学研HD株主総会質問書掲載
 
次号で株主総会質疑応答全文を掲載します
学研経営陣は、第69回定時株主総会で
誠意をもって株主の質問に答えなさい!

 私たちは、学研の第69回定時株主総会に対して、会社経営陣宛に以下の質問を提出しました(太ゴチック部分が質問書掲載文)。本日、質問権を行使して経営責任・争議責任を問い質します。

                                
株式会社学研ホールディングス
代表取締役社長 宮原 博昭 殿
                                              2014年12月16日
                             通 知 書

 私たちは、貴社の第69回定時株主総会において、以下の点について質問権を行使しますので、あらかじめ通知します。


1、総会運営の改善について
 貴経営陣の株主総会の運営が極めて悪質であることにつき昨年も問い質した。まともな質疑・応答を保障していないのは株主権の侵害としか言えないが、改善する考えはないのか?
書面質問への回答書を印刷し配って、内容の正確を期し、回答に責任を持つと共に質疑・応答の円滑化と深化を図る考えはないのかについても改めて問いたい。

株主の質問を途中で打ち切ったり、挙手していても指名しない、驚くことに株主が発言中にマイクの電源を切ったり、株主を正当な理由なく退場させるなど、これほどひどい総会運営をおこなって恥じない姿勢に対して、株主からこの会社の良識を疑う声が上がっています。


2、外部からの経営のチェック機能について
 また新たに社外監査役の選任を提案しているが、第67回で就任となった社外取締役が外部からのチェック機能を果たせなかったことをどう踏まえてのことか?また、2005年の第59回定時株主総会で一般株主からの社外監査役選任の株主提案を葬り去った貴経営陣だが、外部からのチェック機能をどう強化しようとしているのか、姿勢と見解を示されたい。

これも不誠実な総会運営を行って一般株主の声を聞こうとしない経営陣の姿勢と繋 がるもので、学研の問題体質を外部からチェックする声を排除あるいは形骸化させて 経営責任を問われまいとしているのではないかと思えてしまいます。

3、小早川氏らの取締役就任と須摩氏らの退任について
1)高齢者福祉事業が収益の大きな柱になりつつあり、来期から黒字化を図るとしている中、学研ココファンホールディングスの小早川仁氏の責任と適正が問われる。学研ホールディングスの取締役になる理由は何か。碇秀行氏の就任理由と共に明らかにされたい。また、須摩春樹氏、堀昭氏の退任理由も示されたい。
2)特に小早川氏は第67回株主総会でココファンあすみが丘で生起した問題について虚偽の答弁を行っている。そのような姿勢を改めることなく取締役に就任することは問題が多すぎるのではないか。

4、学研ココファンに関連して
 1)株主優待取り止めについて
昨年の株主総会で前年度に行った株主優待でのココファン体験入居を行わないとの説明があり、実施されなかった。次回も実施しないのかをうかがいたい。

 経営陣は昨年良識派の株主で学研が目を付けた株主にのみ不当な誓約書を課して、株主優待のココファン体験入居をさせないという株主平等原則違反、株主権の侵害を行った上に、今年の株主優待では「ココファン体験入居」を全て取り止めました。
 2)サービス付き高齢者住宅の今後の展開について
開設計画、居室の構成(要介護度の高低の比率)、サービスの内容とスタッフの体制の充実等につき方針を示されたい。

  学研ココファン=サービス付き高齢者住宅の一つ、千葉市のココファンあすみが丘 の居住者の、施設の処遇や管理運営に対する不満の声を取り上げて掲載した本紙に対 して、学研ココファンと学研HDが「名誉毀損」などとして、2013年6月から総 計1320万円の損害賠償請求訴訟を起こして来ました。これは、これは施設居住者 の告発の声をおし隠し、合わせて私たちの組合活動(争議行為)を禁圧して争議責任
 を免れようとする言論弾圧です。いま、裁判は継続して進行中ですが、次回1月15 日の口頭弁論以降、本紙記載内容の真実性いついても具体的な根拠を示して明らかに していきます。学研経営と学研ココファンの不当な問題隠しと居住者の声圧殺、組合 潰しの弾圧につき責任を追及していきます。

5、労務政策について
 1)スタッフキャリア制度について
今年度の応募者の人数と対象者の中での比率を答えられたい。
2)新人事制度など、労働条件の変更について
イ)10月から実施された新人事制度の内容と目的を説明されたい。
ロ)これに先立ち、厚生手当のカットなどが既に実施されていると聞く。これらにより労働者の賃金はどれくらい減っているのかを明らかにされたい。
ハ)年金制度の改定も発表されたようだが、その理由と目途を示されたい。

 このところ、社内・職場からパワハラ・退職強要や賃金切り下げ、労働者への犠牲強要策への告発の声が寄せられて来ています(厚生手当カットと新人事制度等で総額250万円もの年収ダウン者も生じるとの声もありました)。そして、さらに今回の業績発表と共に出版部門での人員削減、リストラ策も動きはじめています。

6、業績の悪化と対処方針について
 今期の売上高は901億3千万円(前期比3.8%増)だったが、営業利益は前期比 86.5%減の2億8千万円、当期純利益は前期比98.2%減で、3千万円とのことだ。 
会社が11月13日付で発表した「学研グループ修正2カ年計画『Gakken2016』 について」によると、営業利益7億円の目標と大幅に乖離した出版事業だけではなく、教室・塾事業をはじめ、計画未達となった部門も多く、園・学校事業での売上 げ156億円(損益は400億目標のところ 276億円と大きく下回った)、高齢 者福祉・子育て支援事業105億円がわずかに目標をクリアしたのみで、損益についてはほぼ全部門で軒並み目標に達しなかった(その他事業のみは目標設定の低い 1億円をクリアする2億円の利益)ことが分かる。
1)業績悪化の経営責任について
 今期は、営業損益は殆ど全部門で計画未達となって、宮原社長は社内報で「危機 的な状況」と自ら述べているが、経営陣の責任をどのように受け止め、それをどう 体現しているのか。そして、この状況への対処方針をどう考えているのかを明らか にされたい。
 2)新規事業での計画未達について  
宮原社長は、「新規事業で利益を上げられなかった」と問題にしているが、その新規事業とは何かをお答え願いたい。
3)出版事業の縮小について
 今期の出版部門の12億円余の赤字を受けて、出版事業を縮小し、教育図書等への絞り込みを図るとしている。その中で、今期21名の増員となっていた従業員数463名のうち、40人の人員削減を発表しているが、対象者は出版のどの部署の労働者で、処遇は配転、整理解雇等の扱いのいずれになるのかを示されたい。
4)財務諸表に関連して
 イ)長期・短期の借り入れ増大について
  長期借り入れが87億円、短期借り入れが51億円と大幅に増大しているが、その用途につき、ココファン関連以外のものも含めて示されたい。
 ロ)投資有価証券の売却益について
  投資有価証券売却益7億円余等による特別利益8億9千万円で特別損失をカバー しているが、売却した有価証券の内訳を示されたい。特別損失7億円の内容も明ら かにされたい。
 ハ)塾・教室部門の業績に関連して
  当部門は塾事業における費用増加などで減益となったという。
   重要な子会社とされている進学塾である早稲田スクール、イング、全教研、創造学園、秀文社のそれぞれの収益を示されたい。
   これ以外の進学塾「学研アイズ」と「東北ベストスタディ」の収益もそれぞれ示 されたい。

7、東京ふじせ企画労組との労働争議について
 昨年も質問したが、貴経営陣の回答は質問には回答せず、質問していないことがら を事実を歪曲して長時間にわたって説明するという不誠実な姿勢に終始している。
虚偽とごまかしの答弁をやめて、次の2点につき端的に回答されたい。
1)東京ふじせ企画倒産=労働者全員解雇の責任について
 東京ふじせ企画が倒産したのは当時ほぼ全て学研の委託編集業務によって成り立っていた同社から35名が行っていた同業務が総引き上げされたからだが、それは学研経営が強行したことであるのか、そうではないのかを答えられよ。
2)東京ふじせ企画労組の要求への向き合い方と争議を抱えていることの致命的な誤 りについて
 毎年、「同労組の金銭要求などには応じない」として「解決」は株主利益に反するかのような回答を行っているが、同労組の要求内容を貴経営陣の知る範囲で正確にお答えいただきたい。その上で、これについての考えを示されよ。


8、特定秘密保護法の施行に当たって
 12月10日、特定秘密保護法が施行された。貴社としての見解と姿勢を改めてうかがいたい。                                                              以 上


 学研の基幹雑誌「科学」「学習」の委託編集業務を行っていた学研の下請編集プロ=東京ふじせ企画の労働者が組合を作り、下請の経営者と話合いを始めた矢先、結成から1週間で学研が35名が行っていた編集業務を総引き上げし、会社を倒産させ、全員を解雇状態に至らしめました。
 「学研の使用者性」をめぐる司法判断は争議責任の一部についてのものでしかなく、それによって学研の悪質な倒産攻撃=生活破壊の責任が免罪されるものではありません。また、学研が使用者性を有している(東京ふじせ企画労働者の実態上の使用者であること)についても東京ふじせ企画破産管財人が提訴した損害賠償訴訟の判決では正しく認定されています。こちらの司法判断の方が、学研が唯一居直りのよりどころにしている行政訴訟判決(判例である朝日放送事件との同一性を争点としながら、その判断を回避したインチキそのもの)より妥当な判断です。
 いずれにしても争議は、第三者機関の判断ではなく、当事者が最後に話し合って解決する以外に道はありません。うしろめたい学研経営は正当性に自信がないので一切話合いの場に出て来ようとしていないのです。
長期にわたって争議を抱えていることが、会社の経営にとって、多岐に渡るマイナス要因となって真の経営再建を不可能にしていることを、私たちは、この総会でも指摘してきました。争議をひき起こした体質、それを解決しない無責任な問題体質が様々な学研の不祥事をひき起こしてきました。
これ以上、このようなことを続けて自ら経営の問題体質を蔓延させるのか、それとも争議を解決するのか、学研は今こそ選択が迫られています。
 ココファン損賠訴訟に加えて、ネット記事削除請求の仮処分、そしてさらに2年半も前の本紙の記事に対して学研HDと東北ベストスタディによる仙台まで呼び出しての嫌がらせの660万円の損害賠償請求訴訟、と濫訴を重ねてきているのですが、本来、学研経営は、ココファン、東北ベストスタディと共に、こうした形で声が上げられている事実に目を向け、居住者の声を聞き、リストラで退職を求められた労働者の声を聞くことこそ行うべきです。それを押し隠し、押し潰すそうとするやり方は明らかに間違っており、「教育」を看板に掲げながら学研がいかに良識を欠いた企業となっているかを示しているものです。
 株主の皆さん、学研関係者の皆さんと共にこうした学研経営の問題体質を改めさせていきたいと考えます。