学研株主総会への質問書掲載
会社は、株主の質問に真摯に回答しなさい!

 私たちは、本日の学研ホールディングスの第74回定時株主総会において、以下のこと等について質問権を行使することを事前に経営宛に通知しました。
         
                            通 知 書

1、学研ホールディングスと学研ココファンは、2017年に2度にもわたって東京ふ じせ企画労働 組合の代表の自宅を差し押さえ、強制競売に付すという暴挙に及んだ。 1度目は、ココファンあす みが丘居住者の声を取り上げた同労組のニュース記事に ついての損害賠償訴訟判決に基づくわずか66万円を「債権」としての強制執行で、 悪質金融並みのやり口が非難を浴びた。2度目の差し押さえは、同ニュース記事の削 除を上記2社が求めた「間接強制」において、2社と裁判所の過失による決定文の誤 りから生じた組合側の削除漏れ(対象記事の1本が削除されず残った)を奇貨として、 すぐに削除漏れの事実を組合側に通知して削除を求めるのが間接強制の趣旨に適うと ころを、わざと放置して日数を稼ぎ、1日20万円の間接強制違反金の67日分、計 1340万円を「債権」として再び自宅差し押さえを行ったものだ。これに対して組 合は、請求異議の裁判を提起して争い、今年4月22日に東京地裁判決、11月13 日に東京高裁判決が出された。いずれも、2社の高額請求を認めず、160万円まで は容認(この点に組合側は控訴・上告)した上で、これ以上の2社の執行は「権利の 濫用」とした。特に高裁判決では、2社の権利濫用を「著しく信義誠実の原則に反し、 正当な権利行使の名に値しないほど不当なもの」と認定した。 
1)上記判決は、間接強制決定文の裁判所による訂正以後、一時記事が残っていた点  について、一部決定違反を容認したが、貴社がそれによる損害発生を主張していた  はずの記事の削除より、故意の残存による高額違反金取り立てを優先し狙ったこと  を指弾し上記の判示を行ったもの、と言える。この点につき、貴社はどう受け止め  ているのかを答えられたい。
2)上記事実は、貴社の以下に記載する相次ぐ損害賠償請求等の訴訟攻撃が、悪質な  金の取り立てによって、東京ふじせ企画労組、ふじせ闘争支援共闘会議の組合活動  争議行為を潰して、下請け会社に対する倒産攻撃の争議責任を免れようとするもの  であることが顕著になっている事実を示すものだ。不当な訴訟をひき続きくり返す  つもりなのか、答えられたい。
2、上記2社は、2017年6月にも、「組合が判決を直ちに履行しなかったので損害 が発生した」などとして、「執行費用、弁護士費用、名誉毀損ネット記事による損害 発生等の費用」計360万円を請求する訴訟を起こし、昨年の貴社株主総会直後の1 2月27日には、東京高裁判決が出された。同判決では、昨年6月の東京地裁の124 万円損賠容認判決が覆り、31万円に減額された。特に、「間接強制申立の弁護士費用88 万円」などと貴社側が主張していた法外で出鱈目な金額を全額認めなかった。
  一昨年来、株主総会での事前質問書でも、祝田法律事務所と一体で濫訴をくり返し ているが、その弁護士費用にどれだけ費やしているのか、株主への開示義務を自覚し、 その経費も示されるよう求めているが、貴社は回答を逃げている。今回、法外な弁護 士費用の一部と推測される88万円の請求を認めない判断が出されたのを受けて、貴 社から同事務所への88万円の支払いの事実があったのか、及び総額の支払い額はい くらかを明らかにすべきである。それを示されたい。
3、貴社らは、本年2月、昨年の株主総会時に組合が発刊・配布した組合ニュース記事 に対して、またまた1650万円の損害賠償請求訴訟を、東京ふじせ企画労組とふじ せ闘争支援共闘会議相手に起こしてきている。
ココファンまちだ鶴川での殺人事件に対する貴社の対応につき、ロングライフサポ ート協会がコメントしている事実を引用し、これについての貴社の見解表明を求めた こと、株主総会の運営に関して、翼賛的な発言をする株主、特に組合関係の株主への 誹謗・中傷を行う株主の存在を指摘したことの2点が名誉毀損だ、などとするもので ある。 
この裁判の中で、貴社は引用元の上記協会のブログ記事に対しては何ら問題にして いないことを自ら認めている。ブログ記事を引用し、組合のコメントで論評も加えて いない、即ち、同じ内容の対象に対して、元の記事は放置して組合の記事を「名誉毀 損」とする根拠は何か、答えられよ。
2017年の株主総会で組合関係株主を誹謗・中傷した株主の発言を容認するのか、 をうかがいたい。また、この株主と貴社との関係につき釈明されたい。そして、「組 合側株主が株主総会を毀損している」との宮原社長の答弁の根拠を示されよ。

4、悪質化する総会運営による株主権の侵害の事実を居直る貴社の姿勢について
毎年、総会運営に問題があることを指摘し、質問してきている。総会での質疑応答時 間が短縮されて、かつてに比べ1時間以上短くなっていること、まだ挙手している質 問者が5〜6名もいるにも関わらず、これらの質問を受け付けずに終了していること、 不十分、虚偽に等しい答弁に対して再質問も認めないこと、特に特定の株主たちを「総 会を毀損している」などと非難し、発言させないという行為は予断と偏見を持って質 問権を侵害している行為というほかないこと、経営上の問題点が指摘されてきた質問 に対して十分な質疑・応答を回避し、説明責任を果たさず、専横な姿勢で居直ってい るとしか受け取れないこと、を事前の質問書で述べてきた。
「株主の質問に真摯に答えている」、「審議が尽くされたかを見極めている」、「株主の質問権を侵害してはいない」などとの虚偽の答弁を改め、まず、上記の指摘されている事実を総会で読み上げ、出席した株主に対して真摯な説明と回答を行うことを求める。
 
5、女性役員の登用についての貴社方針の進展
  昨年も独立性に疑義がある社外取締役一名を除くと、女性の役員が不在である貴社 の現状を指摘 してきたが、女性の執行役員1名の釈明に終始した。労働条件に於け る男女格差、性差別やセクハ ラ等の問題は起きていないのか、城戸真亜子氏は、そ の点において社外取締役に相応しい職責を果 たしているのかをうかがいたい。
世界経済フォーラム(WEF)はこの12月16日、各国のジェンダー不平等状況を分 析した「世 界ジェンダー・ギャップ報告書(Global Gender Gap Report)2020」を発 表した。日本は121位と昨 年の110位から11順位を下げ、過去最低の順位だ。経済 分野での日本のランクは、賃金格差が67 位、労働力参加79位、所得108位といず れもかなり低い。「社会のリーダーシップを発揮すべき分野で、ダイバーシティの評 価が著しく低い状態がずっと続いている」とされている。11年連続で首位のアイスラ ンドでは政策的にクオータ(割り当て)制を採用し、企業にも女性役員を4割以上  にする法的義務を課すなどしているが、貴社は自主的に、このような具体的方針を定 める考えはないか、昨年につづき回答を求める。

6、第3号議案 監査役の選任について
中村雅夫氏は、増山敬祐氏の補欠ということだが、増山氏の辞任の理由は何か?

7、学研ビル入居テナントについて
西五反田にあって学研ビルに入居していない学研データサービスなどのようなグル ープ会社がある一方で、テナントとして、学研ビルには14階に入居している「潟o ウハウス丸栄」のような会社が存在している。他にテナントで入居している社はある か?
「潟oウハウス丸栄」が、2年前の本社1階エントランス、本年夏の13階社員食 堂内装工事を施行したと聞くが、計約1億円に及ぶ工事費につき、契約はどのように 為されたのか、社内的なコンセンサスはどう得られているのか?

8、今次株主総会招集通知の遅れについて
組合代表の自宅に12月6日の期限までに招集通知が届かず、貴社に抗議・問い合わせを行ったところ、12月10日にようやく送付されてきた。この遅れの理由は何かお聞きしたい。 以 上
                                    
争議の実態につき虚偽の説明をくり返す学研経営
「争議は決着が付いた」との学研経営の主張は真っ赤な嘘!

 学研が組合潰しの下請け倒産攻撃を仕掛けた責任は明白で、裁判でもなんら否定されていません。学研がしきりに引き合いに出して「争議は終わってる」とする判決とは、東京都労働委員会が、「学研は東京ふじせ企画の労働者の使用者ではない」と認定した不当命令が最高裁まで争われた行政訴訟で確定したことを指していますが、これで争議責任が免罪されるものではありません。
1985年損賠判決 学研の争議責任、使用者実態を認定
 この都労委不当命令とは真逆の判決が、東京ふじせ企画を倒産させた学研の責任につき破産管財人が起こした損害賠償請求訴訟(1985年判決)で出されています。
 学研が下請で結成された組合を潰そうとして業務総引き上げ=倒産・全員解雇攻撃を
仕掛けた争議責任を明確に認定したのみならず、「学研の管理職が東京ふじせの労働者を指揮・監督して業務を行わせていた」として実質的に使用者の位置にあったことも認定しているのです。こちらの判決の方が正確で事実を詳細に認定しています。
労組対策で導入したふじせ企画での組合結成に焦った学研の暴挙
学研の下請編集プロダクション「東京ふじせ企画」に勤め、「○年の科学」「マイコーチ」などの編集業務を行っていた私たちが無給長時間残業・低賃金などの超劣悪な労働条件の改善のために組合を結成すると、わずか一週間後、学研は私たち35名に行わせていた業務の一切を引き上げ、会社を倒産させて全員の首を切りました。これ以前に本社では、全学研労組結成への14名の解雇・賃金差別、管理職らを総動員した吊し上げや集団暴行等で73年〜92年まで争議が続きました。結成直後から労組員に仕事干しを行い、スト対策のために業務を下請化した会社がふじせ企画で、そこに組合ができたことに焦っての暴挙です。下請けの経営者も後に「組合潰しは学研の指揮・命令」と事実を明かしています。96年には学研の当時の監査役も学研の争議責任を認めました。人事部が先頭でふじせ労組潰しを図った事実は当時の多くの学研の関係者が知っていることです。
11・27学研社前行動 
 11月27日、小雨の中、早朝からの学研社前行動を展開しました。小早川取締役が7時55分頃に出社、抗議のシュプレヒコールを浴びながら社屋内へ。8時30分頃、宮原社長の乗ったアルファードが社屋裏手を回って到


着。地下駐車場に走り込んで行きました。その間シュプレヒコール。朝ビラは請求異議審高裁判決、新新損賠口頭弁論報告などを掲載して配布し、9時に終了。その後、座りこみ行動を展開しました。 宮原社長の乗った車に抗議の声
哀悼 鈴木敏嗣さん
 ふじせ闘争支援共闘会議の鈴木敏嗣さんが12月5日に亡くなりました。脳内出血で倒れ、意識不明のまま3週間以上持ちこたえてきましたが、回復は適わず帰らぬ人となってしまいました。享年76歳でした。
 12月11日の葬儀には、自身が被解雇者当該であった24年間の中央公論社闘争時代、そして同じく24年間、いまも続く学研・ふじせ闘争を共に闘ってきた多くの仲間が集まり、禮子夫人、ご長男ら親族の皆さんと共に鈴木さんを見送りました。斎場では夫人から、正義感の強い性格や夫人との時間を大事にし優しく向き合って沢山のことを話してくれたという氏の人柄を伝える挨拶が参列者の心を打ちました。火葬場での会食では、ふじせ労組代表の音頭での献杯、さらに中公労組有志の駒沢さんから、争議に勝利しての職場復帰後、御用組合からの脱皮に尽力した有志の闘いの一場面で、組合がこれまで集まった組合費を皆で分配して組合を解散する話になった時に、鈴木さんが「組合費は今までの先達が後の人々の何かあった時のために蓄えたもので、これを将来のために大事に引き継ぐべきで、山分けしてさよならするためのものではない」という演説を行って止めさせたエピソードを交えて思い出が語られました。ふじせ支援共の山田さんからも、自分の自宅に泊まって彼の造詣が深い仏教の話をしてもらったことなどが話され、息子さんから、「自分の知らない父のことを教えていただけた」との挨拶がありました。
 鈴木さんは、この24年間、私たちが倒産・解雇攻撃を受けた争議の支援を中心になって担ってくれました。株主総会で株主になって鋭い質問を発してくれたり、経営側からの不当な損害賠償請求訴訟では何回も私たちと同じ被告にされて、共に裁判も闘ってきてくれていました。裁判は今も続いています。現場行動での発言や記録でも裁判の陳述書でも、緻密でとても的確な表現が光っていました。
 中公時代から彼は、皆に「Qちゃん」と呼ばれ親しまれました。Qさんと接した皆が、小柄な彼が内にたたえた不屈の情熱と、とても豊かな知見に触れ、心を動かされました。今、この国はとても酷い状況で、困難な時代になっています。でも、彼の口からは決して弱音や諦めの言葉は発せられなかった。いつも、一緒に楽しく闘うことが、生きることなんだと知らされたように思います。闘志満々だったQさんが、突然倒れ、帰らぬ人となってしまったことに、「何故だ!残念でならない!」との声が皆から寄せられています。あの快活な大きな笑い声が発せられることはなくなってしまいましたが、その声は彼の志と共に、いまも私たちの中に響いています。Qさんと出会えたこと、素晴らしい時間を沢山、共に持てたことに感謝し、彼がめざした所まで歩み、「Qさん、ここまで来たよ」と語りかけたいと思っています。                        (K)