争議弾圧、利用者の声圧殺
言論弾圧に身を染めて学研はどこへ向かうのか?

 「学研ライフ」7月1日号で宮原社長は、「自社の商品やサービスに愛情とプライドを持つことで確かな“横の連携”を」と言っています。 
 しかし、いまココファンあすみが丘の居住者が上げた学研の「サービス提供」に対する切実な声を学研HDと学研ココファンが圧殺しようとしていることを、どう考えているのでしょうか?声に耳を傾けず、その声が本紙で取り上げられたことに対して損害賠償請求の裁判を起こすことが、自社商品やサービスに対する愛情とプライドの現れだと言うのでしょうか?
倒産攻撃で生活を破壊した相手の労働者から金を奪おうとする悪らつさ!
 先月号でお知らせしたように6月9日付で、学研HDと学研ココファンは私たちのビラとウエブサイトの記事が「名誉毀損」だとして1100万円の損害賠償請求訴訟を起こしてきました。3月に二重橋法律事務所が悪質な「警告書」を当労組と支援共闘会議宛に送りつけて、刑事弾圧・民事弾圧を行う旨の宣言を行い、これを受けたものです。
私たちは反論を行い、争議の正当性を伝えてきましたが、「訴状」では、この内容に真っ正面から答えることなく、「ふじせ労組・支援共は学研に義務無き団交応諾を強請する嫌がらせ行為を行っている」と労働組合活動を歪曲し、誹謗・中傷を行っています。
 私たちは、学研の下請組合潰しを狙った委託業務(「科学」「学習」「マイコーチ」等)総引き上げ=会社倒産・35名の労働者全員解雇の争議責任を追及しています。倒産させられた東京ふじせ企画の破産管財人も学研の責任を追及して損害賠償訴訟を提訴しましたが、この損賠判決の中で東京地裁民事31部は、学研が組合を解散させるために業務引き上げ=倒産攻撃を仕掛けた事実を明確に認定、学研が東京ふじせ労働者の実態上の使用者であることも認めました。荒井裁判長は、「経営間の争いとしてはしぶしぶであれ合意解約だから損害賠償責任は問えないが、もし組合が起こしていたら勝っていた」と口頭で付言しました。学研の責任は明白ですが、この後、今日では悪名高い「派遣法」が制定される流れの中で、都労委不当命令が出され、後に最高裁で確定したものです。
 学研経営はこれで居直り、雇用を奪われ生活を破壊された私たちからさらに金を奪う民事弾圧を仕掛けてまで闘争を潰そうとしてきていることは悪質極まりないものです。
 また、ココファン居住者の声、そして言論を圧殺しようとしている攻撃は出版社として、自らの首をしめるに等しい暴挙です。持ち株会社発足、宮原新社長体制発足、パワハラ・退職強要事件など過酷な職場状況で問題噴出、前代未聞の誤植満載の電子書籍発刊など、問題体質を改めぬ経営陣の下で学研はどこへ向かうのか、厳しい視線が注がれている状態への自覚もないまま暴走するなら、先には破綻の2文字しかありません。
職場で困ったこと、職場の情報、ご意見などをお寄せください
 最近、学研職場から情報が寄せられています。困ったこと、問題だと感じていること、ご意見などをお寄せください。匿名でも構いません。本紙タイトルのところにある住所への手紙・電話・ファクスや h25cap@mbh.nifty.comへのメールを。また、地域で共に活動している東京南部労組では、いつでも無料で労働相談を受け付けています。southwind@mbr.nifty.comへ

6・25学研社前行動
 6月25日学研本社前で争議解決を求め、早朝からのビラ配布、出社役員への抗議、はりつき行動を行いました。
 学研が3・22「警告書」に続いて弾圧に着手し、損害賠償訴訟を起こすという悪質な姿勢を糾弾する内容の朝ビラを地域・学研の多くの労働者に手渡しました。ビラ配布の途中、8時過ぎに木村常務が歩いて、8時半近くに宮原社長は車で出社してきました。抗議のシュプレヒコールを上げました。
 9時過ぎには座り込み行動に移って、当該からはマイクでの訴えを行い、争議の実態、学研の組合潰しを狙った業務総引き上げ、二重橋法律事務所の代理人名の「警告書」の内容の誤り、不当性などにつき改めて述べました。
 10時までの行動を最後まで打ち抜きました。


                                          弾圧準備に動員された総務の社員たち
                                                   右端は矢部ココファン取締役


6・27三井住友銀行株主総会で情宣
 6月27日には三井住友フィナンシャルグループの株主総会が開かれた大手町の本店前で争議の現状と三井住友銀行から学研への争議解決働きかけを求める情宣行動を行いました。
 三井住友銀行は、学研パブリッシング社長に同行から出向していた増山敬祐氏が就任し(2010)年〜)、学研が筆頭株主だったエフィッシモから投資撤退に伴って請求された株式買い取りの資金を特殊当座借り越し契約を結んで融資する、などメインバンク的結びつきを強めています。学研の本社ビルと建物も三井住友ファイナンスアンドリースが2008年に買収しています。
 かつては窓口の荏原支店への申し入れを重ねていましたが、昨年、本店への申し入れを行い、争議を抱えて居直る学研の実態につき話を聞いてもらい、解決への働きかけを促しました。
6・27情宣行動では、同行の多くの株主にビラを配布しアピールすることができました。

7・5東京国際ブックフェアで情宣行動
 7月3日から開催された東京国際ブックフェア、今年は5日の一般公開の初日にビッグサイト前で情宣行動を行いました。出版不況が長引き、電子書籍もいまひとつ人気が高まらない中、「この不況を乗り切るには、出版界の内側からのイノベーション(革命)を起こさないといけない」と、基調講演で角川グループの会長が改革の必要性を訴えていたようですが、出展している学研にまず求められているのは争議や様々に噴出している職場の問題を責任を持って解決する経営体質への改革です。
私たちは今年も、教育社労組、中部労組論創社などの仲間と共に出版業界で続いている争議の実態を訴えるべく、各争議団のビラをセットして配布しました。ゆりかもめ・国際展示場正門駅近くのブリッジに横断幕を掲げ、この場所と、りんかい線・国際展示場駅方面の2カ所に分かれて、会場に行き来する人たちに配布、また各争議団が交替でマイクでの訴えも行いました。学研・ふじせ争議について質問を寄せて来る参加者の方もあるなど、注目を浴び、用意したビラが完配となりました。

ブックフェア会場前でビラを受け取り、争議の                   7・17学研社前行動
実態につき、質問を寄せてくる参加者


7・17学研社前はりつき・抗議行動
 7月17日には昼過ぎから学研本社前で争議解決を求めて、はりつき・抗議行動を行いました。
昼休みで出入りする学研労働者や来客の方々にビラを配布、マイクでも訴えを行いました。この日も弾圧のために動員された総務の社員が、ビデオやカメラを撮影、総務のHらが画板で記録を取るなどしていました。マイクでは、下請け組合潰しの倒産・解雇を仕掛けた学研経営が自らの争議責任を居直り、争議を抱えた経営体質から不祥事や職場での労働者への犠牲強要による問題(パワハラ、解雇事件など)を噴出させている実態、
また当時、学研の黒川学習科学編集局次長や角宮科学編集部長が「ショック療法で組合
を解散させる」「下請に組合は作らせない」「学研は社長決裁で人事部総掛かりで動いているから安心して組合潰しに専念するように」等の指揮・命令をふじせ企画社長に伝えていたこと等々の経過にも改めて触れて、いま弾圧で学研・ふじせ闘争を潰そうとしている姿勢を糾弾しました。
 抗議行動の途中、午後1時を少し回った時に、宮原社長の車が五反田駅方向から来て、地下駐車場に入っていきました。宮原社長への抗議のシュプレヒコールを上げました。ひき続き、社前での座り込みを行い、午後2時までの行動を打ち抜きました。

<共闘報告>
南部労組、労働相談と新加入が続く
 今春夏季に労働相談が立て続けにあり、京浜島にあるメッキ加工会社=新日東電化(経営悪化の下での雇用安定と労働安全衛生の確保等を求め、防塵マスクを支給させる等の成果あげつつ活動)、竹芝にあるホテルでのブライダル企画を行うHNC(病気休職後の賃金大幅カットの撤回とリハビリ復帰等を要求)、お台場の「すし京辰」(パワハラで発病し、有休を申請中に解雇され、団交で解雇撤回、労基法違反の不利益是正などを要求)等、新たな闘いが始まっています。これらに見られるように、職場では非正規・不安定雇用の労働者を労基法も守らぬ劣悪労働条件で使い捨てにする、パワハラ・退職強要などの酷い実態が顕著になっています。高輪にある港湾物流会社=二葉での年収30〜40%カットの年俸制適用強行に対する裁判闘争も開始されました。トラストパーク、富士コンサルタンツ等の職場でもひき続き南部労組の仲間が頑張っています。
6・29−30南部交流会討論合宿を開催  南部労組の新たな仲間も迎えて、地域の労組・争議団の集まり=南部交流会の合宿を行い、学研・ふじせ闘争、ス労自主闘争、南部労組の各闘い、野宿者を支援している渋谷のじれんの報告などを共有し、秋の反弾圧集会への取り組みなどを確認。海の幸も堪能し、楽しく活発な合宿。
6・28 「解雇自由」と企業のための「雇用流動化」を許さない
        労働法制改悪阻止・学習討論集会を開催!

 第2次安倍内閣の下、解雇規制の緩和の動きなど、労働法制が全面改悪されようとしている中、6月28日労働法連絡会主催の学習・討論集会を大崎第一区民集会所で開催しました。講師の山本志都弁護士から講演を受け、連絡会からも58頁に及ぶ資料が出され、これらも活用しながら、「戦後労働法制の解体と現在起きていること」から、「最前線での攻防」となっていることに至るまで、明瞭にかつ鋭く提起をしていただきました。戦後労働法制の特質と新自由主義による解体、「聖域なき規制緩和」以後の状況において労働市場の分断と非正規雇用の「身分」の固定化が進み、08年OECD発表の貧困率では、日本の場合働いている層の貧困が際立ち、労働力の買いたたきが顕著であることなども指摘されました。
 そして現在、巷をにぎわす「アベノミクス」について、週刊「東洋経済」の記事なども参照しつつ、金融緩和、財政出動に続く3本目の矢として打ち出されている「成長戦略」(規制緩和)をめぐって安倍のブレーンが、経済同友会(長谷川閑史代表幹事=武田薬品会長)や経団連を脱退して旗揚げした新経済連連盟の三木谷(楽天)らにシフトし、「雇用制度改革」を提唱している実態、竹中平蔵を含め彼らの蝟集する産業競争力会議が、「民法627条の解雇自由の原則を労働契約法に明記すべき」、「再就職支援金とセットでの解雇(事前型解雇」等の先鋭なアドバルーンを打ち上げ、「規制改革会議」(鶴光太郎、浜口、大内などの識者)が当面の現実的な落としどころを提起するなどし、現在「ジョブ型正社員」「限定正社員」制度が前面に打ち出されていることなどが指摘されました。そして、既に多くの企業で先取り的に導入されている「限定正社員」(職務が無くなった場合は解雇)に解雇規制緩和(整理解雇四要件等解体)をリンクさせようとしていることも示されました。労働現場での攻防として、「ブラック企業」の問題等がクローズアップされていますが、労働法の意義が実質的に否定されている状況に対峙していく課題なども触れていただきました。
 この後、会場での質疑・討論も活発に行われ、最後に、ふじせ労組、中部労組旭ダイヤ、明大生協労組から報告・決意も述べられ集会の成功を確認して終わりました。