学研経営、社前行動に対して不当な「通知書」
「役員への妨害行為」「会社所有物の無断使用行為」をやめろ、などと
2月1日付で、学研HDは代理人名で、社前での役員への抗議・争議解決要求行動を「つきまとい」「妨害行為」、旗・幟・横断幕の据え付けを「会社所有物の無断使用行為」などとして取りやめるように請求し、「従わなければ損害賠償、妨害排除請求等の法的手段を行使する」との「通知書」を送付してきました。
学研社前での朝ビラ配布、争議解決要求行動の際に、出社してきた役員に声をかけ、解決の話し合いを行うように求めていますが、学研経営は、小早川取締役らが、「(組合側の)つきまとい行為の被害を受けている」などと正当な争議権の行使を歪曲し、「本件妨害行為」などと言っています。「妨害行為」と特定する対象は何かにつき、「通知書」の記述では「取締役に異常に接近するもの、身体的に接触して進路を妨害するおそれのある行為、個人を対象に心理的圧力を与えるもの」などとしています。組合潰しを狙った倒産・解雇攻撃で生活を破壊した上に、さらに不当な損賠攻撃で悪質な金の取り立て攻撃まで仕掛けていることにつき、小早川取締役をはじめ経営陣が負い目を感じ、抗議の声に心理的負担を感じているかどうか、は不明ですが、組合が何を妨害しているのか不明な言いがかりで、「妨害行為」など行っていません。また、組合旗・横断幕等の設営は、正当な争議行為・組合活動です。
組合側は、争議責任を居直り争議権を否定する不当な通知に抗議する回答書を、2月12日付で学研・宮原博昭社長と代理人(祝田法律事務所)に送付しました。
宮原社長の暴言、虚言について
宮原社長は、私たちに対する敵意を募らせ、暴言・虚言をくり返すようになってきています。会社の代表取締役としての適格性を疑わせるような内容も多く、見過ごすことのできないものです。前号での株主総会の詳報の中でも一部お伝えしましたが、社長の言動につき改めて指摘します。
18・12・21株主総会会場前行動
株主総会の議長としての虚言
「多くの株主様に発言をいただきたい」の嘘
宮原社長は、昨年12月21日の株主総会での質疑・応答の冒頭でも、「なるべく多くの株主様にご発言いただきたい」と例年どおりの運営についての説明を行いました。しかし、
18・12・21株主総会会場前行動
実態は、年々これと逆行し、社長が「ふじせ関係者」と目した株主には挙手をしていてもこれを無視して発言をさせず、早々に総会を打ち切るようになっています。かつて総会で質問した発言者の数は、例えば宮原社長就任前の2009年6月の株主総会では、12名が発言していましたが、2014年から7名程度に激減しました。不十分な答弁に対する再質問も許さないために、総会終了時刻もかつては12時半〜13時近くまで行っていたものを、この14年頃から午前11時半頃には強引に終了させるようになっていったのです。
多くの株主の意見を聞く気などなく、ごまかし答弁で熟議もせずに打ち切っているのが実態なのです。
学研社長としての虚言
「学研が裁判で勝っているから解決はできない」との嘘
宮原社長は毎年、株主総会で裁判結果を引き合いに出して、争議解決拒否を正当化しています。昨年12月の総会でも、「逃げるつもりはございません。解決はしていきたいと思っています。ただ2001年に東京地方裁判所、2002年に東京高等裁判所、2003年に最高裁で学研が勝っているわけで、その中で解決することは法治国家としてはそれはできないことで、お金を払って解決するということはコンプライアンス上、到底できませんし、・・・学研に非があれば解決していく問題だと思っていますけれど、非がない限りは、そういった形での解決を望む意思は全くございません。」と答弁しています。木村専務も毎年の総会で、これをくり返すなど、学研経営が自らを正当化する唯一の手段になっています。しかし、これは全くのごまかしなのです。
2003年最高裁決定は、学研の「使用者性に基づく団交応諾義務」については、これをを否定したものですが、学研が下請労組潰しを狙って東京ふじせ企画の労働者35名に行わせていた編集業務を総引き上げし、会社倒産・全員解雇を仕掛けた争議責任を法的に免罪するような判断は出されていません。
学研の争議責任が無いかのように問題をすり変える主張は全くの虚偽です。当労組は、株式会社東映が、自らの使用者性を認めなかったものの、ジャパマーハイツ労組との団体交渉に応じ、ジャパマーハイツへの倒産攻撃の責任を認めて雇用保障による争議解決を果たした事実をはじめ、労働運動では、メインバンクなどを含む背景資本への抗議行動を重ねて争議解決が実現してきた事例が多く存在している歴史についても指摘をしてきました。「使用者性がないから解決できない」などというのは間違いなのです。
学研経営は、同様の主張をウェブサイトの株主・投資家宛の頁や株主総会会場に掲げたりして争議責任を隠蔽し、解決のための話合いを拒んでいるのは許しがたいことです。
85年損賠判決についての意見を問われ、答えを逃げ続ける宮原社長の嘘
学研の争議責任を明確に認定し、使用者性の実態にも触れた判決を見ぬ振り
これに関連して、組合側は、宮原社長に2015年の株主総会で、上記の行政訴訟の判決とは異なり、学研の争議責任と使用者実態を明確に認定した85年の東京地裁の損賠判決を読んだかとの質問をしました。宮原社長は、「読んではいません」と回答しました。学研の業務総引き上げで倒産させられた東京ふじせ企画の破産管財人が提訴した損害賠償訴訟において倒産の背景事実として、学研が組合を解散に追い込む目的で業務を総引き上げしたこと、東京ふじせ企画労働者に対する学研の管理職の指揮・監督などの使用者実態についても東京地裁が明確に認定しているものです。120頁に及んで詳細な事実認定をしているこの判決文に比して、87年に出された東京都労働委員会命令は、わずか30頁で、しかも業務総引き上げについて学研の関与した部分を意図的に避けて事実認定するなど虚偽に満ちた悪質極まりない内容でした(上記の学研が引き合いに出している地裁〜最高裁に至る行政訴訟は、元々、管財人の損賠訴訟と同時期に並行して審問が行われたこの都労委命令が中労委で維持されたことの是非を争うものでした)。宮原社長は、翌年2016年の株主総会で、「昨年質問した85年損賠判決、今度は読んでいるでしょうから意見を述べてください」と問われても、逃げて答えませんでした。そのため、さらに翌年2017年の株主総会では、ふじせ側株主が、学研の業務引き上げ=倒産攻撃の責任を明示した損賠判決のハイライトになる部分を読み上げて問い質そうとしたのですが、宮原社長は場内で株主の皆さんに聞かれるのを恐れて、発言を封じ、「発言を続ければ、退場を命じますよ」と脅かし、会社側はマイクの電源まで切ったのでした。そして、肝心の回答をしないばかりか、ふじせ労組の行動を歪曲し、非難する言動をこの時の総会でも、以降の株主総会でもくり返しているのです。
宮原社長の暴言は社内外で顰蹙ものに
「ふじせ労組は人に非ず」、「正義はない」と言いたい社長の乏しさと無知
宮原社長は、ついに昨年12月の株主総会で、学研のキャッチフレーズである「全ての人が心豊かに」という中に「ふじせの方は入っていない」と言い出しました。さらに、「昔から労働系の団体の方々というのは沢山おられましたけれど、なんだかんだと言いながら闘いの中では正義というのを必ず持ってたような気がします。いろんな出版社の闘争もありましたけれど、ここに関しては正義というのはない」とも。既に報告したように総会会場の中で社長への抗議の声が最高潮に達した場面となりました。
宮原さんの中には、学研の仕事をしていたふじせの労働者35名に対して当時、学研がいかにひどいことをしたのかに思いをいたす心の豊かさはなく、「敵は人に非ず」と排除・抹殺する考えしかないのではないかと疑わせるものです。それが、株主総会でも株主から指弾され、以後控える、とした「軍人には責任を取る知性がある、しかし、逡巡の罪という意識は民間の方にはない」との彼の発言にも通じているのかも知れません。
また、多くの労組・労働団体から支援・連帯を受けて闘われている学研・ふじせ闘争の正当性についてはもちろんのこと、労働争議・労働運動の歴史に全く無知であることも露呈させてしまったのです。
自らを省みない宮原社長の暴言は、学研の編集部門労働者に向かって「あなた達がつくった赤字」などと述べて、顰蹙を買い、信頼を失った事件のように今に始まったことではないのですが。「教育」や「福祉」を掲げる企業の最高責任者がこれで良いのだろうか、と思わせられます。
請求異議審が結審、判決は4月22日に
2013年に、ココファンあすみが丘の居住者の声を掲載したふじせ労組のニュース記事に対して、学研ホールディングスと事業会社学研ココファンが1320万円の損害賠償とウエブサイトに転載した記事の削除を請求した訴訟では、99万円の支払いとネット記事削除を命じた不当判決が2017年に最高裁で確定しました。同年3月に一回目の組合員自宅差し押さえ、ネット記事削除の間接強制攻撃、さらに裁判所の間接強制決定文の記載ミスによって発生したネット記事の削除もれを奇貨として、学研はその事実を組合に知らせて削除を求めるのが間接強制の趣旨なのに、67日経過してから「間接強制決定違反金」(1日20万円×67)1340万円が発生しているなどとして、これを債権と言い立てて再び組合員の自宅を差し押さえてきました。これに対して組合は請求異議審を提訴し、強制執行の停止を得ながら、争ってきました。
19・1・25東京地裁前行動
昨年10月19日には当該組合員が証言を行い、学研の悪質な金の取り立てと争議潰しを狙った損賠と当該の自宅差し押さえ=強制競売の実態を明らかにしました。そして、1月25日の結審法廷へ向けて、最終準備書面では、間接強制金の多額過ぎる請求が「権利の濫用」になる、とした判例や、「間接強制の上限無制限から生じる過酷執行」を指摘した園尾隆司東京高裁裁判官の論文(2013年)、など間接強制制度の問題点を指摘した司法関係者、研究者の主張などを援用して学研側の請求の不当性を明らかにしました。
組合側は、2017年3月の間接強制決定に従って4本のニュース記事を削除しました。裁判所の決定文のミスから残り1本が削除漏れとなったのは意図的な行為ではないこと、裁判所はもとより学研側もすぐに削除漏れに気が付かず決定から9日間が経過したこと、この時点で学研が自ら主張している「記事による損害」を防ぐために組合に削除漏れの事実を指摘すれば、組合はすぐに削除していたこと(この場合の違反金を認めるとしても20万×1/5本×9日で36万円にとどまること)、既に99万円、新損賠で31万9千円を組合はいずれも弁済しており、これらの「損害」額を越えてさらに違反金支払いを請求するのは、「過酷執行」であり、「権利の濫用」に当たるものであることも明らかにしました。
1月25日には、10時から裁判所前での情宣と集会を開催、当該の経過報告、集中行動として取り組んだ南部交流会、争団連の仲間の連帯挨拶、支援共からの決意表明を受け、シュプレヒコールを上げました。11時から傍聴席を約40名で埋め尽くしての法廷では、双方の最終書面を確認した後、結審となりました。判決日が4月22日、13時10分〜606号法廷と指定されました。
PΛl s 2019年2月20日号