12・22学研HD株主総会詳報
悪質総会運営極まり、これまで最短の1時間で総会打ち切り!宮原社長、「ふじせ関係」株主発言させず
争議の事実を歪曲し、虚偽答弁で居直る!

 12月22日に行われた学研ホールディングスの株主総会につき詳報をお届けします。当日、私たちは朝8時から学研本社前で学研労働者、そして9時過ぎから来場してきた株主の皆さんへ総会前に事前提出した質問書を掲載したビラを配布するなど、全都の仲間と共に社前行動を展開しました。昨年同様に学研経営は社前に「GAKKEN」と染め抜いた緑の横断幕や「株主総会」と書いた白い幟を立て、いつも私たちが掲げる横断幕、幟をつけさせないようにしてきましたが、空きスペースに設営して抗議の意志を現しました。また、労働運動弾圧を専門にしている警視庁公安2課に通報し私服公安を社屋周辺に徘徊させるなどしましたが、質問権行使に臨んだ株主の会場内の行動と貫いて最後まで社前行動を打ち抜きました。
 10時から始まった総会では、例年同様に議決権行使書の確認、監査役報告、事業報告書読み上げおよび決議事項説明から行われ、書面質問への回答が行われました。中森常務が質問書への書面回答を読み上げましたが、いつも同様にごまかし回答の連続でした。質疑応答でも、経営陣の答弁と総会運営はひどいものでした。組合のコメント(青ゴシック部分)を付けて紹介します。
<書面による質問への回答>
<総会運営について>  いつの株主総会におきましても、株主様のご質問に真摯にお答えしております。また、議事の進行についてもその権限は議長にあり、株主総会の目的事項について充分に審議が尽くされたかを見極めながら、大多数の株主様の同意をもって議事の運営に当たっております。当社の総会運営において株主様の質問権を侵害しているとのご指摘は当たらないと認識しております。
 毎年、くり返されている悪質な総会運営を開き直っていますが、年を追うごとに運営実態は悪化し、以下に見るように今回の総会でそれが極まりました。特にふじせの争議責任を免れたいがためのふじせ関係者株主への悪質な敵視が本総会では露骨になり、ふじせ争議だけでなく、社内・学研関連から寄せられた声も扱い、多岐にわたって学研が抱えており改善すべき点を質問してきたふじせ関係者株主に対して質問をさせない全く不公正な運営が行われたのです。
<元社長のお別れの会について> 古岡元社長の生前の功績に鑑み、お取引先や関係の皆様をお招きして、お別れの会を開催いたしました。費用につきましては適切に処理いたしました。
 「全額会社負担で、その金額が計4000万円」との話も伝わっており、古岡家との話し合い調整も含めて、その真相を問い質そうと質問も準備していましたが不当な総会運営で全く明らかにできませんでした。
<本総会への弁護士の出席について>
 当該弁護士については、議事運営が法令に違反していないか、また役員担当が説明義務を果たしているか、等のチェックとアドバイスをいただいております。費用等についてのお答えは差し控えさせていただきます。なお、当社が弁護士を代理人として訴訟を提起していることについてのお尋ねですが、当社は会社および株主様の利益を守るため、法令に則り、必要な場合にのみ提訴しております。
 この事務所の前身の二重橋法律事務所は、その代表が自らの事務所所属の女性弁護士に対するレイプ事件を起こして、2016年2月、第2東京弁護士会から退会処分を受け、事務所は弁護士も抜けて崩壊状況になり、祝田法律事務所と変名して学研との癒着が続いているが、木村常務ら学研経営陣は全幅の信頼を置いていると表明しました。学研とこの法律事務所の癒着は、ついに悪質金融なみの金の取り立てを行うに至っています。学研による倒産攻撃で生活を破壊された労働者が、その争議責任を追及すると、今度は不当な損害賠償攻撃を仕掛け、(不当判決ではあるが)学研の請求額をはるかに下回る66万円の損賠金を根拠にその労働者の自宅を差し押さえるというヤクザな金の取り立てを行ってきました。二重の生活破壊攻撃で、責任を追及する組合を潰そうとしているのです。強制競売開始を知って、自宅に沢山の不動産関係者が押しかけて任意売却を勧めたりしましたが、学研の債権の金額がわずか66万円+遅延損害金、と聞いて、その悪質さにあきれています。予納金を60万円も出して強制執行手続きを行っているわけですし、嫌がらせの自宅差押えは明白です。学研はこんな自宅差押えを既に2回も行なっています。一部上場企業で、こんなことをやっている会社は珍しく、学研の問題体質を示してあまりあります。
<編集事故の再発防止について> 当社グループでは各社において業務態勢の見直し、チェック態勢の強化等を図りながら、グループ横断的な組織として 委員会を作り対応に当たっています。また、編集事故の背景に過重労働の実態があるのではないか、とのお尋ねですが、当社グループでは各社において従業員の労働時間を正確に把握して常に健康管理に充分注意しており、必要に応じて産業医による個別面談を実施しています。さらにコンプライアンス部会を設置し、弁護士の協力も得ながら従業員相談を受けるコンプライアンスホットライン制度を運用しています。本制度は充分に成果を上げていると認識しています。
 出版物誤植事件の背景にある学研の労務政策についても問い質してきました。昨年は悪名高い「選択定年制」=スタッフキャリア制度が、応募者が少なく2014年にはゼロになって制度変更=廃止を余儀なくされたのに、10月変更の事実を12月株主総会で隠していたことを指摘しました。昨年は学研プラスからエデュケーショナルへ出向した労働者が精神疾患を患い、休職に追い込まれた、との社員の方からの内部告発が寄せられたことを述べましたが、今年も社内からの告発の声として、ココファン・ナーサリーで、部長からの減給宣告と従わないと退職との発言があったため、ストレス性障害で休職に追い込まれた社員がいること、同じく同部長のパワハラや暴力的対応で退職に追い込まれた社員がいること、上司である役員も暴言をはいて事態を正当化したことなどが、告発されています。コンプライアンス委員会に通報され、さすがに役員、部長への忠告が行われたと聞きましたが、社員の被害・不利益は回復されていないようです。告発した方の「コンプライアンスなど機能していない」との声が寄せられています。
<サービス付き高齢者向け住宅の事故に対する学研ココファンの見解について>
 サ高住協会では介護を必要とする方の多数に依拠しており、件数は少ないですが事故が発生しております。学研ココファンにおいては安全管理を適切に行っており、事故を未然に防ぐための諸施策を講じています。引き続き入居者や利用者の皆様に安心していただける体制の整備と運営に努めてまいります。
 朝日新聞の5月7日朝刊の記事によると、安否確認が義務づけられたサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で、2015年1月から1年半の間に、死亡や骨折など少なくとも3千件以上の事故が報告されたことがわかっています。 記事の一部は本紙でも紹介しました(「パルス」17年5月号)。 入居者の88%が要介護認定(要支援を含む)を受け、要介護3以上の重度者も30%とサ高住の「介護施設化」が進んでいるのが実態です。サ高住の問題点が浮き彫りになっています。「国交省は、これまでは部屋の広さなど登録時の情報が中心で、サービス内容など運営実態はわからなかった。」としています。ココファンあすみが丘の居住者の方たちが改善を求めて上げた声はこうした現状と関わっていたのです。相談の声を組合がニュースに掲載しました。それを学研は訴訟攻撃で弾圧し、裁判所からは、居住者の方の法廷での証言を「施設と対立していた者で信用できない」などというとんでもない認定を引き出しました。最近の司法もひどい状況です。学研が為すべきだったのは、このニュース記事に接したとき、すぐにあすみが丘居住者に改めて聞き取り、改善すべきことを実行することではなかったのか、を改めて問おうとしましたが、不当に質問を封じられ、できませんでした。
<出版事業の業績について>
 当社グループの出版事業の中核である学研プラスでは、売上高約250億円、営業利益約5億円を計上しています。出版物の新刊発行件数の減少や出版プラス事業の伸び悩みで減収となりましたが、学習参考書、児童書は引き続き好調を維持しており、出版物全体の企画の精選による返品率の改善などで増益を図っております。また、電子出版事業の現状と今後の見通しについてのお尋ねですが、当社グループにおける電子書籍の総数は5300点を超えました。雑誌の低額制サービスでも積極的な売り上げ拡大を図っております。
<サービス付き高齢者住宅を中心とした不動産流動化について>
 高齢者福祉事業の拠点数拡大を加速するために当初より流動化を前提とした開発を進めております。なお、流動化に際しては借入金残高、不動産市況など外部環境にも留意し、適宜対応していきたいと考えています。
<東北ベストスタディについて>
同社は2016年4月に学研スタディエと合併しました。震災の影響を受け厳しい時期がありましたが、教室閉鎖と不採算校の見直しで損益の改善を図り、現在進行中の73期は計画どおりのスタートを切っております。教室数は現在39教室です。
 72期の業績と教室数の増減を書面質問で質しているのですが、全く答えていません。ウエブサイトを見ると、富沢教室、仙台南教室が生徒募集停止になっています。
<質疑・応答>
宮原社長 「多くの株主様に発言いただけるように、質問は一人2問まで、3分をめどにしていただきたい」と指定。しかし、この後、時間は充分にあるのに、「ふじせ関係者」と見なした株主4~5名の挙手を無視して総会を打ち切りました。「多くの株主に発言いただけるように」などというのは真っ赤な嘘です。
株主A   昨年の株主総会から発言時間を3分に制限することとなり、会社の意気込みを感じましたので、私も発言をさせていただきます。毎年の株主総会の冒頭で発言される何人かのグループへの意見です。私はあなた方の発言を、学習研究社として東証第2部に上場して以来、大田区の会場から有明、そしてここ五反田と聞かされてきました。いつも株主総会の始まりで、このグループが一斉に挙手をしまして、議長の指名を受けるという方法に嫌気がして、総会を3度ほど即退席した経験があります。グループの発言は聞き飽きました。発言の内容は、古くは古岡さんという人への恨み言であり、あるいは裁判で負けたことへのこれまた恨み言であったり、最近では目的事項にも審議事項にもなっていない発言に終始しています。いずれも株主総会に相応しくない発言と私は考えています。私は学研HDの発展を願って株主となりました。何人かのグループの人が従来のようなやり方での発言を今回から差し控えていただきたい、会社の発展を願う株主としては、どれくらい配当があった、株価がどこまで上がるかということを、・・・  時間が来ているようですから他の株主さんにお任せします。(社員株主が拍手)
 サクラ株主と思われる人物に最初にこのような発言をさせました。私たちは恨み言など 述べておらず、学研にとって経営上の重要な事項につき多岐にわたり質問をしてきたのは過去の記録(「発信25時 学研・ふじせ闘争」で検索を)でも明確です。こんな翼賛発言ではない質疑応答こそ健全な総会運営に必要なことです。
宮原社長  貴重なご意見としてうかがいます。社長としてお答え申し上げますと、毎回こういう形で株主総会が毀損されるのは情けないことなのですが、日本の法治国家としていろんな形でやっても、総会屋さんとか、反社会的勢力の皆さんは拒否はできるんですけど、こういう方々については株主様保護という形で、どうしても受けざるを得ない、というところがあります。本来の株主総会に一日でも早く戻していきたいというのが、強く感じているのですが、そのあたりがまだできていないことは深くお詫びします。
  「受けざるを得ない」、「株主様保護」と言うなら、この後の総会運営は無効というほかありません。
株主B  紙の出版業界はインターネットやスマホの普及で厳しいと思いますが、学研さんも電子書籍の拡大とか、介護関係の拡大とかやっていると思うんですが、例えば電子書籍だと、アマゾンとか楽天とか結構ガリバー的にやられてて、なかなか難しいと思うんですよ。そういうところは端末まで一緒に売っていると。それから介護の方も似たような業種としてニチイ学館とかあると思うんですけど、そこも積極的に窓口の方も展開しているというようなことがあって、学研さんのやり方を見て  いると、よく選択と集中と言いますけど、なにかどっちつかずと言うか総花的な感じがするんですけど、どういう方向へ持っていきたいのか、ちょっとはっきり聞かしていただきたいな、と思っております。
宮原社長  選択と集中の方向性については社長の私の方からお答えします。ちょっと中途半端と言われているのは残念なんですけれど、一つは学研のDNAである教育というものをしっかりやる、大黒柱にして伸ばしていく、ただ、日本が少子高齢化になっておりますので、どうしても子供の人口が減っていくわけですから、それは国内い関しましてはシェアを高めながら地位を確保して、そのコンテンツをこれから子供たちが増えていくアジアを含めたところに輸出していく、というような形を持っていきたい、と考えております。一方で、日本の人口は減ってくるわけなんですけれど、高齢者の人口は増えてくるわけですから、ここのところにサ高住というものを当社は小早川が出して作り上げているわけですが、そこの分野に特化してやっていく、それは安心・安全で年金で暮らしていくことができる、というところに特化しているわけで、ここを中心としながら今後も進めていきたい、で、日本も高齢者の人口が減ってくるときがどうしても来るわけですから、その頃はアジアで教育で拠点をつくった所に高齢者のビジネスを輸出していくことによって、継続的に発展させていこうというところがあります。ただ、おっしゃられているようにニチイ学館さんのようなところも学研グループとしては押さえていきたいものですから、今期から72期ですけど、メディカル秀潤社という医療と看護、そして介護の出版をやっているところをセグメントに付けまして医療・福祉グループという形で知見を高めながら、職員の能力も高めながら、質を向上しつつ拡大していこうというところに持っていっておりますので、いずれにしてもニチイ学館さんとか、JTホールディングスさんとかのライバル会社も抜いてしっかりした企業に高めていきたいと思っております。
株主C   勉強不足でもれていたら申し訳ないのですが、いまAIとか自動運転とかハイテクがちょっと流行ってて、その中でもドローンとかロボットとか、次の世代を  を作っていく技術があるのですが、子供たちにそういうものを学ばせるというのは  学研さんから出ると、私も子供いるんですけど親としても学研さんのブランドでそういうものがあれば、買って子供に与えたいなと思ったりするんですけど、いま組み立て式のドローンが中国で出て、教材として売っていこうという流れも世界であるんですけど、そういうジャンルで既にやられているとは思うんですけど、今後の投資とか世の中のニーズを摑んでいく方向性をどうお考えか、お話いただけるんでしたらお願いしたいのですが。
宮原社長  ただいまの質問、ドローンとかアジア圏ではスキームという形でとらえられていますけど、次世代の子供たちに学ばせるということに関して福住執行役員の方からお答えします。
福住執行役員   ロボットプログラミングにつきましては学研エデュケーショナルが物の仕組み研究室というグループを作りまして、アーテック社というところと連携してロボットを組み立てながら、ロボットをコンピュータを使って自分の意図したように動かす、子供たちにとっては大変興味深い、ニーズのある教材になっているのですが、ロボットプログラミングを塾の講座として大変、好評を得ています。今期も拡大ていきたいと考えています。
宮原社長   ドローンに対しては昨年、ちょうど今頃、大人の科学シリーズで出させていただいています。碇取締役の方からお答え申し上げます。
碇取締役   ドローンとかロボットなど、子供さんが遊びながら学べる教材の開発についてのご提案と承っておりますが、ドローンについては今、宮原が申しましたように「大人の科学マガジン」で商品として開発しています。それから?の商品ではありませ  んが、学習研究社当時から「学習」「科学」を世の中に出してきた会社ですので、そこの科学教材を開発したチームが現在も残っています。「大人の科学マガジン」も、そこの編集メンバーで製作し、企画をしていますが、グループの中ではいま「科  学」という切り口だけではなくて、世界的に課題として「スキーム教育」というものが言われています。学研グループとしては、そのスキーム教育について学研としてのものを世の中に提案していこうということで、「科学」もそのスキーム教育の一つとして取り組んでまいりました。また、「大人の科学マガジン」では、たとえばこの12月15日に発売を開始しました「活版印刷機」がリアルな書店さんの店頭でも、ネット書店さんでも品切れが続出するくらい大変ご好評をいただいています。そういう教材開発のところ、編集部と、ロボット・AIの技術的な開発というのは学研グループではできませんので外の研究先とのアライアンスの中で、AIを活用した教育システムの開発ですとか、ロボットプログラミングを通じての教育のを上げるというような取り組みを今後、加速させていきたいなと考えております。
宮原社長   申し添えますと、私も昨年出た「楓ドローン」というのを組み立てさせてもらって社長室にいまも置いてあるのですが、自然界ではタンポポと楓が唯一種をまいて飛んでいくわけなんですが、タンポポはちょっとドローンに相応しくないということで、楓が種をまきながら飛んでいくのをドローンにした商材が非常に面白くて学研らしいということで子供たちにも人気を博しております。また、AIに関しましては、それこそ校正とか校閲とか、そういった部分に関してAI編集中とか、場合によってはAI先生とかの時代に絶対にこれから近づいていくと思います。これから? テクノロジーの時代に入ってきていると思いますので、教育は人なりで、人は当然大事にしていくのですが、それを助けるツールとして、こういったIT、ICTについてやっていきたい、福住のところでやっているGパピュルスというのも、AIのニュートンさんのエンジンを携帯しておりまして、Z会さんともう一社はベネッセさんとソフトバンクが提携したラッシーという3社がそういったエンジンに取り組んでいますけど、当社も負けず劣らずそういったところには投資して、しっかりやっていこうと、ただ、当社はIT、ICTだけで完結する教育というものは目指しておりませんで、やはり教育、教科学習だけではなくて、子供たちの気持ちとか、ちょっと泣いた時に助けてあげるとか、悩んでいるときにしっかり相談に乗ってあげるとか、人間でしかできない部分もしっかり踏まえて、教育を捉えていきたいというふうに思っております。   
株主D  先ほどスクリーンを通して学研ホールディングスのグループ全体の理念として「全ての人が心豊かに生きること」と言っています。私は敢えて政権与党ではないのですから、全ての人に責任を取ることは学研はできないと思います。ただし、ここに出席している株主も含め、半分以上の人が心豊かに生きることを株主総会の目的にすべきだと思います。従って株主がどのような思想・信条をもっているか、そして社の発展を願えばこそ解決すべき問題があるんではないか、ということの質問に対して、真摯に答える、そのことが社長であり議長である宮原さんの務めだと思います、そのことを忠告します。これは質問ではありません。
 質問に移ります。一点目は、先ほど一番目の方が質問の時に労働問題に寄せて、そのグループの話は聞き飽きて、聞きたくないと言っておりますが、私は必ずしも従来の発言を聞いていない方も新しく出席する、従前から株主権を持っているけれ  ど初めて出た方、こういう方もいらっしゃいます。そういう方は学研のこれからの健全な発展にとって、労働問題の解決が不可欠であるということの認識を深めていただくような質問に真摯に答えることが重要だと考えます。
 一点は、1985年の当時、学研の下請で設立した東京ふじせ企画の破産管財人が学研および局長らを相手に起こした損害賠償請求訴訟の中で、その判決中でこういうふうに書いてあります。学研の・・
宮原社長  質問をお願いします。
株主D  いま言います。学研の業務総引き上げについて損賠判決の中では、「学研の被告黒川および同角宮の共同意思の元に右被告両名の発案で、工藤・須田に働きかけて受注業務の返上の形で・・・
宮原社長  ご発言が3分になりましたので簡潔にまとめてください。と妨害に入る
株主D  85年の段階で判決理由の中で、下請けの労組結成に対して学研が業務を引き上げて・・・こうした認定がされて・・・
宮原社長  3分過ぎましたので、もうその内容でお答えしますから
(社長のこの発言に合わせて発言者のマイク電源が切られる)
株主D  いや、まだもう一点ありますから、そのことについて
社員株主ら 「もうやめろ」「長いぞ」等の大声で発言妨害
他方「大事なことを聞いているんだから、聞きなさいよ」との声も

宮原社長  株主様、お席にお戻りください
株主D   (肉声で)大橋監査役が解任されて、争議解決の道が断たれた、学研が争議解決のチャンスを逃したことについて ・・
宮原社長  議長の指示に従ってください、退場を命じることになりますよ
  社員株主  「退場」「退場」と声を荒げる
木村常務  ご質問というかご発言の趣旨は、株主総会とはどういう趣旨であるか、もう一点は東京ふじせ企画労組との関係についての見解をおそらくお尋ねになっているものかと思います。
株主総会は株主と経営陣の建設的な対話の場であるということを考えていまして、今の株主様のご発言の内容は株主総会の目的とは添わないものだという見解です。
株主D   それが間違いなんです。
木村常務  また、東京ふじせ企画労働組合との争いといいますが、これは最高裁判所の決定が出ておりまして、法律的に完全に終わっている内容でございます。従いま  して、ここで何かお答えする必要は全くございません。よろしくお願いします。以上で回答といたします。
 発言を遮って聞こうともしないで、都合のよい答弁をしています。学研は最高裁決定で決着済みなどという一言でいつも「ふじせ争議」を歪曲した説明をくり返しています。学研が下請で結成された組合を潰そうとして35名が行っていた学研の編集業務を総引き上げし、下請会社を倒産させたことにつき、下請会社の破産管財人が学研や学研管理職らを相手に提訴した損害賠償訴訟で1985年に出された判決につき、株主Dさんは質問しています。一昨年までの質問で宮原社長は、この判決を読んでいないことが分かり、昨年はそれを読んだのか、読んでどう受け止めたかを聞いたのですが宮原社長は答えを逃げてしまいました。そこでDさんは、学研の業務引き上げ=倒産攻撃の責任を明示した判決のハイライトになる部分を読み上げて問い質そうとしたのですが、場内で株主の皆さんに聞かれるのを恐れて、発言を封じ、マイクの電源まで切ったのです。85年損賠判決とは逆に、労働委員会命令は「学研の使用者性」を否定し、それが行政訴訟で最高裁まで行って確定しました。しかし、使用者性の有無とは別に倒産攻撃を仕掛けた責任を追及する争議は終わるはずがありません。実態を知っていながら、「決着した」などと学研は争議解決拒否を正当化するために言い続けているだけなのです。また、学研の責任を認めて解決に動こうとした当時の大橋監査役を学研は直ちに解任しました。
宮原社長  案件としましては、40年前に今日欠席している1名の方で取引先の子会社に勤められていた方が中心になり、支援者の方が沢山支援しながら、こういう係争が続いていますけれど、2001年に東京地方裁判所、2002年に東京高等裁判所、2003年に最高裁という形で決着がついておりまして、まあ、こういう形で嫌がらせをしながら解決金を出せというのが、なかなか取締役として貴重なお金ですから・・
(「そんなこと言ってないよ」との声)
40年前に1名がと言うのは嘘です。東京ふじせ企画の35名の社員のうち25名が組合に加入したことで、学研は焦り、組合潰しに乗り出してきたのです。ふじせの労働者から奪った雇用を学研は返せ、と要求しているのであり、金銭要求などというのは昨年も宮原社長がねつ造した話でしかありません。
未来への投資と株主様への配当という還元という形で考えておりますので、解決金目当ての要求には・・・応えられないことを、ご了解ください。
(「解決金なんて言ってないよ。嘘ついちゃ駄目だよ」、「嘘つき」の声) まあ、何度もいいますけれど、日本が困っている2011年の東北の震災の時に、早速、社前に来てビラをまき、そして先ほど書面質問にもありましたけれど、仙台で震災から立ち直っているあすなろ学園(学院の間違い)に対してビラをまきに行って体力を弱めようとし、・・・
(「嘘だろ」「言い換えるんじゃないよ」との声)
その年の3月11日の翌日に前から入れていた社前抗議行動を行ったことを、「非国民だ」とでも言いたげに防衛大出身の宮原さんは問題にしています。私たちは原発・震災の責任を追及し、福島の皆さんへも支援・連帯行動を行ってきています。
あすなろ学院にビラをまきに行ったことなどありません。学研が進学塾あすなろ学院を買収したことで同社が分裂した結果につき知り得た事実を学研本社前で配布した組合ニュースに載せただけです。それに対して仙台地裁で訴訟を起こし呼び出す嫌がらせを学研経営と東北ベストスタディが行ったのです。

 また古岡元社長のお別れの会にも死を悼む人たちが多い中、ビラを平然とまいていく、それは人間としての行為としておかしいと思います。ですから我々は、法治国家の企業で上場を果たしておりますので、皆様方に合法的な形でお金を払うことができるのなら、払っていきますけど、裁判でも勝っておりますし、解決金目的という唯一の砦でお支払いすることは上場会社としてはほぼ不可能と考えていただいて、諦めてほしいと考えています。
(「発言、訂正しなさいよ」「嘘言っちゃ駄目だよ」「大橋監査役(が責任認めた)のこと全然答えてないじゃないか。2問目」の声。社員株主は拍手。)
 古岡滉元社長は、一族専制の暴力労務政策の責任重大な人物です。ついに責任を認めて争議を解決することのないまま逝った彼の死を「残念だ」と表明することが私たちの弔意の 表明の仕方と考えて声明を発したものです。「人間として」といかにもヒューマンな仮面の下で、学研の体質を宮原社長は狡猾に押し隠しています。古岡一族の専制支配が横行し、全学研労組員の多くに学研経営が文字通りの暴力をふるって負傷者を続出させてきたこと、私 たちにも暴力対応をくり返してきたことを忘れません。
  今も、学研本社前でふじせ労組が配布しているビラにつき、会社が厳重に受け取り禁止 令を出している、との告発がされています。「ダイバーシティ」などと言いながら、社員個々人の意思を尊重せず、抑圧・弾圧姿勢を敷いているとしか考えられず、ファッショ的な体質は変わっていないのだな、と感じています。
宮原社長  それでは他の方。(見渡して)ふじせグループの挙手ばかりですから、・・  (「どうやって分かるんだよ」の声。「予断を持った運営やめなさいよ」「株主を平等に扱いなさい」の声)
(宮原社長、促されて手を上げたふじせ関係者以外の株主を指名)

株主E  初めて参加しました。熊本の地震の時には全国の皆さんからご支援をいただき、大変ありがとうございました。まだ、帰れないのが千軒くらい残ってまして、道路も開通していないところがあります。震災の4月14日のとき、学研ココファンの施設を開放していただきました。食料まで配っていただき、大変ありがとうご  ざいました。トラックで職員の方、元従業員の方がわざわざ運んでくださいました。お年寄りの方も非常に感謝しています。その中で学研さんの方は子供から大人まで人生100年を健康で長生きするようにということですが、今後、関東でも大きな震災が予想されています。その時、熊本モデルと言いますか、今後どうされるのか教えていただきたいと思います。 ほんとうに熊本から来た方でしょうか?やらせっぽい発言ですね。
中森常務  事業継続計画についてはどこの企業も行っているわけですけど、私どもといたしましても当然、策定させていただいています。また、それの一環として大阪本社を設立いたしまして、東京本社、大阪本社の2体制でいろいろな災害に向き合っていこうということを今進めているところです。従前より策定しているグループ  の防災対策マニュアルの充実、また地震対策マニュアルを充実させておりまして社員全員でこれに対応してまいる所存でございます。 
宮原社長  熊本は当社の早稲田スクールとココファンのある本拠地で、すぐに対応し  ないといけないということで、東京からは小早川チーム、大阪からも福岡からも支  援で二次災害は怖いですけど、少しでも役に立てればと行ってきました。また、この秋ですけど1000名ぐらいで子供たちむけにイベントを開き、通り過ぎた震災ではなくずっと見守っていく震災として会社としても向き合っていきたいと思います。
そろそろ審議も尽くされてまいりましたので、あと2名の方でお願いします。
(「なんで?こんなに手を上げているのに」の声)
株主F  初めて参加しました。小さい頃に学研さんにお世話になり半世紀経ちました。  この資料見させていただきますと、学研グループの理念は非常にいいこと書いてあ  りまして、もう一つ近場では2カ年計画というのがあるということなんですが、教  育は百年の計とかいろいろ言われていますので、創業100年に向かっての決意とか、長期計画で、どういうことを狙おうということなどお聞かせ願えればと思いま  す。あと、10年、20年、30年とどこへ向かうのか大きな目標をお聞きしたい。
宮原社長  教育、医療・福祉もそうですけど、100年、50年、そして学研が持っているDNAを次の世代にしっかり残して語り継いでいこうというのは当然のことだと思ってやっております。ただ、教育に関しては今どちらかというと、拝点主義というか点数さえ取れればいいや、とか回答だけ分かっておけばいいや、という時代があって、それから若干揺り戻しが来ておりますけれども、まあ認知能力とか非認知能力、教科学習だけじゃなくて、やり遂げる力とかですね、コミュニケーション能力とかいう方にどちらかというと教育の形も変わってきておりますけど、やはり日本として大事なのは目の前の子供たちのことを思ってあげて、 ? ための教材を作ってあげる、その子が悩んだり落ち込んだりしたときに支えながらやっていく教育に学研グループの存在というところを重きを置きながら、ものづくりとサービスをやっていきたいと思っています。
 あの、はやりで教育に乗って行くというような企業ではございませんから、学研はむしろそういったところを重視しながら、長く安定した子供たちを見守っていくような教育をめざしていきたいと思っています。ただ上場会社ですからそれなりの利益を上げて行かないといけないわけですから、そこを充分踏まえながら、決して数字の世界には、しっかり数字を上げますけれど、数字が全てというような経営は考えておりません。そのあたりはご安心して見ていただければ、と思います。ただ、今日本の初等・中等教育は世界一でしょうけれども、欧米の流れからいくと、ちょっと変えていかないと世界の中で戦えるというふうにはいかない、そういった意味では先ほどのスキームとかいった部分も積極的に取り入れてやっていきたい、というふうに考えておりますので、これからもよろしくお願い申し上げます。
  それでは、あと1名の方にお願いします。いませんか?(ふじせ関係者の株主4名ほどが手を上げているのに無視。やっと手をあげた他の株主を指名!)
株主G  私も今日初めて総会に出させていただいたんですけど、1歳の子供がおりまして、妻のおなかには今二人目がいるので御社のやられている教育事業というのは私の人生の中で今後、子供が参加させていただくことになるのですけど、御社が考える塾業界とかは今後、どうなっていくのか、御社がその中でどういった存在感を発揮していくのかをご教授していただければ、と考えます。  
福住執行役員 いま日本は国を挙げて教育改革をうたい、これまで知識・技能だけをテストで評価して、大学が決める、それが人生を決める、学力というのは単なる知識・技能じゃないわけで、考える力、表現する力である、それから認知する力、こういった広い意味での学力といったような考え方になってきています。社会性や周りの人たちと協力をしていく、というような所も一つの学力だと、学力観というものが広くなっている、私たち学習塾もこれまでの受験一辺倒の教育でなく、やはり国の学力観の変化と合わせた適切な教育をやっていかなければ、と思っています。そのためにICTの力であるとか、映像教科とかに適応していかないといけないと思っていますが、本質は人としていかに教師が子供たちを考えていくか、ということに変わりはありませんので我々学習塾の中でもその研修については引き続きそういうふうに進めていきたいと思っています。塾業界として日本の教育を支えていこうという思いのある方と緩やかな連携を組んで日本の国の教育をになってこうという計画も継続中です。
宮原社長  公教育と民間教育というのが日本の国にはあって、やはり公教育の限界というのはあるわけなんですけど、しっかり民間教育を代表して、以前は私設文科省言って学研は頑張っていたときもありますし、それをめざして今後も頑張っていきたい、と思います。 
「私設文部省」を名乗り、「本の中身が白紙でも売って見せる」と傲慢なセリフを吐いていたのは、業務引き上げを命じた黒川巌学習科学編集局次長だった、と記憶しています。
  それではこのあたりで、終わって・・・
 (「何だよ、まだ質問あるよ」「いま何時だと思っているの、まだ11時だよ」等の抗議の声があちこちから上がる。)
宮原社長  決議事項に移らせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
(抗議の声がやまぬ中、社員株主が拍手)
宮原社長は、まだ挙手している4~5名の株主を「ふじせ関係者」として無視し、質疑を打ち切り、決議事項採決に入り、これまでで最短の1時間で総会を打ち切りました。 明らかに株主権を侵害した違法・無効な総会運営を強行し、ここまで露骨な対応を取ってまで、私たちの話し合いで争議解決を図るように求める声を圧殺し、問題を押し隠そうとする学研経営の姿勢にはあきれます。業績が回復しても、社内から次々と批判・不満と告発の声が寄せられるわけです。次号以降でまた紹介していく予定です。