学研HD 当期純利益98.2%減の3千万円 
営業損失12億円の出版事業を縮小!

 会社は、11月13日付で69期の「決算短信」を発表しました。売上高は901億3千万円(前期比3.8%増)でしたが、営業利益は2億8千万円(前期比86.5%減)、当期純利益は3千万円(前期比98.2%減)とのこと。 
 出版部門では、美容健康・家庭実用分野等でのムックや定期誌の販売不振により6.9%減の29,077百万円、また返品や在庫処分の増加により損失が12億円(前期は営業利益6億4千万円)となったとしています。
会社が同日付で発表した「学研グループ修正2カ年計画『Gakken2016』について」
によると、営業利益7億円の目標と大幅に乖離した出版事業だけではなく、教室・塾事業をはじめ、計画未達となった部門も多く、わずかに園・学校事業での売上げ156億円(損益は400億目標のところ276億円と大きく下回った)、高齢者福祉・子育て支援事業105億円がわずかに目標をクリアしたのみで、損益はほぼ全部門で軒並み目標に達しなかった(その他事業のみは目標設定の低い1億円をクリアする2億円の利益)ことが分かりました。
修正2カ年計画では、2016年9月期までの2カ年を「成長軌道に乗せるための再構築フェーズ」とし、「出版事業の不採算分野を段階的に縮小し、参考書や児童書などの教育分野にシフトし、教育コンテンツに経営資源を集中する、新しい教育サービスを開発する、高齢者福祉・子育て支援事業において2015年9月期以降の利益確保と成長を実現する」、などを掲げています。
「危機乗り越え」を叫ぶ、学研=宮原体制の
             リストラ攻撃を許さないぞ!

 宮原社長は、社内報「学研ライフ」700号(10月1日発行)で、「大きくマイナスの計画乖離となってしまった」ことにつき、「一致団結して危機を乗り越えコンテンツ創造企業への真の脱皮を」との見出しを掲げて学研社員を叱咤しています。  
 危機感のなせるわざとは言え、文字通り上から叱りつけているような姿勢が感じられるもの言いには、経営責任を引き受けるというよりも労働者に責任を転嫁して犠牲を強要していくことにつながるものが感じられます。「なぜこういう結果になったのか、各自検証して反省し、同じ過ちは二度と起こさないという決意を持ってください」「2年赤字が続いたら3年目は撤退するという鉄則を徹底してください。これができなかったために、雪だるま式に赤字が拡大してしまいました。」等々。
決算発表翌日の11月14日の朝日新聞経済欄の片隅には「学研、出版事業縮小へ」の見出しで「出版大手の学研ホールディングスは13日、出版点数を2年間で3割減らし、年間約800点にすると発表した。不調の雑誌やムック本を減らし、堅調な学習参考書や児童書に集中する。出版事業の人員も約1割にあたる40人ほど減らす。」とありました。
 参考書や児童書などの教育分野へのシフトが異動からさらに人員削減・退職強要にまで拡大するのか?今はその時ほどの状態ではないと思われますが、2008年の年間3度もの希望退職募集が想起されます。真偽の程は未確認ですが、10月に『歴史群像』のある部門で20人くらいが配転されたとの噂も伝わっています。新人事制度導入、厚生手当のカット、年金制度の改悪等、学研経営は既にしわ寄せ策を強めてきています。
学研で働く仲間は経営責任を質し、労働者への犠牲のしわ寄せをはね返していくことが求められています。共に闘いましょう。
職場で困ったこと、職場の情報、ご意見などをお寄せください
 匿名でも構いません。本紙タイトルのところにある住所への手紙・電話・ファクスや h25cap@mbh.nifty.comへのメールを。また、地域で共に活動している東京南部労組では、いつでも無料で労働相談を受け付けています。southwind@mbr.nifty.comへ

10・24学研社前行動 宮原社長らに抗議
10月24日、学研社前朝ビラ、出社役員への抗議、座り込み行動を展開しました。8時少し前に出社してきた中森常務に話合いの場に出てきなさいと抗議を行いました。8時25分には、いままでとは違う車両ナンバーのレクサスで来た宮原社長に「争議を解決しなさい」と抗議を行い、シュプレヒコールを上げました。殆どすぐ後に木村常務も出社して、通用口から入っていく背中に抗議の声を浴びせました。
9時過ぎまで朝ビラを学研及び関連の仲間に配布し、その後、座り込み抗議行動に移りました。マイクで、10月9日に行われた学研ココファン損害賠償訴訟の第7回口頭弁論の報告(朝ビラにも掲載)を行い、不当な民事弾圧で組合の争議行為圧殺、ココファン居住者の声の圧殺を図る学研経営への抗議の情宣を行いました。
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抗議の声を浴びながら、地下駐車場に入っていく宮原社長の車
11・17学研社前行動

 11月17日、午後1時半から学研本社前で学研経営への抗議行動を行いました。下請プロでの組合結成に介入し、組合潰しを狙って業務総引き上げ=会社倒産・全員解雇の攻撃を仕掛けた学研経営の争議責任を指弾し、いま、その組合の抗議行動圧殺を狙った損害賠償の訴訟を起こしてきている学研HDと学研ココファンの弾圧責任も糾弾してのビラ配布、座り込み行動でした。
 この日はココファンナーサリー(子育て支援事業)の説明会等、いくつかの行事が入っていたらしく、学研社員のみならず多くの来客・取引先の人々にビラを配布し、マイクで訴えました。ちょうど決算の発表もあった後で、経営悪化を受けて年金制度の改悪等を強行する宮原社長への抗議の声も上げました。



<共闘報告>
10・30争団連統一行動 
ジャレコ闘争ー中大生協闘争を貫き打ち抜く!
 
 経営の争議責任居直りと争議行為潰しの攻撃激化の状況と対峙し、各争議団は、個別の現場での日常的闘いを堅持しつつ、今秋も9・26明大生協理事長宅デモ、11・8ケミカル会長自宅デモ等、11・20大道測量闘争・藤後前社長宅全日闘争など、地域共闘の集中闘争の成功をかち取り、連帯大道測量に10月にかけられた仮処分では、地裁立川支部保全部に審尋を一回で終わらせずに続行、ふじせココファン損賠訴訟も来年へ継続の中で攻勢へ向かうなど、現場ー法廷を貫く攻防を展開しています。
 10月30日の争団連統一行動では、外出するジャレコの加藤社長を自宅付近で直接追及する争団連らしい闘いを早朝から49名の結集で成功させ、中大生協闘争の多摩キャンパス正門前闘争でも59名の結集で団交要求行動と集会を力強く打ち抜きました。
11・28出版関連労組交流会議秋季シンポ
「権力のメディア支配とジャーナリズムの後退」

 巷ではヘイトスピーチが跳梁跋扈し、週刊誌などには嫌韓反中記事が満載で、国政では歌謡ショーツアーと祭りのウチワで小渕経済産業大臣と松島法務大臣の首が飛びましたが、「政治と金」をめぐる低次元の報道の一方で、高市総務相、山谷拉致問題担当相、有村女性活躍相の極右三姉妹ははばかることなく靖国神社に参拝しても、その「政治と見識」に対するメディアの矛先はおそろしく鈍い状態です。
NHK会長「政府が『右』と言っているものを、われわれが『左』と言うわけにはいかない。」
安倍首相は、第1次政権時代の2005年に従軍慰安婦をめぐる番組でNHKに圧力をかけ騒動となりましたが、肥大化した第2次極右政権の下で、昨秋、国会同意人事のひとつであるNHK経営委員に百田尚樹(「南京虐殺は無かった」等の主張を掲げる歴史修正主義者で「憲法改正に取り組み、軍隊創設への筋道をつくっていかねばなりません」と公言している作家)、長谷川三千子(改憲・右翼団体「日本会議」の代表委員、非嫡出子が相続できる遺産が嫡出子の半分になる民法の規定を違憲だとした最高裁判決を批判、追悼文集で、1993年に抗議先の朝日新聞社で所属する極右団体の名誉を傷つけられたとして拳銃自殺した野村秋介を称賛)、本田勝彦(日本たばこ産業(JT)顧問、安倍の小学生時代の家庭教師)らを指名しました。そして、経営委員会の任命によって執行部トップの座に就任した籾井勝人NHK会長は記者会見で「政府が『右』と言っているものを、われわれが『左』と言うわけにはいかない。」「慰安婦は戦争国のどこにもいた」等の発言を行ないました。視聴料を徴収し、国民の知る権利に奉仕するという建前を掲げている「公共放送」の変質が、その後の「原発」「集団的自衛権」等をめぐる報道の中でも顕在化してきています。
「国益を損ねた」「売国奴」等、誤報を契機とした朝日バッシングに伴うジャーナリズム崩壊
 そして、8月初め、朝日新聞が従軍慰安婦をめぐる25年前の報道の一部につき誤りを認めると、読売・サンケイ等の右派メディアや週刊誌は、自らの報道姿勢を省みて検証することもなく朝日新聞たたきを開始、安倍首相も菅官房長官もともに、「日本の国際的名誉を損なった」として朝日新聞を断罪しました。安倍首相は9月の国連総会で行った演説で「日本を女性の輝ける社会に変えると固く誓言し、戦時下の性暴力をなくすために国際社会をリードしていきたい」などと発言しましたが、朝日たたきで慰安婦問題(戦時下の性的隷属)そのものが無かったかのような言説を率先して社会的に蔓延させているのです。そして、追い打ちを狙い、これまで福島第一原発事故をめぐる吉田調書の開示を渋ってきた政府は、これを公開し、吉田調書の一部をスクープした記事の中の「誤報」を晒して朝日新聞潰しに拍車をかけ、元朝日新聞記者を講師として雇っている各地の大学が、右翼グループからメールや電話を通じた集中砲火を浴びて、その元記者の解雇を要求される等の事件が続出しました。
朝日新聞の動揺と対応における醜態もありますが、現在の状況は、権力の監視を行うべきジャーナリズムが内外から解体され、多少なりともリベラルな言論さえ排除・抹殺されようとしている危機的な事態です。
私たち出版関連労組交流会議は、これまでも、「メディア 翼賛化と可能性」(2007年、講師=森達也さん)、「原発災害とマスコミ報道」(2011年、講師=山岡俊介さん、寺澤有さん)、「出版・報道の現場から撃ち破れ 秘密保護法−言論統制・監視国家化」(2013年、講師=足立昌勝さん、田原牧さん、横田一さん)など、出版・報道に関わるシンポジウムを開催してきました。特定秘密保護法が施行されようとしている中で、日本のメディアの現状が問われています。この状況に対して、どう捉え、どう向き合っていくのか、11・28シンポジウムで課題を共有し討論を深めていきたい、と考えています。皆さんのご参加を訴えます。
11月28日(金)午後6時半〜東京しごとセンター(飯田橋駅、水道橋駅から6分)
講師 小田桐 誠氏(フリージャーナリスト 放送評論家)
  BPO(放送倫理・番組向上機構)委員 著書に『テレビのからくり』(文春新書)、   『NHKに明日はあるか』(三一書房)など
  横田 一氏(フリージャーナリスト)
大手メディアが書けないルポ「東京電力の正体」や「安倍晋三の正体」など政治、   環境、利権等に係わる問題で多数の執筆。