PΛLS 2017年12月22日号
学研の株主総会は何故「荒れる」のか

 株主の質問を妨害し、回答を拒む経営陣
 私たちは、本日の学研ホールディングスの第72回定時株主総会において、以下のこと等について質問権を行使することを事前に経営宛に通知しました(太ゴチック部分が通知書に載せた点です)。
1、悪質化する総会運営について
 会社経営陣は、毎年、悪質な総会運営をくり返している。答弁では、「適切な運営を行っている」と開き直っているが、年を追うごとに運営実態は悪化している。株主の質問権を侵害していることは明白だが、それを改める姿勢はないのか、問い質したい。

 毎回、ふじせ関係者の株主や学研の現状を憂いて質問している心ある株主に対して経営陣は、質問を封じ、まともな回答をせずに、まだ挙手して発言を求めている株主 を無視して質疑を打ち切って閉会するという悪質な総会運営をくり返しています。そ の背景には、下請会社に組合潰しの倒産攻撃を仕掛けた争議責任を居直り、質問する 株主を敵視し、問題隠し・責任逃れを図る経営陣の姿勢があります。また、学研社内 や学研関連で起きていることについても同様に内部告発者を敵視・抑圧する姿勢を改 めず何も問題は起きていないかのようなごまかし回答をくり返しているのです。
 東京ふじせ企画破産管財人が提訴した損害賠償訴訟判決が学研の責任を認定
 学研が「ふじせ争議」につき、株主の質問書への回答の時間に、質問も出されていない段階なのに、「経営の目的事項と関係ありませんが」と言いながら、長々と歪曲した説明をくり返している滑稽な姿が毎回見られます。その中で、学研の使用者性を 認定しなかった労働委員会の不当命令が行政訴訟で最高裁まで行って維持されたこと を金科玉条のごとく引き合いに出し、くり返し強調していますが全く笑止です。
 東京ふじせ企画へ学研が仕掛けた倒産・全員解雇攻撃については、1985年に東京ふじせ企画破産管財人が学研及び黒川巌学習科学編集局次長らを相手に起こした損害賠償請求訴訟で、裁判所が学研の争議責任、使用者性を認定しています。学研の使用者性の有無をさしおいても、学研が倒産攻撃を仕掛けた責任は明白で、この争議責任を追及する組合の行動の正当性を誰も否定することはできません。最近になって学研が起こした組合のニュース記事を名誉毀損とした損害賠償裁判になってから、悪化 する司法を象徴する裁判所の不当判決で、ふじせの争議行為までをも否定する判決が 出されていますが(別紙ビラ参照)、裁判所がこんな認定をする権限も根拠もない不 当な内容です。以下に、85年損賠判決のポイントになっている箇所を紹介します。
<学研の業務総引き上げについて> 
 「被告学研の被告黒川及び同角宮の共同意思のもとに、右被告両名の発案で被告工藤及び須田に働きかけて受注業務の返上の形で実行に移された事実はこれを否定することができないものと認められる。」
 「被告黒川及び同角宮としては、少なくとも労働組合の解散等の方策が奏功しない場合は被告学研からの発注の再開はあり得ず、そのため東京ふじせ企画が倒産に至るもやむなしとの判断のもとに被告工藤及び須田に業務返上を働きかけ、被告工藤及び須田にもその認識があったものと推認するに難くなく、結局、被告黒川及び同角宮の発案による業務引上げ及びその実行は、被告黒川及び同角宮の右のような東京ふじせ企画の倒産についてのいわば未必的認識のもとに、東京ふじせ企画労働組合を解散に追い込み、又は労働組合とは性格の異なる組織に変質させるための手段として被告学研と被告ふじせ企画間及び同被告と東京ふじせ企画間の各継続的契約関係に基づく取引を当分の間留保することを意味するものであったと認めるのが相当である。」
  組合結成時から業務引き上げ、倒産に至るまでの学研側の対応については、黒川学習科学編集局次長、角宮科学編集部長らの証言の信用性をことごとく否定し、学研側が組合潰しを指揮した経過を詳しく認定しています。その一部は以下です。
 「被告工藤はその後被告黒川に会って右労働組合結成の事実を伝えたところ、同被告から、被告学研としては下請プロダクションに労働組合が結成される事態は好ましくない趣旨の意向が示された。」
 「被告角宮は、組合ができると被告学研は困る旨話し、須田に対し労働組合員の名簿を出すよう申し渡した。」
「翌一二月八日午前、被告工藤は被告学研本社に赴き、被告黒川及び角宮に対し組合の解散工作が思うようにはかどらない旨伝えたところ、被告黒川は、被告工藤に対し、東京ふじせ企画から被告学研の編集業務を引き上げることにして、ショック療法をやろうと申し向けた。」
<学研の使用者実態について> 
  「東京ふじせ企画が被告学研の出版物編集製作体制に取り込まれて両者の直接交渉のもとに業務が進められたうえ、同社の被告学研への派遣従業員については被告学研の労務管理に準じて業務に従事するなど、通常の元請、下請関係には見られない特徴が存在したことは否定できない。」

2、さる9月27日に開催された古岡滉元社長の「お別れ会」について
 1)お別れ会開催の経緯と、かかった経費はいくらかを示されたい。
 2)会社と古岡家の負担割合はいかほどか。
    それぞれお答えいただきたい

  古岡滉元社長は、一族専制の暴力労務政策の責任重大な人物でした。

3、祝田法律事務所との癒着について
二重橋法律事務所を引き継いだ祝田法律事務所の弁護士たちが、昨年も株主総会議 長席付近に待機していることに疑義が示された。何の目的で参加させ、実態として何 をやっているのか説明されたい。また、このための報酬はいくらか? 貴社は同事務所 と一体で濫訴をくり返しているが、その弁護士費用にどれだけ費やしているのか、株 主への開示義務を自覚し、その経費も示されよ。

 祝田法律事務所が学研の悪質な訴訟を担い、株主総会にまで出張ってきています。前身の二重橋法律事務所は、その代表が自らの事務所所属の女性弁護士に対するレイプ事件を起こして、昨年2月、第2東京弁護士会から退会処分を受け、事務所は弁護士も抜けて崩壊状況になり、祝田法律事務所と変名して学研との癒着が続いて  いますが、木村常務ら学研経営陣は全幅の信頼を置いていると表明しています。
学研とこの法律事務所の癒着は、ついに悪質金融なみの金の取り立てを行うに至っています。組合のニュース記事についての不当な損賠訴訟を起こし、昨年の組合員の預金口座差押えに続き、組合員の自宅の差押えを2度にわたって行っています。

4、学研の労務政策に関連して
再発防止が機能せず続いてきた学研の出版物の「誤植」事件につき、昨年も質問し たが、その後、改善されているのかを問いたい。
 また、こうした事態の背景にパワハラを伴う過重労働の存在が考えられ、社員のモ チベーション にも影響を与えていると考えられる。働き手が強いられる長時間労働も 社会問題化している。コンプライアンス委員会等での社内的解決が適切に実施されて いるのかにつき、回答されたい。

 学研社内からの告発の声が寄せられ続けています。
5、サ高住の現状と学研ココファンについて
 学研ココファンの増設が続き、医療・福祉分野の業績が向上しているとされている。 サービス付き高齢者住宅につき、会社は義務づけられている安否確認の一方で、プライバシー重視をうたってきた。近年、サ高住で起きている事故についての学研ココファンとしての見解を示されたい。

 朝日新聞5月7日朝刊の記事によると、安否確認が義務づけられたサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で、2015年1月から1年半の間に、死亡や骨折など少なくとも3千件以上の事故が報告されたことがわかっています。   入居者の88%が要介護認定(要支援を含む)を受け、要介護3以上の重度者も30%とサ高住の「介護施設化」が進んでいるのが実情で、発足当初からうたわれていたものと実態が異なってきています。サ高住の問題点が浮き彫りになっているのです。


6、その他
 1)セグメント表示が変更になり、分かりにくくなっているが、出版部門の業績について、具体的に示していただきたい。また、昨期に黒字化を果たしたとされている電子出版のその後と今後の見通しはどうなのか?
 2)サ高住2棟を売却し、特別利益3億5千万円を計上、長期借り入れ金の返済に当てたと聞く。サ高住を中心とした不動産流動化を実施する基準がどのように設けられているのか?
 3)学研スタディエに吸収された東北ベストスタディの今期業績とあすなろ学院の教室数の増減につき、回答されたい。

                                                               以 上
11・17学研社前行動
 朝7時半から学研社前で、朝ビラ配布、そして宮原社長、小早川取締役(ココファン代表)らに抗議の声を上げ、その後9時からは、はりつき行動を展開しました。

写真=11・17学研社前行動               11・29決算説明会情宣行動
11・29学研決算説明会情宣

 東京駅ビルのグラントウキョウノースタワーの大和証券コンファレンスホールで開催された学研の決算説明会に対して情宣行動を行いました。アナリスト向けの説明会で、参加者の眼前で横断幕・ゼッケン・マイク情宣は一際目立ち、駅利用の多くの人々にもビラを配布、反響もあって効果的な行動となりました。
12・4ココファン新損賠
 混乱の学研ついに訴訟の一部取り下げ
 自宅差押えでの予納金(60万円)等、執行費用がかかった、などとして新たに総計360万円の損害賠償請求を仕掛けてきた学研でしたが、9月から始まった法廷で裁判官から「請求の根拠は」「何を違法行為としての訴訟か」などと問い質され、返答に窮していた学研は、12月4日の3回目の訴訟で「間接強制に従っての記事の削除が遅れた」との損賠請求を残し、執行費用等の「損賠請求」を取り下げました。学研は並行して執行費用額の確定処分を民事21部に申請するという矛盾・混乱を露呈していましたが、嫌がらせと金の取り立てをくり返す学研の民事弾圧が破綻を来しつつあるものです。
12・18請求異議審
 組合のニュース記事を転載したネット記事の削除も命じた不当な損賠判決を根拠に間接強制を申請した学研経営は、さらに記事の削除漏れが、判決とそれに基づく間接強制決定の誤まりにより発生したことを悪用して、間接強制決定違反を言い立てて、この違反金を債権と称して組合員の自宅への2度目の差し押さえを行ってきました。
 この請求は無効であるとして組合側が起こした請求異議審では、12月18日、判決及び決定文の誤り、削除漏れを知っても故意に放置して「違反金」を積み上げて差押えを行った学研ココファンの不当性を準備書面で明確に指摘しました。
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