PΛl s  学研・ふじせ闘争 2022年11月29日号
            東京ふじせ企画労働組合 ふじせ闘争支援共闘会議 


「宮原損賠」で窮地に陥る学研経営
「組合はバックペイ要求するもの、額は3億円を超えるはず」との無関係な憶測述べ社長の名誉毀損答弁を正当化する学研経営の恥ずかしい準備書面
 学研の宮原社長が昨年12月の株主総会で「組合側に3億円を要求されている」との虚偽答弁を行ったことについて組合側が提訴した名誉毀損訴訟の10月12日口頭弁論での主張について前号で紹介しました。
 もう一度要点だけを述べると会社側準備書面は主に以下のような内容でした。
 「被告宮原が、原告労組が金銭要求をしているかのような発言をしたことは認める」、
「原告労組は被告学研に対して金銭要求を行っていることを認めている」(ココファンあすみが丘をめぐる損賠裁判での証言で当該労組國分が、過去に工藤ふじせ企画社長の死去でこれまでの東京ふじせ企画の再開による学研の業務継続という解決形態を求める方針が変遷を余儀なくされたことに言及したことを被告学研は「金銭要求」への変更と歪曲して解釈)、「一般に労働争議は、・・・解雇がなかったならば取得したであろう賃金を支払うこと(バックペイ)によって解決されるものである」「原告労組が3億円の要求を行っていたことを指摘しても原告労組の社会的評価が低下するものではない」「原告労組が要求している金額が3億円であるという事実も、(バックペイ相当額を計算すると)不相当に多額なものではなく、一般人からしても合理的に予想できる範疇である。」「したがって、被告宮原の発言は、原告の社会的評価を低下させるものではない」
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     10・28学研社前行動 出社してきた宮原社長の乗った車に抗議

 あきれた虚言を弄して、名誉毀損発言を居直ってきたものです。そもそも組合は一度も学研経営に金銭要求などしていません。労働委員会や裁判所での和解打診のたびに学研側が金銭収拾を図って提案をしてきましたが、これを拒否し、和解は決裂してきました。工藤社長が死去した後も、ふじせ企画の再開は困難になったことを踏まえて、学研が業務を保証して役員を派遣して新会社を設立するか、学研ないしは関連で雇用を保障する形で争議を解決することを目指してきたのです。
 根も葉もない「3億円」という数字まで持ち出した宮原社長の発言につき、被告宮原と学研経営は、「バックペイの支払いならこれくらいの金額が想定される」などという一般論でごまかしているのですが、私たちは、株主総会での答弁のたびに宮原社長が組合からの嫌がらせの団交要求で金銭を要求されている、などと虚偽の説明をして、株主に対してふじせ労組がゆすりたかりをしている集団との印象付けを狙い、ついには「3億円」などという数字までねつ造したことにつき、名誉毀損=株主向けに組合の社会的信用低下を狙ったものとして今回の損賠訴訟を提起したものです。次回期日までに、学研のこのような居直りの弁解を完膚なきまでに粉砕する準備書面と証拠を提出します。ご注目を!
 次回期日は、12月26日(月)11時30分から、と指定されています。
学研の争議金銭収拾策破綻と「解雇の金銭解決制度」導入策
「宮原損賠」で、被告宮原社長と学研は、「東京ふじせ労組の正当性のない金銭要求に対して、株主利益の観点からもきっぱりと拒否している」かのようなことを述べていますが、全く事実に反しています。「学研の業務再開=企業再開」を学研が責任を取るべき解決の基本として要求する私たちに対して、金銭支払いでなんとか解決を、と再三にわたり収拾を図ったのが学研経営なのです。また、雇用と業務を保障して争議を解決することは株主を含むステークホルダーにとっても有益だと私たちは言ってきました。
学研経営は、下請け会社でのふじせ労組結成が、当時、14名の解雇、不当配転、賃金差別等を仕掛けて潰そうとしていた本社の全学研労組との争議に及ぼす影響を恐れ、
結成からわずか1週間で委託業務を総引き上げし、1ヶ月後には会社倒産・全員解雇の
攻撃を仕掛けてきたのです。組合を潰したい学研経営が企業再開=解雇撤回で労働者を職場に戻すことなど絶対にしたくないというのが本音で、金銭収拾で終わらせたかったのです。その収拾策が破綻し今日に至っていることをごまかしてはなりません。
 今、厚労省の労働政策審議会で、解雇の金銭解決制度導入が狙われています。無効な解雇であっても労働者を職場に戻さなくてよい制度づくりです。18年6月新設の「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」(御用法学者6名による)は、今年4月に報告書を提出しました。解雇無効でも、「労働契約解消金」の支払いで「労働契約を終了させることができる」というものです。裁判などで解雇が無効と認定されても、労働者を職場に戻さなくてよい、という経営者の雇用責任を免罪する制度を作ろうとしているのです。検討会報告にそって労政審が、このような解雇自由化を進めることを許さない、として労働法連絡会は9月の申入れ(先月号で報告)を行ったことは報告しました。労働者を使い捨てる、権利を主張する組合を嫌悪して職場から排除する、という経営の身勝手な論理は、学研経営の倒産・解雇の争議責任居直りと繋がっています。
 そして責任を免れるため、学研経営は、ふじせ労組への民事弾圧を仕掛け、その中の
書面でも、自らの倒産攻撃には口をぬぐって、悪名高い派遣法制定の流れで派遣先や親会社等の使用者責任を切り縮める誤った命令発出へと傾いた労働委員会→行政訴訟判決を拠り所にして使用者責任に限定されない争議責任(倒産責任)を居直り、組合が不法な要求、違法な争議行為を行っているかのような主張をくり返しているのです。しかし、「支配あるところに責任あり」であり、この争議の実態はごまかせません。
学研HD株主総会は12月23日
学研経営は株主総会でも、倒産責任を問う組合の質問に全く答えず、真実を押し隠す悪質な総会運営を続けています。この2年間はコロナを口実に抽選で約20名しか参加させないという極端な人数制限で総会を切り抜けようとしています。今年の開催はどうするのか、まだ招集通知も届いていませんが、公正な開かれた総会を求めるものです。
10・28学研社前行動、宮原社長に抗議
10月28日の社前行動では、前回の社前で「サクラ損賠」敗訴判決直後で、組合から逃げ隠れしたことを指摘された宮原社長が、私たちが朝ビラ配布と出社役員抗議の態勢から座り込みに移った後で、9時過ぎにアルファードに乗って出社してきました。抗議のシュプレヒコールをあげ、争議解決を要求しました。
全国争議団交流会九州で企画会議と現場行動
 11月20日、来年3月に東京で開催される全国交流会の企画会議が福岡の箱崎会館で持たれました。会議では、まず各地の闘いの報告が行われ、東京、関西の報告に続き、九州では、虹ヶ丘学園労組から偽装廃園をめぐる裁判と理事ら自宅への抗議をめぐって仕掛けられた損害賠償攻撃の裁判につき、現状報告がされました。
 来年の全国交流集会に向けては、協賛・賛同の呼びかけ文の提案、全体集会や分科会のイメージ、集会決議文の文案担当等の役割などが提起・検討され、次回1月15日に
関西での企画会議を持って最終的な準備を整えることとなりました。
 この後、労働法制改悪、弾圧、戦争・治安法等の各問題について報告・共有を行い、
翌日の九州現地行動の呼びかけが行われ終了しました。懇親会も盛り上がりました。
 翌日11月21日には、まず朝8時からの福岡県庁前での抗議・情宣(マイクアピールとビラ配布)が行われました。偽装廃園をめぐる裁判で、福岡県が学園財産の無償譲渡を行うことなど解散に必要な手続きを理事らに指導していた事実が明白になったことを指摘、県の責任を指弾する情宣行動となりました。第2現場は福岡高等裁判所への抗議。当該からのこのかんの不当判決、損害賠償訴訟での(880万円請求に対し、440万円を認める)地裁不当判決への批判のマイクアピールが行われ、東京の争議団のからも抗議の声を上げ、損賠控訴審判決を控えての力強い訴えがされました。
12・10全争議団闘争勝利!総決起集会へ!
 争議を闘ってきた仲間の闘いも今年はあと1ヶ月、民事弾圧や不当判決をはね返して
全力での闘いが続いています。ウクライナ戦争、これを奇貨とした岸田政権の軍拡・改憲攻撃、安倍銃撃死と統一教会と一体化した長期腐敗政権の露呈、国葬強行実施など激動の年でしたが、大道闘争、学研・ふじせ闘争での民事弾圧を打ち破る勝利判決や、7月の韓労働者連帯の全国集会開催の成功等、弾圧と労働者への犠牲強要を許さない闘いの成果・前進もかち取った一年でした。
韓国では、「黄色い封筒法」を相次いで発議。争議行為免責から使用者概念拡大へ
整理解雇に反対するストライキで47億ウォンの損害賠償判決を受けた双竜自動車の労働者を支援しようとカンパを入れた黄色い封筒の運動から始まった「黄色い封筒法」制定の争点が争議行為の免責から使用者範囲の拡大へと進んでいるそうです。
今国会に提出された黄色い封筒法は合計6件と増え、立法発議から7年になって黄色い封筒法が国会で通るか注目されています。請負、委託、派遣のような間接雇用が増加し、多重の労働関係が形成されている中で、今回発議された議員法案は、使用者範囲を労働契約を締結した者だけでなく、労働者の労働条件や労組活動に実質的支配力と影響力をもつ者に拡大する内容も盛り込まれています。労働者の範囲をプラットフォーム労働者やフリーランサーなど、「特殊雇用労働者」と下請け業者の労働者など、間接雇用労働者まで拡大する法案も近く発議する予定だそうです。民主労総をはじめとする労働界が「黄色い封筒法」闘争に総力を挙げる見込みです。闘争を続けているハイト真露とテウ造船海洋労働者の闘争を率いている民主労総としては、ストライキ等の争議行為への損害賠償攻撃を許さない「黄色い封筒法」制定をめぐり尹錫悦政権との対決が避けられない状況となっている、とのことです。
 韓国労働運動をはじめ、アマゾンで組合結成を闘い取った米国の労働者など、世界の仲間と国際連帯を強めていこうと考えています。12月10日の集会では年間の闘いをふり返り、2023年の闘いの飛躍へ、諸課題を闘っている全ての仲間と共に争議の勝利、闘う労働運動の発展をめざして集会を開催します。各争議の現場の映像が今年も披露されます。「莽」誌も同日発刊です。皆さんの参加を呼びかけます。
 12月10日(土)午後2時〜中野産業振興センター 主催:争議団連絡会議
(中野駅南口出て左へ、線路にそって徒歩3分、コンビニ手前路地右折)

<学研・ふじせ闘争とは>
1977年12月、学研の下請編集プロダクション「東京ふじせ企画」に勤め、「○年の科学」「マイコーチ」などの編集業務を行っていた私たちが無給長時間残業・低賃金などの超劣悪な労働条件の改善のために組合を結成すると、わずか一週間後、学研は私たち35名に行わせていた業務の一切を引き上げ、会社を倒産させて全員の首を切りました。これ以前に本社では、全学研労組結成への14名の解雇・賃金差別、管理職らを総動員した吊し上げや集団暴行等で73年〜92年まで争議が続きました。結成直後から全学研労組員に仕事干しを行い、スト対策のために労組員から取り上げた業務を下請化した会社がふじせ企画でした。そこにも組合ができたことに学研経営が焦っての暴挙です。下請けの経営者も後に「組合潰しは学研の指揮・命令」と事実を明かしています。倒産後に東京ふじせ企画破産管財人が学研相手に起こした損害賠償訴訟では、 1985年に東京地裁が「組合を解散に追い込む目的で学研が業務を引き上げた」と争議責任を有する事実を認定、ふじせ労働者に直接管理・監督して雑誌・教材を制作してきた学研の実質的使用者実態も認める判決を出しました(経営同士の損賠は否定)。
 学研経営が唯一、居直りの口実にしているのが、85年地裁判決と逆に学研の使用者性を認定しなかった87年の労働委員会の命令です(後に行政訴訟で確定)。「労働者派遣法」が85年に制定された流れで出されたものです。直接の雇用者と派遣先経営者を分離して、派遣先の使用者責任を免罪する悪法が親会社や派遣先の労働者使い捨てと今日の派遣切りを生み出しました。都労委不当命令は、組合潰しの業務引き上げ等の事実認定の中でも学研が主導した部分を意図的に削除し、下請経営者がやったことに書き換えて、「使用者でない学研が何をしたかは認定する必要がない」と言っているひどいものです。
 使用者性の有無を差し措いても、学研が下請会社を倒産させた事実は明らかで、労働者を解雇状態に追い込み、生活を奪った争議責任は重大です。
 争議解決のための話し合いを拒んで居直るばかりか、最近は組合のニュース記事に対して損害賠償訴訟を濫発し、組合員の自宅を差押える等の悪質な金の取り立てまでして争議責任追及の活動を潰そうとする学研経営の対応は許しがたいものです。