学研・ふじせ闘争40周年
        
報告・決起集会を開催!

 学研・ふじせ闘争は、この1月、倒産・解雇攻撃による争議突入から40年が経過しました。全都の争議団の集まり=争団連の中でも現在、3番手となる超長期争議となっていますが、闘争圧殺を狙った民事弾圧を許さず多くの仲間と共に闘っています。


 2月9日、40周年の報告・決起集会を目黒中小企業センターで開催しました。節目の集会は、争団連、南部地区労働者交流会、西部地区労働者共闘会議、北部労働者共同闘争会議、中部地区労働者交流会、三多摩労組・争議団連絡会議、東京南部労働者組合、連帯労働者組合、東京中部地域労働者組合、三多摩合同労働組合の10団体から協賛をいただき、全都の争議団、地域共闘・地域合同労組、の仲間が参加してくれ、争団連、東京南部労組、三多摩合同労組、中部交流会、連帯労組から暖かい励ましと連帯の挨拶を行っていただきました。
 当該=ふじせ労組からの基調報告では、学研ココファン(高齢者施設)、東北ベストスタディ(学研が買収した仙台の進学塾)など、学研関連から相談・内部告発が寄せられた声を掲載した組合のニュース記事に対して2013年から相次いで仕掛けられた「名誉毀損」を言い立てての1320万円、660万円の損害賠償とネット記事の削除を請求する訴訟の不当判決を受けて、学研は組合員の預金口座差押え(2016年5月)、さらに組合員の自宅への2度にわたる差押え(第1次強制競売攻撃=2017年3月、第2次=同6月)を行ってきたことにつき、学研のヤミ金融並の悪質な金の取り立てと裁判所の判決の誤りを指摘、劣化する司法の動向を背景に争議団に相次ぐ経営からの民事弾圧を共同で打ち破っていく方向性が提起されました。
続いて、中央大学法科大学院の山田省三教授から、「憲法28条と団体行動の正当性」と題した記念講演を行っていただきました。山田先生には、2月に結審した仙台高裁の東北BS損賠訴訟に意見書を提出していただきました。意見書では冒頭に、憲法28条による労働基本権保障の趣旨として、この条文のみが勤労者という特定の社会階層に対してのみ基本的人権を保障している特色について触れています。近代市民法が個人の自由を最大の価値とする法体系を作り上げたが、自由だけでは個人の生存を確保することができないことから、労働者の人格の独立と生存を保障するために生存権(憲法25条)および教育権(同26条)とともに労働権(同27条)および労働基本権が、国家からの自由を保障する自由権とは区別される社会権として憲法上承認されたものであること、労働組合運動の歴史は労働者の生存の確保と実質的な自由を獲得するために行われてきたこと、憲法28条は使用者が有する契約の自由に対する制約、ひいては個人の自由(契約の自由、財産権等)の理念との抵触なしには実現できないことを承認し、これを保障したものである、との指摘をされています。財産権保障(同29条)は、憲法22条の職業選択の自由の次に来るのが妥当であるにもかかわらず、同25条〜28条の社会権の後に規定されていることは、財産権が絶対的なものでなく、社会権による制限を受けることを承認したものと評価できる、とのことでした。
 講演では、意見書をベースに、仙台地裁が裁判所の独立はどこへやら、最高裁に媚びて東京のココファン損賠確定判決を丸写しにし、組合の争議行為=団体行動が憲法28条で保障されているにもかかわらず、その正当性を踏まえることなく名誉毀損(損害)の有無への判断を予断をもって下した上に、争議の正当性を否定していることを指弾し、最近の裁判官が、そもそも労働法(民事免責、等)を知らない驚くべき現状を指摘、労働組合の経営批判のビラ等の表現へのかつての判例(「労使紛争」等の中での強い経営非難等は背景事実を勘案して「名誉毀損」などとはしなかった等)からも完全に後退・転換して、組合活動・言論への禁圧になってきている傾向を大きな問題であると述べられました。また、そもそも企業の法人というのは、個人の人格とは性格が異なり、批判を当事者(従業員その他ステークホルダー)や社会から受けて当然で、それを自浄作用に繋げてより良い在り方をめざすべきであり、個人の人格権侵害等の法理を当てはめて名誉毀損などとして批判を禁じることは大変な間違いであること、なども指摘されました。その他、多岐にわたって団体行動の正当性に関する示唆にあふれた講演をしていただきました。
 学研のやってきている不当な訴訟攻撃の不当性、裁判所の判断の誤りが明瞭になる講演でした。続いて、弁護団の浅野史生弁護士から、学研の濫訴攻撃に対する裁判闘争の報告が行われました。東京地裁から高裁へとより悪質な判決となったココファン損賠、そして東北ベストスタディ損賠で、03年の最高裁決定(学研の使用者性を否定した労働委員会命令が確定)を唯一の根拠に「ふじせ労組の争議行為に正当性がない」などと誤った判断を下していること、組合のニュース記事のソースになった事実につき真実であることを証言したココファンの居住者の方や元東北BS役員の方を、「学研と対立していた者で信用できない」などと、およそ裁判とは言えないようなあからさまに不公正な認定をしていること、そして悪質な金の取り立て=強制執行に加えて、その後、手続きを行なわざるを得なかったなどとして、それを損害と言いなして「損害賠償訴訟」を起こし執行費用、弁護士費用を要求していること、とりわけ簡便な間接強制の申請などに弁護士費用80万円余がかかったなどという信用できない主張を行っている学研と代理人は許しがたい、と厳しく批判、ふじせ弁護団の費用と比較したところでは会場からの爆笑を誘いました。労組・支援共と共に最後まで闘う心強い挨拶をいただきました。
集会の最後に、ふじせ闘争支援共闘会議の各メンバー一人ひとりが闘いへの思いを述べて、決意表明を行い、シュプレヒコールで集会をしめ括りました。2次会は講師と弁護団を囲んでの懇親会で、こちらも夜更けまで盛り上がりました。

<全国の争議団の仲間と共に結集行動>
1・22学研社前行動を打ち抜く!

 1月21日、第37回全国争議団交流集会の成功に向けて第4回企画会議がもたれました。3月4日に大阪(田中機械)で関西される本集会の基調、集会決議、スローガン、分科会の内容や役割分担等につき、活発な討論を行い、確認しました。翌1月22日には全国結集行動として3現場を貫く闘いが行われました。
 第一現場は早朝7時45分から朝ビラ配布で始まった学研社前闘争。年末12月22日の株主総会闘争の詳報を掲載したビラ配布とあわせ、出社役員への抗議を展開、この日は学研ココファンホールディングスの小早川社長が8時15分過ぎに出社、民事弾圧を糾弾、本社取締役でもある彼に争議解決を迫るシュプレヒコールを浴びせました。この後、当該のマイク情宣も開始、学研および地域の労働者にアピールを行いました。9時にビラ配布を終了。
 当該から学研糾弾のまとめの発言を行い、第2現場までの間に後楽園周辺でのJアラート防災治安訓練反対の闘いもこの日入っていることも確認。最後に中部労組から次の東邦エンタプライズ闘争への結集が呼びかけられ、社屋に向けたシュプレヒコールを上げて終了しました。 

          1・22学研本社前

東邦エンタプライズ闘争

結集行動の第二現場はビルメン会社=東邦エンタプライズ社前はりつき団交要求行動。朝からみぞれが降り集合時間には風も強くなる中、東邦エンプラ事務所で団交申し入れ。インタホンを押しても応答なし。30分前には点灯していた電気も消え、居留守の可能性は高い様子でした。マンション前ではりつき行動を開始。当該から経過を説明し「組合つぶしの不当解雇は許せない。12月13日に都労委に提訴した。現場・都労委を貫いて闘い抜く!」との発言。中部労組NICソフト、破防法・組対法に反対する共同行動、九州のグリーンコープ自立労組、阪大石橋さん、中部交流会(明大生協労組)から連帯、決意の発言が行われました。
関単労阪大分会・最高裁前
 ますます雪が激しくなる中、第3現場は阪大分会の最高裁前の闘い。当該の石橋さんが、2015年に大阪大学が行った長期非常勤職員約170人の不当解雇、それを擁護する高裁・最高裁判決に抗議し、「非正規労働者はモノじゃない!生きている!紙切れ1枚で首を切る大学は許さない」と決意表明しました。争団連、関西争議交流会(あぱけん神戸)、九争交(福岡合同労組)の仲間、沖縄一坪反戦地主会関東ブロック、労働法制改悪阻止・職場闘争勝利!労働者連絡会からの連帯の挨拶を受け、ピークに達した雪の中、最高裁への怒りをたたきつけて行動を打ち抜きました。

1・29東北ベストスタディ損賠 
      裁判官忌避ならず、仙台高裁で結審

 昨年9月の仙台高裁で地裁判決の誤りを示す有力な新たな証拠である会社の社員名簿等の文書提出命令申請、希望退職募集の面接に当たった東北BSの元役員Iさんの証人申請をいずれも根拠なく却下した市村弘裁判長への忌避を申し立てて審理が中断していた東北BS損賠訴訟は、その後、不当にも高裁が忌避を却下、そして年末に最高裁も特別抗告を棄却。1月29日同じ市村裁判長の下で、弁論再開となり、一方的に結審、判決日が3月12日(13:10〜)と指定されました。この日、見え見えの進行に対し、被告と弁護団は東京から代表派遣で参加。浅野弁護士と支援共闘会議事務局長が、一審判決と高裁の不当な訴訟指揮に抗議の主張を行いました。
2・5新損賠、さらに学研の混乱が露呈
 昨年6月から差押え等にかかった費用を損害として360万円の損賠請求を学研が新たに起こした訴訟では、裁判所から請求の根拠、「何を違法行為としての訴訟か」を問われて答えられず、12月の口頭弁論で予納金60万円等の執行費用分につき学研が取下げざるを得なくなったことは既にお知らせしましたが、2月5日の口頭弁論では、間接強制申し立てと弁護士費用部分につきひき続き損賠請求している根拠につき、最高裁確定(2月)から3月30日間接強制決定送達までネット記事が掲載され続けていたことにつき損害が発生し続けたとの学研の主張についても裁判所から問い質しがされ、次回、
3月19日(10:30〜635号法廷)で、組合側からも反論を提出することになりました。
学研はこの不当な損賠請求訴訟が破綻しかかる中で、並行して間接強制に関して執行費用額(総額2万6664円)の確定処分を民事21部に申請するという矛盾・混乱を露呈していました。しかし、許せないことに、25日、異議を申し立てていた執行費用額確定処分(間接強制関係、11月処分決定)での異議却下決定が出され、さらに執行抗告の申立てを行いましたが、2月9日に東京高裁は、これも却下しました。「被告は請求異議を起こして争えばよいのだから」という理由で却下!?許せません。これ以上、「執行費用額」を上回る訴訟費用をかけて争うことを避け、上記金額を支払いました。
「間接強制決定違反」適用の不当性を争う請求異議審(2/19)
 昨年3月30日送達のネット記事削除の間接強制決定文の記載ミスから発生したネット記事一部削除漏れを「間接強制決定違反」(1日掲載につき20万円支払い)として、学研HDと学研ココファンが、1320万円の債権を言い立てての第2次自宅差押えを行ってきたことをめぐって、請求は無効であるとして組合側が起こした請求異議審が行われています。2月9日の口頭弁論では、学研側が出していた「決定文(及び元になった損賠判決)の記載に誤記があっても損賠請求とそれを容認した判決の趣旨は不変だから、請求は無効にならない」との主張に対して、次回(4/23)に組合側準備書面での反論を行うこととなり、また裁判長から、間接強制決定を受けて組合が行ったネット記事の削除の事実を示す証拠(FTPサーバー画面の写し)がいまひとつ鮮明でないので、出し直しし、証拠の読み方の説明を出してほしい、また、そろそろ立証計画を示してほしい、との要請がありました。学研が「削除漏れ」に気がついてからも、それを通知せずに放置して日数を稼ぎ「違反金」を積み上げて、それを債権に2度目の嫌がらせとして自宅差し押さえ=強制競売攻撃を行う、ということで起きた前例のない争いがヤマ場に入ります。