PΛLS 本号の内容
 6・29三井住友銀行株主総会で抗議・情宣
 組合員個人口座への嫌がらせの強制執行へ協力?
 7・31間接強制・損賠攻撃に反対する全国集会へ!
 7・6東北ベストスタディ損賠裁判
    学研経営、文書提出・・・しかし
    出口鯉一元社長を証人申請

6・29三井住友銀行株主総会で抗議・情宣
組合員個人口座への嫌がらせの強制執行へ協力?
 
 私たちは今年も学研の実質的なメインバンクの三井住友銀行に対し、6月29日の三井住友フィナンシャルグループの株主総会会場前で情宣行動を行い、争議解決を学研経営に対して働きかけるようにと訴えました。
 同時に、今回は学研経営が、ココファン損賠訴訟の仮執行付きの判決に便乗して、5月26に東京ふじせ企画労組の組合員の三井住友銀行の個人口座への差押えを行い、6月13日に、学研HD分の38万4950円(33万円+遅延損害金+執行費用)の取り立てが行われたことにつき、個人口座の所在を学研経営側に伝えたことにつき、抗議するということも加わった行動となりました。


               6・29三井住友銀行前で
 
現在まで、三井住友銀行は顧客の守秘義務に優先させて口座の所在を教えた点につき組合の問い合わせに言葉を濁して曖昧な返答をしていますが、その事実を否定しないこと自体が疑いを抱かせるものです。
 学研経営は下請の東京ふじせ企画労組を潰そうと、業務総引き上げ=会社倒産・35名の労働者全員解雇の攻撃を仕掛け、現在まで長年にわたって争議責任を居直っています。そして、組合潰しの暴力的労務政策(本社の中でも全学研労組潰しの攻撃)を重ね、そのような問題体質から不祥事も続発、業績悪化のたびに希望退職募集など労働者への犠牲強要策をくり返してきました。この結果、学研経営の争議責任を追及する私たちには社内・関連から激励や情報提供、そして時に相談の声が寄せられ、2012年には学研の新規事業=高齢者施設の一つである千葉市のココファンあすみが丘の居住者の方たちから施設の運営、処遇への不満につき相談が寄せられるに至りました。
 私たちがこの居住者の方々の声を組合のニュースで取り上げると、学研経営は、利益相反が問題とされ、後に所長がレイプ事件で弁護士会から退会処分を受けることになった二重橋法律事務所と手を組み、ふじせ労組の争議責任追及行動と、高齢者施設での居住者の声を押し潰そうとして、損害賠償とニュース記事を転載したネット記事の削除を請求する不当な訴訟を2013年に起こしてきました。
 そして今年2月に、1320万円の請求に対して99万円と大幅に減額したものの、損害を根拠もなく認める東京地裁民事36部のウルトラな不当判決を受け、学研経営は組合員が株主総会出席のため保有する株式を狙って信託銀行や証券会社の口座への差押えをするも空振りとなり、続いて三井住友銀行の個人口座への差押えを行って金の取り立てを実行したのです。
経済的弱者に対するサラ金、商工ローン等のこれまでの暴力的取りたて(=追い込み)にも、こうした銀行の協力による執行が取ってかわるのかも知れませんが、労働争議への適用は、解雇され経済的苦境にある労働者への暴力的取り立てが合法的に行われる、ということでしかありません。労働運動への間接強制・損賠攻撃の適用そのものが不当であるということです。



7・31第4回間接強制・損賠攻撃
           に反対する全国集会へ!

7月31日(日)14:00〜17:00 目黒中小企業センター
(JR目黒駅西口から10分)

 
学研経営も先頭になって仕掛けている労働争議への民事弾圧ですが、最近、質的にエスカレートしています。明大生協闘争での、2011年からの大学入試時の情宣禁止仮処分(以降毎年実施)、社前や経営者自宅周辺等での抗議・団交要求や街頭宣伝活動に対する損賠や仮処分・間接強制による禁止攻撃も、中部労組旭ダイヤ闘争での2億円の損害賠償請求(判決では290万円に減額)、をはじめ、三合労ケミカルプリント闘争、同中大生協闘争、連帯大道測量闘争等々と現在まで連続しています。2012年にはユニオンみえ鈴鹿さくら病院闘争で津地裁が前代未聞のストライキ禁止の仮処分を出しました。(その後労組側からの反撃の損賠が勝訴確定)。そして民事弾圧は、経産省テントひろばの闘いでの昨年2月東京地裁、10月東京高裁の、「退去」、「一日に付き21917円損賠」(仮執行付き)の不当判決をはじめ、反原発闘争、反基地闘争、排除に抵抗する野宿者運動などへと拡大しています。これらの仲間は屈せず現場闘争を維持しています。
7・31全国集会へ参加を!
私たちは、毎年、「間接強制・損害賠償攻撃に反対する全国集会」を、実行委員会主催で開催、前記全国各地の仲間と共同の反撃に向かっています。民事弾圧に加担し、争議権や団結権など労働者の基本的な権利を否定する不当判決・決定を濫発している裁判所への抗議行動も合わせて展開・強化しています。
 最高裁事務総局の官僚統制の下、まともな判決を出す良心的裁判官を放逐し、国や行政、大企業など相手の訴訟で庶民・労働者側敗訴の不当判決が出されていますが、2月のココファン損賠にも顕著なように、あまりにも不公正で粗雑な判断で裁判所の劣化の著しさと不当性が丸見えになっており、二重橋法律事務所の実態などと合わせ、このような理不尽がいつまでも続くはずがありません。私たちは裁判の公正を要求し、闘いの正当性・真実を明らかにしながら現場ー法廷を貫き闘っていきます。
 
7・6東北ベストスタディ損賠 学研側文書提出
 学研の買収した仙台の進学塾=あすなろ学院では、買収後の学研の経営施策、塾の運営などをめぐって、後に離反するグループが生じる内紛が起こり、その事情やその後の東北ベストスタディの経営状況、リストラについて記載した当労組の組合ニュースに対して、2013年末に学研がココファン損賠に続けて660万円の損害賠償とネット記事削除を請求する訴訟を起こしてきました。
前号までにも報告しましたが、法廷では、ここへ来て学研側が「あすなろ学院買収は良好なM&Aだった」としてそれを裏付ける証拠だとして出してきた決算書につき、ごく一部の時期のものでしかなく、組合は全時期の決算書を示すよう「文書提出命令」を裁判所が出すように申請し、また、5月9日の法廷では原告である東北ベストスタディが4月1日付で消滅している事実を学研側は隠して臨んできたことを指弾しました。これを受けて、6月9日、仙台地裁は学研側の「文書提出は不要」との主張を退けて、提出命令を出しました。
 7月6日の法廷に学研側は「決算書」を出してきました。また、準備書面(6)を出してきて、「買収は友好的なM&Aだった、学研HDが東北ベストスタディの買収に要した2億円を5年間で回収すると出口社長らが計画したり言った事実はない、あすなろ学院で学研グループの教材を使用するように指示した事実はない、S氏(後に離脱し別の進学塾を立ち上げ、東北BS側と争いになった)と東京五反田の学研ビルで面談したことは認めるが、S氏から東北BSの株式を自己又は第三者に譲渡するよう要請された事実はない、希望退職募集時に退職勧奨をした事実はない」等の主張を行ってきています。
 組合側は次回期日で反論を出すことになっています。ここでは反論は割愛しますが、問題ある証拠と主張になっています。
支援共闘会議のSさんを今頃になって被告にしたことに反論
 組合側は、この日の法廷で「立証計画書」を出し、今後の人証を含む立証の趣旨を述べるとともに、今頃になって学研がふじせ闘争支援共闘会議のSさんを被告に据えて訴訟を起こしてきたことに対する、認否・反論を行いました。全く同じ請求の訴訟で、要するにSさんも被告にしてきたもので、裁判所の判断で事件は直ちに併合になりました。
ココファン損賠訴訟において原告学研HDらは、被告特定のためのろくな調査すら行わないまま、支援共闘会議のYさんとSさんが同一人格であるとした上、共闘会議の事務局長を「YことS」などとし、さらに「YことS」を個人被告として訴訟を提起しました。このように原告学研HDらは、被告が特定できていないまま提訴を行ったのであり、別件訴訟の経過からしても原告らの提訴が訴権の濫用であることは明らかです。
加えて、ココファン損賠法廷で誤りを指摘され、S氏が支援共の事務局長でないと分かっても被告に据え続けたこと、本件(仙台)訴訟では、これらの事情から、当初、S氏を被告に据えなかったこと、組合ニュースで、こうした経過の事実(の矛盾)を指摘されると、今になってSさんを被告に据えてきたのです。度しがたい話です。
訴権の濫用であること スラップ訴訟について
 新たな学研HD側の訴状に対する認否・反論の中では、訴権の濫用やスラップ訴訟について、以下のような主張を行いました。
「民事訴訟制度は、提訴者が申し立てた権利又は法律関係(訴訟物)の発生・変更・消滅を招来させる事実の存否について実体的に審理・判断し、実体法規の解釈・適用を経て、提訴者の主張した権利又は法律関係の存否を宣言することにより、社会に惹起する法律的紛争の解決を果たすことを趣旨・目的とするものであるところ、かかる紛争解決の機能に背馳し、当該訴えが、もっぱら相手方当事者を被告の立場に置き、審理に対応することを余儀なくさせることにより、訴訟上又は訴訟外において相手方当事者を困惑させることを目的とし、あるいは訴訟が係属、審理されていること自体を社会的に誇示することにより、相手方当事者に対して有形・無形の不利益・負担若しくは打撃を与えることを目的として提起されたものであり、右訴訟を維持することが前記民事訴訟制度の趣旨・目的に照らして著しく相当性を欠き、信義に反すると認められた場合には、当該訴えの提起は、訴権を濫用する不適法なものとして、却下を免れないと解するのが相当である。・・・
 本件情宣のような批判的言論活動に対する訴え提起をどのように考えるか・・・
アメリカにおいては、1970年代〜80年代にかけて市民運動が盛んになるなか、反対運動を起こされた企業側が発言者を被告として提訴する名誉毀損訴訟、業務妨害訴訟などの民事訴訟が頻発した。例えば、「『道路の拡張工事に反対する』住民グループのWebサイトを立ち上げる」、「ゴミ処分場建設の住民説明会で意見を言う」、「欠陥住宅を監督官庁に報告する」などの批判的言論に対して、名誉毀損、業務妨害などを理由とした民事訴訟である。
 そして、1980年代、デンバー大学の法学者らにより、全米で行った訴訟を対象とする統計調査に基づき、このような訴訟につきSLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participation)という概念で把握することが提起された。SLAPPとは「公的意見表明(Public speech)の妨害を狙って提訴される民事訴訟」であり、「meritless」(実体がない、訴訟として成立しない、争う益のない)、「相手を疲労させることだけを狙った、争う意味のない訴訟」を意味する。
 その後、この研究発表がきっかけとなり、州議会議員や弁護士、市民団体の間でSLAPPを憲法上の権利を侵害する社会問題ととらえ、被害防止策を求める活動が活発化し、1990年ころから州ごとにSLAPP防止法の制定が始まった。
 SLAPP防止法においては、提訴された被告は「この提訴はSLAPPである」という「動議」申立を裁判所に提出でき、動議が出ると裁判所は審理をストップする。そして、SLAPP動議が認められ、提訴がSLAPPとして棄却されると原告は被告の弁護士費用も負担しなくてはならない。」(以下、略)
この後、この日の法廷で裁判所から証人申請も求められ、9月中に書面提出、次回期日の10月17日に証人確定となりました。
学研HD側は、早くも当時の社長の出口鯉一氏を証人に申請してきました。出口氏は
もう仙台におらず、当時も「月に1〜2回行っていただけ」としていますが、原告証人予定者も東京におり、被告各人も在京、なのに仙台地裁で訴訟を起こした理由は、ただ一つ、交通費と時間を使わせようという、スラップそのものの嫌がらせです。
この日も前段に小雨の中、仙台繁華街で争議実態と訴訟につき情宣行動を展開しました。