岐路に立つ学研 
弾圧企業の道を暴走するか?
誠意ある話合いで争議を解決するのか?


             弾圧の準備に駆り出される総務の社員たち

 先月号でお知らせしたように、学研経営は代理人弁護士の名前で「警告書」なるものを送りつけて、東京ふじせ企画労組、ふじせ闘争支援共闘会議に対して、学研の争議責任・経営責任を追及する一切の行動をやめるように要求し、従わなければ刑事弾圧、民事弾圧を仕掛ける、との脅しをかけてきました。
送り付けた「警告書」に名前を出さず、文書の受け取りから逃げる学研経営
  私たちは、直ちに代理人事務所、学研経営双方に2種類の反論の文書を送付しました。しかし、「警告書」に学研の名も出せず弁護士の背後に隠れるなさけない学研経営の方は私たちの「抗議並びに申入書」の受け取りを拒み、郵便物は開封もされずに返送されてきました。その内容を掲載し、学研関連の皆さんにお伝えします。
              「抗議並びに申入書」
 貴社代理人と称する弁護士四名(二重橋法律事務所所属)から本年3月22日付で「警告書」なるものが送付されてきました。
 あわせて、さる3月29日の学研本社前行動に対して、マスクで顔を覆った貴社総務の社員らが、私たちの正当な行動や参加者の様子をビデオ・カメラに収めるなどの挑発・敵対行為をくりかえしました。通行人や地域の労働者が、この会社は何をしているのか訝しんでいましたし、学研に出勤してきた社員は、貴殿ら、経営陣に対して不信感を募らせたことでしょう。
 「警告書」に記載されていることは、当労組の正当な活動を否定するばかりか、それを不当に禁圧しようとするものであり、断じて容認できません。同書面は「最高裁を筆頭とするあらゆる公的機関の判断によって労働争議と呼べるものが何ら存在しないことは揺るぎない事実である」と全く誤った認識を披瀝しています。それは二重の意味で誤りです。裁判所の判断については労使双方が、そこに争議解決を委ねることを合意しない限り、それによって争議の存在がなくなる(解決する)ことはありません。従って、正しい表現に修正して、この争議における貴社の正当性があらゆる公的機関の判断によって示されたのか否か、とするなら、裁判所の判断は、労働委員会命令の取り消しを求める行政訴訟での判断と、東京ふじせ企画倒産・破産に伴う損害賠償訴訟での判断と全く相異なる内容となっており、あらゆる公的機関が貴社の正当性を認めたなどというのは全く事実に反するものです。貴社は公式サイトでも、このような主張を掲載し、自ら引き起こした倒産・解雇攻撃による争議につき責任の隠蔽を図っています。損害賠償訴訟で、裁判所は、貴社が組合を潰す目的で業務を総引き上げしたこと、東京ふじせ企画の労働者に対して貴社が実質上の使用者であることを明確に判断しています。他方、貴社が責任逃れの拠り所としている行政訴訟判決は、極めて欠陥を有する不完全な内容になっています。そこでは、最高裁判例である朝日放送事件(95年判決。番組制作の下請会社の労働者に対する朝日放送の使用者責任が認定された)との同一性の有無が争点であることを裁判所が確認し、争点整理やそれにそった双方の主張提出が行われました。私たちは、ふじせ企画の労働者を実質的に管理・指揮して日常業務を行わせていたのは学研の管理職であったこと、朝日放送事件以上に学研の使用者性は強いものであることを証拠をもって明らかにしてきました。ところが、裁判所はいざ判決の日を迎えると、自ら声高に約束していた朝日放送事件との同一性についての判断は一切避け、「学研には使用者性がない」という根拠無き結論のみの判決を出したのです。しかも、学研が組合潰しを狙って業務総引き上げを行って下請会社を倒産させた事実については否定できず、使用者でない者の不当労働行為=組合潰しは認定の対象外、という労働委員会命令を丸飲みするだけでした。高裁判決では、取ってつけたように業務委託契約解除がふじせ企画の側からされたかのような文言が付け加えられましたが、全くその認定の根拠も示されず、多くの労組・労働者からこの判決を出した奥山興悦裁判長を指弾する声が上がった程です。
使用者責任の有無はおいても、東京ふじせ企画倒産=労働者全員解雇につき、学研の責任があることは明白です。倒産責任に基づく下請け会社等の労働者の争議行為は、親会社や元請け会社、派遣先会社の使用者性の有無に関係なく広く行われてきているものであり、貴社株主総会でも、ジャパマーハイツ争議を解決した東映や明和産商争議を解決した朝日新聞などの事例が株主から出されて、貴社に解決の勧告が出されていることを、改めて受け止めるべきです。
貴社が私たちを含めた争議解決の求めを拒否し、全ての行動の差し止めを民事・刑事のあらゆる法的手段の駆使の表明を背景に要求することは何ら正当性がないばかりか、極めて悪質な労組弾圧により争議を拡大し泥沼化する姿勢を示すものでしかありません。このことは貴殿の前任の遠藤洋一郎社長にもお伝えしたことですが、重ねて以下に述べておきます。
80年代後半〜90年代前半、学研の暴力労務政策に続く民事弾圧策に憂き身をやつした結果が、経営の赤字転落、職場の荒廃(怪文書続出など)だったことを現経営陣も知っているはずです。貴社のこのような行為は、当労組の行動を圧殺することに失敗したばかりか、争議を長期・泥沼化させるものでしかありませんでした。この弾圧をめぐる攻防の直後の1993年から貴社の赤字転落、経営悪化は顕著になりました。日経連経営法曹の弁護士を使ったこの争議禁圧策の失敗については、95年に貴社大橋監査役が非公式折衝の場で、もう二度としたくない手段との反省の弁ももらしていました。いま、再び、このような手段を弄して、自らの窮地を深め、争議を泥沼化させて責任を一層重くする道を貴社は採るのでしょうか。3年前の2010年2月、学研ホールディングス発足直後にも、今回と同様な主旨の「通知書」が代理人名で送られてきましたが、今回も警告書には貴社及び貴殿が名前を出さず、弁護士丸投げで「名誉毀損・業務妨害だ」などと言わせ、民事・刑事弾圧をほのめかしています。3年前の「通知書」に私たちは丁重に、逐一反論をしたためた文書を弁護士に送り、2回程のやりとりの末、結局、弾圧手段の行使はとりやめになりました。このような弾圧策で争議は潰せず、逆に争議を泥沼化させるものであることは貴社も経験上知っているはずです。これも、くり返しになりますが、以下の点を強調しておきます。
 貴社は株主総会で、ふじせ労組の行動を「無関係の会社の労組が言いがかりを付けて学研の業務妨害をしている」かのように歪曲し、株主総会では既に6年続けて、「刑事・民事上の責任を追及する用意がある」との答弁を行っています。私たちは、このことを追及し、「一方で学研に争議はない」と言い、他方で争議への弾圧を表明する矛盾を指摘し、無視するのか、それとも弾圧で悪しき対向関係=争議泥沼化を招くのか問い質しました。株主総会で争議責任を鋭く追及され、逆に刑事・民事弾圧の姿勢を露骨に示して開き直った末、軽率に表明した言葉(誤った方針)に縛られるのは全く愚かしいことであり、このような弾圧策は学研の企業イメージをさらに著しく悪化させ、争議を拡大させるものでしかありません。株主総会で他の株主からも含めて鋭く問われたのは、「争議はない」と言って現実から目をそむけて無視する態度でも、争議への弾圧策でもなく、第三の道=話し合いの場を設けて争議を解決すべきではないのか、ということでした。
貴社が自らの争議責任を隠蔽するための口実としてきた最高裁決定(2003年)後から今日までの10年間、貴社が私たちの争議行為を積極的に容認したとは言いませんが、受忍してきたのも事実です。学研の使用者性が不当にも認定されなかったからといって、倒産争議を引き起こした争議責任を追及する行動を展開する団体行動権、争議権を奪うことはできないことは当然だからです。貴社は、「東京ふじせ企画労組は、<下請け会社の倒産責任は学研にある>と全く独自の理屈を持ち出し、学研に対して嫌がらせを行って、自らの不当な要求を通そうとしている」との主旨の虚偽の弁解を、最近、提携先企業等に対して行っていると聞きました。損賠判決も存在し、独自の理屈どころか真実であることを、このように隠蔽・歪曲する行為は許し難く、出版社としても自殺行為に等しいものです。
 教育出版社の看板を掲げながら弾圧や暴力的な組合潰しの歴史を反省しないばかりか、再びくり返すのであれば、そのようなことを許さず、私たち東京ふじせ企画労組とふじせ闘争支援共闘会議は全都・全国の諸団体、学研関連の人々らと共に、これを問題にし、全力で反撃する所存ですので、忠告を行っておきます。そして、話合いの場に出てきて争議を解決するように改めて申し入れるものです。
                                            2013年4月2日
3・29学研社前行動を打ち抜く!
 3月29日、学研本社前で争議解決を求め、出社役員への抗議・申し入れ行動を行いました。朝、私たちが社前に行くと、しばらくして動員された総務の社員らが玄関前にゾロゾロと出てきて、ビデオやカメラを撮影、メモをするなど異様な行動を見せました。弾圧のための「採証」活動ですが、私たちだけでなく、社員・来客・通行人からも反感をかう所行でした。8時前に古岡秀樹取締役が出社、社員通用口から社内へ入っていく背中へ抗議の声を上げました。8時少し過ぎには宮原社長の乗ったレクサスが社前に到着、やはり周囲から抗議の声を浴びて、地下駐車場へ走り込んでいきました。さらに木村常務、そして小早川ココファン社長が出社、「話合いに応じて争議を解決しなさい」との抗議・申し入れ、あすみが丘の問題を解決せよ、との抗議の声を浴びせました。
これらと並行して、出勤して来る学研関連の人々や地域の労働者へ、朝ビラを配布、
沢山のビラを受け取ってもらえました。

       3・29社前 宮原社長の車に抗議
  
 9時過ぎからは弾圧策動を開始した学研経営と現場で挑発・敵対行動を続ける学研御用社員に向けて抗議のシュプレヒコールを上げ、社前での座り込み行動に移りました。マイクで社内、地域へのアピールも行い、社前行動を最後まで打ち抜きました。
                             
              4・11学研社前行動

4・11学研社前行動
 4月11日、小雨が降り始めた午後、学研社前ではりつき抗議行動を行いました。この日も、始めて間もなく総務の御用社員たちが出て来て、ビデオやカメラを撮影、行動参加者の様子を記録するなど、弾圧態勢に腐心する学研経営の対応でした。
 マイクで抗議の声を上げ、学研と地域の人々へ向けて訴えました。出入りする来客も何事かと会社の対応に驚いていましたが、こうした人々を含め、多くの方にビラを配布して学研が抱えている争議の実情を訴えることができました。
 雨が上がったところで社前に座り込み、抗議の行動を最後まで打ち抜きました。学研経営の弾圧姿勢に抗議し、前回を上回る22名の仲間が結集し、共に声を上げてくれました。

学研ココファンの惨状、改まらず
あすみが丘、居住者無視の売却。三菱UFJ信託銀行へ
 劣悪な処遇を改めず、居住者から抗議の声が上がっている学研ココファンあすみが丘
では、昨年から年金ファンドへの売却が発表され、それも延び延びになって、株主総会で追及された小早川社長が、近々に年金ファンドとの話がまとまるかのような答弁をしていました。しかし、問題を抱えていることが知られたせいか、この売却は急遽、三菱UFJ信託銀行との契約に切り替えられたようです。4月5日に「不動産賃貸借契約兼管理業務委託契約」を締結したとして、三菱から賃借した学研ココファンが居住者に転貸して引き続き管理する旨の一片の「所有者変更のお知らせ」を居住者一人ひとりに渡して、事後承諾の印を押させるということが行われています。居住者の怒りはさらに高まっています。この文書は発行主体も書かれていないもので、所長への不信感は、今回もこれを放置している学研への不信感へと拡がっています。先に、ココファン日吉を不動産投資信託(REIT)に売却した学研ですが、同様の問題が起きていないか危惧されます。
職員からも告発の声が
 「ココファンの問題はあすみヶ丘だけではありません」として、ココファンで働く職員からも怒りの声が届いています。非正規・不安定雇用の労働者が殆どで、安上がりに使い捨てされる状況が蔓延しているのではないかと思われます。各事業所の所長が、相応しい人物とは言えず、問題が発生した時弁済できる資産を持っているとか会社の言いなりになれば、常識もない介護のことも全く知らない、そういう人が退職強要や嫌がらせを行っているというような実態も指摘をされています。このままでは、やはり学研は問題企業だ、福祉を食い物にしているという声があすみが丘以外でも拡がっていくのではないか、と思われます。