倒産・解雇34周年
2・3学研社前闘争
     総決起集会を打ち抜く!


争議長期化の原因は学研経営の居直り、問題体質
 学研の下請労組潰しを狙った業務総引き上げ=倒産・解雇攻撃から丸34年が経過しました。超長期争議となっていますが、その原因は学研経営が自ら引き起こした争議の責任を居直り、歴代の経営者たちが逃げ回って話し合いの場が一度たりとも持たれていないためです。非公式には、1995年に学研の大橋監査役(当時)との間に話し合いが持たれましたが、当時の経営陣たちの和解潰しの動きの中で折衝は打ち切られ、大橋氏は監査役を解任されました。私たちは、かつて全学研労組への弾圧の現場の先頭に立っていた大橋氏がそれを悔いて(同労組との争議は92年に19年ぶりに解決)、ふじせ労組に対しても「学研が東京ふじせ労組に対してしたことの責任を感じ、争議解決を図りたい。」と働きかけてきたことを受け、解決へ向けて非公式折衝に応じたものです。しかし、この道が学研経営の問題体質によって断たれたことにつき、氏の名誉のためにも経緯を公表し、その後の株主総会でもこの点を指弾しましたが、学研の争議責任を経営内部からも認める事態が発生したことにつき、会社は口をぬぐって回答をしませんでした。そして、以降、労働委員会命令が行政訴訟で確定(2003年最高裁決定)する流れの中、学研はこの手続き的にも内容的にも問題だらけの行政訴訟判決(争点である下請労働者への使用者責任を朝日放送事件との同一性についての判断として審理することになっていたが、その認定を回避した形式的な結論だけでの切り捨てに終わった)を楯に、学研には責任がないかのような態度を取って頑なに争議解決を拒んでいます。
 いま、10年〜30年を超える長期争議が都内でいくつも闘われていますが、裁判所や労働委員会の不当命令や刑事弾圧、民事弾圧等を拠り所にして、経営者が居直り、会社を倒産させて逃亡したり、という中で長期化を招いているものです。関わっていない方々の中には気の遠くなるような話と受け止められるでしょうが、泣き寝入りを拒み、闘いと生活を自ら創り出しながらの日々の積み重ねは選択として悔いもなく、解放感があり、違うことをして生きている他の人々の日常と共通の喜怒哀楽を含んだものでもあります。しかし、争議長期化は許すことなく、解決へ向けて闘っていく所存です。
学研社前闘争 社内へ向けて団交要求行動を展開! 
 さて、倒産・解雇34周年闘争は、2月3日、まず夕方4時半からの五反田の学研本社前行動として開始されました。日本列島が大寒波に覆われ、厳寒の中、結集してくれた23団体47名の仲間の中から代表団(当該・支援共・南部交流会・出版関連労組交流会議)が受付へ。全体は、ちょうど会社説明会に参加の就職学生が社屋内から出てきたところへのビラ配布も行いながら、団交要求を注視。玄関前敷地の中ほどに入った所で、会社はガードマンを横一列になって立ちはだからせました。「受付へ通せ」、「社内へ取りつげ」と抗議し、押し問答で対峙。すぐ後ろで見守る仲間と全体で学研経営へ抗議のシュプレヒコール、そしてマイクで抗議情宣を行いました。
この後、社前ではりつき、退社する学研労働者へもビラ配布しながら、不当な団交拒否を続ける経営陣を糾弾し、はりつき行動を展開した。役員たちは姿を見せませんでした。5時30分を回ったところで全体でシュプレヒコールを上げて終了しました。


                         2・3学研社前抗議・団交要求行動 

社前行動ー屋内集会を貫いて、のべ127名の仲間が結集!
この後、大崎第一区民集会所へ移動し、ふじせ闘争勝利総決起集会を開催しました。6時30分を少し過ぎて、司会のふじせ支援共の仲間の挨拶で集会を開始。まず、連帯挨拶を争団連から受け、激化する争議解体攻撃の渦中にある状況報告や3月全国交流集会呼びかけなどが行われました。続いて、入試情宣を控えて昨年に続き、執行官保管=拡声器没収の攻撃と闘う明大生協労組、当該の解雇後も錯綜した企業買収やリストラの中、逃げ続ける経営を追撃している連帯ジャレコの仲間から、さらに同一資本下で闘っている全学研労組から学研の経営実態・職場状況に触れながらの熱気ある連帯の発言を受けました。ふじせ労組当該からの基調報告では主にこの1年間の総括・株主総会での追及で明らかになった実態を含めて学研の持ち株会社支配体制をはね返し、争議解決を迫る闘いの方針が提起されました。続いて、株主総会闘争を共に闘ってくれている株主の仲間からリアルな報告や感想が述べられました。渋谷のじれんから越年・越冬闘争報告、出版職場で組合潰しの排除攻撃と闘っている連帯不二出版の仲間からの報告の発言でも、それぞれ連帯の思いを寄せていただきました。
 決意表明は、集中行動として取り組む出版関連労組交流会議と南部地区労働者交流会(らんがく舎の解雇と闘う南部労組の若手新人の新鮮な発言が大きな拍手を浴びた)から、最後にふじせ支援共から現状と今後の闘いへの決意が述べられ、全体のシュプレヒコールで終了しました。この日の闘争には、39団体86名の仲間(社前と集会でのべ、127名)に結集していただきました。

    2・3総決起集会                             2・15イベント会場前で

2・15 ココファンイベント会場前で情宣
 2月15日、「絶対に成功するサービス付高齢者向け住宅(ココファンシリーズ)の極意」との惹句で、ココファンのイベントが開催されました。この講座で、「補助金の最大効率受給方法、コストに直結する建築設計手法、利用者の視点、競争に勝つ出店方法等の開示」等につき指南するようです。ココファンを運営する事業者を募集し、フランチャイズ化を図っていく、ということでしょうか?
 私たちは、会場となった銀座のJPIカンファレンススクエアの前で学研の争議の実情を伝え、参加者の皆さんや通行人の人々からも学研に争議解決を働きかけてほしい、旨を訴えました。有楽町の繁華街からははずれ、人通りもさほど多くない場所でしたが、通りかかった人々が注目、ビラを受け取ってもらえました。セミナー参加者は、29,860円(資料代)も取られることで、非常に少なかったですが、やはりビラを受け取ってくださる方もいました。講師は、ココファンホールディングス社長の小早川仁氏と企画開発部長中山省吾氏。小早川さんが来たら、執行役員でもあり是非、話をしたかったのですが、セミナー開始時刻を過ぎても(私たちがいる間は)、彼は姿を見せませんでした。情宣行動はしっかり最後までやり抜き、多くの人々にビラを配布し、マイクで訴える
ことができました。  
「がっちりマンデー」に宮原社長が出演!?
 2月26日の朝、学研特集のTV番組があると聞いて、視た。TBSの日曜日7時半からの「がっちりマンデー」だ。堅さを排した「経済情報番組」として視聴率も高いらしい。売却して自社のものではなくなったことなどにはむろん触れずに五反田の本社ビルが何度も映し出され、書籍年間ベストセラーランキングに3冊も名前が挙がっている儲かっている出版社との触れ込みで学研が紹介されていた。
 だが、書籍と言っても、大手他社が、「謎解きはディナーの後で」(小学館)、「スティーブ・ジョブス」(講談社)「もしドラ」(ダイヤモンド社)といったところなのに比べ、3冊ともカーヴィダンスと骨盤枕ダイエットのムック本で、東販や日販のベストセラーランキングには出ていない。いつもベストセラー本を出しているかのような言い方に聞こえたが、それは嘘。学研の書籍が(児童書等の分野内では別として)ベストセラーランキングに上がることなど皆無だったが、健康ブームに乗った椿事というしかない。他社の「売れ筋本」も含めてのことだが、危機と曲がり角にある、いまの出版業界の状況もここには反映されている。
 学研の宣伝番組としてはうまくいったと経営陣は大喜びしているようだ。バリッとしたスーツに身を包んで登場した宮原社長は、「大いに儲けてください」と言う
極楽とんぼの加藤に乗せられ、そつなく受け答えをしていた。リハーサルどおりとしても遠藤前社長だったら、こういうノリは出来なかっただろう。だが、私たちの生活の場に出回っている物がどのように作られているのかに着眼するのもこの番組の追求する面白さだとすると、現場で働く人の生の声を掘り下げて伝えなければならないが、社長が登場して経営者サイドからのフィルターがかかった演出では底の知れたものしかできない。企業側も宣伝効果が大きいということで全面的に協力し、局側も低予算で番組を仕上げる、という安易な姿勢に流れていく。CMの間にながーいCMというわけだ。
 「崖っぷち」と遠藤前社長自らが叫び、宮原社長が「(今変わらなければ)未来はない」と言っていることは、社内では誰も忘れていない。最近も学研の職場で事業会社社長(学研HD現取締役)らが先頭になって行ったパワハラ・退職強要により退職を余儀なくされ、鬱病を罹患した女性社員がいる。退職強要は陰に陽に行われてきていて、コスト削減へサービス残業を強いるような管理も行われている、と労働者の不満の声が伝わってきている。そんな学研の悲しい実像を高層ビルの映像などで消去して、浮かれている経営陣は、2ヶ月前の株主総会で、学研が抱え込んでいる問題体質につき多岐にわたって株主から質問されても、何もまともに答えられず、回答をはぐらかし、あわてて質疑を打ち切った自分たちの惨めな姿を思い起こした方がよいのではないか。
学研が山一に40億円、TBSが野村證券から6億円の損失補填を仲良く受けて批判を浴びたのが2000年ころ、「TBSは今日死んだに等しい」と筑紫哲也が語ってからは、もう15年以上経つ。TBSは番組審議会をつくって、「がっちりマンデー」についても5年前から、「ちょうちん番組になりかねない」、「経済、あるいは市場経済の動きというものを余りにもバラエティー化し過ぎていないか。もうかる経済、拝金主義、という極端な動きをしている社会状況にあるだけに、それを少しセーブするような番組姿勢があってもいい」との声を受けていたのだが。
3・11以降、新聞やTVメディアに幻惑されないぞ、という視線も芽生えているが、
それをよそにTBSや学研首脳陣は明るい破滅への道をひた走ろうとしているかのようだ。日本の社会全体の状況に向き合って踏みとどまろうともせずに。
 「明るさは滅びの姿であろうか」(「右大臣実朝」)というフレーズがよぎってくる。         (S)