版差し止め訴訟を担当された山本志都弁護士から、「差別されない権利」を認めさせた今年の高裁判決の意義をはじめとした報告を受けた。吉田さんの講演内容は多岐にわたり、はじめに関東大震災時の朝鮮人虐殺と映画「福田村事件」での被差別部落民の描かれ方、分断と差別・ヘイト横行の世界史的文脈、人権ポリティックス時代の差別の交差性論(交差性論の重要性と差別の構造把握に基づく戦略へ)、部落解放運動の歴史と解放運動の現在(水平社宣言の位置と戦争責任、民族差別、朝田三命題の限界=国家の有責性を問う思想が希薄、糾弾闘争・行政闘争後の解放論の行き詰まりと国家・法務省の政策転換の中での社会状況)等々、限られた時間で密度の濃い提起となった。質疑・応答も1時間に及ぶほど沢山の挙手があり、充実した学習会を開催することができた。
<学研・ふじせ闘争とは>
1977年12月、学研の下請編集プロダクション「東京ふじせ企画」に勤め、「○年の科学」「マイコーチ」などの編集業務を行っていた私たちが無給長時間残業・低賃金などの超劣悪な労働条件の改善のために組合を結成すると、わずか一週間後、学研は私たち35名に行わせていた業務の一切を引き上げ、会社を倒産させて全員の首を切りました。これ以前に本社では、全学研労組結成への14名の解雇・賃金差別、管理職らを総動員した吊し上げや集団暴行等で73年~92年まで争議が続きました。結成直後から全学研労組員に仕事干しを行い、スト対策のために労組員から取り上げた業務を下請化した会社がふじせ企画でした。そこにも組合ができたことに学研経営が焦っての暴挙です。下請けの経営者も後に「組合潰しは学研の指揮・命令」と事実を明かしています。倒産後に東京ふじせ企画破産管財人が学研相手に起こした損害賠償訴訟では、1985年に東京地裁が「組合を解散に追い込む目的で学研が業務を引き上げた」と争議責任を有する事実を認定、ふじせ労働者に直接管理・監督して雑誌・教材を制作してきた学研の実質的使用者実態も認める判決を出しました(経営同士の損賠責任は否定)。
学研経営が唯一、居直りの口実にしているのが、85年地裁判決と逆に学研の使用者性を認定しなかった87年の労働委員会の命令です(後に行政訴訟で確定)。「労働者派遣法」が85年に制定された流れで出されたものです。直接の雇用者と派遣先経営者を分離して、派遣先の使用者責任を免罪する悪法が親会社や派遣先の労働者使い捨てと今日の派遣切りを生み出しました。都労委不当命令は、組合潰しの業務引き上げ等の事実認定の中でも学研が主導した部分を意図的に削除し、下請経営者がやったことに書き換えて、「使用者でない学研が何をしたかは認定する必要がない」と言っているひどいものです。
使用者性の有無を差し措いても、学研が下請会社を倒産させた事実は明らかで、労働者を解雇状態に追い込み、生活を奪った争議責任は重大です。
争議解決のための話し合いを拒んで居直るばかりか、最近は組合のニュース記事に対して損害賠償訴訟を濫発し、組合員の自宅を差押える等の悪質な金の取り立てまでして争議責任追及の活動を潰そうとする学研経営の対応は許しがたいものです。