学研ココファン損害賠償訴訟 第7回口頭弁論
学研、ごまかしの認否・反論書面   (10/9)

 千葉市あすみが丘のサービス付き高齢者住宅の居住者の声を取り上げた本紙に対して学研HD経営が学研ココファンと共に組合・支援共闘会議を相手に1320万円の損害賠償請求とビラ及びネット記事の差し止め請求訴訟を仕掛けてきた裁判の第7回口頭弁論が10月9日に開かれました。
 これまでの組合側準備書面での長期争議の経過、その過程で露わになった学研の問題体質、ココファン居住者から聞き取った事実を確認してビラに掲載した内容の真実性についての主張への学研側の反論が予定されていました。しかし、学研側が出してきた準備書面(3)は、争議経過についての主張への反論も全くなく、あすみが丘問題に至るまでの「争議経過」は本件と無関係と言い放ったのでした。さんざん、組合の行動は義務なき団交に応じさせるための嫌がらせ行為、との主張を訴状以来くり返しておきながら、争議の本質と経過につき正面からの反論を避けて逃げてしまいました。「ココファン居住者からの聞き取り」については「不知」だが、「一私人に過ぎない居住者から提供された情報を鵜呑みにし・・掲載したに過ぎない」「被告らは情報提供を受けた事実や提供された情報の内容等が明らかになる証拠を一切提出していない」等と述べています。聞き取りは複数の「居住者」からで、彼らが施設内の多くの声を背景にココファン本社に改善要求の手紙を出していること等を百も承知で白々しいことを述べています。
 そして、争議経過につき学研側は「本件とは無関係であり、認否の限りではないが、・・・重要な点において真実とは異なるため、念のため否認ないし争うと認否する」などと言っておきながら、他方で、「(被告らは)抗弁事実も含めた事実主張は完了した旨を述べており、・・・直ちに弁論終結の上、原告らの請求はいずれも認容されなければならない」などとこれ以上の弁論は不要と主張し、終結を求めました。組合は「事実主張は完了した」などと一言も言っていません。被告の特定も誤ったまま支援共「代表」としてダブって個人2名を対象にしたまま撤回していないことも指摘、原告準備書面(3)への批判・反論も含めて主張はあること、ビラの真実性について、根拠の提示を含めた立証を行っていく旨を述べました。裁判所も弁論続行を決めました。
 次回口頭弁論は、来年1月15日(木)午後1時〜705号法廷となりました。
ココファンあすみが丘、ビラの真実性について
損賠本訴、第6回口頭弁論準備書面(続)

 9月8日に開かれたココファン損賠本訴第6回口頭弁論準備書面の前半を9月30日号で掲載しました。後半部分「ビラの真実性」についての主張を掲載します。
2、本件記載内容の真実性について
(1)原告ココファンの事業内容とココファンあすみが丘の概要
 ココファンあすみが丘は、原告ココファンが経営する「サービス付き高齢者向け住宅」ココファンシリーズの1つである。
 サービス付き高齢者向け住宅とは、国土交通省及び厚生労働省が主管する「高齢者住まい法」(2011年改正)により創設された登録制度で、一定の基準を満たした物件について、事業者が登録を行うことによって、家賃やサービスなど住宅に開  する情報が公開され、高齢者個人が賃貸借契約を締結し、サービスを利用する場合 はサービス利用契約を別途締結するという仕組みを利用した、高齢者を対象にした住宅のことである。
 原告ココファンが展開する、ココファンシリーズは、「一時入居金不要、地域の家賃相場、24時間365目のスタッフ対応、プライバシーに配慮、介護・医療の安心、食事の安心」を基本コンセプトとして謳っており(甲28)、2004年の  原告学研ココファン設立以来、展開してきた高齢者専用賃貸住宅事業を足場にして事業展開されている。
 2014年8月のHP上では、「東京都下に11、神奈川県下に12、埼玉県下  に16、千葉県下に10、その他のエリアに5、計53(内45がサービス付き高  齢者住宅)の拠点を設立・運営」としている。
 原告ココファンは、今年度は、東京では練馬や立川、神奈川では鶴見、千葉では西船橋などで新規開設を行い、近い将来には関西や四国での施設開設も視野に入れ  ているという。また、現在主流の居室18uのものから、25u以上の居室や夫婦で暮らせる居室にも相当のニーズがあるものと見込み、展開を予定している。
 また、国交省は、情報通信技術をいかし、エネルギー効率のよい省エネ住宅をさす「スマート住宅」という概念に、「安全で安心、健康に暮らせる」という要素を組みこんだものとして、「スマートウェルネス住宅」を推進し、高齢者、障害者、子育て世帯等の多様な世代の交流を促進するとして、「スマートウェルネス住宅等推進事業」を創設し、今年度の予算として340億円を計上している。原告ココファンは、これに合致する事業として、地域の保育園とサ高住を組み合わせた事業なども展開する予定があるという。
 つまり、原告ココファンは毎年施設数を増やし、事業内容についても広げながら展開を進めている。
 本件で問題になっているココファンあすみが丘は、千葉市みどり区所在(JR土気駅から徒歩10分程度)の92戸の集合住宅であり、2010年11月に竣工し、同年中から高齢者専用賃貸住宅として営業を開始した。
(2)記事内容の真実性
 本件におけるココファンあすみが丘に関する記事掲載は、前述のとおり、学研の関連会社において生じている事実から、学研の企業体質の問題性を指摘するために行われたものである。
 本件ビラやウェブサイトヘの各記載は、全て、ココファンあすみが丘の居住者らからの情報提供に基づき行われたものであって、その記事内容は全て真実である。また、各記載は、居住者らからの情報や資料の提供に基づいて十分な事実確認のもとに行われたものである。
 ア 情報を得た契機
 2012年7月末、ココファンあすみが丘元居住者から被告組合事務所に連絡があった。元居住者は、「有名な教育出版関係の会社の関連企業が経営していることを信頼してココファンあすみが丘に入居をしたが、入居後、スタッフの体制やサービス、施設の面でさまざまな問題が生じ、会社の担当者や社長宛に手紙を送ったりしたが応答がない、学研の企業体質とも関連するので相談をしたい」と話した。
 この元居住者は、同年3月、原告ココファンの担当者に会いに行った際に、本社前周辺で配布されていたビラを受け取り、被告組合の連絡先を知ったのであった。
  電話での日程調整の結果、元居住者は、同年9月7日、五反田にある被告組合事務所に来訪し、ココファンあすみが丘の問題について、以下のように説明した。
 入居後、種々のサービスを利用しようとすると居住者の負担が大きくなり、困っている人も多い、特にスタッフ不足で夜間のサービスに不満がある、調理ができる  ような本格的施設も専門スタッフもない中で食事提供もしているので食事が悪い、クリニックや生活相談などの仕組みが不備で事前の説明とも異なる、スタッフが劣悪な労働環境で稼働しているなどの問題が生じ、居住者間でそれらについて不安・  不満が高まっていたところ、同年3月に生じた居住者の自死に対する所長の対応が  居住者に大きな不安を与え、そのころから、多くの居住者から改善を求める声があ  がるようになった。しかし、居住者が原告ココファン担当者宛に手紙を送っても回答がなく、居住者が居室内に置いておいた上記手紙が同人の不在中にコピーされるなど、さらに居住者の不信感を増す対応が重なった。他の居住者も、原告ココファン社長宛や千葉市宛てに手紙を送付した。
 そして、「ココファンあすみが丘には問題が多い。掲げられている経営理念にも反する悪徳商法だと思う。入居者が声をあげているが応答がなく、改善もされない」と述べた。
 この元居住者は、実際に原告ココファン宛てに白分が出した手紙や各種資料も持参し、応対した被告組合員に対し、「一向に改善の要望が受け容れられない状況で  困ったので相談した」と申し出、「ビラに載せてほしい」と要望した。
 イ 資料の提供
   被告らは、面読後にも、さらに資料の提供を受けた。また、同年9月29日には、被告国分ほか被告組合員らが、ココファンあすみが丘の最寄り駅の土気駅まで赴き、居住者らと面談した。
 その場で、被告組合員らは、居住者の方がこれまで指摘してきたココファンあすみが丘の問題点をまとめた「ココファンあすみが丘の経営実態と問題点(居住者の視点から考察)」という意見書を、作成者本人から受領した。被告組合員らは、その場で、意見書記載の事実関係について確認し、当該居住者のみならずココファンあすみが丘の居住者の多くの方たちの声をまとめ、整理したものであるとの説明を受けた。
 ウ ビラの作成と居住者らによる内容の確認
   このような経過を経て、本件で問題になったビラは作成されたが、被告組合員らは、ビラを作成する都度、情報提供者にビラの原案をファクスで送付し、内容を確認していただき、承諾を受けた上でビラとして完成させていた。
 エ 居住者らから原告ココファンに対する働きかけ
   ある居住者は2012年4月以降数回、社長宛に手紙を送っている。
  また、元居住者もココファンあすみが丘居在中に2度、社長宛に手紙を送ったが返答がなかったため、退去後の同年11月に、弁護士を通じて、社長宛に所長による自室立入り・書面持出しなどについての事実調査・説明と今後の管理改善を求める  通知をした。その後、この元居住者に対しては、代理人を通じて原告ココファン社長から、調査は行ったが立入り・持出しの事実は認められなかったとする回答があった。
  原告らは、本件ビラ等に記載したココファンあすみが丘の居住実態や居住者への対応について居住者らから問題にされていることをよく知り、被告らのビラに記載  されている事実が居住者の真実の声であることを十分に認識しながら、これらの事実が虚偽である旨主張しているのである。
 オ 株主総会での質疑応答と情宜
   被告組合員らは、2012年12月7目にも、元居住者らと面談を行い、その場  で、この2年間で死亡した居住者が10名以上いること、思っていたのと居住環境  が異なるという話を伺い、ビラ掲載後も原告学研HDの対応に代わりがないことを  聞いた。また、その場で、ココファンあすみが丘の問題点をまとめた文書の提供を  受けた。
   これを受けて、被告組合員らは、同月21日に開催された株主総会で、ココファンあすみが丘の運営の問題について質問を行った(第9準備書面136〜138頁)。
  また、被告組合らは、上記質疑応答について、2013年1月9目作成の「パルス」で詳細に報告した。
 カ その後の元居住者らとの交流
   被告組合は、2013年2月1日に、学研・ふじせ闘争35周年を期して、本社前・駅頭行動・集会を行った(第9準備書面139頁)が、この行動に、ココフアンあすみが丘の元居住者は参加し、集会でも、ココフアンあすみが丘の問題点を明らかにし、学研経営を告発する旨の発言を行った。そして、この元居住者の発言と居住者の意見書は、同月20日発行の「パルス」に掲載され、被告組合らはこれを同日社前で配布した。
   このような元居住者らと連携した被告組合らの行動に対して、あせりを深めた原  告らが、掲載内容が真実であり、居住者らの情報提供に基づいたものであることを知りつつ、本件提訴に踏み切ったことは明らかである。
   なお、被告らは、本件提訴を受ける前の2013年4月に1回、提訴後にも事実  確認のため、数回にわたって、元居住者らとは面談を重ね、本件ビラ記載の事実関  係の真実性について確認を受けている。
                                                           以 上
秋季第1波 9・30学研社前行動を展開!
 組合と支援共闘会議は、9月30日、秋季第1波の社前行動を行いました。
 8時10分前頃、中森常務が出社してきたので、話合いの場を設けて争議を解決するように申し入れ、これを振り切って社内へ入っていく後ろ姿へ向け抗議のシュプレヒコールを上げました。
 しかし、この日は、中森サン以外の役員は姿を見せませんでした。

 出社してきた学研労働者の皆さんへもビラを配布、途中、総務の社員が支援の仲間に身体を押しつつけてくる等の挑発行為がありましたが、最後までビラ配布をやり抜き、9時過ぎから10時までは社前座り込み抗議行動を打ち抜きました。
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