「新新損賠」控訴審 人証申請却下し、一回で結審
実質「一審制」と堕している裁判制度、高裁次回判決
 私たちが「新新損賠」と名づけてきた学研ココファン関連第3次損賠請求訴訟の控訴審が、10月12日にありました。今年3月29日に出された一審の東京地裁判決は、学研経営側の訴状を丸写しするなどして、2018年12月の株主総会時に発刊した組合のニュース記事が名誉毀損だと認定し、55万円の損賠金支払い(原告請求は1650万円)とネット記事の削除を命じる著しく不当な判決でした。福祉団体のブログ記事とブログへの書き込みの存在を紹介し、学研がこれに対応し株主総会で株主の前で回答すべきであると指摘したこと、総会でふじせ労組株主への誹謗・中傷を行っている株主の役割を批判したことの2点が「名誉毀損」などとされることは信じがたい話です。
 私たちは控訴審で、きちんと審理をやり直し、「(ブログ記事の)引用という形をとって原告の社会的評価を低下させるもの」等の歪曲した認定を改め、公正な判決を求める立場から、「控訴理由書」を提出し、新たに証人(元ジャパマーハイツ労組当該)の申請を求めました。元ジャパマーの関根さんからは、学研の使用者性が裁判で否定されても、倒産攻撃の責任を追及するふじせ争議の正当性が失われるわけではないことを、東映が使用者性を否定しながらジャパマー争議を雇用保障で解決したこと、株主総会闘争での責任追及が有効であったこと、学研の株主総会に参加して経営陣に「東映のように争議を解決してはどうか」と進言したが、遠藤社長らの対応は不誠実で、不当な総会運営が行われていること、等を陳述書で述べ、証言を予定していました。また、数多くの株主総会に関わり、労働組合が株主総会で株主権を行使することの意義とこれに対抗して会社側が株主にやらせの発言を行わせる「常套手段」の実態・不当性を論じてくださった萩尾健太弁護士の意見書の提出も行いました。
 しかし、東京高裁民事14部は、これらを無視し、審理を打ち切り、12月23日に判決を出すと述べて閉廷してしまいました。「ちゃんと審理を行え」と傍聴席からも抗議の声が上がりましたが、裁判長は逃げるように法廷から去っていきました。高裁は審理をしなくてよいかのような姿勢で、さらに最高裁は判で押したように上告不受理、いまや日本の裁判制度は事実上一審制にと堕しているのです。
 せっかく書いていただいた意見書ですので、学研関連の皆さんにも読んでいただきたいと考え、掲載します。
            鑑 定 意 見 書
                                        弁護士 萩 尾  健 太
 当職は、控訴人らの代理人弁護士より、本件に関して株主総会闘争についての鑑定意見の依頼を受けたので、以下の通り意見を述べる。
第1 当職の立場
今般、労働組合員(支援者も含む)が、争議解決のために、相手方の株主総会に株主として出席し、意見を述べること等(「株主総会闘争」)についての鑑定意見の依頼を受けた。
当職は、国鉄の分割民営化に際して国鉄を承継した国鉄清算事業団より解雇された国鉄労働組合の組合員らが、JR各社相手の不当労働行為救済命令に関する行政訴訟が、JR各社には使用者性なしとして敗訴した後、国鉄清算事業団を承継した鉄道建設公団を相手に提訴した鉄建公団訴訟(2015年9月15日東京地方裁判所判決)の原告団の代理人あった。同訴訟の相手ではないが雇用を求めていた北海道旅客鉄道株式会社等に強い影響力を持っていた東日本旅客鉄道株式会社の株主総会に、被解雇当該および支援者(多い時には100名以上)とともに株主として2007年以降2014年頃まで出席して、JRグループや東日本旅客鉄道株式会社の経営の適正化を求めてきた。
 また、2010年末に解雇された日本航空の客室乗務員とパイロットら202名が解雇撤回を求める争議を継続しており、支援者を含めて数十名が毎年の株主総会にも株主として出席して意見を述べているが、当職も、近年は株主として出席している。
 さらに、1994年に日本工業新聞社から解雇された同社記者であった松沢弘氏は、それを不当労働行為であるとして所属する反リストラ産経労として都労委に救済申し立てをするとともに、東京地方裁判所に地位確認訴訟も提訴し、一審では解雇無効が認定されて勝訴したが、東京高等裁判所で逆転敗訴した。その影響と思われるが、都労委・中労委で不当労働行為救済申立ても棄却され、行政訴訟も敗訴したが、松沢弘氏は、日本工業新聞社を株で支配する関係にあったフジメディアホールディングスの株主として、組合員・支援者とともに株主総会に出席し続けてきた。当職は、株主総会の不当な運営に関する株主総会決議取消訴訟の原告株主代理人として訴訟を追行した経験がある。
 このような経験を踏まえ、弁護士としての法的解釈に基づく意見を述べる。

第2 依頼事項への回答
 1 株主総会闘争の必要性・意義について
株式会社は、株式を発行して広く出資を募りそれを資本として経営し利益を挙げることを目的とする社団法人である。
出資者は会社債権者に責任を負わないが、会社の運営を支配し、会社の活動によって生じる利益の帰属者となる、という意味で会社の所有者とされている。
そのことにより、株主の権利は、自益権と共益権に分類される。自益権は、会社から直接経済的な利益を受けることを目的とする権利であり、利益配当請求権と残保財産分配請求権とが中心である。共益権は、会社の経営に参与することを目的とする権利であり、株主総会における議決権が中心だが、少数株主提案権や、株主総会決議取消訴権、株主代表訴訟訴権、取締役等の違法行為の差止請求権などのように会社の運営を監督是正する権利が含まれる。
 株主総会は、株主が議決権等の権利を行使して、株主の総意によって会社の意思を決定する機関である。よって、議決権行使のために株主総会に出席することが補償されるべきは当然である。さらに、会議体で意思決定をする以上、議論を行って意思形成をすることが前提であり、そのための質問を行い関連して意見を述べることが最大限尊重されるべきことは当然である。
 ただし、依頼事項は、労働組合員(支援者も含む)が、争議解決のために、相手方使用者の株主総会に株主として出席し、意見を述べること等(「株主総会闘争」)の意義というものであるから、その点について考察する。
まず、争議が会社の運営に関わって生じている場合、争議解決は、会社の運営を監督是正することになるから、争議解決を求めることは、共益権の内容たる会社の運営を監督是正する権利の一環であることが明らかである。
また、争議には会社も一定の労力を割き弁護士費用を含めて支出をせざるを得ない以上、争議解決をすれば、会社が他に利益を投資し、ひいては株主に配当する余地が生じるのであって、株主の自益権にも資する。この観点から、争議解決については株主総会で議論されるべき事項であり、争議の実情を最もよく知る労働組合員である株主が争議解決のために株主総会に出席し、意見を述べることは十分に意義のあることである。
 この点の実例としては、前述した日本航空について、地位確認訴訟は既に2015年2月4日および5日に労働者側敗訴が最高裁決定により確定しているが、2018年6月19日の株主総会では、山口乗員原告団長の発言に対して植木会長が「ご意見を尊重して解雇争議の解決に向け、組合とも誠心誠意話し合う」と答弁した。この発言をてこに、争議解決に向けての協議が行われてきた。関連会社や地上職の職員としての雇用の提案もなされたが、争議団としては不服として協議を断続的に続けている。
 2 株主総会闘争の労働組合法上の正当性について
上記の通り、株主総会闘争は株主としての権利行使であるが、それが労働組合の活動として行われる場合、さらに憲法28条が保障する団結権・団体行動権の行使でもあると捉えられるべきである。
労働組合の団結の目的は、「労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ること」であるから(労働組合法2条)、その目的を達成するのに必要な諸々の活動の保障が、憲法28条に内包されていると言うべきである。
 「組合活動のうち、労働組合の日常的な活動を越えて、使用者への圧力や第三者へのアピールを目的としてなされる積極的な行動は、団結権よりも団体行動権によって保障されると解するのが自然であろう」(西谷敏「労働組合法」3版233頁)。
 それに対して、使用者は受忍義務を負っているというのが憲法28条の帰結である。
本件では、株主総会を開催している相手方が使用者そのものではないとされている点が問題となるが、上記の通り、第三者へのアピールも労働組合活動の範疇である。さらに、上記の労働組合の目的からすれば、資本関係により使用者を支配していたなど「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ること」に事実上関与し得る相手であれば、使用者に準じる労働組合活動の相手方として捉えるべきである。
前述した、労働者の解雇有効が判決で確定した日本航空にも、解雇された国労組合員らの使用者ではないとの判決が確定していた東日本旅客鉄道株式会社にも、株主総会闘争がその正当性を明確に否定されたことは無い。
 よって、そうした労働者の経済的地位の向上に関し、公然と会社の運営是正の要求として行っているならば、株主総会闘争は、労働組合活動(支援者はこれを支援する立場)および株主権の行使として正当性を有すると言うべきである。
 3 株主総会闘争を巡るビラ配り・インターネット掲載等の必要性・意義
 労働組合(員)・支援団体(者)らが、株主総会闘争を巡って、ビラ配り・インターネット上への記事の掲載等の情報宣伝活動(以下「情宣活動」)を行うことの必要性・意義については以下のように考えられる。
 株主総会で発言する権利は保障されてしかるべきであるが、発言者を指名する権限、質疑を打ち切る権限は議長(通常は社長がなることが定款に定められている)にあり、労働組合員や支援者らが指名されないまま質疑が打ち切られることも多い。
 また、指名されたとしてもごく少人数で、他のテーマの質疑に打ち消されてしまうことが通常である。
 そのため、株主である労働組合員や支援者らは事前質問を提出することがあるが、これにも回答がない場合がある。
 それでは、実質的に株主の議決権を始めとした共益権が保障されているとは言えない。そこで、会社の運営を監督是正する権利の行使として、株主総会の直前等の株主等に対するビラ配りや、広く公衆に対するインターネット上の記事の掲載には、必要性も意義もあるものと言える。
 現在も、インターネットを検索すれば、少なくない企業に対する株主総会闘争(電力会社に対する原発反対など市民運動によるものもある)の記事を見ることができる。 
 4 株主総会闘争に関する情宣活動の憲法21条および憲法28条上の位置づ
 前述の通り、労働組合の目的からすれば、資本関係により支配しているなど「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ること」に事実上関与し得る相手であれば、使用者に準じる労働組合活動の相手方として捉えるべきである。
 そこで、依頼事項を使用者の経営・労務政策への批判の言動と捉えると、それは「労働組合・労働者による表現の自由の行使であり、さらに団結権・団体行動権の行使でもあるという重層構造において把握する必要がある」(西谷敏「労働組合法」第3版263頁。)。
 これが株主総会闘争である場合、株主権の行使、という点で三層構造で保護されなければならないのである。
使用者に対する批判的言動の組合活動としての保障に関する優れた解明が西谷敏「労働組合法」第3版同箇所以下でなされているので、以下、同書を全面的に引用する
 「一般に、表現の自由は現行法体系上極めて高い価値を与えられるべきものであるが、それは単に国家との関係においてのみならず、私人間、とくに労働者と使用者との間においても十分な尊重を必要とする。なぜなら、労働者にとって、優越的地位にある使用者に対する批判的言論は、国家権力批判の言論よりも重要な意義を持つ場合が多く、それ故にまた、労働者の言論は使用者によっても強く抑圧されてきた歴史を持つからである。ワイマール憲法118条1項が、言論の事由の宣言に続けて『いかなる労働関係、職員関係もこの権利の行使を妨げてはならず、何人も、この権利の行使を理由として他人を不利益に扱ってはならない』との規程を設けたのは、まさに、労働者の言論の自由を使用者との関係においても保障することの重要性を認識したからにほかならない。」
「組合活動として行われる使用者批判の活動は、同時に憲法28条の団結権の行使たる性格をもっており、それに対して使用者は受忍義務を負っていることが考慮されねばならない。」
 「労働者の経済的地位の向上や労働組合の強化という目的は『公共の利益』に該当すると考えられる」。
「労働者・労働組合の言動が企業の犯罪行為や反社会的行為に対する内部告発の意味を持つ場合には、特に強く保護される必要がある。2006年4月に施行された公益通報者保護法も、労働者の内部告発行為に対する解雇などの不利益取扱の禁止を明記することによって、そうした行為を奨励しようとするものである。
 したがって、批判活動の正当性の評価にあたって最も重視されるべきは、批判内容の真実性である。しかも、労働組合の言論活動に学術論文のような厳密さを要求すべきではないから、真実性の判断に際しては、配布文書の片言隻句に拘泥する態度をとるべきではなく、全体として真実性が認められれば良いとすべきである(エイアイジー・スター生命事件・東京地判平17・3・29労判894号54頁など)。また、宣伝ビラにあっては、事実を紹介・伝達する部分とそれに対する批判の部分とを区別すべきであって、批判にあたって誇大な表現が用いられても、そのことと真実性を混同してはならない。
 さらに、仮に労働組合・組合員の言論活動の内容に事実の誤りが含まれていたとしても、使用者が反論可能性を持つ限り、性急に組合活動の正当性を否定すべきではない。使用者は通常、労働組合よりもはるかに強力な宣伝手段を持っており、労働組合による批判に対して使用者が本来とるべき対抗手段は、言論による反論である。そうした反論が可能であるにも関わらず、批判的言論活動を行った労働組合や組合員に直ちに制裁を加えるのは、アンフェアとのそしりを免れないであろう。
 労働者・労働組合による批判活動の正当性は、以上の意味での表現の真実性、反論可能性を中心として、表現方法の限界を逸脱していないかどうか、それが企業に及ぼした影響、そうした表現活動に至った経緯(使用者の不当労働行為など)等を加味して判断されるべきである。」
 5 「さくら株主」について
 当職が、本件に関して特に触れておきたいのは「さくら株主」という表現が名誉棄損表現とされていることである。
 しかし、以下に述べるように、企業が株主総会において「さくら株主」を用意してやらせ質問をさせることはよくある総会運営手法であることは経験則上認められる。
 従って、少なくとも、真実と信じるについての相当性が認められるべきと考える。
 前述した、フジメディアホールディングス相手の株主総会決議取消訴訟東京地裁各判決(2014年総会に対す るもの:2016年12月15日判決、2015年総会に対するもの:2017年2月23日判決)では、いずれも従業員株主による「やらせ質問」(本件における「さくら株主」に相当する)が認定されている。すなわち、2年連続で「さくら株主」が仕込まれていたのである。
 2016年12月15日判決は、資料版商事法務397号66頁、金融・商事判例1517号38頁に掲載され、以下の雑誌で評釈が記載され、従来行われてきた「やらせ質問」への注意が喚起されていたと記憶している。
 弥永真生・ジュリスト1506号2〜3頁2017年5月
   大塚和成・銀行法務2161巻10号68頁2017年9月
   鳥山恭一・法学セミナー62巻10号119頁2017年10月
   米山毅一郎・金融・商事判例1539号2〜7頁2018年4月15日
 該当判示は以下のとおりである。
「前記前提事実及び認定事実によれば、Q総務部長は、リハーサルに参加して質問をする株主役を務める従業員株主に対し、あらかじめ質問事項を記載した書面を交付するとともに、リハーサル終了後、本件株主総会への出席を依頼し、リハーサル時における質問と同様のものでも差し支えないのでできれば質問をするよう依頼したこと、Q総務部長は、被告の総務局総務部長であり、株主総会の際の現場を統括する地位にあったことが認められ、これらの事情によれば、Q総務部長がした本件株主総会への出席及び質問の依頼は、従業員株主に対する業務命令に当たるということはできないにせよ、同従業員株主に対し、本件株主総会に出席して、リハーサル時と同旨ないし類似の質問をすることを相当程度促す効果を有するものであったというべきである。
 そして、一般に、上場会社の株主総会において、会社が従業員である株主に対し、会社自ら準備した質問をするよう促し、実際にも従業員株主が自らの意思とは無関係に当該質問をして会社がこれに応答した場合には、当該質疑応答に相応の時間を費やすことになり、その分、一般株主の質疑応答に充てられる時間が減少し、質問又は意見を述べることを求めていた一般株主がそれを行うことができなくなるおそれがあるというべきであって、このような事態が生じることは、従業員株主もまた株主であることを考慮しても、多数の一般株主を有する上場会社における適切な株主総会の議事運営とは言い難いものというべきである。
 したがって、本件において、現場で本件株主総会を統括する地位にあるQ総務部長が上記のような依頼をすること自体、株主総会の議事運営の在り方として疑義がないとはいえないものといわざるを得ない。」
明治乳業争議団のブログには、2017年の記事として以下の記載がある。
「2017年6月29日、明治HD第8回株主総会開催されましたが、圧倒的社員・OB株主が参加の総会でした。
いつもの総会運営のことですが、質問者も事前に指定された株主が指名され、答える役員も事務局から事前に手渡されている文章を読み切る質疑に終始、俗に、シャンシャン手拍子で議事進行させるたぐいで、新鮮みの欠ける総会の印象を強くしました。」
 6 まとめ
以上に基づき、株主総会闘争の意義と正当性および情宣活動による名誉棄損の成否について、原判決は見直されるべきと考える。
                                                      以 上

10・1 判決批判記事への新損賠 第1回口頭弁論
 3月の「新新損賠」不当判決を批判した組合のニュース記事に対して、さらに学研経営が、これを「名誉毀損」などとして330万円の損賠金支払いとネット記事削除を請求する訴訟を仕掛けてきた新事件の第1回口頭弁論が開かれました。
 原告=学研HDの訴状と組合側からの答弁書を確認、次回=11月8日11:30〜(421号法廷)までに組合側答弁書への会社側の反論を提出することが確認されました。
9・27学研社前行動 
 9月27日、秋季第1波の学研社前行動を展開しました。7時30分から社前で横断幕・旗の設営を行い、学研の新たな訴訟攻撃を糾弾する記事等を掲載した組合のニュースをを配布しました。

 はりつき行動に移った直後に宮原社長の乗った車が出社してきました。この日は、10時30分までの社前座り込み抗議行動を打ち抜きました。

<学研・ふじせ闘争とは>
1977年12月、学研の下請編集プロダクション「東京ふじせ企画」に勤め、「○年の科学」「マイコーチ」などの編集業務を行っていた私たちが無給長時間残業・低賃金などの超劣悪な労働条件の改善のために組合を結成すると、わずか一週間後、学研は私たち35名に行わせていた業務の一切を引き上げ、会社を倒産させて全員の首を切りました。これ以前に本社では、全学研労組結成への14名の解雇・賃金差別、管理職らを総動員した吊し上げや集団暴行等で73年〜92年まで争議が続きました。結成直後から労組員に仕事干しを行い、スト対策のために労組員から取り上げた業務を下請化した会社がふじせ企画で、そこに組合ができたことに焦っての暴挙です。下請けの経営者も後に「組合潰しは学研の指揮・命令」と事実を明かしています。1985年には東京地裁が「組合を解散に追い込む目的で学研が業務を引き上げた」との事実を認定、学研の実質的使用者実態も認める損害賠償判決を出しました。             学研経営が唯一、居直りの口実にしているのが、学研の使用者性を認定しなかった87年の労働委員会の命令です(後に行政訴訟で確定)。「労働者派遣法」が1985年に制定された流れで出されたものです。直接の雇用者と派遣先経営者を分離して、派遣先の使用者責任を免罪する悪法が親会社や派遣先の労働者使い捨てと今日の派遣切りを生み出しました。その流れで出された都労委不当命令は、組合潰しの業務引き上げ等の事実認定の中でも学研が主導した部分を意図的に削除し、下請経営者がやったことに書き換えて、「使用者でない学研が何をしたかは認定する必要がない」と言っているひどいものです。学研が下請会社を倒産させた事実は明らかで、労働者を解雇状態に追い込み、生活を奪った責任は重大です。
 争議解決のための話し合いを拒んで居直るばかりか、最近は組合のニュース記事に対して損害賠償訴訟を濫発し、争議責任追及の活動を潰そうとする学研経営の対応は許しがたいものです。