PΛLS 2014年6月19日号
今月号の内容
 露骨な労働者へのしわ寄せ策が激化
 学研の争議責任追及行動圧殺=民事弾圧をはね返して闘うぞ!                  5・8学研社前行動、5・21サ住協イベント会場前で情宣行動

露骨な労働者へのしわ寄せ策が激化
中間決算、3億7千万円の最終損失、出版赤字
根柢にある学研経営の問題体質

 
会社が5月14日に発表した69期上半期決算は、売上高470億9千5百万円(前期比7%増)、営業利益5億2千8百万円(前期比68・6%減)、経常利益5億9千8百万円(前期比66・3%)、純損失3億7千百万円(前期比15億4千6百万円損失増)でした。出版部門は売上高153億1千3百万円(前期比4・7%減)、営業損失2億9千2百万円(前期比8億4千3百万円損失増)でした。
 出版の売上高減はムックの返品増と定期誌「おはよう奥さん」休刊が、赤字は売上高減(!)と在庫処分が理由だとしています。期末に数字合わせのためにムックを多数出したが売れず、大量に在庫を抱えてしまったというお決まりのパターンです。遠藤社長の時代から行われていて期末決算を好調に見せても中間での赤字が業績の実態を示していることにつき私たちも批判してきました。自転車操業な手法がまだ行われているのでしょうか。

「10年後の学研をイメージしろ」と言う宮原社長に問いたい!
 宮原社長が社内報「学研ライフ」(4/1号)の中で、「昨年の失敗を糧にしてください」と結んでいるのは、今回も結果に表れた事態を指しているのでしょうが、その中で、「第3四半期の4〜6月で勝負することが必要です。ずれ込んだとしても、7月には発売できるよう今から調整してください。8〜9月に駆け込みで大量出版して、10〜12月に返本が嵩むのでは困ります」と言っているのはどうでしょうか?期末という時期の問題だけではなく、出版物の内容も問題にされるべきです。最近、「学研まんがNEW日本の歴史」や学研電子ストア「自然農法で野菜づくり」(学研ムック)での前代未聞の校正漏れ、など出版物の劣化が著しくなっています。発売中の「ブラジルW杯観戦TV-LIFE」
の韓国ページ内の地図表記に対馬が含まれていることが分かり、回収との話を聞くと、これは地球儀事件の二の舞かと思いますが、制作の現場で働く人たちにしわ寄せが激化して、追い詰められているとしか思えない状況を感じます。上記社内報でも宮原社長は「計画達成」へ尻叩きをくり返しています。私たちは株主総会でも、「スピード重視」を煽る宮原社長の姿勢の下で問題が噴出していることを問い質してきました。
編集部門の裁量労働制導入、全社で不評の選択定年制強行、くり返されるパワハラ・退職強要、そして4月からの福利厚生手当のカット、10月からの新人事制度等々、露骨なしわ寄せが激しさを増して、学研労働者は職場で呻吟しています。宮原社長は、その上で、「計画達成を意識しろ、短期・中期・長期のビジョンを描け、10年後の学研のあるべき姿をイメージしろ」と言っていますが、暴走する無責任経営の下で犠牲を強いられる労働者は「学研はどこに向かうのか」と訝しむ想いの方が強まっているのです。
宮原体制の暴走は、年頭の野中郁次郎先生との特別対談で学研社員に燃え尽きて討ち死にすることを奨励するかのような話で度を超し始めた印象がありましたが、それが具体化してきている、ということでしょう。
 いま暴走する安倍政権の第3の矢=成長戦略の実態も、産業競争力会議の「残業代ゼロ」法案策定への報告等で露わになりつつあります。労働基本権は生存権や生活に裏打ちされ、労働者が闘いの歴史の中で築いてきたかけがえのないものですが、それを「既得権」で「岩盤規制」だなどととして破壊し、労働者を企業にとって使い捨て自由な存在にする、犠牲を強いて文句を言わせない、これが経済成長に不可欠だなどと考えているものです。長時間労働を強いながら、働いた分の賃金を出さずに、「成果で評価を得るようにしろ」とはふざけた話です。こうした風潮の中で企業での労働者への犠牲強要策もなりふり構わぬものになってきているのです。
 こうした学研経営の動向と姿勢は私たちへの民事弾圧策、争議責任追及行動の圧殺攻撃とも根を同じくしているものです。共に声を上げ、はね返していくことを学研及び関連の労働者の皆さんに訴えます。
学研の争議責任追及行動圧殺
 =民事弾圧をはね返して闘うぞ!

 私たちは学研の下請編集プロダクションで基幹学習誌「科学」「学習」の業務を行ってきましたが、無給で長時間残業を強いられるなどの劣悪な労働条件を改善するために
労働組合を結成しました。ところが、その1週間後には学研が身を乗り出してきて「下請けに組合は作らせない」として学研の編集業務を総引き上げし、1ヶ月後には下請け会社を倒産させ、35名の労働者を解雇したのです。学研は倒産・解雇の責任を認めず
一切の話合い解決を拒んでいるために今日まで争議が長期化しています。
4次にわたるココファン損害賠償請求本訴
 昨年3月、学研ホールディングスの代理人弁護士事務所から「一切の争議行為をやめろ」との主旨の警告書が届き、6月(第1次)〜7月(第2次)に学研HDと学研ココファン(サービス付き高齢者住宅を運営)は、一昨年秋から私たちが千葉のココファンあすみが丘の居住者から寄せられた施設の処遇等への批判・不満についての相談に基づき、その声を組合のビラで取り上げ、ウエブサイトに転載した記事につき「名誉毀損」として1320万円の損害賠償とネット記事の削除、対象ビラ配布の禁止を求めて提訴してきました。合わせて学研社前では、総務の社員が動員されて私たちの抗議行動をビデオ、カメラ、騒音計などで記録し、弾圧の態勢が敷かれています。
 訴訟は、東京ふじせ企画労組とふじせ闘争支援共闘会議及び両組織の代表個人の計四者を相手に起こしたものですが、支援共代表の名称も間違えている粗雑さを9月の第1回口頭弁論までに指摘されると、間違った個人の名はそのまま被告に残し、また別に支援共事務局長個人を相手に(住所も分からず組合事務所を連絡先として)、第3次、第4次の訴訟を起こしてきた。これまで計4回の口頭弁論が開かれ、組合側は濫訴の不当性、争議の詳細な経過等を述べ、1次〜4次までの事件を併合させてきました。
ネット記事削除仮処分・間接強制
さらに学研は、この損賠本訴が進行中であるにもかかわらず、11月になって「投稿記事削除仮処分」を東京地裁民事9部(保全部)に申請してきました。削除請求は本訴内にも含まれており、仮処分による早期決定の必要性、緊急性などないものです。民事9部福島政幸裁判長は、十分な反論準備もさせず、債務者とされている支援共メンバーを審尋に傍聴もさせないまま、私たちの「本訴で争っている中での不当な仮処分申請だ、次回期日も入れ厳正に審理するように」との求め、保全の必要性についての私たちの学研側への釈明要求に対しても、「その必要はない」として、たったの1回で結審としてしまいました。そして、12月27日に不当な決定を出し、年明けの1月8日にはこの仮処分決定に基づく間接強制申請、2月4日には「ネット記事掲載1日につき10万円を支払え」との間接強制決定が出されました。組合は抗議声明を付してウエブサイトの記事の名誉毀損部分は伏せ字でアップしました。削除の強制は不当ですが、前後にはココファンあすみが丘の運営への批判の文章が続き、問題の所在は隠せない結果になっています。
東北ベストスタディ損賠 仙台へ呼び出す嫌がらせの濫訴
さらに昨年12月26日、仙台地方裁判所から、また組合・支援共、両代表の4者を被告にした訴状と呼出状が届きました。学研HDと東北ベストスタディが起こしてきた660万円の損害賠償と2年半前の東北ベストスタディに関するふじせ労組のWEBの記事削除を請求する訴訟です。学研が、東北の進学塾「あすなろ学院」を買収した後、反学研グループとの間で内紛が起き、その後、同グループは独立したのですが、その前後で、両者の間で未払い残業代の件や「あすなろ」名の登録商標などで争いが起こり、私たちへも情報が入り、それに基づきビラに掲載したもののうち、震災直後にリストラを行ったことを記載した点等を対象に、またまた「名誉毀損」としてきたものです。遠隔地への呼び出しを狙った嫌がらせに対して、現在、東京地裁への移送請求を行っています。こうした訴訟は被告の居住地で行う、という民事訴訟上の大原則がありますが、仙台地裁・高裁は不当にも私たちの「裁判は東京地裁で行うように」との求めを却下しています。現在、最高裁に特別抗告をして争っています。
 最近、講談社現代新書で『絶望の裁判所』という本が、退任した元裁判官の瀬木比呂志さんによって書かれ、よく読まれています。現在の司法の現状がいかにひどいか、まともな裁判官が存在し続けることが困難になり、公正な判決など期待しずらい状況になっている事実を指摘しています(司法の絶望的な状態をどこから変えていくのかの提言も掲載)。上記の福島裁判長らを目の当たりにし、私たちもそのことを実感しています。
「私の場合(退官して)学者になったので裁判所を批判できるが、弁護士になっている  人は口をつぐむ。判決で報復されるから」(日本外国特派員協会での瀬木氏の会見で)

しかし、こうした状況にめげず、私たちは、裁判闘争を闘うと共に日常的な社前行動、さらに10月25日争団連統一行動・南部集中・出労交集中行動として学研社前昼集会を70名の結集で、さらに1月27日には不当決定を出した東京地裁民事9部(保全部)と福島政幸裁判長に対しての抗議、申し入れ行動を全国の争議団と共に打ち抜くなどの闘いを展開してきています。

5・8学研社前行動
 宮原社長、中森常務らに抗議・団交申入れ
 5月8日、学研本社前での抗議情宣と団交申し入れ行動を行いました。7時半から、設営を開始。8時少し前に中森常務が出社、争議を解決しなさいと抗議し、シュプレヒコールを上げました。総務の西川部長も出社、その後社前に出て来てカメラを構え弾圧のための採証活動を開始しました。8時15分過ぎ頃に小早川ココファン社長が出社、不当な損賠裁判提訴に抗議しました。
  この後、8時35分頃に宮原社長の乗ったレクサスがやってきました。地下駐車場へ走り込む社長車に周囲から抗議のシュプレヒコールを上げました。  
 9時にはビラ配布も終え、社前正面で抗議のシュプレヒコールを上げた後、座り込み抗議行動に移りました。社前行動を打ち抜きました。

     地下駐車場へ走り込んでいく宮原社長の車にシュプレヒコール

5・21サ住協イベント会場前で情宣行動
 5月21日、サービス付き高齢者向け住宅協会主催、厚労省・国土交通省後援の「高齢者集合住宅研究大会」(400名以上が参加)という大きなイベントが開催された品川グランドホールで、私たちは情宣行動を打ち抜きました。この日のシンポジウムで小早川ココファン社長が司会を務めたようですが、争議責任を居直り、組合の正当な争議行為への弾圧と高齢者住宅の居住者の声圧殺を図って不当な損賠裁判を起こしている学研経営の実態を知らせるビラが多くの参加者に行き渡りました。

            5・21品川グランドホール前で参加者に情宣