PΛLS 2014年5月8日号
 今月号の内容
   1、4・24損害賠償訴訟本訴第4回口頭弁論                                    第7準備書面を提出   争議経過パートU(1993年〜2003年)                  第8準備書面を提出   労組活動と表現の自由とビラ配布行為の正当性                           2、4・1学研社前行動報告
争議責任隠蔽、学研関係者の声圧殺図る経営陣
民事弾圧の濫訴へと突進して混迷が浮き彫りに!

 
学研ホールディングスと学研ココファン(サービス付き高齢者住宅を運営している事業会社)は、昨年6月、7月の2次にわたり、私たちが学研社前で配布しているニュースやそれを転載しているウェブサイトでの「ココファンあすみが丘」についての記述が、事実無根の虚偽の摘示によって名誉を毀損し、両社の社会的信用を低下させる行為を行っているものだとして、1320万円の損害賠償請求と対象ビラの配布、同対象ネット記事の削除を求める訴訟を起こしてきました。
しかし、学研側が名誉毀損としている記事は、千葉市あすみが丘の学研ココファン居住者の方が、施設の処遇等への不満につき私たちに相談を寄せてきた内容をビラに掲載したもので、なんら事実に反するものではありません。
 学研は、基幹雑誌の委託編集業務を行ってきた東京ふじせ企画で結成された労働組合を潰そうとして、業務総引き上げ=倒産・全員解雇攻撃を仕掛けて争議を引き起こしました。そして、争議責任を居直るばかりか、これと闘う私たちの活動が学研関連の人々と結びついて展開されていることに焦り、正当な争議行為を潰そうとして、また学研関連から上げられた声を圧殺しようとして不当な損害賠償訴訟を起こしてきたものです。
 学研は、さらにこの損賠本訴で自ら請求して争っている点であるにもかかわらず、新たに「ネット記事」(私たちのビラの内容を転載したもの)の削除を求める仮処分・間接強制を裁判所に申請、さらに2年半も前のビラの記事につき学研HDと東北ベストスタディの名で、660万円の損害賠償請求訴訟を起こして仙台地裁に呼び出そうという異常な訴訟の濫発を行っています。
 しかし、このような民事手段を使った弾圧で私たちの闘いを潰すことはできず、逆に学研経営の不当性と無責任が訴訟の場でも明らかになりつつあります。
4・24損害賠償訴訟本訴第4回口頭弁論
 争議経過、労働基本権と表現の自由への侵害につき主張
 被告特定の誤りを居直り続ける学研経営

 4月24日にココファンあすみが丘損賠請求事件の第4回口頭弁論が行われました。
これに先立ち、朝9時から地裁前で学研の濫訴と先に出されたネット記事削除仮処分・間接強制決定に対する抗議の情宣行動を打ち抜きました。
 法廷では、被告=組合側準備書面で長い争議経過につき(今回はシリーズ第2回として91頁に及ぶ)準備書面を提出、また組合活動・表現の自由に対する侵害の濫訴を指弾する準備書面も提出しました(後記の内容参照)。また左陪席の裁判官が交替したので、改めて当該の意見陳述も行いました。
 原告学研HDと学研ココファンは訴状提出の段階からふじせ闘争支援共闘会議のSさんについて、「被告YことS」などとYさんとSさんを同一人物と見なす誤りを犯していましたが、支援共闘会議事務局長Yさんは別人であることを指摘されても、いい加減な被告の特定を居直り、原告組合側の(SさんとYさんの関係についての)釈明要求にもまともに答えられず、「Sはふじせ支援共の重要な担い手の一人である」などという不充分な釈明をしかできず、前回の口頭弁論で裁判所から「それだけですか」と聞かれ、ていました。今回も釈明につき「これ以上、主張はしないつもりか」と問い質されました。しかし、「いずれ必要に応じて主張する」と逃げてしまいました。傍聴席を埋め尽くした支援の仲間から思わず失笑がもれました。本来であれば「Sさんの被告」部分は取り下げるべきであるにもかかわらず、いい加減な訴訟提起であることを認めたくない姿勢がありありでした。SさんはもとよりYさんを含め、組合の団体行動権の行使に対して個人を被告に据えること自体が問題です。
第7準備書面=争議経過パートU(1993年〜2003年)を提出
 組合側が前回口頭弁論で提出した争議経過パートTについては、そのうちの争議突入までの部分を4月1日号の「PΛLS(パルス)」に転載しました。
 今回、第7準備書面として提出した、1993年に学研の第1次民事弾圧(古岡会長社長宅自宅申し入れ行動を禁圧する仮処分・間接強制攻撃など)が失敗に終わり、学研が慢性的な赤字に転落していったところからの記述となったパートUでは、学研の暴力労務政策が破綻し、その矛盾が経営危機となって進行し、95年度〜2002年度まで7期連続赤字(94年度は大量のリストラによる人員削減で黒字化した点を考慮すると93年度から実質10年連続赤字。98年3月決算は127億円、99年は139億円、2002年は140億円の三桁の赤字)となり、その経営責任を労働者に転嫁する相次ぐ人員削減攻撃が行われたこと、これに対して学研労働者の不満・批判が噴出し、不祥事と経営陣の腐敗を告発する文書が次々と出されたこと、特に「外債不良資産の隠蔽」は、創業者=古岡秀人の株での巨額損失を山一証券から補填させた疑惑が指摘され古岡神話が崩壊したこと、学研の大橋監査役が東京ふじせ労組と非公式折衝を持ち、学研の争議責任に言及して争議を解決したいと表明したが沢田社長ら役員たちに反対され、監査役を解任されたこと、中労委命令の取り消しをめぐる行政訴訟で、使用者性をめぐって争点である朝日放送事件との同一性についての判断を回避して牽強付会の結論のみの誤った命令・判決となった経緯、これらに抗して争議長期化に抗して闘ってきた学研・ふじせ闘争に対して、学研職場・学研関連(代理店、教室等)、学研GIC等での悪徳商法の被害者の若者など、学研内外から共感の声が寄せられ、後のココファン居住者やパワハラ退職強要を受けた労働者からの相談に繋がっていったこと、等を記載しました。この時期も実に沢山の経営の問題点が浮上しました。
準備書面の目次に掲げた主要な項目を列記して以下に触れておきます。
93年「古岡滉会長の辞任と混迷を深め行き詰まる経営」、94年「学研、合理化策で200名の人員削減を発表」、「雑誌10部部長懲戒解雇劇と社内をかけめぐる匿名ファックス」、95年「学研の大橋監査役が争議解決を求め、非公式折衝」「学研の売上げ低迷と従業員14%削減、株主総会で追及」「学研の主要雑誌の売上げ低下と書店商業組合連合会からの批判」「中央公論社闘争からの報告、ホテルに外泊し逃亡する沢田に抗議」、96年「29億円赤字、イマジン学園の低迷とリストラ・過重労働が問題化」「株主総会で非公式折衝の真相等をめぐり追及」「中労委が不当な棄却命令、行政訴訟の提起にマスコミの反響も大」、97年「沢田会長−小松社長の新体制発表と同時にまたも学研の不祥事が発覚」「行政訴訟口頭弁論、中労委は命令の理由を説明できず」「株主総会を前に管理職グループ等の内部告発文書も続出」「全国の代理店・教室から組合へ声が届く、CAIスクールでトラブル多発」「学研、山一証券に疑惑隠しの損賠提訴、株価も暴落」、98年「倒産・解雇20周年集会・デモ、前年を上回る規模で開催」「3月決算127億円の損失、沢田会長辞任、250人削減へ」「株主総会で損失隠し、ふじせ争議等の経営責任を追及」「行政訴訟において東京ふじせ企画元次長が重要証言、反対尋問失敗」「中間決算、35億円の赤字、株価崩壊の危機に連続的自社株買い」、99年「139億円の最終損失で最悪を更新、「赤字で怪文書ラッシュ」と報道」「責任も展望も示せぬ経営陣、古岡滉、沢田への巨額の退職慰労金」「行政訴訟、結審後も準備的口頭弁論が続く」、2000年「自分史文学賞授賞式、受賞者からも激励の声」「行政訴訟、準備的口頭弁論に続き、結審の延期」「ホームページへのアクセスと激励が増大、学研経営に厳しい批判の声」、2001年「巨額赤字の予定発表、GSM(英会話教室)問題が明るみに」「3月決算、85億円の赤字と小松体制崩壊」「株主総会において株主からの批判・質問が続出」「行政訴訟、引き延ばしに延ばしたあげく疑惑に満ちた不当判決」「一般株主の離反も顕著に、株価100円割れ、新たな希望退職募集」「被害者の若者のネット上での学研告発」、2002年「130人の希望退職、24周年集会・学研包囲デモ」「GICや学研クレジットも「悪徳」で有名に」「3月決算は140億円の損失!7期連続赤字の異常事態」「リストラ・犠牲強要のひずみ拡大」「英会話学校が全滅、学研クレジット株の落込み、学研株再び100円割れ」「学研またまた早期退職募集」、2003年「学研の常務3人が降格される、学研株主掲示板では怒りの声がやまず」「最高裁不当決定出る」
これらの内容はシリーズ「私たちは何故闘い続けているのか」でお伝えしていく予定です。
 第8準備書面を提出
=労働組合の活動及び表現の自由と本件ビラ配布行為の正当性について
  第8準備書面として提出した内容は、簡単に要約すると以下のような内容です。
憲法第28条は、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権
利」を保障している。組合の結成・運営や団体交渉や団体行動は、正当性を逸脱しないかぎり、刑法上の違法性を阻却され、民事上も債務不履行や不法行為の違法性を阻却されると解されている。
 したがって、仮に労働組合の行為が、ある程度使用者の業務・営業を妨害し、その社会的評価を低下させることになるとしても、当該行為が労働組合の組合活動または争議行為として行われ、憲法第28条によって保障される団体行動権の範囲内にあるときは、使用者はこれを受忍すべき義務があり、労働組合の行動は違法性を阻却される。
  日本国憲法第21条1項は、「一切の表現の自由は、これを保障する」と規定し、表現の自由は、「立憲民主主義の維持・運営にとって不可欠であって、この不可欠性の故に、その優越的地位が帰結され、これに対する規制は「違憲性の推定原則が妥当する」。したがって、労働組合が争議行為または団体行動として行ったビラ配布などの行為については、その行為の目的、態様及び内容を慎重に勘案し、その正当性及び相当性が判断されるべきである。
  労働組合の争議行為、団体交渉及び団体行動の正当性の判断は、単に、その行為によって行われた表現内容の真実性あるいは真実相当性のみに着目するだけでは足りず、労働組合が有する憲法上の意義、労働組合が果たすべき役割、当該情宣活動がなされるに至った経緯、背景事情、当該情宣活動の目的、態様、影響など諸般の事情一切が具体的に考慮されなければならない。
  さらに、本件記事は、ココファンあすみが丘の居住者らからの十分な資料提供と聴取によって作成されたものであり、全て真実である。
  学研HDと学研ココファンの損賠請求は不当であり、到底認められるものではないことの概略の主張を今回の第8準備書面で示し、以降、詳しく論じていくこととしました。

4・1学研社前行動
 入社式に参加の新入社員の人たちへもビラ配布 4月1日、会社脇の並木の桜が満開となる中、学研本社前での抗議情宣と団交申し入れ行動を行いました。
 7時半から、設営を開始。会社側はいつもより多くの人数で警備態勢を敷いていました。8時をまわった頃、中森常務が出社、争議を解決しなさいと抗議し、シュプレヒコールを上げました。総務の社員が動員されてカメラ2台、ビデオ1台で弾圧のための採証活動を開始しました。
 この後、8時20分近くに宮原社長の乗ったレクサスが社屋裏手の高速の下の通りから回り込んでやってきました。地下駐車場へ走り込む社長車に周囲から抗議のシュプレヒコールを上げました。その5分後には、木村常務が東興ホテル脇道路から出社してきました。話合いに応じ、争議を解決するように求め、社内へ逃げ込んでいく木村常務への背中へ抗議を浴びせました。この時、総務の御用社員が支援の仲間に急接近して撮影するなどの嫌がらせも行ってきました。  
 9時過ぎにはビラ配布も終えましたが、この日は看板が正面玄関に据えられて、入社式と永年勤続表彰式が行われ、新入社員の皆さんにもビラを配布することができました。 10時までの座り込みとマイク情宣も行って、社前行動を打ち抜きました。


   抗議の中、地下駐車場へ走り込んでいく宮原社長の車


            社屋へ向かってシュプレヒコール