学研経営、嫌がらせの
自宅差押えをようやく取り下げ

学研ココファンが2月の最高裁での判決確定を受けて、損害賠償金66万円分(遅延損害金を入れて約80万円)の債権を名目に、3月15日、当該の住む居宅を差し押さえ、地裁民事21部から「強制競売開始決定」が送達されてきた(3/25)こと、組合・支援共は、学研ココファン側に、3月30日弁済は完了したので、差押えを取り下げるように要求したことを先号で報告しました。
暫定的執行停止、執行官来訪、不動産業者も
 その後、当該は地裁民事21部へ4月3日、執行停止の申立てを行い、さしあたって4週間の執行停止を得ました(民事執行法39条2項)。それでも「強制競売」の手続きの一環としての「不動産の現況調査」だけは止まらないということらしく、自宅に21部から3人の執行官が来て居宅に立ち入り、写真撮影などを行って帰りました。15分程度でしたが、帰り際に学研の嫌がらせの差押えにつき非難すると恐縮し神妙な表情を浮かべ聞いていました。裁判所に掲示された公告を見て、不動産業者やNPOの相談センターなどが「任意売却」の勧誘などにやってきましたが、経緯を説明すると、この程度の少ない債権額で不動産へ強制執行をかけることにつき、「学研はひどいですね」とあきれていました。
学研、差押え取り下げを引き延ばす 
 4月10日、学研ココファンから、組合側の取り下げ請求通知への回答書が届き、まだ執行費用(約2万5千円)が払われていないので、それを競売で賄うしかない、支払うまで取り下げられない、と言ってきました。銀行口座差押えの時も執行費用も含めて取り立てされました。やむなく、4月12日弁済。これと並行して、11日、請求異議(35条)と合わせた執行停止の申立も用意しましたが、4月21日(南部統一行動で学研に抗議をぶつけた翌日)、民事21部から「強制競売開始決定事件は申立てが取り下げられたので終了した」との通知が届きました。学研がやっと取り下げたのでした。
4・26東北BS損賠裁判、仙台地裁が不当判決
黒い巨塔の官僚統制に屈し、組合を敵視し事実を歪曲した認定 東北ベストスタディ損賠裁判の判決が仙台地裁で出されました。仙台地裁が黒い巨塔=最高裁の官僚統制に屈し、東京のココファン損賠判決に合わせたひどい作文をこしらえあげるのか、それとも裁判所の独立の気概を見せ真実にそった判断を出すのかが注目されましたが、高取真理子裁判長はやはり前者を選択しました。組合のニュース記事として書かれてから2年半も経ってから名誉棄損を言い立てて損賠訴訟を起こした学研の主張を認め、55万円(請求は660万円)の損賠金支払いとネット記事の削除を命じる不当判決でした。
その下敷きには、ココファン損賠の高裁判決を使い、ふじせ闘争に正当性はないと決めつけています。判決文は「事案の概要」につき、「学研が東京ふじせ企画の使用者にあたると主張して団体交渉を求め続けている(同団体交渉に係る争議を、以下「学研・ふじせ争議」という)」とココファン損賠高裁判決の記述を丸写ししていますが、この定義自体が全く誤りです。学研が使用者にあたるか否かに関わりなく組合潰しを狙った学研の倒産攻撃の責任を追及しているのが学研・ふじせ争議なのです。そのことは仙台の法廷で冒頭から主張しているのに見てみぬふりをして、2003年の最高裁決定(学研の使用者性判断という争議の一部について労働委員会命令が確定したに過ぎない)をもって、ふじせ争議に正当性がないとしたココファン損賠訴訟の誤った判決に無理矢理にしがみつくしかなかったのです。高取裁判長のなさけない姿が最初から出ています。
85年の損賠訴訟の判決を知りながら、肝心の中身を見ぬ振り  
判決は、学研により倒産させられた東京ふじせ企画の破産管財人が学研を相手に損害賠償請求訴訟を起こしたこと、判決は学研からの業務打ち切りについて委託契約解除には東京ふじせ企画(社長)も同意していたとして損賠請求を認めなかったことを「争いのない事実」として取り上げています。しかし、1985年のこの判決文の中で学研が東京ふじせ労組を潰そうとして業務を打ち切り、会社を倒産させたこと、東京ふじせ従業員は学研の管理職の指揮・監督の下で業務に従事していた「使用者実態」があったことを明確に認定し、これらを否定する証言を行った学研の黒川学習科学編集局次長らの証言は信用性がないことを指弾しているのです。判決を言い渡した東京地裁民事31部の荒井史男裁判長は、経営間の損賠請求事件としては管財人の請求を認めませんでしたが、口頭で「組合が起こしていたら勝っていた」と付言しました。この85年損賠判決の重要性は、この倒産事件の本質がそこにあることを示しており、上記の「ふじせ争議に正当性なし」などという判断はあり得ないことを明白にしていることなのです。高取裁判長が、不都合なこの部分を意図的に切り落として記述しているのは本当に悪質というほかありません。その後の1987年の都労委不当命令(学研の使用者性を根拠なく否定)から中労委、地裁・高裁・2003年最高裁の行政訴訟の不当な判断については記述しているからなおさらです。また、03年のこの最高裁決定後のふじせ労組の闘争継続の根拠についても、「公的機関からいかなる判断が出されようと、それによって争議の存在はなくなるわけではない」との学研代理人からの警告書への反論のごく一部をことさらに問題にしている学研の主張そのまんまで記述し、争議に正当性の余地はないかのようにとらえていることも許しがたいことです。
ニュース記事の真実性についても不公正で事実に反する認定ばかり
 争点になったビラの記載についても、全く不公正で事実に反する認定を行っています。 「学研が経営危機だったとは言えない」などと認定していますが、現に東北BSは経営悪化の果てに埼玉の学研の子会社に吸収されています。借入金が膨らんでも、「親会社からの借入れで・・・」などとしていますが、過去に潰れた学研GICやGSMなどの例にも見られるように親子間融資なら危機的経営状況にはならないかのような記述はおかしな話です。昨年11月に、仙台地裁の法廷で被告側証人として現在は仙台あおば学舎を運営する代表者のSさん(元東北BS役員)が証言を行い、「学研による東北BSの経営はうまくいかず、売り上げは落ち込みました。2007年から2011年にかけて短期借り入れ金が、2009年から長期借り入れ金も増大したのは、運転資金です。2008年の増資も資金がなくなったからで、2011年の純資産1734万円は会社として価値がない状態。純売上高が減っていますね。」と証言しています。また、判決は「第30期の営業損失については・・東日本大震災の影響を受けたものであると推認される」などと、推測でものを言っており、「ベストスタディに想定外の損失が生じたとは言えず、震災の影響を受けて不採算教室を閉鎖し、希望退職を募集していることを踏まえても、危機的経営状況・・・とまでは認められない」などとしています。希望退職募集の通知に、「当社は経営状態の悪化と東日本大震災の影響を受けて、・・」とあり、経営状態悪化が第一に書かれており、震災以上の深刻な影響を示す記述に会社自身の文書がなっています。仙台地裁の法廷では出口元東北BS社長も証言しましたが、借入金の増加の理由を尋問されて「教室を増やしたから」と答えながら、増加数は「言えない」「数は変わらない」と言ったり、「2007年の増資は、どういう理由からか」を聞かれても「新しい事業を始めたのか何か・・・記憶がない」と全く信用に値しない証言をしています。
判決「組合側証人は学研と敵対していた者で証言に信用性がない」?!
 希望退職募集時に「退職強要が行われた証拠はない」などと判決はしていますが、退職強要を担わされた元役員のIさんが陳述書を出して、その時のことを述べています。
また、Sさんも「現在も東北BSに在籍する社員から、社員に対する退職強要が行われたことを聞いている」「その前後に複数の社員からも相談を受けた」と証言しています。
しかし、判決はIさんもSさんも、「学研と対立していた者」で信用性がない、とココファン損賠判決で証言した居住者の方を切り捨てたのと同じ手法を踏襲して切り捨てました。全くもってすごい論法です。証人尋問など意味なしで、最初から結論が決まっている暗黒裁判ですよ、これは!当該組合員Kも学研をよく言うはずがない人物の話を裏付けもなく「ニュース」に記載したもので、真実性ないし真実と信じるに足る相当性がない、としているのにもあきれます。Iさんは、Sさんたちがあすなろ学院(東北BS)を離れて別の進学塾を立ち上げた後も東北BSに止まっていたのであり、出口社長に至ってはIとSの対立が内紛の原因であるかのようなでっち上げ供述さえしているのです。彼らの基準に従ってさえ、Iさんが「原告と敵対関係にある」などという判決の規定自体全くおかしいものです。そして、Sさんに関しては、「被告らが主張するような圧迫面接による退職強要が行われたにもかかわらず、会社を辞めずに在籍を続けていること自体不自然さが否めず、Sの供述はこの点でも信用することができない」などと言っています。語るに落ちるとはこのことで、退職強要は全員に行われたものなどではないのは言うまでもないし、百歩譲って本人が圧迫面接を受けたうちの一人でも、指名解雇されない限り抵抗して職場に残っていることは、それこそなんら不自然ではありません。退職強要に屈しない労働者もいるのであり、それをもって退職強要がなかったなどという高取裁判長は労働現場のことに対する全くの無知を晒して恥ずかしい文章をこしらえています。希望退職募集の人数も争点(75名→3、40名か、50名→38名か、どちらが真実か)になりました。出口証人は希望退職募集時、社長でしたが、その時の社員数も答えられませんでした。それでも裁判所は、組合が客観的データとして示した東京商工リサーチの東証信用録につき、「いつの時点のデータをどのように調査して作成したものかが不明であり・・社員が75名弱であったと認めることはできない」などとしています。
 東北BSで起きた悲劇は、学研の買収前後の強引な経営施策により進学塾で内紛が発生、10名近い中心メンバーが離脱したことに始まったと私たちは考えていますが、判決は、買収後に「学研側がノルマを課した等の事実は見られない」などと言っています。
しかし、出口社長が「(株式買取りにかかった)2億円を5年間で回収する」、「純資産で1億5000万円を維持しろ」と売上げ達成を迫ったこと、携帯電話の販売までやらせたことに関わる方針押し付け等々の事実は「ノルマを課した」と表現して妥当なことがらです。
 仙台地裁・高取裁判長による虚偽に満ちた悪質な仮執行付き判決を得て、学研による嫌がらせの強制執行の恐れがまたあるため、同日中に仙台で直ちに控訴手続きを行い、執行停止の申立ても行いました。
サ高住で1年半に3千件以上の事故
朝日新聞5月7日朝刊の記事によると、安否確認が義務づけられたサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で、2015年1月から1年半の間に、死亡や骨折など少なくとも3千件以上の事故が報告されたことがわかりました。 記事の一部紹介します。
「事故報告書では、半数以上の1730件が個室で起き、そのうち991件は職員が手薄になりがちな午後5時〜翌午前9時。・・・
入居者の88%が要介護認定(要支援を含む)を受け、要介護3以上の重度者も30%と「介護施設化」が進んでいるのが実態だ。熊本県では15年1月、要支援2で足の筋力が低下した80代女性が夜中にトイレに行く途中で転倒。左足を骨折し、朝食までの約5時間、ベッド脇で倒れたままだった。夜間は部屋を施錠するため、巡視していなかったという。広島県では15年9月、入居者が夜間に間違えて入った部屋の窓から転落死した。神奈川県では昨年、認知症でナースコールを押せない入居者が自力でトイレへ行こうとして転倒した。」などが書かれています。
問題点が浮き彫りになり、「国交省は、これまでは部屋の広さなど登録時の情報が中心で、サービス内容など運営実態はわからなかった。」としていますが、ココファンあすみが丘の居住者の方たちが改善を求めて上げた声はこの現状と関わっていたのです。それを学研と裁判所は圧殺し、判決文でも法廷での証言を「施設と対立していた者で信用できない」などとして、組合ニュースの記事で声を取り上げた私たちへの損賠請求とネット記事削除を認めたのでした。
4・20南部春季統一行動で学研社前集会
 4月20日、地域の交流・共闘組織=南部地区交流会の春季統一行動の一環として、
学研社前での行動が取り組まれました。朝一番の現場は最近、地域合同労組=東京南部労働者組合に加入し、上司のパワハラ・暴行や、労基法遵守を怠った就業規則変更等の
責任を追及している知的障害者福祉協会の仲間の行動、8時30分からのKDX浜松町ビル前で朝ビラ配布、協会前の集会を打ち抜きました。続いて、品川駅港南口にあるJXTGに対するス労自主の8君不当解雇撤回闘争。TG(東燃ゼネラル)がJX(旧日本石油)に吸収され、この4月からJXTGエネルギーになる中、争議責任を引き継ぎ解決へ責任を果たすよう迫り、社前集会を開催しました。



3番目の現場は11時半からの学研社前。昼休み前の座り込みとビラ配布、マイク情宣から行動を開始した。4月からの新入社員も外食にと出入りする中、学研労働者へ向け、また地域の労働者へ向けマイクでふじせ争議の長い経過を振り返ってのアピール、そして、03年最高裁が否定して確定した「学研に使用者性無し」の不当判断を越えて学研の倒産攻撃の責任を追及してきた当然の争議行為を「正当性無し」などとして労働基本権を否定する憲法違反の判決を出した昨秋9月のココファン損賠高裁判決につき、この2月、最高裁が組合が申し入れのアポ取りしたとたんに上告棄却を行ってきた不当性などにつき糾弾しました。
 12時からの予定を少し前倒しして、昼集会に移りました。最高裁確定を受けて、3月学研側が当該自宅住居を差押え、強制競売開始決定通知が送りつけられてきた経過に触れ、66万円の損賠金=債権の取り立てのために居宅不動産を差し押さえるなど通常はあり得ない悪質な嫌がらせを行っている学研を糾弾、裁判所と一体の悪質な民事弾圧=闘争潰しを打ち破り闘う決意を述べました。続いて、連帯挨拶を全国争議団交流集会を成功させ民事弾圧粉砕へ共に闘う争団連、放漫無責任経営でビルメン事業撤退=当該への自宅待機扱いと闘う中部労組東邦エンタープライズ、安倍政権の共謀罪成立への突進を許さず決戦的攻防を闘う破防法・組対法に反対する共同行動から受けました。ふじせ闘争支援共闘会議からも共謀罪の先取り攻撃の質をもった争議圧殺を許さず、治安国家化と対峙して全ての仲間と共に闘う決意が述べられました。最後に南部交流会から、この日の統一行動につきまとめの発言を受け、結集した46名の仲間による力強いシュプレヒコールで行動を終了しました。