PΛLS 2014年9月30日号
今月号の内容
9・8損賠本訴報告
東北ベストスタディ移送請求
教育工学研修セミナーで情宣行動
学研、第3四半期決算10億の赤字、通期業績予想大幅下方修正
年金制度改悪にの乗り出した学研
学研の濫訴による闘争圧殺を許さないぞ!
学研HDと事業会社学研ココファン(サービス付き高齢者住宅)が起こした1320万円の損害賠償請求とビラ及びネット記事の差し止め請求訴訟、学研HDと進学塾東北ベストスタディによる660万円の損害賠償請求、さらにネット記事削除の仮処分・間接強制決定と相次ぐ民事弾圧に対して、学研・ふじせ闘争は現場ー法廷を貫く反撃を展開してきています。
7月には出版・南部地域の集中行動として全都の仲間の力強い結集で、争議と民事弾圧の最高責任者である宮原社長宅包囲デモの成功をかち取ることができました。
9・8ココファン損賠本訴、第6回口頭弁論開催
学研HD経営が倒産・解雇の争議責任を居直り、学研ココファンと共に組合・支援共闘会議を相手に損害賠償請求訴訟を仕掛けてから1年余が経過しました。
9月8日に開かれたココファン損賠本訴第6回口頭弁論では、これまでの準備書面での長期争議の経過とその過程で露わになっている学研の問題体質の指摘に続き、学研労働者に加えてココファンあすみが丘の居住者の方が組合に相談を寄せてきた経過、聞き取った事実を確認してビラに掲載した事は真実ないし真実と信じるに足る内容で名誉毀損などでは全くないことを示しました。その要旨を今号と次号で掲載します。
1)はじめに
使用者の不当解雇、倒産攻撃などを受けて労働争議となったとき、労働組合は職場内に活動の基盤があるときにはストを打つなどの行動も行うが、主に会社前での抗議行動(集会、ビラ配布)や会社への団体交渉申し入れ行動等の直接的な争議行為の他に、街頭宣伝活動や会社関連イベント会場前での情宣行動、さらには争議解決への働きかけを要請する趣旨での提携先企業への申し入れ行動、等々を行う。これらにより、使用者に争議解決を促すものであるが、これらの活動総体が憲法上でも保障された労働組合活動としての争議行為と見なされてきた正当性を有する行動である。
また、労働委員会や裁判所等、第三者機関への提訴によって使用者の不当労働行為や不法行為を是正させる活動も行う。
以上のように、使用者への直接的な行動の範囲を越えて、広く第三者への訴えや働きかけを行うのは、争議を引き起こした企業の社会的責任をも問うためのものである。誤った労政政策は経営の腐敗・荒廃に繋がり、当該企業で働く労働者へのさらなるしわ寄せを招く事態となるばかりか、さらには不祥事等を惹起するなどして、 ステークホルダーとされる関係者にも問題を波及させる結果となる。
従って、争議中の労働組合が企業内外の労働者・市民への情宣行動を行うことの必要性、重要性は十分に認識されねばならない。本件訴訟の対象とされている学研ココファン関連の情宣もこのような一般情宣の一環として位置づけられる。
学研本社での経営への直接的な争議解決の要求行動や学研労働者への社前での情宣という争議行為の基軸的な活動のみではなく、それと結びつけて被告組合が展開してきた一般情宣と、その一環としての学研ココファン関連の情宣は、以上のような性格を有する。
学研によってひき起こされた本争議は・・・・中略・・・ 学研の中で焦点化し、多くの学研の職場労働者が関心を抱くところとなった。
被告組合の争議解決を求める活動は、争議の帰趨がこのような学研職場労働者に影響をもたらすことから、常に学研関連の人々を念頭において行われたきた。同じ、学研関係者として生きていくために、一緒になって経営の改善を求めていく姿勢で訴えを行って、共感を得ていった。・・・中略・・・
(2)学研本社前行動に伴う一般情宣(略)
(3)工藤ふじせ企画社長、古岡学研社長らへの行動に伴う一般情宣(略))
(4)学研主催イベントへの情宣(略)
(5)教育界、出版業界イベント等(略)
(6)団地情宣、駅頭・地域情宣(略)
(7)株主総会での情宣、大株主への情宣・申し入れ(略)
(8)代理店、教室等の学研関連への情宣とウエブサイトの発足
(中略)
全国の学研の代理店や学研教室などへメールを郵送した。学研の暴力労政、下請組合潰しの生々しい実態を知らせる文書は反響を呼び、「このような闘いをやっていることを知って感激した」「学研の職場を変えるまで頑張って欲しい」「FC(フランチャイズ)とは名ばかり。学研は約束を履行しない、もう学研の支配下から外れる」などの声も次々と入った。その後も、1997年の株主総会の報告を中心とした記事には各地から次々と電話・FAXが入り、激励の手紙・カンパも寄せられた。「毎月、情報を送って欲しい」「学研に対する怒りを手紙では書ききれない」などの声もあった。
これらを契機に、97年夏、被告組合のウエブサイトも立ち上げ運営するようになった。
1998年7月末に被告組合が行った全国の代理店・教室等、学研関連へのニュースの郵送には 多大な反響があった。「毎回送っていただき、ありがとうございます」というお礼や「頑張ってください」との激励や「A代理店さんから聞いた。私のところに送ってください」との要望の声などと共に、学研の現状に対する批判・不満・不安が表明されていた。
学研が業績不振のしわ寄せを学研労働者や代理店等への犠牲強要として行 ない、代理店には年々取引条件を厳しくしてきていること、この結果、代理店の廃店が増加しており、また、学研との契約を拒否し、他社の代理店となっているところも少なくない、などの情報も寄せられた。・・・(略)
2001年、子会社GSM(学研スクールマネージメント)での高額教材押しつけ販売の被害者の若者からの告発がネット上で頻繁に行われ、 株式会社ジーアイシー(GIC)や株式会社学研クレジットの商法も「悪徳」として批判を浴びた。そして、被告組合が設けたホーム ページの中の掲示板へも学研GICの悪徳商法の被害者によるふじせ闘争支援の書き込みが行われた(第7準備書面79〜80頁)。
(9)ココファン関連に対する情宣
上記のように代理店、教室等の学研関連からの声が寄せられ、また、本社職場でも相次ぐ希望退職募集や賃金切り下げの新人事制度等、経営責任の労働者への転嫁でしかない犠牲強要策がくり返される中で、内部告発が被告組合に寄せられことが多くなっていった。これらの声を、ふじせ争議を居直る姿勢と一体の学研及び関連労働者への学研の経営の実態として受け止め、被告組合は、共通の課題として広く情宣を学研内外に行ってきた。株主総会でも、寄せられた声を活かして経営陣に対して質問し責任追及を行い、その報告も広く情宣してきた。
これらの積み重ねによって、被告組合らの活動に対する学研職場労働者・学研関連の人々の信頼が形成され、2011年春には、事業会社である学研メディカル秀潤社でのパワハラ退職強要事件の被害当事者からの被告組合への直接の相談となり、そして、2012年の学研ココファンあすみが丘の居住者の方からの相談へと至った。・・・(略)
同年9月7日に情報提供者の方が事務所に来訪し、被告組合のメンバーがその相談を受けた(第9準備書面131頁)。
その後、被告組合らは、ココファンあすみが丘の居住者の方との相談に基づき、以降、「パルス」9月26日号、同10月30日号、同11月28日号で、ココファンあすみが丘の実態につき連載し、学研社前で配布した。被告組合が社前で配布するビラに、あすみが丘問題を掲載したのは、居住者が「一日も早い改善を」と願っている状況を学研関係者に知らせることが、学研関連の人々と信頼関係を築き、相談に向き合ってきた被告組合らの取るべき姿勢であり、まず、社前ビラで学研労働者に問題を提示することで学研が善処することを期したのであった。
同12月21日の学研ホールディングス株主総会でも、質問書(あすみが丘問題を含む)を掲載したビラと居住者の方の告発文書を会場前で配布した。株主総会での発言は、社前ビラ配布を行ったにもかかわらず、学研の誠実な対応が全くみられなかったため、一般株主にもその実態を知らせるために行われたものだった。
以降、社前ビラ「パルス」2013年1月9日号で、株主総会での質疑・応答の内容を、そのまま事実に即して掲載し、 同2月20日号で居住者の告発文を掲載すると、事実が明らかにされることに危機感を持った学研は、2013年3月22日、原告学研HDとして刑事・民事弾圧の行使をほのめかし、被告組合の一切の行動をとりやめるように求める「警告書」を出してきた(第9準備書面140頁)。さらに、本来株主に対して一律平等に対応すべき、ココファン体験職泊の株主優待で、原告らが被告組合関係者と目した人物に対して差別的な対応を行った(同143頁)ことでさらに窮地に陥り、「パルス」5月31日号で株主権の侵害を批判された後、不当な本件提訴に及んだのである。
2、本件記載内容の真実性について
(以下、次号に掲載)
学研側は、訴状でさんざん「学研に争議はない」「ふじせ労組と支援共闘会議の行動は学研に対する嫌がらせ行為である」等の誹謗・中傷を行って、学研に争議責任はなく組合の行動は違法なものであるとの主張を行ってきたにもかかわらず、私たちの争議経過についての詳細な記載を行った準備書面での連続的な主張への反論も全く出して来ていません。
次回(=10月9日 705号)法廷では、ビラの真実性につき学研側が反論を求められ、提出予定となっています。ココファン損賠裁判もいよいよ佳境に入りつつあります。
東北ベストスタディ損賠
仙台高裁「抗告不許可」決定(8/21付)
他方、学研が嫌がらせで仙台まで呼出しを図っている東北ベストスタディ裁判では仙台地裁の移送請求の却下、同高裁の即時抗告の却下に続き、抗告許可申立につき、この8月に仙台高裁の「最高裁への抗告を許可しない」との不当決定が出されました。残るは、最高裁の「特別抗告」への判断のみとなりました。訴訟は被告の居住地管轄の裁判所でという民事訴訟法の大原則をないがしろにし、著しい経済力の格差もある原告・被告間の「当事者間の衡平」を図った判例をも無視した不当な判断で、また学研側の証人予定者となるであろう関係役員たちは今は東京本社に戻されており、仙台で裁判をやる理由などないことも知らぬふりの不当決定です。
「特別抗告」への最高裁判断は憲法違反に限定されますが、憲法32条の「裁判を受ける権利」は公正な裁判のための裁判所の構成や訴訟手続きの保障を含むべきものであることを主張として展開し、原決定が32条に反して被告の権利を侵害していることを明らかにする理由書も提出しています。「憲法問題にあらず」の回避は許されませんが最高裁の判断結果が注目されます。
7・31教育工学研修セミナー情宣行動を展開
7月31日、小中学校教員対象のイベント=「教育工学研修セミナー」が行われた港区三田中学前で今年もビラ配布を行ないました。
組合と支援共闘会議で、多くの参加者に争議を抱え、さらに民事弾圧に乗り出している学研の実状を伝えるビラを配布しました。
(ビラを受け取り会場内に向かう参加者)
学研第3四半期決算10億円の赤字。
通期純利益72%減に下方修正
学研ホールディングスの第3四半期(13年10月〜14年6月期)の最終損益は10億円の赤字となり、また、通期(2014年9月期)の連結純利益が前期比72%減の5億円となりそうだと発表されました。従来予想は1%増の18億円で、大幅下方修正を行ったものです。女性向け雑誌や付録入りムック本などの販売が想定を下回るうえ、返品に伴う在庫処分費用などが膨らみ、営業利益も50%減る見込みとのこと。株価下落を防ぐため、通期予想はそれでも黒字と発表していますが、9月末の段階でどうなるかは不透明です。12月には株主総会を控えています。
「数字合わせで出したムック本が返品の山だなんて、全く体質が変わっていない」との批判の声が社内からも伝わっています。昨年来頻発したトンデモ誤植事件に続き、 学研スティフルのファミリーカレンダー不具合事件のようなことも起きています。宮原体制下での現場へのしわ寄せが問題を発生させているのではないかとの指摘も頷けます。
業績悪化に焦り、年金制度改悪にの乗り出した学研
宮原社長は、業績悪化の労働者へのしわ寄せとして、4月からの厚生手当カットに続き、年金制度の改悪に手を着け、新人事制度の下での犠牲強要策を激化させつつあるようです。学研職場、学研関連の仲間と共にはね返していきたいと考えています。
職場で困ったこと、職場の情報、ご意見などをお寄せください
最近、学研職場から情報が寄せられています。困ったこと、問題だと感じていること、ご意見などをお寄せください。匿名でも構いません。本紙タイトルのところにある住所への手紙・電話・ファクスや h25cap@mbh.nifty.comへのメールを。
また、地域で共に活動している東京南部労組では、いつでも無料で労働相談を受け付けています。southwind@mbr.nifty.comへ