宮原損賠、学研控訴理由書でも苦しい言い逃れ
「3億円を要求されていた」と高裁でも疎明できず。宮原の捏造は明白
 株主総会で宮原学研社長が、「(組合に)3億円を要求されている」などという虚偽の答弁を行ったことが、今年3月に東京地裁判決で、東京ふじせ労組への名誉毀損とされた裁判は、7月3日(11:30〜812号)、東京高裁で始まる控訴審に舞台が移っています。
 この期日へ向け、被告学研・被告宮原社長は、控訴理由書を出してきています(4/19)。この中で、「本件に関しては、極めて長い期間が経過しており、・・当時を知る担当者は、すべてが退職または逝去している・・そのため、本件発言の真実性の立証は容易ではないため、控訴人らは、現時点の証拠においても容易に判断ができる社会的評価の低下の有無のみを主張した」と主張しています。とんでもない言い逃れです。「本件発言」は、宮原社長の2021年の株主総会時のものです。宮原発言の真実性は「現時点での証拠においても容易に判断ができる」最たるものです。この発言の直近には、「組合が3億円を要求した」という「証拠」を宮原社長は持っていたはずです。「3億円要求」が事実ならばです。しかし、こんな組合要求は全くの捏造であるため、宮原社長は一審法廷に陳述書も「証拠」も出せず、また本人尋問も申し出ていません。また、今回の「控訴理由書」の中で、「控訴人学研としてはそのような団体交渉に応じる意向はなく、・・・控訴人宮原の証人尋問の場が実質的に団体交渉の場として使われることを懸念しており、そのような観点からも社会的評価の低下の有無についてのみ主張を行った」などと言っています。笑ってしまいます。証人でなく本人尋問ですが、法廷に出てきたら、組合側以上に裁判所にまずもって、この株主総会答弁の経緯を問われ、全く答えられず赤っ恥をかくのは明白です。組合・支援共の前に堂々と出て来れないのも理由ですか?
 さて、今回初めて言及するとしている「長い争議経過」ですが、組合も裁判所も、それはこの事件の背景事実としてあることを承知しており、名誉毀損発言に関わる争点に関して、組合は争議の中で「金銭解決要求」はしておらず、「控訴理由書」で学研がいう10年前から社長になった宮原が組合要求の経過など知るはずもないとの言い逃れにも備えて、彼の社長就任時から、組合の要求が「業務」と「雇用」保障による争議解決である旨の団交要求書を送付している証拠も出しています。
一審事実認定は、争議経過の中のそうした本件争点に即した組合の一貫した(金銭でない)要求を正しく判示したもので、学研がまたぞろ持ち出 5・24社前行動 社長の車に抗議   しているような「使用者性」判断をめぐる争議経過(背景事実)には踏み込んでいないことに、学研は筋違いの批判でごまかそうとしているのです。「当該が年齢的にも職場復帰などあり得なくなっており金銭解決しか想定できない」、「3億円についてはバックペイ相当額計算」などと勝手な憶測に基づく苦しい弁解もくり返しています。詳しい反論は、次回以降の準備書面で行う予定ですので割愛します。
5・24学研社前行動、宮原社長に抗議し、展開
 
4・28統一行動に続き、5月24日、社前行動を展開しました。午前8時35分頃、宮原社長の乗ったアルファードが到着、「虚偽答弁を謝罪しろ」、「争議を解決しろ」等の抗議の声を浴びせました。はりつき抗議行動では海外からか賓客が訪問、もう一台の社長車(2千万円のセンチュリー)で送り出す場面もあり、マイク情宣を含め10時までの行動を打ち抜きました。
5・27間接強制・損賠攻撃に反対する全国集会を開催!
 5月27日、品川・中小企業センターで、民事弾圧を許さない共同声明運動/日韓民衆連帯委員会/争議団連絡会議の共催で「間接強制・損賠攻撃に反対する全国集会」が開催されました。
学研・ふじせ闘争にも、争議圧殺を狙って損賠攻撃が学研経営によって執拗に繰り返され、組合員の自宅差し押さえなど悪質な金の取り立てもされました。この、組合ニュース記事への言いがかり連続訴訟では、「請求異議審」判決、「さくら損賠」判決で学研の権利濫用が認定されたり、請求が棄却され、学研の民事弾圧が破綻してきていますが、
今年2月、当局や争議責任者への要求行動、情宣活動等に不当判決が続けて出され、全国の争議団へも不当な損賠判決が出されるなど、民事弾圧との攻防はまさにねじり合いの展開になっています。5・27集会は、切迫した民事弾圧との攻防局面とどう対峙し、争議禁圧体制をどう打ち破っていくかを打ち出す集会として呼びかけられました。

 2013年から継続してきた民事弾圧を許さない全国集会は、2020年から、「署名運動」を「民事弾圧に反対する共同声明運動」へ発展的に改組して、争団連、共同声明運動、日韓民衆連帯委員会の三者共催で取り組み、運動潰しと闘う日本の各争議の報告(第一部)と、韓国で巨額損賠に抗して闘う民主労総の各闘いをオンラインで結んでの交流(第二部)の構成で取り組みになりました。充実した内容ですが、長時間の集会を余儀なくされたこともあり、今年は、この二部構成を2回にわけ、5・27集会は以前の民事弾圧反対を中心とした全国集会、第2回は夏〜秋に、韓国の仲間の来日を得て、日韓交流・連帯の集会と現場共同闘争をと設定したものでした。
 基調報告では、民事弾圧に抗して現場を退かない闘いを持続してきた歴史と意義、民事弾圧の現局面、これと連動する治安弾圧・改憲・戦争国家化、の状況下で闘いの課題につき提起がされました。共同声明運動の広がりを作っていく(労働戦線、弁護士・労働法学者・ジャーナリスト、等)ことや双竜〜黄色い封筒法推進の韓国労働運動との連帯、などにも触れられました。
続いて、弁護団報告。ふじせの事件も担当している浅野史生弁護士、山本志都弁護士からそれぞれ、民事弾圧、刑事弾圧の事件で弾圧がエスカレートしている事例につき報告と提起がされ、民事・刑事融合した弾圧への警戒を呼びかけられました。
 連帯挨拶は、共同行動からG7反対行動の報告、かつて無い戒厳体制の実態、今後も続くG7閣僚級会議等への抗議行動と呼び掛けが行われました。会場カンパの要請がされ、続いて争議団連絡会議(連帯大道測量)、関西生コン支部(和歌山事件での無罪判決獲得の意義等)、大阪のケアワーカーズユニオン(損賠攻撃が不当労働行為であることを確定させ、双方の損賠取り下げで和解。南労会の仲間が報告)、九州の虹ヶ丘学園労組(損賠高裁不当判決から最高裁へ)からそれぞれ報告を受けました。
  韓国からのメッセージとして双竜自動車キムドクチュンさん、韓国GMで闘うアンキュベクさんから、熱のこもった報告を含むことばが寄せられました。最後に日韓民衆連帯委員会から、韓国で現在、黄色い封筒法制定運動が国会上程までこぎ着けた内容を中心に、民事弾圧と闘う日本の闘いにとっての意義も含めて連帯・交流が呼びかけられました。前日の、虹ヶ丘・大道闘争の最高裁申入れ、その後夕方の討論会と合わせ充実した取り組みとなりました。基調報告の中で触れられた争議・労働者をめぐる状況は、岸田政権が12月の安保関連三文書閣議決定、敵基地攻撃能力の保有表明・大軍拡、原発新増設策を打ち出し、辺野古新基地建設・南西諸島へのミサイル基地・自衛隊配備=対中包囲網の前線化を推し進め、治安管理体制の飛躍的強化と一体の生活破壊・生存の侵害、労働基本権・人権の剥奪、改憲・戦争国家化へ突き進んでいること。そして、G7参戦国会議を恥ずべき態度も見せずに被爆地広島でのサミットを厳戒態勢で開催して核廃絶への題目だけをPRしながら、核のボタンを持参し、核抑止力強化をうたうG7の「広島ビジョン」を採択しましたが、その欺瞞は隠しようも無く、戦争と核軍拡と環境破壊の元凶=G7の危機と矛盾は一層拡大すること、SNS等での批判・ヘイトなど玉石混交のネット乱世において名誉毀損めぐる訴訟が拡大していますが、刑法・警察法改悪の中で侮辱罪厳罰化が法制化され、ふじせ争議での労組のニュース記事への名誉毀損=損賠請求訴訟のような攻撃が、街宣内容全般に拡大適用の可能性をもち、批判的言論への萎縮も狙われている、また、民事IT化に継ぐ刑事訴訟法改悪一括法案(刑事裁判IT化)、日本版CIA創設、2024年のマイナンバーカード義務化、難民を本国に強制送還する入管法改悪等の外国人労働者・民衆への差別排外主義、使い捨てを含め、治安管理の一層の強化も強行されており、民事弾圧の拡大と繋がっています。日本ー世界の人々の生活・生存を侵害し権利抑圧・犠牲を強要してきている攻撃を共にはね返していきたいと考えています。
沖縄・「復帰」51年を問う5・14新宿デモ等に参加
 沖縄では民意を踏みにじり辺野古新基地建設が強行され、「台湾有事」を煽りながら、
宮古、石垣、与那国などへのミサイル等配備、日米軍事一体化が進められています。戦争準備を加速する政府・自衛隊と米軍に対して、大衆的な抗議が、2・26那覇での1600人集会、5・21北谷で2100人が参加しての反戦集会、などで行われています。
 私たちも、5月8日防衛省行動(辺野古実主催)で、争団連・地域共闘交流会名で防衛大臣宛抗議文を提出、5月14日には新宿南口での情宣、その後アルタ前で開催された「復帰51年を問う集会」(一坪反戦地主会関東ブロック主催)に参加、200名で、辺野古新基地建設、琉球弧の軍事要塞化を許さない声を上げ新宿デモを打ち抜きました。
G7広島サミット反対!5・18新宿デモ
 5月19日から開催の広島サミットに対して、「反対する東京実行委員会」主催のデモに参加しました。核兵器禁止条約への参加を拒み、アメリカの『核の傘』に頼り、『核共有』の議論まで起こしていながら、「G7開催の成果」を喧伝している日本政府に被爆者は怒り、「G7はいらない」「世界を勝手に決めるな」との声も国際的に起きています。
集会で、争団連・地域共闘交流会(21名が参加)からも発言、デモを共に行いました。
 現地広島での抗議行動では警視庁第四機動隊らによる暴力的なデモ規制・弾圧が行われ、戦争推進国G7の参戦国会議の実相、戒厳体制が露わになっています。
5・17韓国サンケン争議弾圧裁判、被告尾澤さんが力強く証言   日本企業=サンケン電気が韓国サンケン偽装閉鎖・組合潰しの争議を引き起こし、これに対する日本・韓国を貫き闘われた行動の中で、2021年5月にサンケン本社前で
不当逮捕された韓国サンケン労組を支援する会の尾澤孝司さんの刑事公判がヤマ場を迎えています。4月26日のキムウニョンさん(元韓国サンケン労組解雇者復職闘争委員会議長、現全国民主労総副委員長)が来日しての証人尋問に引き続き、5月17日には被告人質問があり、尾澤さんが証言台にたちました。この間の予断と偏見に満ちた不当な訴訟指揮に対し、公判を大法廷で行う事、公正・公平な裁判を行う事、過剰警備をやめる事等をさいたま地方裁判所申し入れてきましたが、この日も傍聴制限に等しい狭い法廷での開催等の訴訟指揮が強行されました。午前中は弁護側質問。尾澤さんは弁護士からの質問に淡々とかつ適切に答え、でっち上げ弾圧を無効化する「争議行為としての正当性」につき行動の目的や態様を具体的に証言、午後からは検事側質問がありましたが、支援する会が韓国サンケン労組から委任を受けていたか否か、尾澤さんが警備員を押したか否かなどを繰り返し質問するのみで終始して短く終了しました。「暴行・威力業務妨害」捏造は完全に崩れました。韓国国会議員68名による「“尾澤さん無罪“の嘆願書」を証拠として新たに提出。検事側から証拠採用について「不同意」の意見があるも、裁判所から嘆願書の形式を補足・整理するよう依頼があり、次回に証拠採用検討になりました。次回公判は6月20日(火)10:00〜、論告求刑と最終弁論・陳述です。

<学研・ふじせ闘争とは>
 1977年12月、学研の下請編集プロダクション「東京ふじせ企画」に勤め、「○年の科学」「マイコーチ」などの編集業務を行っていた私たちが無給長時間残業・低賃金などの超劣悪な労働条件の改善のために組合を結成すると、わずか一週間後、学研は私たち35名に行わせていた業務の一切を引き上げ、会社を倒産させて全員の首を切
りました。これ以前に本社では、全学研労組結成への14名の解雇・賃金差別、管理職らを総動員した吊し上げや集団暴行等で73年〜92年まで争議が続きました。結成直後から全学研労組員に仕事干しを行い、スト対策のために労組員から取り上げた業務を下請化した会社がふじせ企画でした。そこにも組合ができたことに学研経営が焦っての暴挙です。下請けの経営者も後に「組合潰しは学研の指揮・命令」と事実を明かしています。倒産後に東京ふじせ企画破産管財人が学研相手に起こした損害賠償訴訟では、1985年に東京地裁が「組合を解散に追い込む目的で学研が業務を引き上げた」と争議責任を有する事実を認定、ふじせ労働者に直接管理・監督して雑誌・教材を制作してきた学研の実質的使用者実態も認める判決を出しました(経営同士の損賠責任は否定)。
 学研経営が唯一、居直りの口実にしているのが、85年地裁判決と逆に学研の使用者性を認定しなかった87年の労働委員会の命令です(後に行政訴訟で確定)。「労働者派遣法」が85年に制定された流れで出されたものです。直接の雇用者と派遣先経営者を分離して、派遣先の使用者責任を免罪する悪法が親会社や派遣先の労働者使い捨てと今日の派遣切りを生み出しました。都労委不当命令は、組合潰しの業務引き上げ等の事実認定の中でも学研が主導した部分を意図的に削除し、下請経営者がやったことに書き換えて、「使用者でない学研が何をしたかは認定する必要がない」と言っているひどいものです。
 使用者性の有無を差し措いても、学研が下請会社を倒産させた事実は明らかで、労働者を解雇状態に追い込み、生活を奪った争議責任は重大です。
 争議解決のための話し合いを拒んで居直るばかりか、最近は組合のニュース記事に対して損害賠償訴訟を濫発し、組合員の自宅を差押える等の悪質な金の取り立てまでして争議責任追及の活動を潰そうとする学研経営の対応は許しがたいものです。