9・16「サクラ損賠」勝利判決!
原告学研経営側の請求、棄却される
 昨年3月29日に「新新損賠」=学研ココファン関連第3次損賠で出された55万円の損賠金支払いとネット記事の削除を命じる悪質な判決につき組合ニュースで、組合側が裁判で立証してきた経過も述べて説明をし、裁判所の判断への批判の記事を載せたことに対して、学研が「名誉毀損」などとして330万円の損賠金支払いとネット記事削除を請求する訴訟を仕掛けてきた「サクラ損賠」事件で、9月16日東京地裁・杜下弘記裁判長は、「原告請求をいずれも棄却する」との組合側勝利の判決を出しました。
 学研側の提訴理由は、組合ニュース記事は、判決批判の中で名誉毀損と認定された事実を再度、摘示している(名誉毀損表現を繰り返している)というものでしたが、組合は、「名誉毀損とされた表現につき、法廷でどう争ってきて、それに対していかに不当判決が出されたかという経過を示したもので、名誉毀損事実の再摘示などに当たらない、それが名誉毀損とされるなら訴訟内容を説明して判決批判を行うことが不可能になる」と主張してきました。判決は、この組合側主張が全面的に認められるものでした。
 9・16判決では、この点について、「(被告の各記載は) 原告及び学研ココファンの主張と請求の内容を説明した上、別件判決の判断を批判することを内容とするものと解される」「本件記載@は、以上のような別件判決に対する批判という文脈の中で理解されるべきであるから、同記載は、別件訴訟Cの当事者である被告らが、同記載においてその記載内容のとおりの主張をしたとの事実を摘示したものと認められる」「(本件記載Aは)別件訴訟Cにおける被告らの立証活動を説明した上、別件判決がこれを採用しなかったことに対する不満を述べ、別件判決の認定を批判することを内容とするものと理解される。そうすると、本件記載Aは、<総会でされたサクラと思われる株主の発言の内容を前後の状況含めて明らかにしました>との表現により、被告らが別件訴訟Cにおいてその内容のとおりの立証活動をしたとの事実を摘示したものと認められる」と認定しました。これらも踏まえ、「原告の社会的評価の低下の有無」についても、上記の摘示される事実は「いずれも被告らの訴訟活動の内容であると認められ、原告は別件訴訟Cにおける被告らの対立当事者として明記されている」「そうすると本件記載は、原告にとって訴訟における対立当事者である被告らの訴訟活動の内容を事実として摘示するものであるということができるのであり、本件表現行為によって、対立当事者の一方である原告の社会的評価が低下したということはできない」としている。そして、「以上によると、その余の点について判断するまでもなく、本件表現行為が原告の名誉を毀損するものとは認められない」と結論づけています。
 学研経営の不当な言いがかり訴訟は完全に失敗したのでした。
「新新損賠」事件では最高裁が上告を棄却
 他方、私たちが昨年3月の判決を批判し、12月の控訴審の高裁判決でも不当判決が出された「新新損賠」事件では、9月15日に最高裁が私たちの上告を棄却する決定を出し、翌日に送達されてきました。株主総会運営の不当性やココファンまちだ鶴川で起きた殺人事件に際しての株主や社会への説明責任不履行を指摘したことを「名誉毀損」とした不当な判決が確定されたことに強い憤りを感じます。
8・30宮原損賠 学研側は擬制陳述
 宮原社長が昨年12月の株主総会で虚偽答弁を行ったことについて組合側が提訴した名誉毀損訴訟の第1回口頭弁論は、学研側が期日に出廷不可で欠席し、擬制陳述の「答弁書」(反論内容のない形だけのもの)が出されました。
 「3億円を要求されている」などという嘘を宮原サンが口走ったことにつき、どう言い逃れるのかが、未だ定まっていないのかも知れません。次回期日(10月11日10時〜411号法廷)に注目です。
8・5学研社前行動を展開      宮原社長の出社に抗議の声
組合と支援共闘会議は、8月5日に学研社前行動を行いました。この日に予定されていた社員家族参観イベントは直前にコロナでオンラインに変更となりました。組合側は、「パルス」7月22日号を再び学研および関連労働者に配布しました。また、出社してきた宮原社長に抗議の声をぶつけました。


9・15南部反弾圧学習会を開催

  「侮辱罪」の厳罰化と名誉棄損訴訟の現在
  懲役刑と禁固刑を廃止して新たに「拘禁刑」を導入する刑法の改悪に続いて「侮辱罪」の厳罰化も6月に成立し、7月に施行されました。侮辱罪は「公然の事実を適示せずに人の社会的評価を下げる行為をしたとき」に科される刑罰です。9月15日(木)、南部労政会館で、厳罰化の問題点と名誉棄損訴訟の実態も併せて山本志都弁護士に講演していただきました。
 重罰化の理由として政府・法務省は、・インターネット上の誹謗中傷が特に社会問題となっており、誹謗中傷を抑止すべきとの国民の意識が高まっている・誹謗中傷の実態への対処として悪質な侮辱行為に対して厳正に対処することが必要、としています。ネットでのプロレスラー木村花さんに対する誹謗中傷による自殺事件と母親の粘り強い抗議活動がきっかけと思われます。刑罰は以下のように引き上げられました。       
 重罰化前は、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留(30日未満)又は科料(1万円未満)に処する」。重罰化後は、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30 万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」。下線部分が変った個所です。重罰化で誹謗中傷による自殺招くほどの悪質な侮辱行為の歯止めに効力はあるのか。危惧されるのは表現や言論の自由に対する抑止力です。特に批判的表現の抑圧が懸念されます。同種の法によって自由民権運動などへの弾圧が加えられた歴史があります。国家公安委員長は政治家に対するヤジでの現行犯逮捕について「全くないことはない」と言明しています。警察官によって排除された札幌での安倍元首相へのヤジ(2019年)と同様の行為が、当局の恣意的解釈によって重罰化の対象になりかねません。構成要件の拡大にも注視する必要があります。
■名誉棄損訴訟の現在(「サクラ損賠」を中心に)                                       学研のふじせ労組へのココファン関連の第三次訴訟「新新損賠」へのビラやネット記事での「判決批判」に対して再度名誉棄損をしたとしての新たな「サクラ損賠」に対する批判を中心に展開されました。組合側準備書面の論点のうち、「社会的な評価の低下」が生じたかについては原告・被告間の関係が様々に異なるケースに応じて判断基準が立てられている多数の判例を引用して、本件でも具体的な考慮を行うべきとしました。学研とふじせには組合ニュースを通じて尖鋭な対抗的・敵対関係が明らかであり、双方なりの言い分があるだろうと読者が受け取ることは社会的評価の程度を緩和する事情となるとされる。また、判決批判は、「サクラ株主の存在を指摘したことが名誉毀損とされた事実」(の不当性)を摘示したもので、それは学研側が言うような「名誉毀損事実の再度の摘示」などではないことは明らかである、と学研の訴訟提起理由の杜撰さを指摘されました。         ■2025年までに段階的に施行される民事訴訟法のIT化に関しては、実施上の懸念として、以下の点を挙げました。・裁判所に対して、適切に心証形成できない可能性・非弁行為が横行の可能性・データ送信時に誤送信する可能性・裁判所で機密情報保持の不安・天災や人災によるデータ喪失の可能性・ネット掲載が容易になる、など。刑事訴訟法のIT化や期間限定裁判など、話題は盛りだくさんの充実した内容の濃い講演でした。
 続いてふじせ労組当該が「サクラ損賠」の不当な内容への批判を詳しく述べました。争議団連絡会議と破防法・組対法に反対する共同行動から連帯挨拶の後、活発な質疑・討論で学習会を終えました。
解雇の金銭解決制度の法制化を許さない!
9・29厚労省前情宣労政審労働条件分科会申入れへ!
29日13時〜
〇同制度の検討は4/12「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」報告書をうけ、4/27より労政審労働条件分科会で始まりました。
〇9月29日は、厚労省前情宣と労政審労働条件分科会への「解雇の金銭解決制度の法制化に反対する申入れ」を予定していますので、この取り組みへの結集を訴えます。
〇4/12「検討会」報告書によれば、制度の骨格は「無効な解雇がなされた場合に、労働者の請求によ って使用者が一定の金額(以下「労働契約解消金」という)を支払い、当該支払いによって労働契 約が終了する仕組み」とあります。
〇私たちはこの「検討会」報告書で示された制度の骨格による法制化を許すわけにはいきません。主な問題点として以下のように考えています。
 @解雇自由化・リストラを促進し、これまでの解雇規制を解体する
 A労働組合の弱体・解体化を促進する
 B金銭支払いの申立権は使用者に拡大される可能性が高い
〇解雇の金銭解決制度新設については、02〜03年、05年と過去2回論議され、いずれも否定され、15 〜17年「透明かつ公正な労働紛争解決システムの在り方に関する検討会」でもコンセンサスがえられぬまま労政審に移されました。このように3度にわたって否定されたにもかかわらず2018年6月に法学者6名による「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」を新設し、結局、制度の骨格を作成した上で労政審に再度移すという異例な手続きをとってのものです。        (労働法連絡会)
安倍元首相の国葬反対行動
   9月23日銀座デモ、27日当日抗議・弾劾デモ
9月23日、台風が近づく雨の中、故安部元首相の国葬に反対する銀座デモが取り組まれた。主催は「国葬反対!安倍元首相の死を悼まない!共同行動」。南部交流会も呼びかけに応じて賛同団体として参加した。     
 始めに主催者挨拶、続いて「沖縄への偏見を煽る報道を許さない有志の会」、「国葬をさせない女たちの会」、「靖国・天皇制問題情報センター」、「都教委包囲・首都圏ネット」、「沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック」他の仲間から発言の後、新橋のガード下をくぐり銀座に向けたデモに出発。
 
    9.23新橋SL広場でリレートーク後、銀座デモ

 9月27日の国葬当日には、11時に神田錦華公園に集合して、国葬会場である日本武道館に向けた抗議デモが取り組まれた。国葬反対!弔意を強制するな!安倍政治の継承を許さない!統一協会との癒着弾劾!統一協会まみれの岸田政権はやめろ!改憲反対!安倍の死を改憲に利用するな!とシュプレヒコールをあげた。サウンドカーも加わり、600名の隊列で武道館に向けた抗議の声を九段下一帯に響かせた。
              9.27 錦華公園から武道館へ向けたデモ             南部地区労働者交流会

<学研・ふじせ闘争とは>
 1977年12月、学研の下請編集プロダクション「東京ふじせ企画」に勤め、「○年の科学」「マイコーチ」などの編集業務を行っていた私たちが無給長時間残業・低賃金などの超劣悪な労働条件の改善のために組合を結成すると、わずか一週間後、学研は私たち35名に行わせていた業務の一切を引き上げ、会社を倒産させて全員の首を切りました。これ以前に本社では、全学研労組結成への14名の解雇・賃金差別、管理職らを総動員した吊し上げや集団暴行等で73年〜92年まで争議が続きました。結成直後から全学研労組員に仕事干しを行い、スト対策のために労組員から取り上げた業務を下請化した会社がふじせ企画でした。そこにも組合ができたことに学研経営が焦っての暴挙です。下請けの経営者も後に「組合潰しは学研の指揮・命令」と事実を明かしています。倒産後に東京ふじせ企画破産管財人が学研相手に起こした損害賠償訴訟では、 1985年に東京地裁が「組合を解散に追い込む目的で学研が業務を引き上げた」と争議責任を有する事実を認定、ふじせ労働者に直接管理・監督して雑誌・教材を制作してきた学研の実質的使用者実態も認める判決を出しました(経営同士の損賠は否定)。
 学研経営が唯一、居直りの口実にしているのが、85年地裁判決と逆に学研の使用者性を認定しなかった87年の労働委員会の命令です(後に行政訴訟で確定)。「労働者派遣法」が85年に制定された流れで出されたものです。直接の雇用者と派遣先経営者を分離して、派遣先の使用者責任を免罪する悪法が親会社や派遣先の労働者使い捨てと今日の派遣切りを生み出しました。都労委不当命令は、組合潰しの業務引き上げ等の事実認定の中でも学研が主導した部分を意図的に削除し、下請経営者がやったことに書き換えて、「使用者でない学研が何をしたかは認定する必要がない」と言っているひどいものです。
 使用者性の有無を差し措いても、学研が下請会社を倒産させた事実は明らかで、労働者を解雇状態に追い込み、生活を奪った争議責任は重大です。
 争議解決のための話し合いを拒んで居直るばかりか、最近は組合のニュース記事に対して損害賠償訴訟を濫発し、組合員の自宅を差押える等の悪質な金の取り立てまでして争議責任追及の活動を潰そうとする学研経営の対応は許しがたいものです。