学研経営、倒産・解雇仕掛けた労働者に
今度は自宅住居を差し押さえる悪辣さ!
悪質弁護士事務所を使い強制競売。間接強制も
 高齢者福祉施設ココファンあすみが丘の居住者の待遇改善を求める声を組合ニュースに掲載したことに対し、2013年に学研ホールディングスと事業会社学研ココファンが仕掛けてきた1320万円の損害賠償とウエブサイトに転載した記事の削除を請求する訴訟の判決が2月3日の最高裁棄却決定で確定しました(賠償金は学研HDに33万円、学研ココファンに66万円支払いの判決。この原審判決のデタラメさ、労働基本権を裁判所の権限を逸脱して全面否定した違憲判決の実態については本紙2016年9月28日号、最高裁決定批判については先月号掲載)。
ネット記事の削除を求める間接強制申請(3/3)
 最高裁確定を受けて学研は、まず「名誉毀損に該当する」ネット記事の削除を求める間接強制(ネット掲載1日につき10万円の支払い)を申請、地裁民事21部は3月25日までに反論を出せとして書面審尋の送達を行ってきました(3月16日)。組合側は、反論書で抗議、違憲の最高裁決定を根拠とした申請の不当性につき主張を展開しました。
3・30間接強制決定送達 表現を絞殺する出版社=学研
 しかし、東京地裁民事21部は申請どおりの間接強制決定を3月30日送り付けてきました。翌日までの削除を命じるもので、やむなく対象のネット記事は削除。第一次の攻撃である2013年末から14年年頭にかけての仮処分・間接強制決定で伏せ字にした部分の前後の記述で、今回で殆どが伏せ字となりました。過去の記事とは言え、居住者の切実な声を押し隠し圧殺する決定と、教育出版社を自認する学研が、まともな言論・表現を絞殺する民事弾圧を行っていることにに強い憤りを感じるものです。
学研ココファンが66万円の債権で居宅を差し押さえ!
 さらに学研は、昨年5月に仮執行付きの一審判決をもとに取り立てた学研HD分の33万円分の損害賠償金に続き、学研ココファン66万円分(遅延損害金を入れて約80万円)の債権を名目に、3月15日、組合員の住む居宅を差し押さえ、地裁民事21部から「強制競売開始決定」が送達されてきました(3/25)。学研は前回、学研HD分を差押えた三井住友銀行の口座から当該債権額を取り立てることが可能でした。それを行わず敢えて不動産執行を行ってきたのです。このような少額の債権で不動産を差し押さえることは通常なく、完全な嫌がらせです。学研の下請労組潰しを狙った倒産・解雇攻撃により、雇用を奪われ生活を破壊された労働者が、その責任を追及すると、今度は本人の自宅に差押え=強制競売攻撃を仕掛けてきているのです。
 学研経営と祝田(旧二重橋)法律事務所の悪質ぶりが極まっています。ココファン損賠の嫌がらせ訴訟を担っているこの法律事務所は、二重橋事務所を名乗っていた昨年2月、所長が新入の女性弁護士へのレイプ事件を起こして第二東京弁護士会から退会処分(弁護士資格停止、その後2年間停止に減免)を受けたり、利益相反を繰り返し問題になった事務所で、相次いで弁護士がやめ、この事件から辞任もしました。学研経営は株主総会での質問・追及にも生き残り組が運営する同事務所に「全幅の信頼を置いている」などと一体であることを自ら表明しています。
 組合・支援共は、学研ココファン側に、30日弁済は完了したので、不当な差押えを取り下げるように要求しました。嫌がらせ目的の学研がどう対応するか、この無理筋な差押えを続け、さらに醜悪な姿勢を世間に晒すのかが注目されます。
上告棄却決定許さず3・6最高裁前集会
 ふじせ闘争は昨年11月の最高裁への上告で、原審判決が労働基本権侵害、労働者の生存権否定を行った憲法違反などにつき、原判決の破棄を求めました。そして2月2日に「公正な判断を求める申し入れを2月10日に行いたい」旨伝え、アポ取りした直後の2月3日、最高裁第2小法廷は上告棄却、不受理決定を出してきました。それまでろくに審理もせず塩漬けにしていたが、申入れを求めたのを受けて、即出してきたものです。
 私たちは申し入れ予定日の2月10日に南部交流会集中闘争で最高裁に抗議申入書を受け取らせました。そして前日の全国争議団交流集会の成 功をかち取って集まった仲間による3月6日の全国結集行動

               3・6最高裁前で抗議集会
で最高裁前抗議集を74名の仲間の参加で開催、間接強制対策会議(連帯労組大道測量)、高裁不当判決に抗して闘っている関西単一労組大阪大学分会と中部労組富士屋闘争、前夜の集会でも特別アピールを受けた韓国のサンケン電気労組の仲間から連帯挨拶を受け、南部交流会、ふじせ支援共の決意表明、争議団連絡会議からの四現場行動全体のまとめの発言を受け、当該からのシュプレヒコールで、最高裁への糾弾行動を打ち抜きました。
 ふじせ闘争支援共闘会議の仲間からは次のような挨拶が行われ、集まった全都・全国そして海外の仲間から大きな拍手を受けました。
最高裁裁判官の名前を末永く記憶に留めよう
 全国から連日の結集、また本日は早朝からここまで長時間の行動参加ありがとう。
 まず、学研ココファン事件で不当な上告棄却決定を下した第2小法廷の裁判官、菅野
博之・小貫芳信・鬼丸かおる・山本庸幸に強く抗議する。この名を末永く記憶に留めよう。
 朝刊から「学研の高齢者住宅」の派手なチラシが出てきた。司法の不当な判断に助けられ、学研HDは居住者の声を圧殺したまま、“全国101棟4850室、高齢者住宅運営の信頼”などとキャッチコピーしている。しかし、長期争議の解決もせず、どんな「信頼」が築けるというのか。
憲法・労働三法等の形骸化を進めてきたのはどちらか
 この砦のような最高裁の中で、事務総局を中心として、裁判官の独立を有名無実にする司法官僚による全国支配が長く続けられてきた。彼らは、「ふじせ争議が裁判制度の基本的な機能を否定する」と言うが、労働基本権を無視して、憲法・労働三法等の形骸化を進めてきたのはどちらか。判決によって「争議は解決した」などと民事弾圧に加勢し、資本の意思を“忖度”する姿勢は許さない。
東京高裁川神裕裁判長の経歴と今回こしらえ上げた判決
 今回の棄却決定で確定した東京高裁の判決を出した裁判長・川神裕も事務総局付の判事補から上席調査官を経た超エリート判事だ。調査官というのは最高裁判事らのために事件の下調べをして実質的に判決内容を左右する役割を果たす。彼は裁判官としても東京、大阪、福岡といった大都市の地裁だけを担当して、東京高裁へとやって来た。この事件で、川神は冒頭から弁論期日を入れようとせず、ふじせ当該や弁護団が地裁判決の問題点を指摘し、審理継続を求めると、「あなた方のご意見を踏まえながら審理する」として結審を強行。
 その挙げ句、東京地裁(裁判長・吉田徹、左陪席・佐久間隆)の欠陥だらけの判決文をこと細かに修正・加筆して一層恐るべき反動判決を作りあげた。このような判決を認めれば、労働争議の最終的な解決権を裁判所に全てゆだねるに等しく、当事者間の交渉を第一義とすべきである争議解決の大前提も否定されてしまう。
不当判決をはね返して闘ってきた学研・ふじせ闘争
 損害賠償事件の請求の趣旨を大幅に逸脱した地裁・高裁判決+最高裁上告棄却の不当判断を許さず、私たちは争議責任を追及する。
 40年に迫るふじせ闘争には、労働委や裁判所によって、これまで十指に余る不当判断が重ねられてきたが、その都度多くの支援を得てはね返してきた。本争議の持つ意義が今日、ますます高まっているからこそ、労働法制の改悪のうねりと連動して、争議解体・非合法化の流れも強まるだろう。また、安倍政権が労働者の権利を守る「岩盤」を首相自らドリルとなって破壊するというなら、今日のような全国の闘う仲間の力で「岩盤」を強化し、ドリルの刃を壊すまでだ。

  3・5全国争議団交流集会を開催し
        
3・6全国結集行動を打ち抜く!
3・5目黒の会場で分科会・交流集会
 3月5日、第36回全国争議団交流集会が開催されました。午後1時から下目黒住区会議室での協賛団体会議に続き、分科会を開催。第1分科会「争議経験交流」では、中大生協闘争、ミッドランズ闘争、福岡合同ファビルス、あぱけん神戸の報告が行われました。第2分科会「争議非合法化に抗して」では、まず間接強制粉砕対策会議、破防法・組対法に反対する共同行動、地労委対策会議の3団体からの報告が行われました。民事弾圧については東京の各争議の報告に続き、関西地区生コン支部から、また新たに損賠攻撃がかけられた件などの報告もあり、活発な交流・討論が行われました。また、共謀罪の再上程の動きをめぐる緊迫の情勢と反対行動の提起も熱を持って行われました。第3分会「争議を辞さない合同労組運動」では、武蔵学園、東邦エンタープライズ、関西単一労組阪大分会、福岡合同ベルシステムからの報告を受け、討論・共有化がされました。

             3・5全国交流集会                          3・6全国結集行動

 夜6時からは会場を目黒中小企業センターに移し、医療観察法を許すなネットワーク、沖縄一坪反戦地主会関東ブロック、労働法連絡会、立川自衛隊監視テント村、から連帯挨拶を受け、3つの分会討論の報告、特別報告や緊急アピールとして、武蔵学園、東邦エンタープライズの職場の仲間、三多摩合同労組・多摩中央病院分会の雇用打ち切り、韓国サンケン電気労組の解雇撤回闘争、関西生コン支部からの民事弾圧との闘いなどにつき報告、行動・署名要請等が行われました。続いて、争団連から基調報告が提起され、東京、関西、九州の全国争議団が入れ替わりで登壇し、時間制限の中、各地からの盛りだくさんの報告がされ、大きな拍手がわきました。この後、九州・関西の仲間から「戦争・治安国家化」「労働法制改悪」に反対する集会決議文の読み上げがされ、採択されました。
 最後に、翌日の結集行動を予定している4団体(南部労組ミッドランズ、間接強制対策会議=大道測量、破防法・組対法に反対する共同行動、東京ふじせ企画労組)から決意表明が行われ、シュプレヒコールで締めくくりました(80名の結集でかち取られ、
2次会=懇親会も権之助坂の居酒屋に多くの仲間が残って参加、交流を深めました)。
3・6全国結集行動=ミッドランズ社前、東京地裁・高裁抗議、弁護士会館、最高裁の4現場を貫き打ち抜く!
 
3月6日には朝8時半からミッドランズ社前(62名結集)、東京地裁・高裁抗議(65名)、共謀罪反対弁護士会館前(86名)、ふじせ最高裁抗議(74名)の行動が、それぞれ内容的にも集中し、力強く打ち抜かれました。2日間の闘いは大成功でした。