学研HD・宮原社長を名誉毀損で提訴!
株主総会で事実無根の虚偽答弁で組合、支援共を誹謗
 6月27日、東京ふじせ企画労働組合とふじせ闘争支援共闘会議は、宮原博昭社長と学研ホールディングスを、名誉毀損で提訴しました。
株主総会で「組合に3億円を要求されている」などと虚偽答弁
 昨年12月24日の学研HD株主総会で、東京ふじせ企画労組代表の株主が、「使用者責任とは別に、貴社が組合のできた東京ふじせ企画を倒産させた責任につき回答するように」と求めたところ、会社側は、これに答えず、宮原社長が、当労組が学研HDから金銭を脅し取ろうとしているかのような印象付けを図り、「3億円」という具体的金額まで持ち出して請求されているとの虚偽答弁を行ったのです。質問への回答に窮して、このような話を拵えたものと受け止めざるを得ません。
後日、質問書を送付して、答弁の根拠につき回答を求めても返信拒否
 総会会場では「回答拒否」「再質問禁止」等の不当な総会運営がいつもながら続き、労組代表は「3億円などというのは誰から聞いたことなのか、答えなさい」と自席から抗議しましたが、社長は全く答えず、株主総会は打ち切られました。
 3月21日、労組と支援共闘会議は、内容証明郵便で、学研HD代表取締役社長=宮原博昭氏宛に、株主総会時の発言につき、 「3億円くらいを言われている、とは、誰から、どのような場で聞いたのか、回答されるように求めます。貴殿の発言は貴社の争議責任を質している私たちに対する誹謗・中傷であり、株主に向けて当労組とふじせ闘争支援共闘会議の社会的信頼を失墜させようとした見過ごせぬ重大な行為です。当文書の質問に対して、2022年4月4日までに書面にて回答するように要求します」との質問書を送付しました。
 しかし、宮原社長からは何の返信もされないことを受け、今回の提訴に至りました。
以下に訴状の一部にあたる「請求の趣旨」を掲載します。  
第1 請求の趣旨
1 被告らは、原告東京ふじせ企画労働組合に対して、連帯して、165万円及びこれに対する本訴状送達の費の翌日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え
2 被告らは、原告ふじせ闘争支援共闘会議に対して、連帯して、165万円 ↑ 5・20学研社前行動
 及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え
3 被告宮原による株主総会における名誉棄損発言
 ⑴ 被告宮原は、2021年12月24日に開催された被告学研HDの第76回定時株主総会(以下「本件総会」という)において、被告学研HDの碇常務による学研・ふじせ争議に関する発言に引き続き、「社長から言わせていただくと」として「金額としては3億円くらいを言われている」と発言をした(甲2)。
 ⑵ このように被告宮原は、原告らが金銭要求をしているかのような発言をしたのであるが、原告らは、学研・ふじせ争議が始まって以来、一度たりとも金銭要求など行ったことはない。
   被告宮原は、株主総会においてこのような発言をすることにより、原告らがあたかも「ゆすりたかり集団」であるかの印象を扶植しようとしたのであった。
   なお、被告宮原は、本件総会以前の株主総会においても、上記発言と同趣旨の発言を度々行っていた。以下のとおりである。
   ① 2014年12月19日第69回定時株主総会(甲3:8頁)
     「金銭要求の部分に関しては裁判所が結論を出している以上決してお支払いすることはできない」。
   ② 2015年12月22日第70回定時株主総会(甲4:10頁)
     「上場会社として解決金を支払うことは・・・私もこういう形で毎回毎回、社前に来られて、総会に出られ    て嫌がらせをされて、最後は解決金を支払えと言われても」。
   ③ 2016年12月22日第71回定時株主総会(甲5:11頁)
     「解決するために金銭を要求していく」「30何年やって来て、お金で解決できるものであったらしたいな    と思いますよ。でも無理です。本当にこれはあきらめてください」。
4 被告らの責任
⑴ 被告宮原による上記発言は、原告らの社会的評価を低下させる名誉棄損行為であり、民放709条により不法行為責任を負う。
⑵ この被告宮原の発言は、代表取締役としての職務を行うについてなされたものであるから、被告学研HDは会社法350条に基づき損害賠償責任を負う。
5 原告らに生じた損害
被告宮原により名誉を棄損された原告らに生じた損害を金銭評価するならば、原告らそれぞれにつき150万円を下回らない。
また、原告らは本件訴訟追行を弁護士に委任したところ、相当因果関係が認められる損害である弁護士費用は、原告らそれぞれにつき15万円を下回らない。
6 結語
よって、原告労組及び原告支援共は、被告宮原に対しては民法709条に基づき、被告学研HDに対しては商法350条に基づき、それぞれ損害賠償請求として165万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金を連帯して支払うよう求める次第である。
争議責任隠蔽狙い、組合の要求を歪曲し続けてきた宮原社長
学研こそ、連続的損賠訴訟攻撃で悪質な金の取り立てに腐心

 訴状にも記載したように宮原社長は株主総会で、ふじせ労組の要求(倒産攻撃で奪った雇用の回復)を歪曲し、幾度となく、「金銭要求をされている」旨の説明をし、それが株主利害に反するかのような言動をくり返しています。今回、初めて「3億円」という具体的な金額まで出して、組合側を誹謗してきました。元ジャパマーハイツ闘争の当該のSさんが学研株主総会に数回参加し、映画会社東映が雇用保障で争議解決を果たしたことも引き合いに出して、学研経営に争議解決の意思を問い質してきた経緯もあり、ふじせ闘争が求めている解決につき、分からないはずはないにも関わらず、意図的に組合要求を歪曲してきているのです。
 並行して学研経営は、宮原社長体制になって以降、ふじせ労組の組合ニュース記事を対象に2013年から連続的な損賠訴訟攻撃を仕掛け、それこそ金の取り立てに腐心し、自宅や預金口座差し押さえまで仕掛けてきています。
学研HPでは争議への虚偽説明で居直り。
倒産争議の歴史も知らないふり?民事弾圧に加担する不当判決
 学研HDのホームページでは「株主・投資家の皆さんへ」のコーナーで、わざわざ「東京ふじせ企画労組との問題とは」として、「学研の取引先の一つにすぎない会社の下請け会社での経営破綻に伴い、そこの組合が押しかけて言いがかりを付けているが、学研は使用者ではないことが、労働委員会命令、行政訴訟判決で出され確定している」「団交に応じる義務はない」旨の弁解を書き連ねています。自社のウェブサイトにこんな弁解を載せていること自体、笑止ですが、学研は恥ずかしいとも思っていない、なりふり構わぬ姿勢です。「経営破綻」が何故起きたのか、「学研が組合潰しを狙って下請会社に介入、業務総引き上げ=倒産・全員解雇攻撃を仕掛けた結果です」とは書けないので、この肝心の部分には株主その他のステークホルダーへの説明をしていないのです。
 そして、使用者性がないから争議責任はない、などと言えないことは明らかです。倒産争議等で背景資本の責任を追及し、認めさせてきた労働運動の歴史を見れば、こんなことは決して言えませんが、なんと学研経営だけでなく、最近の裁判所は、(「労働法はよく知らない」と若手の裁判官が吐露していましたが)、使用者概念の拡大の法理の歴史も知らない、たとえ使用者でなくとも倒産責任を負う事例があることも知らないかのような判断をし、この10年間執拗に仕掛けている学研の損賠訴訟で、経営のいいなりに必ず「(学研は使用者ではないから)ふじせ労組の活動は正当性がない」などと間違った判示を繰り返して、損賠請求攻撃やネット記事の差し止めを容認しているのです。
 劣化著しい司法の状況に後押しされて争議責任を居直り、不当な損賠攻撃を仕掛けてきた学研経営ですが、組合提訴の請求異議審では学研の訴権濫用が認定され、連続訴訟攻撃も破綻しかけています。宮原社長らこそ、名誉毀損の言動で争議責任を居直り、損害賠償責任を負わねばならないことを、今回提起の訴訟で示していきたいと考えます。
6・20「サクラ損賠」第7回口頭弁論
 学研ココファン関連の第3次損害賠償請求訴訟(「新新損賠」)で、昨年3月に出された不当判決に対して、判決批判を展開したことを「名誉毀損」として、学研経営がまたも損賠訴訟を起こしてきた「サクラ損賠」事件で、6月20に口頭弁論がありました。
 前回の弁論で、学研側からの準備書面への反論を提出し、前訴の「新新損賠判決」への批判は名誉毀損事実の再提示などに当たらないことを再度述べた上に、数多くある名誉毀損訴訟でも、ふじせの組合ニュースのような非メディア型媒体とマスコミ記事の違い、また記事の読者、原告・被告間の対立状況等の実態、損害の程度等々で、名誉毀損該当性の判断基準が異なることを述べ、前回事例列挙が間に合わなかったいくつもの判例につき補充書面を提出しました。学研側の反論準備書面はほぼ同じ主張のくり返し(「判決批判を名目に何度でも名誉毀損表現が繰り返される」との主旨、加えて使用者性が否定されても法治国家にもとる違法行為を続けているふじせ労組、との誹謗)で、無内容で誤った内容でした。法廷に先立ち、午後2時から裁判所前で情宣を行いました。  
5・20学研社前行動
 5月20日、朝7時半から学研社前行動を展開、ビラ配布の最中、宮原社長が8時半頃に社屋の裏手を回ってアルファードに乗って出社、シュプレヒコールを浴びて地下駐車場へ逃げ込んでいきました。9時過ぎから社前座り込み行動を打ち抜きました。

↑ 5・20抗議を浴び地下駐車場へ向かう社長車
6・29三井住友fg株主総会抗議情宣
学研の預金口座差押さえに協力した三井住友銀行
 三井住友銀行は、学研が仕掛けた損賠攻撃(学研ココファン関連第一次)で、一審の
仮執行付き判決(2014年2月)を受けた直後に組合員の預金口座の所在を明かし学研側の口座差し押さえに協力しました。
 これにつき組合の釈明要求にまともに答えず、事実上のメインバンクとしての争議解決働きかけも怠っている同行に対し、6月29日の三井住友フィナンシャルグループ株主総会開催に際して、抗議・情宣行動を展開しました。
 この日は環境保護団体もCO2排出事業推進 に抗議して株主提案と抗議を行っていました。

  6・29三井住友銀行大手町本店前
7・18弾圧を打ち返し争議の勝利へ!
日韓労働者連帯全国集会

大道測量闘争裁判勝利を報告、韓国の仲間の熱い闘いの数々と交流
 7月18日、南部労政会館で弾圧粉砕と日韓労働者国際連帯を柱にした集会が、民事弾圧を許さない共同声明運動、争議団連絡会議、日韓民衆連帯委員会の共催で開催されました。2019年民事執行法改悪に反対する院内集会で、同様の損賠・差押さえ攻撃と闘う日韓労働者の出逢いから始まって、渡航して互いの闘いの現場にも参加するなど交流・連帯してきましたが、20年からはコロナ禍の中で3年連続オンライン開催となりました。昨年、争団連をはじめとする民事弾圧、関西生コン支部やサンケン闘争への刑事弾圧との闘い、韓国との交流を一つに結んで持たれた成果を引き継いでの開催でした。 今年は、6月に連帯・大道測量闘争が半径1Km以内での行動を禁止する前代未聞の仮処分決定に対し、本案訴訟でこれを覆す全面勝利判決をかち取ったこと、サンケン闘争がこの集会直前に妥結・調印したこと、韓国では双竜自動車闘争の解決・復職以降も、労働法を否定する経営側によりGMをはじめ数多くの職場で争議が続いていることなどが特徴的な動きでした。感想としては、GMの解雇攻撃と闘う正規職のアンキュベクさん、違法派遣を告発して闘う非正規職支会長のイヨンスさんの報告に感銘を受け、彼らの先輩格のキムチャンゴンさん、双竜自動車支部のキムドクチュンさんの温かい呼びかけも含め、さらに連帯を深めていこうとの思いを強くしました。日本の多国籍企業=サンケン電気の組合潰しを狙った子会社解散・全員解雇と闘ったサンケン闘争は、コロナでの分断を超えて日韓連帯の歴史に新たな足跡を刻みましたが、私たちと同様な構造の争議で、経験を持ち寄り、19年にGM非正規の方と社前のテント内で話したように共に悩み等も語り合いたかったです。オンラインでは果たせなかった点もあり、また会い、闘いの共有をしたいところです。お疲れ様でした、激闘の心身を癒やしてください。
充実した7・18集会、これを引き継いで行きたいと考えています。(ふじせ労組・K)