学研経営は争議を解決しろ!
 下請組合潰しを狙って、委託編集業務を総引き上げし、会社倒産・全員解雇攻撃を仕掛けた学研経営は、未だに長期に及んでいる争議の解決へ向けた話し合いを拒んで、争議責任を居直っています。
 この秋の最初の行動として、私たちは最高責任者=宮原社長に対して、会社でも私たちを受付にも近づかせない暴力的排除を行い、やむなく送付した団交申入書にも一切回答せずに逃げ回っている姿勢を糾弾し、自宅への申し入れ行動の第2波を展開しました。  (後述)

                       9・17宮原社長宅行動

学研、第3四半期決算、営業利益10%減
     売上げ微増も、ココファン伸長に依存

 学研は8月12日に第3四半期決算を発表しました。それによると、2010年10月〜11年6月期の連結営業利益は、前年同期比10%減の16億円。前年同期は7億円弱あった主力の教室・塾事業の営業損益が6百万円の損失となったようです。東日本大震災の影響で東北地方の生徒数が約3割減ったほか、小学生向け教科書の改訂時期に当たり教材の製造原価が上がったことなどを原因としています。
 売上高は601億円程度(前年同期は597億円)と微増。昨秋までに開設した高齢者専用住宅11戸の平均稼働率が96.8%にのぼるなど、高齢者福祉・子育て支援事業が好調だったとしています。同事業の売り上げは50%増の約14億5千万円に、営業利益は1億8千万円。被災した教室の改築費など震災関連損失5億3千万円と投資有価証券評価損6億円など11億円以上の特損が出ましたが、純利益は3億4千5百万円になったと発表しています。
 通期の業績予想では、売上高は0.8%マイナスの775億円、営業利益は17.5%減の15億円、純利益は67.3%減の1億円。第3四半期は、高齢者福祉・子育て支援事業の伸長が、右肩下がりが続いた売上げの低下に歯止めをかけ、利益の大半を占めているようですが、通期の業績では「マイナス成長」を覆すには至らず、との予想になっています。
 私たちは、解雇争議を引き起こし、リストラ・退職強要をくり返して労働者の生活を破壊してきた学研経営が、その責任も居直ったままで、子育て支援や高齢者福祉を口にする資格はない、と考えています。争議からの逃げ切り、経営陣の延命のための新規事業進出は、今後いろいろな問題を引き起こすであろうと懸念されます。問題体質を改めない限り、先の展望は明るいものとはなりません。
宮原社長は逃亡をやめて
    話し合いの場に出て来なさい!

9・17社長宅=御殿山トラストコートへ第2波の行動
 学研ホールディングスの宮原社長は、就任後すぐの今年頭、5年間程在住していた品川区港南3丁目の40階建てのタワーマンションから転居しました。組合を避けるように姿を隠した格好の社長ですが、御殿山トラストコート(品川区北品川)に転居しでいることが分かり、7月27日朝、私たちは、宮原社長宅へ第一弾の行動を展開し、五反田の本社へ向かう社長に抗議の声を浴びせました(「パルス」8月8日号参照)。
 これに続き、9月17日の午後、宮原社長宅へ第2波目の行動を行いました。最初に支援共闘会議の代表で、在宅している可能性が高い宮原社長への申し入れを行いました。マンションの1階は、ホテルのフロントのような広いカウンターに受け付けがあり(実際にフロントサービスとうたっている)応対した係の人に、こちらの名前を名乗って、宮原博昭氏のところに来たので取り次いで欲しい、と伝えました。カウンター奥から部屋に電話したところ、本人が出た様子でしたが、こちらの名前を確認したとたんに、係の人物は「それでは外出中とお答えします。お手伝いさんから、ということで」と、取ってつけたように話、こちらにも伝えて来ました。団交申入書を入れた封筒を預かり、宮原さんに渡してくれるように伝え、マンションの外に出ました。


 この後、支援の仲間と共に御殿山ガーデン入口で、マンション住民、ホテル、オフィスビルの利用者などへビラを配布、マイク情宣を行い、途中で日本庭園に囲まれたマンションの窓側に面した公道へ回り、横断幕を掲げながらシュプレヒコールを上げ、居留守を使って宅内にひそんでいる可能性の高い社長へ抗議の声を浴びせるなどして、行動を打ち抜きました。
あすなろ学院の分裂、商標登録買い取りで決着?
 あすなろ学院(現東北ベストスタディ)から経営者の一部と労働者の多数が袂を分かち、新しい進学塾=仙台あすなろ舎を開設したことで、東北ベストスタディ(学研側)が、登録商標権の侵害として「あすなろ」の名称使用禁止の仮処分申請を行い、他方、あすなろ舎側の労働者が、あすなろ学院在籍時の累積未払い残業代(約3600万円)の支払いを要求して提訴、という争いに発展していた件については、昨年末の株主総会や、「パルス」今年1月号、3月1日号、6月1日号でも報告してきました。6月1日号では××××(仙台地裁・高裁不当判決を受け、41字削除)××××事実にも触れました。
 この訴訟、この8月に学研=東北ベストスタディ側が、あすなろの登録商標を買い取る(その支払いは、未払い残業代で賄う)という形で和解となったようです。残業代未払いは労基法違反であることは明白ですし、商標権侵害も裁判所には認められ難い、という中で学研側が妥協案を提示したのが真相のようです。
 ××××(仙台地裁・高裁の不当判決を受け、38字削除)××××から分裂劇が起きたことの責任を学研ホールディングスはどう考えているのか、未だ明らかにしていません。

学研関連で働く非正規雇用の皆さんへ
 新自由主義グローバリゼーションの矛盾噴出、世界的経済危機に伴い、日本の労働現場では派遣・期間労働者等の切り捨てが社会問題化し、職場での使い捨てに直面した非正規・不安定雇用労働者の労働相談や闘いが増大しています。法制面においても派遣法をはじめ非正規雇用労働者をめぐる問題が焦点化しています。
厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会では昨秋から「有期労働契約」についての審議が始まり、有期契約労働についての法制化が検討されています。8月3日には「有期労働契約に関する議論の中間的な整理」が公表されました。期限付き雇用の始まりや雇い止め、不均等な待遇などをめぐって問題が噴出している中、「トラブル防止」の名の下に有期雇用のルールを定めることをうたっていますが、法制化により、期間の定めのない直接雇用という大原則が崩され、非正規・不安定雇用による労働者使い捨てが固定化されるおそれもあります。
また、7月25日には「労使関係法研究会報告書」も出され、労組法上の労働者性についての判断基準を確立することがうたわれています。INAX事件、新国立劇場事件、ソクハイ事件等の判決や命令を意識したものですが、労組法改悪を狙う資本・国家の思惑も絡んでおり注視を怠れない動向です。
私たちは、現場からの闘いを強化して非正規・不安定雇用の状態に置かれている労働者の労働条件改善の闘いを進めながら、85年の派遣法、95年の日経連「新時代の日本的経営」、新自由主義的構造改革等の流れを覆して、非正規・不安定雇用の拡大による労働者使い捨てを打ち破っていきたいと考えています
 「非正規・不安定雇用の拡大を撃て!」講演・学習会から
 労働法連絡会主催で8月25日、大崎第一区民集会所で開催された「非正規・不安定雇用の拡大を撃て!」講演・学習会の内容の一部を紹介します。京都の龍谷大学法学部教授の脇田滋氏が「非正規労働の撤廃をめざすために」として講演をされました。
 脇田さんは、日本的非正規雇用が、非差別の考えを基礎として不安定な雇用を生まないように規制をするフランス・ドイツ・イタリアなどのヨーロッパ諸国の場合と比較してまったく逆の状態にあると指摘。また、韓国では日本のような非正規雇用問題が起こらないように、法的には非正規職保護法制定による規制の強化がなされ、大法院(最高裁)での画期的判決も出ている点、また労働組合の取り組みも強いと報告。脇田さんはイタリア留学をするなかで、「バカンスが労働者の最大の権利」と「スト権とは個人たる労働者の権利」というのがイタリアや欧州の常識であり、日本のような非正規雇用が雇用不安定と差別待遇のセットであるような在り方は、それこそ「世界の非常識」である、と断言されました。
 脇田さんは、労働者派遣法の制定は4つの狙い(偽装請負の合法化、性差別の雇用形態差別へのすり替え、中間労働市場論、労働組合の弱体化)をもつ「毒の缶詰」であり、日経連の「雇用の三分化論」は「正社員の破壊の戦略としての派遣」を目的としたものだと批判。また、本来「一時的労働temporary work」であり、欧州では「派遣先での業務が恒常化すれば、派遣先での直接常用雇用とされるもの、それを「派遣労働dispatch work」と意図的に誤訳したのは官僚悪知恵だ!と喝破、「労働者派遣法は撤廃するしかない」と主張されました。
 脇田さんは、本来、雇用の原則は「期間の定めのない雇用」であり、期間の定めのある労働(有期雇用)は「解雇付雇用」であり、雇用の原則を踏み外すものであり、認めてはいけない雇用形態である、と語られました。また、有期雇用利用には合理的理由が必要であり、解雇規制の脱法にならないだけの事由・理由が必要であり「入口規制」こそが必要だといわれ、同じ労働法学者である川田和子氏の主張「有期雇用は解雇規制の脱法」との指摘に賛同され、この考えは日本労働法学会ではまだ少数だが、強く訴えたい、とされました。
 講演後、質疑応答も活発に行われ、大きな焦点になっている非正規・不安定雇用の拡大につき、これを許さない取り組みを強めていくことを確認して終了しました。
 地域合同労組=東京南部労働者組合にも非正規の仲間の労働相談が増えています。差別的な待遇や劣悪な労働条件、不満があっても声をあげにくい状況など、に対してこれを打ち破る闘いを進めていきます。学研関連で非正規で働く皆さんとも共に闘っていくつもりです。いつでも、連絡・相談を受け付けています。

<共闘報告> 
南部労組日広通信 会社、残業代不払いを居直り、希望退職募集
 北品川にある広告代理店で会社のパワハラ・退職強要をはね返し、賃金2万円の一方的減額を撤回させて、その後の団交でも、会社は未払い残業代につき労基署が勧告すれが従って支払う旨の確認をしていました。しかし、会社は悪質な顧問弁護士を雇い、団交でも不誠実な対応で勧告が出された後も支払いを拒み、さらに経営悪化を背景に南部労組のメンバーを標的にした希望退職募集を行ってきました。未払い賃金の請求訴訟を起こし、9月10日には抗議の社前集会を開催しました。10月には南部集中闘争を組み、整理解雇を含む会社からの排除の狙いを許さず、闘っていきます。
南部労組、不当解雇された仲間が加入し、新たな闘いへ!
中目黒にある税理士事務所で、採用2日目からワンマン所長によって退職強要の末、解雇された労働者が相談。組合に加入し、会社との団体交渉が開始されています。
9・10全都反弾圧集会・デモを開催
 争議・労働運動への弾圧をはね返す今年36回目の全都反弾圧集会が千駄ヶ谷区民会館で開催され、集会後、原宿・渋谷の繁華街をデモ行進しました。
9・19反原発 5万人集会・デモに参加!
明治公園で開催された「さようなら原発5万人集会」に争議団連絡会議・地域共闘交流会の仲間、41人で参加。主催者発表で6万人の参加で公園には人が入りきれない大結集でした。被災地福島から大型バスを連ねて参加した人々をはじめ、多くの市民・住民運動団体、労組、個人が声を上げ、集会後、代々木公園まで