学研経営、また新たな損賠攻撃 判決批判記事に
言論圧殺の度合い深める執拗な濫訴
 「新新損賠」=学研ココファン関連第3次損賠=1650万円支払いとネット記事削除請求事件は、2018年12月の株主総会での質問の一環として、この年9月に学研の高齢者施設ココファンまちだ鶴川で起きた殺人事件につき記者会見も開かない経営姿勢を疑問視していた福祉団体のブログ記事とブログへの書き込みの存在を指摘したこと、総会でふじせ労組株主への誹謗・中傷を行っている株主の役割を批判し掲載したこと、の2点を「名誉毀損だ」などとして学研が提訴したものですが、今年3月29日、東京地裁松本真裁判長は、経営側の訴状を丸写しした「(ブログ記事の)引用という形をとって原告の社会的評価を低下させるもの」等の歪曲した判断を下して名誉毀損だと認定、55万円の損賠金支払いとネット記事の削除を命じる極めて悪質な判決を出しました。
不当判決を報じたら「名誉毀損」!? 増長する学研経営の損賠攻撃
 判決の翌々日の3月31日に組合は、本紙で、この判決がいかに間違っているかを、組合側が裁判で立証してきた経過も述べて報告し、批判の記事を載せました。
 すると、これをなんと学研経営は「名誉毀損」などとして330万円の損賠金支払いとネット記事削除を請求する訴訟を仕掛けてきたのです。8月に入って届いた訴状によると、組合の記事の中の、「明らかに学研経営がふじせ側の株主を誹謗する事のみを目的とした発言を一部株主に行わせている事実」、「総会でされたサクラと思われる株主の発言の内容を前後の状況含めて明らかにしました」との記載が名誉毀損とされています。これを論評すると、学研経営はまた喜々としてさらに損賠を仕掛けてくるので、この記述が裁判の争点となって、今後の法廷で双方の主張が展開される、という報告のみにとどめておきます。しかし、このような訴訟が認められるなら、裁判所の不当判決を批判すること自体が不利益を招き、判決批判を封じる言論弾圧として機能してしまうことになります。不当判決に増長して悪質な濫訴攻撃を執拗に仕掛けてきている学研経営には願ったりのことです。却下すべき訴訟提起です。
9・13全国結集行動で裁判所に抗議!  
 9月13日には全国争議団結集行動で裁判所への抗議行動が行われました。
民事弾圧をめぐっては2011年から、経営側からの仮処分・間接強制・損賠攻撃に加担し、不当判決・決定を濫発している裁判所への抗議・申入れ、300団体を越える署名提出行動を行ってきましたが、裁判所は不当な姿勢を改めようとしていません。この10年間の中で労働基本権を否定し、現場で闘う団体行動を違法・不法扱いする傾向を一層強め、労働法も知らないような裁判官たちにより司法の著しい劣化を体現する訴訟進行と不当判決がさらに増え、酷くなっています。関西生コン闘争への「威力業務妨害・恐喝」等をでっち上げての逮捕起訴を容認し、長期拘留・有罪判決、組合員同士の接触を禁止する保釈条件を課す、サンケン弾圧でもありもしない「暴行・威力業務妨害」での逮捕・起訴、保釈申請却下し長期拘留を認めるなど、刑事弾圧でも裁判所が許しがたい役割を担ってい


ます。
 この日の行動では学研・ふじせ闘争へ新新損賠不当判決を出した民事49部や大道測量闘争に不当決定を出した地裁立川支部を管轄している東京地裁総務課、利久庵闘争の地位確認訴訟及び行政訴訟で不当判決を出した東京高裁への抗議・申し入れを行いました。 その後、裁判所前の集会を開催、関西から港合同南労会支部、九州から福岡グリーンコープ自立労組、聖火リレー抗議弾圧救対、破防法・組対法に反対する共同行動からの発言、争団連からのまとめの発言を受け、裁判所への抗議のシュプレヒコールをあげて統一行動を打ち抜きました。
 学研・ふじせ闘争では以下の裁判日程が入っています。
10月 1日(金)16:00〜東京地裁421号 株主批判への新損賠第1回口頭弁論
10月12日(火)11:00〜東京高裁824号 「新新損賠」控訴審第1回口頭弁論

7・30学研社前行動 

 8月は本紙を発刊しなかったのでだいぶさかのぼって7月30日の行動報告になります。
7時45分頃、出社してきた小早川常務(学研ココファンHD会長)へ、同じく8時30分頃に到着した宮原社長の乗った車に抗議の声をあげました。この日は本社でコロナワクチンの職域接種があり、学研グループからも多数来社、会社の「ビラ受け取り禁止」命令が本社ほど徹底しておらず、受け取る労働者もいつも以上となり、マイクでの訴え、座りこみ行動と合わせ、有効な社前行動を展開することができました。

南部労組第28回定期大会を開催
 8月28日(土)、南部労政会館で東京南部労働者組合第28回定期大会が開催されました。本人出席と委任状の総数で大会の成立を確認し、この1年の闘いの経過や組織強化、連帯・共闘を中心に報告と討議が行われました。駅頭情宣のチラシや新リーフレットの刷新、ネットの活用、労働者を取り巻く状況、相談活動などが中心的に話合われました。争団連、連帯労組、中部労組、西部共闘、ブリタニカ分会、から連帯の発言、南部交流会からの連帯のメッセージもいただきました。
職場で困ったら相談を!一人でも入れる地域合同労組です。
東京南部労働者組合へ  southwind@mbr.nifty.com   080-3023-2375

労働法制の改悪・労働委員会の形骸化を許さない
解雇自由化、裁量労働制の拡大を御用学者の検討会で画策
厚生労働省では一昨年より解雇の金銭解決制度と裁量労働制対象拡大のための2つの「検討会」が開催されています。私たちは厚生労働省前で「検討をやめろ」との声を毎月上げ続けています。
 18年6月新設の「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」では、解雇無効でも経営者が現職復帰を拒否し、「労働契約解消金」=金銭で労働者を「救済」してやるなどという資本の労働者見下し姿勢の制度を作ろうとしているのです。
 18年9月には「裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」を設置して、裁量労働制対象拡大の検討を始めました。許すことはできません!裁量労働制は労働者がいくら働いても残業代を上乗せする必要がありません。政府は営業職への対象拡大を狙っていますが、全産業で営業職は342万人に上り、多くの労働者が「定額残業代」で働かされる危険があります。過労死長時間労働を促進する裁量労働制の拡大を阻止しましょう。
7・30都労委交渉で追及
近年、労働組合の救済機関としての性格を形骸化させ、「団結解体機関化」が問題になっている労働委員会制度ですが、7月30日、東京都労働委員会との交渉を行いました。@審査指揮が公正・適切に為されているかどうか?については、こちらから具体的な事例として、1日で主尋問と反対尋問を済ませてしまう拙速審理が多くなっていることをあげ、追及しました。都労委事務局側は、間を置かずに集中審理を行った方が、争点に即して審査が行え、早期に結論を出せる、との考えを示しましたが、これは違います。不利な事実を秘匿したがり、労働者側より圧倒的に情報を有している経営側に対して、後日に審問までに疑わしかったり、問題ある証言について調査したり、新たな事実の掘り出し等によって反対尋問を有効に行えてきました。これを同日の証言に変えることで不利益を被るのは労働側です。以上を指摘し、迅速処理、効率化の名目での拙速審問の問題性につき抗議しました。A最近の救済命令の実態については、この1年で79件のうち23件の命令、24件の和解終結があり、和解の数としては最低の水準とのこと。
B和解・解決の内容を口外禁止にする第三者非開示条項についても、継続して追及してきていますが、都労委はこの条項の問題性に無自覚なままです。「あくまで労使双方の合意に基づくもの」「労働者側に働きかけてはいない」等の回答が続きましたが、南部労組福祉協会の仲間が昨年の和解で、この条項は絶対に認めないと事前に釘を刺していたのに、事務局作成の和解協定案にこれが挿入されていた事実を指摘し、労働組合の闘いの成果である和解内容を多くの労働者と共有することを労働委員会が妨げるとは何事か、広く社会的に公開する責任もあると追及しました。団結権の拡大を阻むこの条項を都労委での協定書に入れること自体があってはならないこと、と抗議しました。
C審問抜き結審の実態について、今期は、23件の命令のうち、5件が審問を行わず出された。双方が早期命令を望むなどの件もあり、例年より多かった、とのことでした。
D審問および調査における人数制限と審問の「オンライン傍聴」について
 争団連関係では東邦エンタプライズ闘争の審問をめぐって不当な傍聴制限が行われ、抗議・申入れが行われてきました。この日の森永課長の説明では、「審問の公開とコロナ対策をめぐって、4月〜5月の2回の公益委員総会で整理した。公益委員から、傍聴人数を増やせないか、という意見も出たが、参加者の距離を取る必要から都の基準として総計21人というのは変更無し、となった。オンライン傍聴は、この人数の制約を補う苦肉の策であり、ご理解いただきたい」との内容でした。これに対しては、「オンライン」は傍聴ではない。審問室内で労働者が証言を傍らで聴くのが傍聴、別室では「視聴」に過ぎない、都の何処でこのような制限の基準を決めているのか、等の抗議・追及が行われました。しかし、事務局の対応は頑なで変わりませんでした。「傍聴の意味を受けとめ、現場での裁量で柔軟な対応を求めたい。内部での議論の経過を報告してもらえたのは結構だったが、内容が到底納得できない都労委の姿勢には、改めて質問・申入書を提起することもある」と伝え、継続を確認して、2時間にわたる交渉を終えました。

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│ <学研・ふじせ闘争とは> │
│ 1977年12月、学研の下請編集プロダクション「東京ふじせ企画」に勤め、「○年の
│科学」「マイコーチ」などの編集業務を行っていた私たちが無給長時間残業・低賃金
│などの超劣悪な労働条件の改善のために組合を結成すると、わずか一週間後、学研は
│私たち35名に行わせていた業務の一切を引き上げ、会社を倒産させて全員の首を切
│りました。これ以前に本社では、全学研労組結成への14名の解雇・賃金差別、管理職
│らを総動員した吊し上げや集団暴行等で73年〜92年まで争議が続きました。結成直後
│から労組員に仕事干しを行い、スト対策のために労組員から取り上げた業務を下請化し
│た会社がふじせ企画で、そこに組合ができたことに焦っての暴挙です。下請けの経営者
│も後に「組合潰しは学研の指揮・命令」と事実を明かしています。1985年には東京地
│裁が「組合を解散に追い込む目的で学研が業務を引き上げた」との事実を認定、学研
│の実質的使用者実態も認める損害賠償判決を出しました。            
│ 学研経営が唯一、居直りの口実にしているのが、学研の使用者性を認定しなかった
│87年の労働委員会の命令です(後に行政訴訟で確定)。「労働者派遣法」が1985
│年に制定された流れで出されたものです。直接の雇用者と派遣先経営者を分離して、
│派遣先の使用者責任を免罪する悪法が親会社や派遣先の労働者使い捨てと今日の派遣
│切りを生み出しました。その流れで出された都労委不当命令は、組合潰しの業務引き
│上げ等の事実認定の中でも学研が主導した部分を意図的に削除し、下請経営者がやっ
│たことに書き換えて、「使用者でない学研が何をしたかは認定する必要がない」と言
│っているひどいものです。学研が下請会社を倒産させた事実は明らかで、労働者を解
│雇状態に追い込み、生活を奪った責任は重大です。
│ 争議解決のための話し合いを拒んで居直るばかりか、最近は組合のニュース記事に
│対して損害賠償訴訟を濫発し、争議責任追及の活動を潰そうとする学研経営の対応は
│許しがたいものです。 │
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