8・27学研ココファン損賠、被告3名の本人尋問
ふじせ闘争の正当性と記事の真実性を明確に立証
 高齢者住宅=学研ココファンあすみが丘(千葉市)の居住者の声を取り上げた組合のビラとウエブサイトへの転載記事に対して学研ホールディングスと学研ココファンが、1320万円の損害賠償請求と記事の配布禁止・ウェブサイト削除を求めてきた訴訟は最大のヤマ場に入り、7月2日のココファンあすみが丘居住者の証言に続き、8月27日、被告とされたふじせ労組当該と支援共闘会議のSさん、Yさんの本人尋問が行われました。その詳細な要約を掲載します。
@Sさん本人尋問への回答
・「支援共闘会議事務局長のYことS」などと訴状で指定されたが、Yの名前を使ったことなどなく、事務局長だったこともない、(と被告の特定のデタラメさを指摘)。
・中央公論社闘争勝利後、ふじせ支援共に参加した。中公闘争でも裁判では敗訴決定が出されたが、自力・実力で社前行動や情宣行動を展開したことが争議解決を導いた、その想いを持ち支援共闘を受けたふじせの仲間に今度はお手伝いしたいと思った。
・ココファンの居住者の方とその話は自分の仕事での取材経験からも信頼できると感じた。居住者Iさん宛の小早川書簡でも、Iさんと共に動いたHさんの「ご尽力」を認める記述があり、得心した。
・株主総会で千葉市から立入調査が行われた件を質したが、小早川ココファン社長は行政との定期的な打ち合わせと嘘の答弁をした。千葉市に問い合わせ、足を運んで話も 聞き、情報公開請求でも施設の運営についての居住者からのクレーム、陳情により行 われた調査であることは明らかだ。
・学研社前行動での写真について。間違いが分かっても取り下げない原告は自分を被告に据え続けるために社前行動での私の写真を提出し「首謀者である」かのような記述をしているが、何も証明されていないし、支援共はそういう組織ではない。「メモ」=記録係をやっているが自分が休んでいる時には他の人がやった、特別の役割ではない。組合のKさんと現場で協議している写真などではない。
<Sさんへの原告=学研側反対尋問>
   支援共の人数など、組織につき細かく質問 主尋問への反論的なものはなし。
<裁判所=左陪席からの質問> 主なもの
・学研からの警告文、ビラ配りとかしないでくれ、 とか言われていますが、それでも続けたのは何故?
 それは私たちのやっている争議が正当なものだからです。  
・これに対して裁判等の法的手続きは?
 裁判はやっていません
AYさん本人尋問への回答 
・(自分の属した朝日新聞労組での経歴と朝日明和闘争への関わりから話し)ふじせ争議と同じ構造だが、朝日は争議行為に「関係ないからやめろ」などとは言って来ず、雇用関係なくても関連会社に雇用保障して争議を解決した。
・88年頃からふじせ支援共に入った。主に出版関連の労組で構成されていた。議長は要求書など出す時の対外的な窓口。やがて事務局長を引き受けたが、議長も事務局長も組織を代表して特別のことをやる職ではない、誰に指示も出さず、誰からも出されない組織だ。規約は見たことがない。
・「パルス」は学研社前で配布、関係する支援者や争議団にも配布。争議につき学研社内へ伝える機能が大きかった。学研にまつわる情報を知り、掲載することも加わった。
・最高裁で確定している、と学研は言うが、東京ふじせ破産管財人の起こした損賠訴訟の判決は学研の組合潰しの倒産攻撃を明確に認定し、これも一審で確定している。争 議の存在は否定できない。
・あすみが丘周辺でまいたビラには、「ココファン」の記載さえない一般情宣ビラで訴状の記述はでたらめだ。マイク演説などはしていない。
・Iさん、Hさんと会ったのは2012年9月末、きちんと立派に話される方たちと感 じた。
・訴状自体がでたらめで間違いだらけ。ずさんで不当な訴訟は学研の体質を現しており、仙台でも訴訟を起こしている。金を奪って争議を潰そうとしているもので、裁判所は棄却すべきだが、この裁判も何年かやっているのは、腑に落ちない。
 <原告=学研側からの反対尋問> 主なもの
・「パルス」であすみが丘のことを書いたのは?
 居住者から聞いた問題を指摘
・なぜ、周辺でのビラではそのことを書かなかった? 
 それは知る以前の時期のビラですから
<裁判長から> 主なもの
・Kさんも支援共闘会議には必ず出るのですか?  
  当該抜きに決めることはないですから。
・Sさん・Yさんなど各人が思い思いに動く組織なのですか?
 そうではなく必要に応じ分担等確認してやっています。
BKさん本人尋問への回答
・組合がビラ配布などの一般情宣を行うのは争議の実情を知らせ、企業の問題体質は職場の中や取引先等、全てに影響が生じることを伝え解決への共通認識を持ってもらうためだ。学研は誹謗・悪宣伝というが、代理店など学研関係者からは共感・激励を得ている。
・こうした活動で明和・中公闘争以外にもジャパマー争議が東映に使用者性判断に関わりなく解決(雇用保障)させている。東京国際映画祭での情宣などの活動が解決に結びついた。
・一般情宣では学研の不祥事・問題体質・業績など経営全般について広く伝え、争議を抱えた企業の社会的責任を指摘している。提携先などへも提携をやめろとは言わず、争議解決の働きかけを求めている。打撃とかでなく、外から解決を促すよい機会と考えている。
・経営の情報は、独自に調査したり、上場企業として開示していること、社内からも寄せられることで得られる。かつての「しゃーない報」では学研社内・関連(代理店等)の声をウエブサイトで取り上げた。
・山一証券との蜜月とその後の破綻の中で、学研の抱える不良資産問題、経営陣の使い込みなど、社員・管理職の告発文書も多数寄せられた。
・学研の経営悪化は情宣の結果ではなく、経営の問題体質によるもの。順序は逆だ。
・争議を抱えた学研の問題体質は度重なる業績悪化とGICの高額教材押しつけ販売などの数々の不祥事を引き起こし、社内・代理店からの告発文書や被害者の声がふじせ労組に寄せられた。
・高齢者住宅に言及するきっかけになったのは、小早川社長が出席する高専賃のイベントの情報があり、取り組んだこと。前年の株主総会でココファンHD会長の木村常務 の学研セールスレディの雇用不安に対する無責任な発言があり、こうした役員がココ ファンの最高責任者をやっているとして紹介したこと、ココファン日吉や学研教室な ど施設のある場所で一般情報を展開した。そういう場所では地域の人の関心が高いのでビラを読んでもらえる。
・ココファンに特化して一般情宣をおこなったことはない。1〜2行の記載。2010 年10月にココファンあすみが丘周辺で展開したのは隣接駅の鎌取での争議支援に参加した足でやることにしたもの。
・その経過の上にココファンあすみが丘居住者が直接会って相談を寄せてきた。これまでない新たな情報の寄せられ方だった。入居前と違う待遇で金がかかる、食事が悪い、夜勤者が一人で過重な労働で対応しきれない、などの居住者にもしわ寄せのいく事態、自殺者が出ても説明ない、新入居者の紹介もない、ココファン側に改善を求める手紙を出してもなしのつぶて、などの話を聞いた。
  危惧していた問題体質の悪影響を痛感した。ビラで取り上げるなどの相談をした。
・支援共とも相談し、売却の話も迫っており、「パルス」2012年9月26号に掲載した。事前に居住者Hさんにファクスで原稿確認をした(以後も同様)。その後、あすみが丘にうかがい、別の居住者Iさんも一緒に会って話を聞いた。Iさんの文書や手紙など 資料も多く渡された。居住者の人たちが千葉市に手分けして各党市議に陳情したこと も聞いた。これらを元に以後のビラを作成、社前で配布した。
・2012年12月の株主総会でも質問、Iさん意見書も質問書と共に配布し、会場内で質問した。
・株主優待のココファン体験入居にも応募し、あすみが丘ほかの施設の実情を知ろうとしたが、私たちふじせ関係者のみ不当な誓約書を課して入居を断られた。
・前回の尾崎元所長のサ高住と老人ホームの違いは詭弁でプライバシー尊重と居住者の交流図ることは矛盾しない。Iさんら居住者の要望と不満は当然だ。
・前回法廷での証言後、Iさんとの最近の電話で、ぼや騒ぎがあって消防署が中に入れなかったこと、5階の居住者が飛び降り自殺をする事件がまた起きた、と聞いた。現在の所長は県内5施設のブロック長を兼ねており、殆どいないため問題に対応できていない、とも聞いた。
・2013年末の仮処分決定は不当な訴訟指揮で支援共メンバーを中に入れず、債権者側の主張と証拠に齟齬があるなど、まだ審理すべきこと、組合側で出す証拠・主張も出すものがあったのに、横暴な運営でたった1回の審尋で出されてしまった。間接強制決定も出され、組合は保全部に抗議した。
・ふじせ企画は学研の労組対策で導入された会社で、後トンネル会社になり、東京ふじせで仕事。
・学研の使用者性判断については管財人が起こした損害賠償訴訟の判決で使用者実態、学研が組合を解散に追い込む目的で業務を総引き上げしたことを認定。
・85年派遣法制定で使用者概念拡大を切り縮め、87年都労委命令はそれにそった不当命令を出した。
・工藤が当初、学研をかばっていたが、労政事務所係官に打ち明けていることや、中労委証言で学研が主導した組合潰しであることを示している。このことは須田東京ふじせ社長のメモでも明瞭。Kノートでも同様の学研の組合潰しの動向が示されている。
・学研の暴力労政は、全学研のパンフ、写真でも明らか、高橋孝太朗は常務にまで出世。
・全学研の大会議案書、Tさん陳述書など、全学研労組はふじせ支援を継続した。
・95年、大橋監査役から争議解決を打診してきて、非公式折衝が持たれた。
・学研GICの被害者がふじせ掲示板に告発の声を寄せるなどし、株主総会でも質問したが、学研経営は事実を認めず、ついに経産省から業務停止処分を出されるに至った。
・株主総会では、ふじせ労組代表を社外監査役にという株主提案が出されたこともある。 株主からも含め、関係者の声が寄せられ、ココファンもそうした流れで相談が寄せられたものだ。
・ふじせ争議の正当性は証拠でも明らか、新国立劇場等の最高裁判決を見ても使用者性 (労働者性)はいま改めて広く認めなければならない、現場で起きている争議の実態 を無視して労働基本権を侵害する民事弾圧を多くの争議が受けているが許されない、 裁判所は加担をするべきではない。
<原告=学研側反対尋問> 主なもの
・支援共闘会議の規約というのは
 大抵簡単なものを作る。
・「入居率が1年以上経過しても半分程度」 の記載について、 Hさん、Iさんから聞いて書いたのか?
 アナリスト向けの資料も参照し、Iさんの証言にもあった実状による。
・66%とある資料よりIさんの方を信じるのか?  
 中に住んでいる人の方がポストとか見て、よく分かる。
・その後、増加していることは確認してないか?  
 それは岩井さんからも聞いた。重度の人を入れるようになって。
・増加しているのに、半分と記述し続けた?
  記述の時期は違う、続けていない。
(被告代理人「時期を特定して聞いてください」)
・甲45号証、1年くらい後のビラにも半分とあるが
 以前にビラに書いたことを訴訟の対象とされたと紹介したものだ。
<裁判所左陪席から>
 ・今回、名誉毀損とされた事実につき学研の従業員の人 から情報を入手したことはありますか?
  今回のココファンの件ではない。
 ・学研に団体交渉を求めているが、交渉で何を求めている?
  話合いでの争議解決を求め、倒産・解雇につき、雇用保障することを求めている。
 ・「パルス」について全学研の方から自分たちも連名でという申し出はなかったのか?  
   ここに掲載したことでかなりの部分を全学研からの情報で記載している。
・こういうことをやるな、とか言われたことは?
 ないです。先ほど述べたように、春闘などでの要求にもふじせ争議の解決を掲げてくれている。
<裁判長から>
・団体交渉申入書の文面は、事案の解決を求めていて、具体的な要求までは書いていないが、先ほどの話から倒産・解雇につき解決しろと、仕事をなんらかの形で確保しろみたいなことが究極的な要求なんでしょうかね?
 端的に言えば、そういうことです
 ・元々の出発点からは時間が経っているから、先ほどのKさんの話でも、元のふじせの職場に戻せということではなく何がしかの手当をしろということが要望なのですね、おそらく?
  はい。 要求では変遷しているんですね。工藤さんがいる時は学研の業務保障によるふじせ企画の再開の要求も立てていましたが、亡くなったので。

 Sさんが30分、Yさんが30分、Kさんが90分の主尋問を行い、学研側の反対尋問は、それぞれ15分から20分程度でした。主尋問への有効な反論を含む反対尋問はなく、争議の正当性とビラの真実性が数多くの証拠と共に立証されました。 
 10月6日の弁論準備(15時〜民事36部)を経て、11月30日(月)午前10時〜631号法廷で弁論終結と決まりました。
学研でも情報流出事件が発生!
 前号で予告だけしましたが、会社は学研教育出版が提供しているeラーニング教材「マイガク」サービス利用者の氏名、学校・塾名などの個人情報約2万2千件が不正アクセスを受けて流出した可能性があることなどを発表しました。7月8日に第三者調査機関から指摘を受けて調査したということですが、サイトのサービスを停止したのが10日、不正アクセスを外部に発表したのが13日。対策と対応が疑問視されていいます。
7・22学研社前行動 小早川取締役らに抗議
 7月22日、学研本社闘争を展開。7月2日に行われたココファン損賠本訴で居住者のIさんが証言、ビラの真実性も明白になったことなどを中心とした朝ビラを配布しました。中森常務、小早川取締役(学研ココファン最高責任者)が出社してきて、 抗議のシュプレヒコールを浴びながら社内に入っていきました。10時までの座り込みを打ち抜きました。
7・30教育工学研修セミナーで情宣行動
 朝8時から港区立三田中学で開催された「教育工学研修セミナー」に対して、支援共展開でビラ配布の行動を展開。才能開発教育研究財団など実質学研が運営するイベントで、参加した小中学校教員の多くに争議実態を知らせるビラを手渡すことができました。

      写真=7・22学研社前闘争         8・3仙台 嫌がらせ訴訟を許さず、法廷後、地元の仲間と楽しく懇親会

8・3仙台 東北ベストスタディ損賠裁判
 学研HDと東北ベストスタディが仙台地裁まで呼出しをかけて660万円の損害賠償を請求している不当な訴訟につき、8月3日に口頭弁論が開かれました。組合側のビラの真実性につき主張を提出、仙台繁華街でも再び情宣行動を行いました。全金本山労組の支援も受け、地元での現場ー法廷貫く闘いが進められいます。