今年もコロナ禍を口実に事前登録・抽選で参加者を
激減させ、総会乗り切りを図る学研経営の株主権侵害

 私たちは毎年、学研の株主総会で、多岐にわたる経営の問題点や争議責任につき質問を行ってきています。学研社内からの声や関連の方からの要望等、ステークホルダーの利害に係わる取り組みは、極めて公益性の高い活動であり、労働組合の正当な権利行使でもあります。ところが学研経営は「ふじせ労組によって総会が毀損されている」(宮原社長の総会答弁)などとし、質問者のマイク電源切断、不誠実答弁、挙手していても発言させず質疑打ち切り等の不当な総会運営で居直ってきました。さらに総会時に発行した組合ニュース記事に対して、名誉毀損などとして損害賠償訴訟を仕掛ける悪質ぶりです。そして、昨年に続き本日の株主総会についても、新型コロナ感染防止を口実として、事前登録申請等の手続きでの極端な参加規制、質問封じで乗り切りを図っています。
 私たちは本総会の実施について以下の「抗議・申入書」を学研経営に提起します。
                       抗議・申入書 
株式会社学研ホールディングス
 代表取締役社長  宮原 博昭  殿
                                        学研ホールディングス株主  國分 眞一ほか   私たちは、株式会社学研ホールディングス第76回定時株主総会開催にあたって、昨年に続き、貴社が株主の事前登録方式をもって総会参加者の極端な選別を行ったことに関して、抗議し、出席希望株主全員の総会参加を要求します。
 今回の事前登録制も、新型コロナウイルス感染の防止を名目に経済産業省の指導に基づいて行う、としているものですが、妥当性を著しく欠いた運用において以下のように株主の権利を侵害ないし制約するものです。この「抗議・申入書」に対する回答を、全ての株主に対して告示することも併せて要求します。  
1、毎年総会が行われてきた貴社三階のホールは定員300名程で、毎年、主席者は1 50名〜200名程でした。このうち、前の席を占有している社員株主は、6〜70名程でしたが、出席を自粛した一般株主も多く、社員株主らも率先して辞退すれば、収容規模の半数に達しない数となります。東京都の公共施設では、コロナ対策として貸し出しに当たって通常の定員の半数での使用を条件としています。抽選などせずに開催できるのです。ところが昨年の貴社株主総会では、事前登録者が約50名だったにもかかわらず、さらに抽選を行なって参加を20名にしていました。
少なくともこの50名の事前登録者は参加を希望しており、抽選など行なわず、全員参加させるべきでした。感染対策を口実に意図的に必要以上の人数制限を行なったことは明らかです。
2、抽選方法にも疑義を持たざるを得ません。
1)全ての株主がネット環境を有しているわけではありません。昨年も問い質しまし たが、何故、郵送での申し込みを選択肢に加えないのでしょうか、郵送でも受け付け るべきです。議決権行使はネットのみでなく、議決権行使書の郵送も可としているの だから、なおさらです。ネット環境がない株主は事前登録できず、総会出席の希望を 事前に打ち砕かれたのです。経産省指針にもある「出席の機会を不公正に奪う」もの です。これにつき説明するように求めます。
 2)メールで事前登録を申請した私たちのうち、1名にしか出席表が届きませんでし  た。それも昨年同様に株主國分眞一東京ふじせ企画労組代表だった。ふじせ関係株  主を排除していないとの装いを取り、また東京ふじせ倒産争議に関して虚偽の答弁  をする契機にしようとの狙いを感じざるを得ない抽選結果です。抽選は第三者が立  ち会って公正に行われたのか不明です。
私たちは、毎回、争議のことを含め重要な経営事項につき積極的に質問を行って  いる株主です。そういう株主を選別・排除し、経営の数々の問題点への指摘をさせ  まいとした疑いを持たざるを得ず、抽選など無かったか、あっても不公正に行われ  たのではないかとの疑義を生じさせる事態です。実際、昨年は、上記国分株主から  の質問の他は、ふじせ争議に関心を寄せる一人の株主からの不可解な総会実施方法  への質問以外は全くありませんでした。質問を用意していたふじせ関係株主が全員  排除された中での異様な総会の進行で早期に終了したのでした。
3、抽選により株主が出席できない、という事態はできる限り避けるべきであり、出席  できなかった株主の権利をいかに保障するかを示すべきであり、また席に余裕があ  るなら質問事項を有し出席を求める株主は参加させるべきです。
そのような考えはないか、示されたい。何故ならば、経産省の指針は、株主総会への  出席が得られなかった株主に、インターネット等で議決権を行使させる旨の代替案  を示しているが、質問権の行使という重要な株主の権利の重要性について考慮に入  れていないからです。当事者企業は、この指針に安住し、質問権を侵害してよいは  ずがありません。貴社のこれまでの不当な総会運営の延長にこの態度があります。  即ち、質問書に対する極めて不十分な答弁につき、質疑・応答を重ねることを許さ  ぬ問答無用の態度です。
  昨年は、ふじせ関係株主のうち1名はネットが不調で、株主名簿管理人の三菱UFJ  信託銀行の担当者と電話で話し、「当日、受付にお越しください。大丈夫です」と  言われたが当日は排除されました。またもう1名はネット環境がないことを貴社窓  口に説明し出席を求めたがこれも出席を拒まれました。改めて抗議します。
   本日、質疑・応答を願い出席を求める心ある株主に対しては、出席を認める柔軟  な対応を行うことを重ねて要求します。                              以 上
総会での質問予定事項
 会社は事前の質問書についても受け取りを拒否しています。一昨年までの株主総会では、私たちが「通知書」として、事前に質問事項を会社に伝え、書面による質問への回答として、極めて不十分ながら、質疑応答の冒頭で回答していました。それすら行わず、昨年は総会本番では、「質問は3人まで、一人一分間」などという、殆ど無いに等しい質疑応答で済ませようとしたのです。昨年は2人がこの制約に抗って、少しは「時間オーバー」で質問しましたが、あっという間に質疑は打ち切られたのでした。今年も、私たちは概略、以下のような質問を考えていましたが、質疑応答は得られないままに終わりそうです。
1、今回の株主総会の実施方法について(上の抗議・申入書参照、略)
2、総会運営について
 株主に信頼される公正な総会運営をめざす気はないのかを問いたい。貴社の株主総会運営は質問時間の極端な制限、質問途中でのマイク電源の切断、不誠実な答弁で再質問をさせず打ち切る、挙手していても「ふじせ関係者ばかりで」などと指名しない、など正当な質問権行使を妨げ、不公正極まりない。昨年12月7日、ふじせ労組当該は東京地裁民事49部でこれらの実態を証言したが、これに対する貴社の反対尋問は、殆どなく、現在の総会運営を正当化するものは何も示されていない。今回、2年連続で、コロナを口実に事前登録、参加者の抽選、質問の制限等で不当な総会運営に拍車をかけようとしている。株主の質問に真摯に向き合い回答することはできないのか、問いたい。
3、昨年の市販雑誌部門のリストラに続き、事業会社3社の統合により予想されるリストラについ
 昨年年頭から市販雑誌部門のリストラが続き、7月に学研と日本創発グループが共同で「ワンパブリッシング」を設立し、主な雑誌(テレビライフ、キャパ、歴史群像など)がこの会社に売却された。代表に収まった広瀬社長は、旧パーゴルフ編集部の身売りでも社長となって転出し、ほとぼりが冷めた頃に学研に戻ったと聞く。100人以上いたはずの売却された雑誌部門の社員の人たちの処遇はどうなったのか未だに回答を得ていない。
 そして、今年10月1日付発令で、学研プラス、学研エデュケーショナル、学研教育みらいの合併に向けた会長、社長人事が発表され、多くの関係社員が雇用を脅かされるリストラに直面しそうな事態になっている。今後、どうなるのか明らかにされたい。
4、パワハラ社長をいただきながら、経産省健康経営表彰を受けていることについて
学研の出版事業会社=学研プラスのK社長が就任から半年で退任に追い込まれた件は長年にわたる前任のメディカル秀潤社でのパワハラを告発する多くの声を無視できなくなってのことで、取次をはじめ出版業界でも持ちきりになったと聞く。
 ところが、学研HDのウェブサイトで「学研ホールディングス・学研塾ホールディングス・学研メディカル秀潤社・学研プラス・学研プロダクツサポートの5社で、健康経営優良法人2021(大規模法人部門)に、文理で健康経営優良法人2021(中小規模法人部門〜ブライト500〜)に、学研メディカルサポートで健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)にそれぞれ認定されました」と発表され、社内から表彰を辞退すべき、返上
すべき、との声が上がっている。これにつき貴社の考えを示されたい。
5、読売新聞記事「サ高住での事故増加」と学研ココファンの情報公開について 
今年10月20日、「全国のサ高住で2020年度、転倒や 誤嚥(ごえん)などの事故が少なくとも計5283件発生し、このうち死亡事故が165件にのぼったことが読売新聞の都道府県などへのアンケート調査でわかった。18年度比でそれぞれ約2割増えていた。事業者から自治体への事故の報告は任意で、氷山の一角との見方もある」と報道されている。同記事では、「事故の把握状況について、自治体によって大きなばらつきがあることが分かった。事故の発生状況は利用者がサ高住への入居を判断する際の重要な情報の一つで、行政による実態把握と情報公開が求められる」とされている。
昨年、ココファン鶴間で入居者1名がコロナに感染(4/29)、ココファン四谷でスタッフ1名が感染(5/1)し、本社でも社員家族の感染で本社フロアの一部閉鎖が起きたと聞く。しかし、学研HDのウェブサイトでは情報公開がされていなかったのは何故か。
6、学研教室労働組合結成と貴社経営の向き合い方について
学研教室の「先生」(指導者)約200人でつくる労働組合が、会社から団体交渉を拒否されているとして、東京都労働委員会に救済を申し立て、12月13日、記者会見を開き公表した(申し立ては11月29日付)。貴社は全国に8千ある教室の一部でのことで、指導者を代表するものでない、あるいは個人事業主は労働者ではないとして団交を拒否してきたようだ。私たちも、かつて株主総会で学研教室の高いロイヤルティー等を問題として、質問してきた経過がある。組合結成にまで至った現在、貴社経営の向き合い方が問われている。見解を示されたい。
7、東京ふじせ企画労組に対する会社倒産・全員解雇攻撃の責任について
争議解決への貴社の方針の如何を問う。東京ふじせ企画破産管財人が提訴した損害賠償訴訟でも貴社が、東京ふじせ企画労組を解散に追い込む目的で業務を引き上げ、会社を倒産させたことが明確に認定されており、当時の全学研労組との争議時代から真相を知る大橋監査役も責任を認めた。長期間にわたり争議を抱えていることは重大な経営責任として問われることであり、総会の目的事項でないはずがない。都労委命令〜最高裁までの行政訴訟の判決で貴社の東京ふじせ労働者への使用者性が否定されたことは争議責任を免罪する根拠にならない。責任を認めるべきだ。
11・26争団連統一行動・南部集中闘争
学研社前闘争を打ち抜く!

不当判決を批判したニュース記事への新たな損賠提訴
「新新損賠」控訴審、人証申請却下し結審、を糾弾!
 損賠不当判決と連続訴訟攻撃との攻防の1年となっている学研・ふじせ闘争につき、11月26日、争団連統一行動、南部交流会集中闘争が打ち抜かれました。
学研経営、決算説明会の日程を秘匿し、前日に移して開催し後に発表
 まず、午前11時から学研社前行動を開始し、社前座り込み抗議とマイク情宣、ビラ配布を行いました。会社は、毎年11月の最終金曜日にアナリスト向けに「決算説明会」を開催して経営戦略を投資家に説明する場を設けていましたが、この日に統一行動が設定されていることを知ってか、前日の25日に変更して説明会を開催、27日になってから学研HDのウェブサイトで事後報告をしました。

多くの仲間が結集し、熱気ある昼集会を開催
 12時から昼集会を開始、シュプレヒコールを上げた後、ふじせ労組当該から経過報告が行われました。3・29判決となった新新損賠は2019年の提訴自体が無理筋の訴訟でその段階から裁判所申し入れもしてきたが、地裁民事49部松本真裁判長は55万円の損賠金支払いとネット記事の削除を命じる極めて悪質な判決を出してきたこと、そして判決取り消しを求めた控訴審では、この10月、人証申請も却下し1回で結審、年末に判決となったこと、さらにこの一審不当判決を批判した組合のニュース記事へ新たに損賠攻撃が仕掛けられているのは言論そのものを禁圧するものであること、こんな訴訟で争議圧殺を図る学研は、社内でも事業会社3社の統合に伴う大リストラを学研労働者に仕掛けようとしており、12・23控訴審判決を迎え撃ち、12・24株主総会闘争を闘っていくこと、関生ーサンケン刑事弾圧や25日の九州虹ケ丘損賠不当判決等を共に跳ね返し闘うとの決意が語られた。
連帯挨拶は、激化する治安法攻撃と闘う共同行動、解雇自由化・裁量労働拡大等との闘いを展開している労働法連絡会、労務管理事務所での不当解雇と闘うユニオンNo6、韓国進出企業の子会社解散・解雇と闘うサンケン闘争を支援する会、の各団体からいただいた。続いて争団連から、この日の統一行動にあたっての争団連の現状報告が行われ、南部労組福祉協会から南部交流会を代表して自らの職場と労働委員会闘争の報告とふじせ闘争勝利へ地域から闘うとの発言、ふじせ闘争支援共闘会議から争議・労働者を取り巻く攻撃状況に抗して闘う決意表明を受けました。力強いシュプレヒコールと争団連からのまとめの挨拶が行われて、闘争を終了しました。
12・23「新新損賠」高裁、不当な控訴棄却判決
 今年3月に東京地裁で不当判決が出された「新新損賠」事件の控訴審の判決が12月23日に出 されました。石井浩裁判長は控訴棄却との主文を読み上げると、傍聴席からの抗議の声を浴び、逃げるように退廷していきました。わずか6頁の薄っぺらな判決文で「当裁判所の判断」はわずか1頁半、保護されるべき労働組合活動や違法性阻却に関して、学研HDに使用者性が認められない以上、・・団交を申し入れる権利を有しないのであるから、・・学研・ふじせ争議を解決することを目的とする活動の一環として行われた本件各表現行為が正当な組合活動又は争議行為に当たると解する余地はない」などと完全に間違った判断を下しているだけのお粗末な判決文です。仮に使用者性が無くとも、倒産攻撃を仕掛けた学研の争議責任は使用者性の範疇を超えて問われ得るものであることは背景資本追及などを展開し争議責任を取らせてきた労働運動の歴史が明らかにしており、あまりにも無知な近年の裁判官たちに対して、かみ砕いて理解できるように書面で主張し、組合側は東映・ジャパマー争議の当該を証人として申請もしたにもかかわらず、人証を一切認めず、たった1回で結審させ、恥ずべき判決を出してきたのです。 ココファンまちだ鶴川で起きた殺人事件に対して記者会見も開かない学研の姿勢に疑義を呈した福祉団体のブログ記事を書き込みも含めて紹介し、株主総会で見解を求めたことが「引用という形を取って学研の社会的信用を低下させるもの」などと認定した一審判決(松本真裁判長)の歪んだ認定が名誉毀損訴訟の核心的争点だったのに、これには一切触れていません。ふじせ争議の正当性を否定するのがこのかんの裁判所の常套手段ですが、それが誤りである明確な事実を指摘しても、見て見ぬふりをし続け、理屈抜きで学研経営に加担する裁判所の腐敗ぶりは深刻です。許さずに闘っていきます。