学研の経営建て直しはできたのか?
裁量労働・選択定年制導入、退職強要、不当解雇、争議責任の居直りなど
悪質労務政策の危うい基盤の上であがく経営陣
 
 5月14日に学研の中間決算が発表されました。売上高428億円(前期比1.6%増)、営業利益24億円(前期比36.8%増)と売上高はさほど変わらないにもかかわらず利益が伸長しているのは、前期、健康本ブームに乗ってミリオンセラーを達成したカーヴィダンス等の恩恵の持続もありますが、人件費の圧縮などの「コスト削減」、在庫前倒し処理などの影響によるもののようです。中森常務は学研OB会の機関誌「学研春秋」で「恒常的な黒字体質に向けて進行しています」、三井住友から出向し、後に学パブリッシングの社長になった増山敬祐代取は、「日本の編集長」で「赤字体質を脱却し増収増益を達成」などと、それぞれ得意げに語っています。しかし、この間まで「崖っぷち」と言っていた経営の危機を会社はほんとうに乗り切って建て直しができたのしょうか。
 今の黒字決算を誇っても、増山学研パブリッシング社長の下で裁量労働制が導入され、今期、また選択定年制(55歳定年制)導入、事業会社では退職強要(学研メディカル秀潤社)、解雇事件(学研マーケティング、新潟)など悪質な労務政策による労働者への犠牲の強要の上にあることは「決算短信」等を見てもうかがえます。ココファンの相次ぐ新規施設開業費用によるこの事業部門の赤字発生、進学塾=桐杏学園の赤字、保健体育教科書不採択による売上げ減、などの実状も見逃せず、無責任な経営陣が危うい基盤の上であがいている姿が感じ取れます。こうした経営姿勢は社内に軋轢と矛盾を蓄積させるものであることは言うまでもありません。ふじせ争議への頑迷な居直りもこうした姿勢とつながっているものです。目に見える破綻を回避するための労働者への犠牲強要策強行の悪循環を直ちにやめること、それ抜きに真に経営の建て直しをすることなどできません。
ココファン躍進、死角はないか? 三郷で情宣 
 5月某日、ココファン三郷中央の周辺で、ビラの大量配布・情宣行動を行いました。つくばエクスプレスの「三郷中央」駅から10分程、まだ開発途中の住宅用地が多い所で、外環道のすぐ脇、あまり環境がよいとは思えない場所に、介護付き終身住宅がありました。最近、躍進を遂げていると言われてきたココファンですが、小早川社長の着想の中に、リストラで閉鎖になった社員寮などを安く買い取って、老人施設とする方策があり、ここもその一つだったのかという印象を受けました。
リストラで中高年に犠牲を強い続けた学研が老人福祉事業?
 学研は、1993年に経常赤字に転落し、98年、99年に127億円、139億と2年連続三桁の赤字となる中、98年に、250名もの希望退職を募集、01年にも130名の希望退職、翌年に7期連続赤字に加え三桁の140億円の赤字で第4次早期退職を募集、遠藤社長時代には、期末にムック本で帳尻合わせの売上げを達成しても中間決算で返本の山による赤字が続くという中、07年ついに期末でも74億円の巨額損失を出し、100名の希望退職募集を発表、結局08年には年間3度もの希望退職による退職者を出す、という学研労働者への犠牲強要策で危機乗り切りを図ってきました。この期間に退職を余儀なくされた中高年を筆頭にした多くの労働者が、いま学研経営が介護付き終身住宅でターゲットにしている世代の人々です。学研ホールディングス経営は、「ココファンシリーズの差別化戦略」として、高齢者世帯の所得水準を「富裕層」から「生活保護以下の層」の7段階にランクづけし、「ロウミドル層」「ミドル層」「アッパーミドル層」を中心にココファンシリーズのターゲットゾーンと位置づけていることを株主・投資家などにアピールしています。
 リストラで犠牲を強いられた学研OBが、いま学研経営がこのような老人福祉事業に進出していると聞いたら、腰を抜かすほど驚き、そして怒りを露わにするのではないしょうか?経営陣に反省の姿勢がないのが学研の問題体質とは言え、あらためて、あきれ果てる、としか言いようがないのかも知れません。こんな状態では、施設に入る老人も、各所で厳しく劣悪な労働条件が問題になっている介護・福祉労働者にも、ココファンが安心できる居住・労働の場になるのか、到底、信用できるものではありません。
4・26学研社前闘争
 宮原社長、木村・中森常務に抗議・追及
  
 4月26日、小雨が降る中、早朝からの学研本社前行動を行いました。7時52分頃に中森常務が出社、「団交に応じて解決しなさい」と抗議すると、目を伏せ、苦虫を噛みつぶしたような表情を浮かべて正面玄関から社内に逃げ込んで行きました。背中へ抗議のシュプレヒコールを浴びせました。続いて、8時24分頃、今度は木村常務が出社してきました。団交申入書を差し出し、「争議を解決しなさい」と迫ると表情をこわばらせ、通用口から社内へ入っていきました。同じく背中へ抗議の声を浴びせました。

         中森常務に抗議                               木村常務に抗議

 いつもは8時少し過ぎに出社してくる宮原社長ですが、この日は、9時頃になって、社長車=レクサスに乗って会社の裏手の高速道路側から回り込んで出社してきました。車の前面、側面そして地下駐車場へ走り込んでいく背後から抗議の声を浴びせました。

     地下駐車場に走り込む社長車に抗議                   5・26学研社前闘争
 
 9時過ぎまで朝ビラ(アマゾンが朝日新聞にリークした学研等との契約成立はガセネタであること等を掲載)を配布し、社前での抗議・座り込み行動に移りました。マイクで社内・地域の人々への訴えも行い、10時までの行動を打ち抜きました。

5・19宮原社長宅行動
 学研もマンション受付へ「取次するな」と指示!
 5月19日、品川区の御殿山にある宮原博昭学研社長宅への団交申し入れ行動を行いました。これまで、7月の朝、出社する社長への抗議、9月、11月と土曜日の午後の申し入れ行動を行ってきましたが、この日は土曜日の午前10時過ぎからの行動。ふじせ労組、ふじせ闘争支援共闘会議の代表2名でマンション受付へ。これまで同様に「申入書を渡しにきたので宮原さんへ取り次いでください」と伝えると、「皆さんが来ても取り次ぎはしないように言われています」との対応。さらに「会社からもそう言われました」と学研が、「組合が来ても取り次ぐな」という指示を出していることを明かしました。
 9月の最初の申し入れの時には、宅内にいた様子の宮原サンに受付から電話を入れて取り次いだ際に、「家政婦さんがご本人は出かけていると言っています」と言って、居留守対応と思われる様子がありありだったこともあり、11月からは受付に取り次ぎを拒否させることにしたようです。それでも、9月、11月には申入書を預かていましたので、「宮原さんには届けてもらったのでしょう、どうなっていますか」と言うと受け取ってもらえなかった、との答え。「届いていない場合は、こちらにそのを知らせてほしいとお伝えしたはず、書類は宙に浮いた状態で、どうなってるのですか」と問い質すと、受付の引き出しから前二回の申入書を出してきて、こちらに返してきました。そして今回は、預かりも拒否してきました。
 マンション住民も注目
 宮原サンばかりか、わざわざ学研ホールディングス本社が、宮原氏の住む御殿山トラストコートに「取り次ぎ拒否」の指示を出す、という構え方をして争議現場として対応していることが分かりました。私たちは、このような不当な対応を会社ぐるみで行っている姿勢を改めるように求めるものです。「宮原さんの対応が変わることも期待してるので、また申し入れに訪れます。不当な対応には抗議行動をせざるを得ない」と伝えてマンションフロントを辞しました。
表通りでビラ配布を始めていた仲間たちに様子を報告し、その後、日本庭園のあるマンション南側に移動し、はりつき抗議行動を開始しました。「宮原社長は逃げ回らずに話し合いで争議を解決しろ」と書かれた横断幕を掲載しました。御殿山ガーデンは、ホテルラフォーレ東京、日本庭園、マンション、オフィスビル(トラストタワー)の四つの施設が隣接しおり、この日もホテルが日本庭園も使って結婚披露宴を催していました。ホテル側からスタッフがやってきて、「11時まで催しが続くので、音出しを控えて欲しい」と伝えてきたので、この間、マイク情宣は表通りで行い、11時過ぎから日本庭園(と言っても私たちのいる公開空地の下で、滝もあり、さほど下には響かない)側でマイク情宣を開始。何人かマンション住民が窓を開けて注目。地域の人々にマイクで学研が抱えている争議の実状と支援・協力をアピールしました。
 12時少し前にシュプレヒコールを上げこの日の行動を終えました。


<共闘報告>
 地域の仲間である東京南部労働者組合で新たな闘いが始まっています。先月号で紹介した日広通信社のように労基法、労組法無視の経営者の横行も目立っています。問題だらけの派遣法の温存を図る「派遣法改正案」の成立、有期雇用、非正規雇用を当たり前として労働者使い捨てを追認しようとする「労働契約法一部改正案」の閣議決定(翼賛国会で成立が狙われている)など、労働法制の改悪攻撃も強まっていますが、現場からこれらをはね返して共に闘っていきましょう。

らんがく舎の不当解雇を許さないぞ
 大田区にある所謂「知的障害者」が集う塾=らんがく舎で2011年の3月から「職員見習いのアルバイト」として働いていたMさんは、不当な即時解雇を告げられました。南部労組に相談、加入し、12月21日を第1回の団体交渉として話し合いを継続してきました。その中での経営側の主張は「らんがく舎は単なる労使関係ではないが、法的に貸労働。だから解雇撤回はするが、未払い貸金支払での自主退職を要請する」と言った内容で、解雇権の濫用と自ら認めながら、責任ある雇用保障をしようとしていません。 現在、経営宛の抗議・解雇撤回=職場復帰を要求する団体署名が、約180団体から寄せられています。

F社の賃金大幅削減の年俸制適用を許さないぞ!
 港区にある食品輸入会社F社で、賃金が30%も削減される年俸制など、不当で不利益扱いの人事、賃金制度が強行されている件などで、南部労組に加入した仲間が組合を公然化、団体交渉が開始されました。団交では、これらの制度が実施されている根拠になる就業規則その他の規定につき問い質しましたが、会社はその場で明確な規定を示せず、後日、資料を提出することを約束させ交渉継続となりました。
職場で困ったこと、職場の情報、ご意見などをお寄せください
 最近、学研職場から情報が寄せられています。困ったこと、問題だと感じていること、ご意見などをお寄せください。匿名でも構いません。
  上記住所への手紙・電話・ファクスや h25cap○mbh.nifty.comへのメールを。 (○には@を入れてください)
 また、地域で共に活動している東京南部労組では、いつでも無料で労働相談を
受け付けています。上記からも連絡取れます。または southwind○mbr.nifty.comへ