団交要求書へ回答せず、逃亡図る宮原社長
そして学研社内では、専断的な人事を強行?

 既にお知らせしたように私たちは、学研ホールディングスの新社長になった宮原博昭氏に対して、さる3月29日に改めて、団体交渉申入書を郵送しました。現場では、2月4日の社前行動をはじめ、再三にわたって争議解決に向けて、新社長が話し合いの場に出てくるように求めてきましたが、私たちを受付にも通さず、暴力的に排除する対応がくり返されました。
 そこで申入書を郵送したわけですが、宮原社長はこれに対し、会社の意思を示す文書
回答さえ行わず、争議責任をほうかむりして逃げ続ける姿勢が明らかになっています。
 私たちの前に堂々と出て来られない社長
 争議当初から学研経営は、自分たちが仕掛けた組合潰しのための業務総引き上げ=下請け会社倒産・全員解雇につき、話し合いを拒んで居直ってきました。「別会社の社員と話し合う必要はない」「業務は下請けの側からの返上だった」などと嘘・でたらめを言い続けてきたのです。ほんとうに学研がこの組合潰しに関与していなかったのならば、「35名の行っていた学研の科学・学習・マイコーチ等の業務が一度に止まって困った」という学研は、下請経営者に「返上」を思いとどまらせ、ふじせの労働者が、まず組合の名前ではなく、社員一同として釈明を求めたことに対してもただちに真剣に向き合って問題解決を図ろうとするのが当然です。しかし、この業務総引き上げを仕掛けたのが自分たちであるので、学研経営は堂々と私たちの前に出て来ることができなかったのです。その事情はその後も変わらず、出てくれば、組合潰しの倒産劇の真相を、事実に基づいて私たちによって突きつけられ、弁解の余地もないものであることを認めざるを得ないから、不当な団体交渉拒否を続けているのです。下請会社の側から、自分の会社の倒産に直結する業務返上を申し出るなどということはあり得ず、実際、その後、下請け会社=ふじせ企画の工藤英一社長も、形式的孫請け=東京ふじせ企画の須田博社長も「業務は学研が引き上げた」「学研本社に呼ばれて、組合潰しのシナリオを示され、有無を言わせず、指揮・命令に従わされた」という事実を明らかにしています。
 「いま変わらなければ学研に未来はない」と表明した宮原社長よ!どう変わるかが問題なのですよ!これまで争議責任をほおかむりして居直ってきた歴代社長と同じように逃げ回っていて、いったい学研の何が変わるのですか?
社内報で社員に社長礼賛・翼賛記事を書かせる会社
 宮原社長の年頭所感(「学研ライフ」1月号)を受けて、4月号の学研ライフには、「宮原社長への返信 私たちが考えるこれからの学研」と題して、社員にコメントを書かせています。「『学研を変える』という意識の共有」という大見出しの周りには、「数字への意識」「2番ではダメ、トップを目指せ!」などという言葉がおどり(他にも笑えたのは、「学研品質の追及」という誤植が大きく載っていて、ブラックユーモアかと思わせるものもあったこと)、10名余の社員が「社長のお言葉に共感しました」「新社長に導かれ、我々が新しく何をしでかすのか、楽しみだ」といったことを書き連ねています。
本音とは別に書かされている、という部分もあるのでしょうが、経営者が自らの責任を労働者に押しつけることがまかり通っている学研の現状は、経営者的な意識を持たされることで、ますますひどくなっていくと言えるでしょう。もっと言えば、社員にこんなことを言わせている会社では、現場からほんとうに創造的な活力が生まれてくるとは思えません。
退職強要などによる労働者使い捨てをやめろ!
 すでに悪しき兆候が職場で生じているようです。現場へのしわ寄せが強まる中で、会社の責任を肩代わりさせようとして、その意に添わない労働者へ、退職強要などの嫌がらせがくり返され、やめさせられる労働者が続くような事態が生まれている、という話が伝わってきています。ヤフーファイナンス学研株主掲示板にも、最近、「退職願いを出した社員が続出しているらしい」などと書かれています。実態は明らかになっていませんが、発病にまで追い込まれている人もあるようです。今の学研経営のやり方では、そういう流れは必然でしょう。翼賛記事を書いた社員の人は、職場でそういう同僚たちを守ることができますか?
 宮原社長のハッスルぶりに共感する前に、学研の問題体質の根の深さと宮原社長の焦りをきちんと捉え、ほんとうに必要なのは何かを考えるべきではないでしょうか?「管理職にさえ事前の打診が一切ないトップダウンの大幅な人事異動を行うなど、宮原社長の強引な人事施策に職場の不安が広がっている」との指摘もされています。
 パフォーマンスでなく、ほんとうに現場で働いている人たちと意志疎通を図る姿勢が
宮原社長にあるなら、就任から4ヶ月、もうとっくに<ふじせ争議>の解決へ、話し合いに応じているはずです。

闘争報告
3・30学研社前闘争
 朝7時半から学研本社前行動を行いました。役員が出社してくるのを待ち、団交申し入れを行うつもりでしたが、この日は出社してきたのは本間監査役のみでした。抗議の声を彼に浴びせ、9時過ぎまで朝ビラ配布を行い、その後、10時まで社前はりつき行動を貫徹しました。マイク情宣では、現場での申し入れに対して暴力的排除を含め団交
を拒否している会社の対応に抗議し、宮原社長に団交申入書を送付したことなどを、学研および地域の労働者に報告しました。


       3・30学研社前闘争                           本間監査役に抗議

4・15学研社前闘争

 4月15日、午後13時45分から社前行動を行いました。強風が吹き荒れる悪天候でしたが、社前に座り込み、学研経営への抗議の意思を現しました。
 マイク情宣では、既に団交申入書が手元に届いているのに、全く回答をせず、逃げ回る姿勢を示している宮原社長の対応を批判し、争議解決の決断を迫りました。
労働争議に介入することが許されていない大崎警察署の私服公安が、付近を徘徊する中、最後まで行動を打ち抜き、全体でシュプレヒコールを会社に浴びせて終了しました。
                           4・15学研社前闘争

職場で困ったら southwind=mbr.nifty.com(=の所に@を入れてください)  03-3490-0372へ相談を
 地域合同労組の東京南部労働者組合は、職場の労使問題につき、いつでも相談に応じています。相談は無料です。相談後、ご希望であれば、すぐに一人でも加入できる組合です。南部労組の取り組みの中から、病気休職後の契約更新拒否を撤回させ、仕事と賃金の削減につき追及し、補償をかち取った結婚式場M記念館の件は先号で報告しましたので、その他の中から最近の二つの事例を報告します。
1、正当事由なき本採用拒否を許さず
          不当解雇撤回めざすY給食闘争

   試用期間中、当然の権利を述べた労働者に正当事由なき本採用拒否
 大田区にあるY給食株式会社は、大田・江戸川などの学校9校に入って学校給食の提供を行っている会社です。その学校給食部とは他に企業などへランチサービスも行っています。栄養士の資格を持っていて、昨年8月末に採用され、大田区の小学校に勤務していたTさんは、11月30日に試用期間が終了したとして、12月初めに解雇予告を受けました。
 会社に提出させた解雇理由書には、本採用しない理由として、「雇用後に持病の腰痛があるとのことで業務に支障をきたすと判断したため」「上長の指示がとおりにくいことがある」「ミスをした際の状況や原因が掴みづらい」などと書かれています。しかし、腰痛はこの業務に付きもので、採用前に持病のある事実は伝えており、実際に勤務に支障が生じたことはありませんでした。「試用期間中の解雇」については、採用前に隠していた事実が分かった等のことや勤務態度不良、業務に適正がない、などの理由が裁判でも解雇の根拠として認められやすくなっています。しかし、今回、腰痛の件は全く該当せず、真の解雇理由は、雇用契約書を求めるなどの当然の権利を主張する労働者を雇い続けたくない、そんなやつは首だ、という会社の専制支配にあります。
1月の労働相談後、Tさんはすぐに組合に加入し、1月18日、組合は会社に団体交渉を申し入れました。会社のドタキャンもありましたが、その後3月1日、ようやく最初の団交を開催。出席したY専務、Oマネージャーは、曖昧な解雇理由書を補強しようと、「鍋の攪拌もできなかった」「重大なミスを犯しても反省の姿勢がなかった」等の 勤務成績・勤務態度不良≠でっち上げて述べ立ててきました。
 4月25日の団交で、Tさんから会社の嘘でたらめに対して、全面的に反論を行い、解雇の撤回等の要求書を渡し、5月6日までの回答を求めています。会社の責任居直りを許さず、闘っていきます。
2、賃金減額を撤回させ、未払い残業費につき
   労基署勧告を出させ、新たな攻防に入ったN通信闘争 

 パワハラによる退職勧奨をはね返し、賃金の2万円減額という一方的な会社のやり方についても団交で追及してきた北品川にある広告代理店のN社の昨年から今年にかけてのその後の動きは、残業代未払いを焦点として攻防が続いています。
 昨年6月の第3回団交で「2万円減額提案」撤回の合意を勝ち取りましたが、一方で「労働協約は結びたくない」。残業代未払いや有給休暇に関する労基法違反状態の速やかな是正を求めるも、違反していると言う自覚も無し。典型的なワンマン・同族経営であり、会社側に経営者としての基本的な自覚が不足している中、度々「振り出しに戻った」かのような対応が続きました。10月・11月の団交では、社長が「再回答はしない。労基署で『解決』してもらいたい(?)」と、とんちんかんな発言。何とも主体性も経営者としての自覚もない対応にあきれ返りました。組合としては、12月に入り、労基署に残業代未払いを軸にした労基法違反の是正勧告申し立てを行いました。申し立てを受け、今年1月28日に会社が労基署に呼び出され、勧告を受けました。内容は以下の通り。
 是正勧告の内容
1.労基法第15条違反:雇用契約書による労働条件の明記
2.第32条違反:時間外労働に関する協定の締結
3.第37条違反:割増貸金未払い
 ・調査の上、残業代過去2年間の遡及分を支払え
 ・是正経過を報告すること(2月末までをめど)
 社長は是正勧告を受けてもなお、違法の意味が分かっていない様子。36協定締結についても、組合を排除したところで何とか形だけ整え乗り切ろうとする動きが見え見えですが、当該と組合との分断を許さず、あくまで団交での解決を求めています。    
  2月22日に従業員代表の選挙で立候補した当該に対し、会社は立候補者をたて対抗してきました。あくまで当該の立場・意見を踏みにじり、形式的な「是正」で乗り切ろうとする社長の態度に抗議し、実効的な是正を勝ち取っていくために、2月24日出勤時の社前ビラ配布に引き続き、緊急団交を設定させ、当該・組合の意見を協定に反映させること、未払い残業代の早期支払いについて確認させました。
しかし、その後も会社は悪質な弁護士を雇って、支払いを命じられた残業代さえ、値切り交渉の対象にしようとしてきています。雇用契約書の作成についても解雇条項のところに「就業規則による」として存在してもいない就業規則を後から作成し、解雇をフリーハンドにしようと図ったり、一時金の支払いも社員の業績によるという認めてもいない業績給の考えを導入しようと図って、契約書の締結を遅らせ、残業代の支払いを引き延ばしています。
 組合は労基法違反さえ居直る会社へ本格的な闘いを浴びせていく局面になっています。

共闘報告
4・15出版関連労組交流会議春季集会を開催
4月15日、東京しごとセンター5階で、春季集会が開催されました。2年連続総売り上げが二兆円割れという出版業界の不振の中、経営側はなりふり構わぬ労働者への犠牲強要攻撃を激化させています。1970年代に闘われ、争議に勝利した光文社闘争を引き継ぎ、共に企業の枠を超えて連帯・共闘を深めてきた出版関連労組交流会議は、職場の労働組合のその後の現状に対して、組合の再生・創生を掲げて闘ってきました。争議も、光文社闘争に続く中央公論社闘争、学研闘争などを共に闘い、現在も教育社闘争、山田書院闘争、学研・ふじせ闘争、そして中部労組論創社闘争が出労交に結集、全争議団闘争勝利をめざして闘っています。集会では、双葉社労組、連帯不二出版、全学研労組などからの職場報告、各争議団からの報告を受け、基調では、40年で節目を迎えた出版労働運動の歴史を振り返り、非正規・不安定雇用の仲間との結びつきなどを強め、共に闘う方向を確認しました。
4・30渋谷のじれん総会、5・3全都野宿者メーデーへ
宮下公園のナイキ化=野宿者排除、市民運動・労働運動等の集会・デモ拠点潰しを許さないぞ! 総会=氷川区民会館(13〜15時)、メーデー 神宮通り公園 13時集合