PΛLS 2018年3月29日号
学研経営の倒産・解雇攻撃を許さないぞ!
話し合い拒否を改め、争議を解決しろ!
学研で働く皆さん!私たちは学研の下請編集プロダクションで結成された労働組合ですが、結成からわずか1週間で学研による委託業務(35名が担当していた「○年の科学」「マイコーチ」などの雑誌・教材の編集業務)総引き上げ、1ヶ月後に会社倒産・全員解雇の攻撃を受け、学研経営との争議に突入しました。これによる生活破壊と雇用を奪われた責任を追及し、学研経営が話し合いの場に出てきて争議を解決するように求めていますが、無責任な学研の経営陣はこれに一切応じず、争議を長期化させています。2003年に学研の使用者責任を否定した労働委員会の不当命令が行政訴訟で確定したことを根拠に、経営は、「問題は裁判で決着した」などと居直っています。
しかし、この確定判決は不当労働行為制度上の「使用者としての団交応諾義務」を認めなかっただけで、学研が倒産攻撃を仕掛けた争議責任そのものを否定するものではありません。使用者責任を正しく認定しなかった不当な判断ですが、使用者性が認められていなくても、話し合いに応じさせて争議を解決してきた事例はいくつもあり、このような攻撃を仕掛けてきた経営に対して「支配あるところ責任あり」として、団交を要求して現場で抗議・申し入れ行動や街頭宣伝活動を行うことは労働組合の正当な団体行動です。労働運動はそのような活動で成果を上げてきたのです。学研は争議責任を居直り、私たちの団交要求行動を「嫌がらせ行為」だなどとして、学研関連から寄せられた声を掲載した組合のニュース記事に対して5年前から不当な損害賠償とネット記事の削除を請求する不当な訴訟を起こし、私たちの闘いを潰そうとしています。劣化・悪質化する裁判所は、これを後押しする不当判決を続けて出していますが、これを許さず私たちは闘っています。
3・12東北ベストスタディ損賠
仙台高裁が不当判決!
東北BS損賠事件の仙台高裁判決は、賠償金55万円の支払い(一審と同額)とネット記事削除を命じる一審不当判決を維持する控訴棄却でしたが、内容に於いて地裁判決を補強するより悪質な認定をしています。
ニュース掲載から2年半も経ってから損害賠償請求!?
この事件は、 学研が買収した仙台の進学塾・あすなろ学院を運営する東北ベストスタディで、学研の買収後に起きた内紛(経営陣の一部と10名近いスタッフが学研側の運営施策に反発、後に同社を離脱して新たな進学塾=現在名「仙台あおば学舎」を発足させた)と、その後のあすなろ学院でのリストラについて、当組合ニュースで事実を掲載したことにつき、掲載から2年半も経った2013年12月に学研HDと東北BSが「名誉毀損」等を言い立てて660万円の損害賠償とニュースを転載したネット記事の削除を請求してきた訴訟です。この期に及んでの訴訟提起となったのは、この時期に学研がココファンあすみが丘の居住者の声を取り上げた組合のニュース記事に同様の損害賠償訴訟を起こし、ついでに他の材料はないか、と考えて仕掛けてきたもの。東北BSでほんとうに記事による損害が発生していたら、もっと早く対応していたはずで、この点からも「名誉毀損」をでっち上げた不当な訴権の濫用であることが明らかです。
組合の争議権・団体行動権につき全く誤った認識で否定
仙台地裁の不当判決を補強した高裁判決では、上にも述べた不当労働行為制度上の「使用者性」が否定されても、組合の争議行為の正当性そのものは全否定できないという点について全く無知で誤った認定をしています。「控訴人らは,最高裁決定により確定した判断は被控訴人学研HDが控訴人ふじせ労組に対して不当労働行為責任を負うか否かに関するものであって、被控訴人学研HDが他の法的責任を負うか否かの法的判断はこれまで示されていないところ、被控訴人学研HDは、ふじせ企画による控訴人ふじせ労組の団結権侵害に主導的に関与し、解雇された従業員の生存権を侵害したものであるから,労組法7条の「使用者」に該当しないとしても、共同不法行為責任を負い、同責任を巡って労働争議状態にある旨主張するが、上記最高裁決定によって確定した判決は、控訴人らが被控訴人学研HDに対し、団体交渉拒否を含めた不当労働行為の救済を求めた訴訟において、被控訴人学研HDの使用者性を否定する判断を示しているのであるから(甲6,9)、被控訴人学研HDとの団体交渉を実現することを目的として行われている控訴人らの行為が正当な争議行為及び組合活動に当たると認める余地がない」などと判示しているのです。
組合ニュース記事の真実性、真実と信じるに足る相当性も不当に否定
また、争議状態にある会社と組合の関係において発行されるビラの内容については、経営批判の文言が一般の第三者による以上に強い調子で書かれたり、第三者が争いの一方の当事者の考えと知った上で割り引いて読むことなどを、これまでの裁判の判例では考慮して判決が出されていました。私たちは、控訴審でも「労働組合はマスメディアとは異なり情報収集能力が著しく劣り、表現による波及効も小さいことからすると、労働組合が行う情宣活動の前提としての情報収集活動は、マスメディアであれば求められる程度の取材を行わなくとも、一定の取材を行った場合には真実と信じたことに相当性を認めるべきである」等の主張も行っていました。ところが、仙台高裁の判決は、「控訴人らは、労働争議の経過において労働組合あるいはその支援を行っている団体がそのことを明示してした表現の場合は、媒体の性質及び受容者の性格を考盧し、一般の新聞や雑誌に掲載されている記事と同様の基準で社会的評価の低下の有無について判断することは誤りであるとして、本件各表現行為によって被控訴人らの社会的評価が低下したとはいえない旨主張するが、本件各表現行為は争議行為ないし組合活動の一環としてされたと認められる余地がないことは前記のとおりであるから、控訴人らの主張はその前提を欠き、採用できない。」としています。正当な争議行為・正当な組合活動でないとの認定を基にして言っているのですが、正当な組合活動か否かはおくとしても、争議中の組合のビラの表現であることを考慮すべき、という点はなんら変わらないのです。定着した判例であり、「前提を欠き」などというのは、ここでは論理的に全く誤っていることは明らかです。
東北ベストスタディの経営悪化に関しても、「第30期の営業損失については、平成23年3月11日に発生した東日本大震災により、ベストスタディ本部兼教室が瓦解し,半年間使用不能になったり、その他の教室も修繕が必要となったほか,生徒も被災したりするなどしたこと(甲69,7
2, 証人出口)からすれば、上記営業損失は,東日本大震災による影響を受けたものと推認される。」と震災の影響のみを強調した出口証人(東北BSの当時の社長)の証言に加担していますが、リストラ・希望退職募集の告示自体に「経営状態の悪化と東日本大震災の影響を受けて・・」とあり、経営状態悪化が第一に書かれており、震災以上の深刻な影響を示す記述に会社自身の文書がなっていることは地裁判決批判でも指摘したとおりです。
また、学研が買収後、東北BSに対してノルマを課したか否かの争点についても、高裁判決は「前記認定によれば,ベストスタディは、買収当初ののれん代8000万円を5年で回収することを利益目標に掲げていた事実が認められるものの、そもそもノルマとは、具体的に各教室や各従業員について、期限を区切って売上げや利益等の目標を設定し、当該目標が達成できなかった場合には何らかの不利益を課するものを指すと解されるところ、ベストスタディにおいてこれらの各教室や各従業員について具体的な売上げや利益の目標が設定されているとはいえず、達成できない場合の不利益を課されるものともいえないから,ベストスタディの取締役ら及び従業員らに対してノルマが設定されたとは認められない。」としています。しかし、「ノルマ」は広く使われ、ペナルティを課すとも限りませんし、仙台あおば学舎代表のSさん(当時、東北BS役員)が証言したように、出口社長が「(株式買取りにかかった)2億円を5年間で回収する」、「純資産で1億5000万円を維持しろ」と売上げ達成を迫ったこと、携帯電話の販売までやらせたことに関わる方針押し付け等々の事実は「ノルマを課した」と表現して妥当なことがらです。
根拠なき損害の認定、わざわざ弁護士費用まで
高裁判決は、「損害」として、「被控訴人学研HDについては、本件最高裁決定により被控訴人学研HDの使用者性を否定する判断が確定しているにもかかわらず、控訴人らは同被控訴人との団体交渉を目的として本件記載A及びCの表現行為に及んだものであり、その内容は、同被控訴人がベストスタディを強引に買収し、過重なノルマを課してベストスタディ内に軋蝶を生じさせているとの印象を与えるものであって、その企業イメージを低下させるものであることからすれば、控訴人らの上記行為は同被控訴人に対する名誉毀損に該当し、同被控訴人の被った損害として20万円、その弁護士費用としては2万円であると認めるのが相当である。・・被控訴人スタディエについては,本件記載@及びBの表現行為は、ベストスタディが危機的な経営状態に陥り、低額の退職金で社員の半数を退職させなければならないほどまでに経営状況が悪化し、違法な退職強要を行っているIとの印象を与えるものであり、その社会的信用を低下させるものであることからすると、その損害額は30万円を下らず、弁護士費用としては3万円であると認めるのが相当である。」として、合計55万円の損害賠償金支払いを命じています。弁護士費用まで認定しているのは、おかしな話ですが、学研の請求の仕方をそのまま容認した結果の表現です。金額は請求より減じたものの、全く不当な判決です。「団体交渉を目的として本件記載A及びCの表現行為に及んだ」というのも歪んだ学研の見方を採用した言い方で、ビラの記載は学研関連の人々から寄せられた声を掲載して、経営の誤った対応から学研関連の人々が不利益を受けないように、真実を知らせているものです。
市村弘裁判長は強制執行停止申立ても却下!
不当判決を受けた同日、最高裁への上告手続きと、「上告に伴う執行停止」の申立てを行いました。ココファン損賠の仮執行付き一審判決の直後に学研経営は、組合員の預金口座を差し押さえるという嫌がらせを行いました。それを許さないために仙台地裁の一審判決後に、控訴審判決までの執行停止を事前に申立てました。高裁判決が出たので再び同様の申立てを行ったものです。ところが、判決を出した仙台高裁市村裁判官は不誠実にも、裁判官面談も拒否し、書記官を通じ「今日すぐ決められない」、「(東京に戻ってから担保を積むなら)仙台法務局には電子納付をすればよい」などと結論を濁しました。
3月15日になって、執行停止を認めない「却下決定」を送ってきました。昨年9月の仙台高裁で組合が請求した地裁判決の誤りを示す有力な新たな証拠である希望退職募集前後の会社の社員名簿等の文書提出命令、希望退職募集の面接に当たった東北BSの元役員Iさん(退職強要を行ったことを陳述書に記して提出していた)の証人申請をいずれも根拠なく却下した市村弘裁判長の不当な訴訟指揮に抗議し、裁判官忌避を申し立てましたが、その後仙台高裁・最高裁で却下されました。同じ市村裁判長の下で訴訟継続となってしまい、市村は予想どおり、この日不当判決を出してきたのです。私たちが忌避したことで一層、敵意をむき出しにした対応としか言いようがありません。判決直後、仙台地裁・高裁前で傍聴に支援・結集してくれた本山労組の皆さんらと共に、マイク情宣と抗議のシュプレヒコールをあげました。
2・5、3・19新損賠、さらに学研の混乱が露呈
昨年6月から差押え等にかかった費用を損害として360万円の損賠請求を学研が新たに起こした訴訟では、裁判所から請求の根拠、「何を違法行為としての訴訟か」を問われて学研側は答えられず、12月の口頭弁論で予納金60万円等の執行費用分につき学研が取下げざるを得なくなり、3月19日には、間接強制決定送達までネット記事が掲載され続けていたことにつき損害が発生し続けたとの学研の主張についても、「判決時で損害額は確定しており、ネット、新聞、本でも、その後読まれ得るとしても、損害が継続するなどという主張は失当である」ことを主張しました。次回期日は、4月23日。学研は、この訴訟の破綻する中、並行して間接強制や自宅差し押さえの執行費用を請求する「確定処分」を民事21部に申請、昨年末から不当決定が組合の異議申立てにもかかわらず出されています。姑息で悪質な金の取り立てによる争議潰しの攻撃が続いています。
学研の小論文模試の採点 ネット上で告発される
「学研の小論文模試の採点がヒドイ!」という声がネット上に出ていました。これが事実なら驚きです。
https://togetter.com/li/1212223
そのまま、転載します。このかん続いてきた出版物の重大な誤記や誤植事件同様に、原因究明と再発防止が求められています。再発が重なっているのですが。
「学研の小論文模試、ほんとクソ 採点官が日本語を知らなさすぎる
かんが-みる 鑑みるや、老老介護を知らないような人が介護の問題についての小論文を見るなよ ほんとイラついてきた pic.twitter.com/r1P2awwkfU
」