続く学研市販雑誌部門のリストラ・売却
注目される来期(10月)からの人事と経営責任

 アニメ関係はイード、ドゥーパはキャンプ社、野菜だよりはブティック社に売却、と今年頭から市販雑誌部門のリストラが続いているようですが、7月に学研と日本創発グループが共同で「ワンパブリッシング」を設立し、主な雑誌(テレビライフ、キャパ、ムー、ポテト、歴史群像など)がこの会社に売却されました。代表に収まった広瀬社長は、旧中学雑誌出身で、旧パーゴルフ編集部の身売りでも社長となって転出し、ほとぼりが冷めた頃に学研に戻った、という人物とのこと。100人以上いたはずの売却された雑誌部門の社員の人たちの処遇はどうなったのでしょうか?
 また、鳴り物入りで立ち上げた東京グローバルゲートウエイ(東京都英語村)の織田社長は大赤字の責任を取り、学研プラスに戻され閑職の理事になっているとか。
 責任を取るべき経営上層部は何をしているのか、特に労働者がいいように使い捨てに
されているのであれば、許しがたいことです。来期からの人事が近く発表され、株主総会で問われることも山積となりそうです。
学研経営の嫌がらせ=組合員自宅差し押さえをめぐる
請求異議審が、最高裁で確定(9/10)
 ココファンあすみが丘の居住者の相談の声を取り上げたふじせ労組のニュース記事に対して、学研HDと学研ココファンの経営が起こした損害賠償請求(ココファン第1次損賠)での2017年最高裁確定を受けて、ネット記事の削除を命じた判決につき、学研経営が間接強制を申請(ネット記事削除決定に従わなかったら1日20万円取り立て)し、組合側は出された決定に基づき、記事の削除を行ったところ、裁判所の決定文に誤記があったため5本の記事のうち、1件が削除漏れになりました。学研経営は削除漏れに気が付いてもすぐに組合に知らせて削除を求めず、故意に日数を稼いで、67日目になってから「違反があった」として20万×67=1340万円の債権を主張して組合員自宅への2回目の差し押さえを行いました。これに対して私たちは不当な請求であるとして請求異議審を提起しました。その一審判決(19年4月)、高裁判決(19年11月)で学研の権利濫用は指弾され、違反金の認定が160万円と大幅に減額されました。高裁判決では学研の権利濫用を「著しく信義誠実の原則に反し、正当な権利行使の名に値しないほど不当なもの」と一審以上に厳しく指弾しました。「違反金は160万円」という判断については、裁判所の判決文の誤りから生じた削除漏れであり、違反金発生を認めるのは不当であると考える組合は最高裁で継続して争ってきました。(なお学研側も1340万円を主張し続け上告)。この9月10日付で双方の上告不受理の決定が出され、判決は確定しました。
 学研は、ココファン損賠事件での仮執行付き一審判決後、三井住友銀行の情報開示を得て組合員の預金口座を差し押さえ、学研HD分の33万円(+遅延損害金)を取り立て、さらに高裁判決を追認した17年2月の最高裁棄却決定を受け、学研ココファン分66万円(+遅延損害金)を債権として組合員の自宅を差し押さえるという悪質金融並みの暴挙に出てきました。弁済し不当な差し押さえを取り下げさせましたが、学研は同時にネット記事の削除を命じる間接強制を申請、そして上記の「間接強制決定違反金発生」を主張して再び組合員の自宅を差し押さえてきたのです。
間接強制制度悪用による過酷執行、権利の濫用を指弾する 
 請求異議審で私たちは、間接強制金の多額過ぎる請求が「権利の濫用」になる、とした判例や、「間接強制の上限無制限から生じる過酷執行」を指摘した東京高裁裁判官=園尾隆司氏の論文(2013年)、など間接強制制度の問題点を指摘した司法関係者、研究者の主張などを援用して制度を悪用する学研側の請求の不当性を明らかにしました。 
請求異議、地裁が学研の権利濫用を認定、違反金大幅減額
 昨春の一審判決で東京地裁7部、三木素子裁判長は、「(決定文の誤まりを裁判所が正した)更生決定後の40日間については間接強制決定違反金発生は組合も認識できたこと。但し、記事に対する損害賠償金は既に支払われていること、4本の記事は削除済みで1本が削除漏れ、「競売申立ては原告(組合員)の生活の本拠である自宅不動産を対象にしており、組合員に及ぼす影響を総合考慮すると、本件間接強制決定に表示された金額(学研とココファンで670万円)をそのまま請求債権として強制執行することは、・・・債務者である原告らに対して過酷な結果をもたらすものであって、正当な権利行使とは言い難く、本件間接強制決定のうち、各社の80万円を超える部分の権利行使は、権利の濫用になると認めるのが相当である」として、違反金を大幅に減額しました。HDとココファンで計160万円の違反金を容認した点には組合は控訴しましたが、学研の法外な請求は退けられたのです。
請求異議審高裁判決、さらに厳しく学研の権利濫用を認定
 昨秋の高裁判決では学研の権利濫用を「著しく信義誠実の原則に反し、正当な権利行使の名に値しないほど不当なもの」と一審以上に厳しく指弾しています。
「学研の権利濫用」の指摘に、口を噤む学研経営
株主総会での質問にも回答を拒否

 
倒産・解雇攻撃を仕掛けた学研の争議責任を追及しているふじせ労組の闘いを潰すために悪質金融のような自宅差し押さえ、金の取り立てのために訴訟攻撃を仕掛けてきた
 学研経営のやり方があまりに酷いことが明らかになる中で、私たちは学研HD株主総会で、この地裁・高裁判決をどう受け止めるかを問い質しました。学研経営は株主総会のたびに、学研の使用者性が否定された労働委員会命令を追認した裁判所の判決を引き合いに出して、「ふじせ労組との争議は決着がついた」、「争議は存在していない」などと開き直っています。百歩譲って「ふじせ労組に対して学研が使用者ではない」と仮にしたところで、学研の倒産責任が無くなるものではなく、これによって私たちの争議行為
の正当性が否定されるなどということはありません。都合のいいときだけ裁判所を引き合いに出すくせに、「請求異議審の判決につきどう受け止めるのか」を聞かれても、まともに正面から答えられず、宮原社長は木村専務に「主張があれば裁判所でしてほしい。
株主総会は裁判所ではない」などと答弁させています(2019年12月の学研HD株主総会)。
不誠実回答のみならず、総会でふじせ労組への敵意剥き出しの誹謗をくり返す宮原社長  
 宮原学研社長は、これまでも株主総会で1985年の損害賠償訴訟判決(東京ふじせ企画破産管財人=河合弘之弁護士が学研の仕掛けた倒産で損害を被ったとして提訴した事件で東京地裁が、学研がふじせ労組潰しを狙って倒産攻撃を仕掛けた事実や、学研のふじせ労働者に対する使用者実態を明確に認定したもの)を読んだかを聞かれて、読んでいないことを述べ、翌年の総会で読んでみてどう受け止めたかを聞いても答えようとしないなど不誠実な姿勢を示してきました。
 そればかりか、総会答弁の場で、「株主総会がふじせ労組によって毀損されている」「自分たちの利益で金銭のためにやっている、ふじせ労組の金銭要求には応じられない」(因みに金銭での収拾案は中労委で学研側が提起、組合は解雇撤回・職場復帰を要求)などと述べ、「東日本震災の翌週に組合が社前でビラを配布した」ことが反社会的であるような誹謗をくり返し、ついには「学研こども園の子どもたちにもビラをまいた」、「仙台のあすなろ学院でビラを配布した」などと嘘出鱈目を述べるなどし、ふじせ労組への敵意剥き出しの誹謗・中傷をくり返しています。
昨年の総会では、不当に個人を被告にする訴訟攻撃を受けた一人であるふじせ闘争支援共闘会議の鈴木?嗣さんがなくなったことに触れて、学研の濫訴を批判したら、「引き合いに出されて鈴木さんは冥福できない」、会社のセクハラ・パワハラ体質を問題にした「実践障害児教育」の読者である株主の質問に対しても、「障害児もそういったところで利用されたくない」などと許しがたい暴言を吐きました。
10・24学研経営糾弾!宮原社長抗議デモを闘うぞ!
 宮原社長が先頭に立って争議責任を居直り、ふじせ労組への対決姿勢を露骨にして、民事弾圧=訴訟攻撃をくり返していることに対し、全都の争議団の集まりである争議団連絡会議の統一行動、地域の労組・争議団などの共闘組織である南部地区労働者交流会の集中闘争として、学研糾弾・宮原社長抗議デモが行われることになりました。

<夏の闘いの報告>
8・7学研社前闘争 高齢者住宅セミナー情宣
12時から学研社前行動を展開しました。毎年5月に開催される高齢者専用住宅協会(学研小早川取締役・ココファン会長が協会理事長)のセミナーがコロナで再三延期となり、結局、学研本社ビルで開催されることになったもの。昨年はお茶の水で開催されイベント参加者や駅頭を通行する人々に多くのビラを配布することができましたが、この日は猛暑の中、それらしい参加者も非常に少なかったです。恒例のイベントへの情宣行動、社前抗議行動を午後1時30分まで打ち抜きました。
8・19新新損賠口頭弁論 
 5月11日に予定されていた期日がコロナで中止になり、前回(3/16)から5ヶ月ぶりに口頭弁論が開かれました。ブログ記事引用と御用株主利用の総会運営批判を「名誉毀損」として学研とココファンが1650万円の損害賠償請求を起こしてきた事件(ココファン関連第3次損賠訴訟)、学研からは5月の期日前に準備書面を出して、悪質な総会運営を正当化、非メディア型の言論についての名誉毀損事件である旨の組合側主張への反論、訴権の濫用でない旨の主張などを行ってきました。組合側は次回、反論と人証の申請につき予定を示すことを表明しました。また、事前に昨年12月になくなった鈴木さんを被告からおろすよう求める意見書を出しました。
学研、故鈴木?嗣さんを被告から降ろす「取下書」を提出(9/1)
学研側代理人は8・19法廷で問われて「検討します」と言っていたが、9月1日付で鈴木さんへの訴えを取り下げる「取下書」を民事49部に出しました。遺族に負担を強いる嫌がらせの悪印象につき裁判所の心証を考慮しただけで、当該や支援共の個人を被告にしていること自体の不当性になんら反省を示すものではありません。

9・12第45回全都反弾圧闘争が闘われる
 今年で第45回を数える全都反弾圧集会・デモが9月12日に取り組まれました。
会場の千駄ヶ谷区民会館は使用申し込みの際、コロナを口実にして、参加者全員の名簿を出さなければ貸さない、との不当な対応を取ってきましたが、実行委員会で渋谷区に抗議申入れを行い、これを撤回させ通常どおりの使用をかち取りました。
 連帯挨拶を、沖縄辺野古実、破防法・組対法に反対する共同行動、予防拘禁法を許すな!ネットワーク、オリンピックお断り連絡会、差別・排外主義に反対する連絡会から受け、それぞれ大きな拍手で確認され、続いて、職場報告として、南部労組福祉協会、三合労鶯啼庵から受けた。全国からは大阪の港合同南労会支部が発言、続いて特別アピールとして、日韓民衆連帯委員会が韓国サンケン解散攻撃との闘いを中心に日韓労働者連帯の強化が訴えられ、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部からは未曾有の刑事弾圧との、最近の刑事公判闘争などについて報告がされた。また、緊急に釜が崎でのコロナ特別給付金をめぐって野宿者除外に抗議する闘いにかけられた逮捕弾圧の報告と支援カンパが呼びかけられました。
 
集会は後半に入り、基調報告が争議団連絡会議から提起されました。限られた時間だったが、刑事・民事弾圧との攻防、労働運動をめぐる状況などにつき発言が行われました。この後、集会決議文の採択に移り、労働法制大改悪に反対する決議案が労働法連絡会から、戦争と治安管理に反対する決議案が立川自衛隊監視テント村から提起され、全体の拍手で確認されました。最後の発言は、半径1Km以内での行動禁止という前例のない争議禁圧の仮処分と闘う連帯労組大道測量が決意表明を行って、司会の行動提起・シュプレヒコールで締めくくり、デモ出発しました。
 区民会館前で隊列を整えたデモ隊は、原宿駅前〜岸記念体育館〜渋谷区役所前〜公園通り〜渋谷ハチ公前〜宮下公園横〜神宮通り公園と例年同様のコースを通って行進。途中、渋谷区への抗議、宮下公園を取り戻すとのシュプレヒコールを含め、渋谷繁華街で、弾圧を許さないスローガンにつき声を上げ続けました。解散地の神宮通り公園では、後段集会を行い、共にデモを闘った4名の監視弁護団を代表しての挨拶、渋谷のじ連の発言、最後に呼びかけ団体から争議団連絡会議がまとめの発言を行い、司会の簡潔なシュプレヒコールで終了しました。
 結集は小雨が降る悪天候、コロナの影響なども加わり、昨年を下回りましたが、集会は充実し、デモも気勢を上げて力強く打ち抜かれました。