「宮原損賠」、「サクラ損賠」裁判に連続勝利!
株主総会での宮原社長の虚偽答弁=
株主向けの組合誹謗は「名誉毀損」との判決
2021年株主総会での宮原学研社長の答弁(一般株主向けに「3億円を要求されている」と虚偽の事実を述べて組合を誹謗した)につき「名誉毀損」で組合・支援共が宮原社長と学研ホールディングスを提訴した損賠裁判の判決が、3月7日に出されました。
東京地裁民事44部藤澤裕介裁判長は、宮原発言は「名誉毀損」と認定し、「宮原と学研は金 11万円を組合に支払え」と命じました(請求額は印紙代も考慮し330万円)。
「ことさら虚偽の事実を述べ、組合の名誉を毀損したのは悪質」と指弾
裁判所は、過去の東京ふじせ破産管財人が学研らに起こした損賠請求事件、都労委、学研会長・社長が申し立てた自宅行動禁止仮処分事件、中労委、での各和解協議での経過についての認定を踏まえ、「認定事実からは、原告労組が被告会社に対し金銭解決を要求したり、3億円の支払い要求をしたりした事実はうかがえず、かえって被告会社による金銭解決の提案を拒絶していた経過が読み取れる」とし、宮原社長の発言は、「原告労組が被告会社に対して金銭を要求しており、その要求額が3億円に上るという事実を摘示するものと認められ」、これは「一般の聞き手に対し、原告労組が、争議を通じて被告会社に不当に金銭を要求し、その要求額が3億円という法外な金額であるかのような印象を与えるもので、これにより東京ふじせの業務再開を求め、金銭解決を固辞してきた原告労組の社会的評価を低下させるものと認められる」と判示し、「長年に渉りその組合員らの雇用回復を強く求め、金銭解決を固辞してきた原告労組の名誉を毀損するものである」、「被告宮原は、原告労組の要求内容について知悉しながら、本件発言に及んだこと」、(毎年、株主総会のたびに、組合が嫌がらせの団交要求で金銭を取ろうとしているかのような答弁をくり返してきた経過にも触れて)「被告宮原が他の株主に対し被告会社の強硬な姿勢を誇示することを目的に殊更虚偽の事実を摘示したものと読み取れるから、悪質というべきである」と指弾しています。
平気で嘘をつく宮原社長、学研HDの最高責任者として適格か
私たちは昨年12月の株主総会への質問書でも、真実に反する虚言を重ねて、組合の争議責任追及の行動を誹謗し、一般株主に敵意を煽る姿勢を問題にし、このような宮原氏は社長としての適格性を欠いているのではないか、と指摘してきました。
昨年の株主総会では、委託先で働く株主の「全ての人が心豊かに・・」という学研の標語の中に、委託先の人々は入っているのでしょうか」との質問に、「もちろんです」という社長の言葉はなく、以前にも「ふじせの人たちは入っていません」と言ってのけたのでした。社内からも、2019年には 「好業績でもボーナスカットの経営姿勢に嫌や気がさして22人が自己都合退職」とか、「東新橋の社長の高級マンションも社宅扱いで経費で賄い、生活費さえ自腹の支出がない」との声や、昨年末の株主総会を目黒雅叙園で開催した件では、「自社内にホールがあるのに、なぜ900万円もの大金を払ってまで外会場にするのか、直後の高級レストランでの贅沢打上げ代も含まれているのだろう」「自分(たち)は放蕩、社員にはリストラ」、との批判の声が届いています。そして、今度は「東洋経済新報社から”恥も外聞もない自慢本”を出しました。内容は、一つ覚えの『V字回復』『〇期連続増収増益』です」さらに、「去年、会社の金をムダ遣いして出した『逆風に向かう・・・』の特装版をまた会社の金で作りました。」「あろうことか、それを自身のブログで自慢しています。」とあきれている声も聞こえます。
この本の内容は読んでいませんが、「業績回復を果たしたのは学研社員の努力による」と言うよりも、「社長の自分の力や指導」を強調しているようなタイトルで、やはり「社員は極端な経費削減を強いられる中、この会社の金のムダ遣いで自慢本」との社員の指摘は頷けます。WBCでの栗山監督とは大違いですね。「優秀な社員が複数名、また今年度末で辞めていく」との動きも伝わっています。
株主総会や社前情宣でも、宮原体制下で生まれたリストラや、パワハラが絶えない職場の実態に経産省「健康経営」顕彰を返上すべき、との現場の声、社員へのふじせビラ受け取り禁止命令、学研教室指導者もついに組合結成、等の点を指摘してきましたが、宮原社長と経営陣は、これに答えようともしていません。今回の判決を機に、反省を促し、さらに起きている問題につき、学研社内・関連の皆さんと共に経営責任を追及していきます。
<今回の「宮原損賠」判決の不十分な点は・・・>
今回の判決で、損賠金の額を認定(減額)する理由の一つとして、「正当な争議行為・・・でない司法判断が確定している」としている点と支援共は損害賠償の対象でない、としている部分は全く失当です。「学研の使用者性」を否定した労働委員会不当命令については行政訴訟で確定しています。しかし、学研・ふじせ闘争は、「使用者性」の有無を超えて倒産攻撃の責任を追及してきているのです。その争議の正当性をこれまでの不当な損賠判決は見て見ぬふりをして、「使用者性がない」を理由に否定し、学研の民事手段を使った弾圧に加担してきました。学研の業務引き上げによる組合解散工作から下請会社倒産攻撃に至る争議経過も含めて、今回判決は組合側証拠を採用して、相当踏み込んで認定しています。これらを踏まえるなら、学研の倒産攻撃の争議責任追及の正当性も認めて然るべきです。これまでの不当判決を出した裁判官に遠慮し、「正当な争議行為・・・でない司法判断が確定している」などとしていますが、確定しているのは「使用者性」をめぐる司法判断であって、争議の正当性を否定する根拠も権限も裁判所にはありません。また、支援共闘会議は、共に株主を総会に派遣して学研経営の責任を追及しています。宮原社長発言は、ふじせ闘争支援共闘会議をも誹謗し、その名誉を毀損しているものなのです。
「サクラ損賠」学研経営側の控訴を棄却
一昨年3月東京地裁から出された「(ブログ記事の)引用という形をとって学研の社会的信用を低下させたもの」等の不当な「新新損賠」不当判決を批判した組合ニュースにさらに「名誉毀損」訴訟が仕掛けられた「サクラ」損賠で、昨秋9月、「組合側が裁判で立証してきた経過も述べて説明をし、裁判所の判断への批判の記事を載せたことは、名誉毀損事実の再摘示に当たらない」との組合主張を認め、学研側の請求を棄却する東京地裁勝利判決が出されました。そして、今年3月16日、東京高裁でも学研の控訴を棄却する勝利判決を得ました。これで学研は3連続敗訴となりました。控訴審判決も、「(被告の各記載は)原告及び学研ココファンの主張と請求の内容を説明した上、別件判決の判断を批判することを内容とするもの」。(摘示される事実は)「いずれも被告らの訴訟活動の内容であると認められ、原告は別件訴訟Cにおける被告らの対立当事者として明記されている」「そうすると本件記載は、原告にとって訴訟における対立当事者である被告らの訴訟活動の内容を事実として摘示するものであるということができるのであり、本件表現行為によって、対立当事者の一方である原告の社会的評価が低下したということはできない」等の地裁判決を踏襲し、学研経営側の「名誉毀損」などとの言いがかり訴訟を退けたのです。
労働争議への民事・刑事弾圧を許さないぞ!
■3・5第42回全国争議団交流会・交流集会を開催
■3・6全国結集行動を展開
ここへ来て学研経営の不当性が際立つ中、「名誉毀損」の損害賠償をめぐる裁判で、学研・ふじせ闘争は3連勝しました。しかし、正当な争議行為、労働基本権の行使に対する裁判所の不当判決が全体として続いています。原告経営の争議行為禁止の請求につき、特定された行動の是非(「会社業務」、「平穏権」等が争議・労働基本権の行使に対して受忍すべき範囲)を認定するのではなく、「争議に正当性がない」などとして、組合活動を禁止する判決を出す、という傾向を強めています。元来、裁判所がそんなことを言うことができないにもかかわらず、権限を逸脱した判決を出し、労働基本権を完全に否定しているのです。
↑ 最高裁前 ↑ 東京地裁・高裁前
現場で争議を闘う労組・労働者への敵視は、関西生コン闘争、サンケン闘争への刑事弾圧等でも顕著になっています。これらの動向を許さない広範な運動が求められています。
相次ぐ不当判決に対して、今春、3月6日、全国の争議団の交流・共闘を展開している私たちは裁判所への抗議・申し入れ行動を行いました。東京地裁・高裁の係属部書記官室へ押しかけ抗議文を提出、裁判官が出て応対するように要求、最高裁前でも上告を受理し公正な判断を出すように求めて情宣を展開しました。
前日の3月5日には第42回全国争議団交流会・交流集会が、渋谷勤労福祉会館で開催され、東京、関西、九州、名古屋の仲間が結集しました。協賛団体会議、分科会(@争議/職場闘争経験交流、A争議非合法化に抗して)の後、交流集会が開かれました。
韓国最高裁 2009年雙龍自動車支部スト鎮圧の国家暴力を認める!
昨年11月30日、韓国最高裁は、警察が雙龍労組と労働者にかけた損害賠償訴訟で、労組への賠償責任を認めた控訴審判決を覆し、「警察の過剰弾圧、強制鎮圧。クレーンやヘリ(催涙液20万リットル)による過剰攻撃。対する労働者の対抗行動の正当防衛」を認め、控訴審(ソウル高裁)に差し戻しを命じました。
12月10日、争団連総決起集会で、雙龍の仲間には、この最高裁での勝利判決、職場復帰してからの現状をオンラインで報告していただきました。
◇2019年5月の日韓労働者集会では、いまだ職場復帰がかなわない争議の渦中にあった雙龍の仲間から、過酷な弾圧と反撃の報告をいただき、黄色い封筒運動からは、損害賠償攻撃への市民からのカンパから始まった運動が、黄色い封筒法運動要求までに至った経緯を報告されました。集会のみならず、争団連の現場闘争にも参加いただき、その後、8月に争団連から訪韓しGM闘争等の争議現場参加や雙龍や民主労総・市民団体との交流、9月には再び韓国の仲間が来訪し争議現場での共闘、交流に発展しました。
コロナで渡航できず中断していましたが、現場共闘の再開も含め、弾圧を許さぬ日韓労働者国際連帯の強化をめざしていきたいと考えています。
<学研・ふじせ闘争とは>
1977年12月、学研の下請編集プロダクション「東京ふじせ企画」に勤め、「○年の科学」「マイコーチ」などの編集業務を行っていた私たちが無給長時間残業・低賃金などの超劣悪な労働条件の改善のために組合を結成すると、わずか一週間後、学研は私たち35名に行わせていた業務の一切を引き上げ、会社を倒産させて全員の首を切りました。これ以前に本社では、全学研労組結成への14名の解雇・賃金差別、管理らを総動員した吊し上げや集団暴行等で73年〜92年まで争議が続きました。結成直後から全学研労組員に仕事干しを行い、スト対策のために労組員から取り上げた業務を下請化した会社がふじせ企画でした。そこにも組合ができたことに学研経営が焦っての暴挙です。下請けの経営者も後に「組合潰しは学研の指揮・命令」と事実を明かしてい
ます。倒産後に東京ふじせ企画破産管財人が学研相手に起こした損害賠償訴訟では、 1985年に東京地裁が「組合を解散に追い込む目的で学研が業務を引き上げた」と争議責任を有する事実を認定、ふじせ労働者に直接管理・監督して雑誌・教材を制作してきた学研の実質的使用者実態も認める判決を出しました(経営同士の損賠は否定) 学研経営が唯一、居直りの口実にしているのが、85年地裁判決と逆に学研の使用者性を認定しなかった87年の労働委員会の命令です(後に行政訴訟で確定)。「労働者派遣法」が85年に制定された流れで出されたものです。直接の雇用者と派遣先経営者を分離して、派遣先の使用者責任を免罪する悪法が親会社や派遣先の労働者使い捨てと今日の派遣切りを生み出しました。都労委不当命令は、組合潰しの業務引き上げ等の事実認定の中でも学研が主導した部分を意図的に削除し、下請経営者がやった
ことに書き換えて、「使用者でない学研が何をしたかは認定する必要がない」と言っているひどいものです。
使用者性の有無を差し措いても、学研が下請会社を倒産させた事実は明らかで、労働者を解雇状態に追い込み、生活を奪った争議責任は重大です。 争議解決のための話し合いを拒んで居直るばかりか、最近は組合のニュース記事に対して損害賠償訴訟を濫発し、組合員の自宅を差押える等の悪質な金の取り立てまでして争議責任追及の活動を潰そうとする学研経営の対応は許しがたいものです。
<職場で困ったら> 東京南部労働者組合へ相談(無料)を
一人でも加入できる地域合同労組のリーフは大崎労政事務所や飯田橋の東京しごとセンターにも置いてあります。職場で困ったら、気軽に相談をお寄せください。
Mail southwind@mbr.nifty.com https://southwind.webnode.jp