学研HD=持ち株会社発足から1年が経過
問題体質の改革を欠いた経営の限界が露呈

 
学研ホールディングスの発足から1年が経過しました。既に指摘したように、その強行発足の矛盾が噴出し続けています。分割した出版関連の3事業会社を統轄する中間持ち株会社を7月1日から発足させたり、総務・経理・人事等の部門を3分割して設立した事業会社も、学研プロダクツサポートに他の2社を吸収するなどの泥縄の組織再編が行われ、最近に至っても学研パブリッシング等での頻繁な異動などが続いています。
 私たちは、持ち株会社発足が、学研の問題体質を改めぬまま、労働者をより組織的に使い捨てることを狙った経営陣のみの生き残り策である、として発足を前後する昨年2度の株主総会(6月、12月)でも追及・抗議をしてきました。学研関連労働者への犠牲強要を要とした経営のこの延命策は、同時に争議責任からの逃げ切り策でもあります。争議責任を隠蔽する腐敗した経営姿勢、問題体質は変わっていません。その改革抜きに経営再建などあり得ません。

 まもなく9月末の年度末決算が発表されます。自力での伸長ではなく受験塾の買収をくり返すなどで、業績の低迷=毎年の売り上げの低下から連結決算上の数値で挽回を図ろうとしてきた会社ですが、それでも黒字化は微妙になっています。そして、会社は、そのつけをまた再び、裁量労働制や、業績主義賃金(「目標達成面接」制度。これらの誤りについてはこれまでも指摘してきました)など、労働者への犠牲強要へと悪循環を(持ち株会社による事業会社ごとの切り捨てへの脅しを含めて)くり返しています。これを許さず、職場ー争議を貫いて経営の責任を共に追及していきたいと思います。

                       10・1学研社前行動

職場で困ったら 南部労組に相談を

学研及び関連で働く皆さん。正規・非正規(派遣・フリー・下請編集プロ・パート等)どのような雇用形態でも、職場で困ったら、東京南部労働者組合へ、一人で悩まずご相談ください。 
 TEL・FAX 03-3490-0372  mail southwind@mbp.nifty.com

学研経営は団交に応じ、争議を解決する義務がある
 学研経営は、私たちに仕掛けた委託編集業務の総引き上げ=下請け会社倒産・全員解雇攻撃につき、未だに一切の話し合いを拒否して口を噤み、自らの責任につき居直り続けています。話し合い(団交)拒否の口実は、「別会社の社員と交渉する義務はない」という形式論です。「学研は関係ない、学研に争議などない」と言うものです。しかし、形式的な雇用関係がないことは団交応諾義務を免れる根拠にはなりません。
朝日放送事件が示した派遣先企業の使用者責任
 最高裁判所(第3小法廷)は1995年2月28日に言い渡した朝日放送事件の判決で、放送番組制作現場で派遣的労働関係で働く労働者が所属する労働組合から、団体交渉を求められた派遣先の放送会社が、この交渉を拒否したことが、労働組合法第7条2号の禁止する不当労働行為であると明確に示しました。判決は、労働組合法7条にいう「使用者」とは、一般に労働契約上の雇用主であるが、不当労働行為制度の目的から、「雇用主以外の事業主であっても、雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、右事業主は労働組合法7条の『使用者』に当たるものと解するのが相当である」としています。
 朝日放送の事案では、請負3社は独立の事業主体であり、朝日放送は労働契約上の雇用主でありませんが、(1)派遣労働者が従事すべき業務の全般につき細部に至るまで自ら決定していたこと、(2)請負3社は、単に一定の従業員のだれをどの番組制作業務に従事させるかを決定していたにすぎないこと、(3)派遣労働者は、朝日放送から支給ないし貸与される器材等を使用し、その作業秩序に組み込まれて正社員と共に番組制作業務に従事していたこと、(4)作業の進行はすべて朝日放送の従業員であるディレクターの指揮監督下に置かれていたと認定しました。これらの事実を総合すれば、朝日放送は実質的にみて、派遣労働者の基本的な労働条件等について、雇用主である請負3社と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったから、その限りにおいて、労働組合法7条にいう「使用者」に当たる、というものです。この判決は今日の派遣労働にも一石を投じる意義をもっています。
 学研・ふじせ事件も、学研の「マイコーチ」制作に従事していたふじせ労働者は、上記の朝日放送と下請け三社の労働者以上に、学研と一体の関係に置かれており、「科学」「学習」の制作に当たっていたふじせ労働者も、これに準ずる関係にありました。しかし、85年に東京ふじせ企画破産管財人が学研による倒産攻撃につき損害賠償請求を提訴した事件の東京地裁判決でも、「学研の使用者責任」と「組合解散を狙った学研による委託業務総引き上げだったこと」を明確に認定していたにもかかわらず、87年の東京都労働委員会では、学研の使用者性を否定し争議責任を免罪する不当命令が出されました。85年派遣法制定の流れにそった極めて悪質な命令です。
朝日放送事件と酷似する実態につき判断を回避した行政訴訟判決
 労働委員会命令の取り消しを求めて私たちが提訴した行政訴訟は、この時点で朝日放送事件の最高裁判例が存在していたことからも、当然、両事件の同一性が争点になりました。しかし、行訴一審の東京地裁は、「両者の同一性の有無が争点」と自ら認め、それにそった争点整理をするとして原告・被告双方に主張を出させていたにもかかわらず、判決日が近づくと期日を再三延期したあげく、2001年7月に出した判決では、驚くべきことに朝日放送事件との同一性についての判断を一切回避した上で、学研の使用者性を否定する判決を出したのでした。判決を出した矢尾和子裁判長を始め、この時期、東京地裁労働部ではきわめて問題の多い不当判決を濫発し、労働者・労働組合の権利を奪っていく政治的な意図が顕著になって、これへの抗議の声が広く上げられました。その後、02年高裁判決、03年最高裁決定と、学研・ふじせ事件は重要な争点事実を見て見ぬふりをしたまま、不当な判断が確定したのでした。
 学研経営は、この数年、公式サイトの株主・投資家の皆様へのページの中によくある質問コーナーを設け、「東京ふじせ労働組合との問題とは」という見出しで、この判決を引き合いに出すことで、学研経営がいかに悪質な労組弾圧の攻撃を仕掛けたかをごまかそうとし続けています。上記のようなこの裁判の実態を抜きに、争議責任を免れようとする姑息な手段は、争議の実態を知る人々が増えて、よけいにひんしゅくをかっています。苦しい言い逃れをやめて、学研経営は堂々と私たちとの話し合いの場に出てくるべきです。そして逃げ切りは不可能であることを知り、争議を解決すべきです。
秋季闘争、中盤戦の学研社前、遠藤社長宅行動
10・1学研社前闘争
  富樫専務らに抗議・追及を浴びせる
 
学研社前で早朝からの社前行動を展開しました。遠藤社長はこの日は出社して来ませんでした。8時20分頃、中森取締役が出社、我々に声をかけられると顔をこわばらせて社内に逃げ込みを図りました。団交要求書を受け取るように迫り、抗議のシュプレヒコールを浴びせました。8時半頃には木村取締役が五反田駅方面から出社、同じく抗議を浴びせました。
 この日のハイライトは富樫専務への抗議・追及でした。我々が社前にいると、いつも社屋裏手まで遠回りして社員通用口から社内に逃げ込んでいましたが、この日は、8時40分頃に同様の動きを見せました。これに対し、ふじせ闘争支援共闘会議のメンバーを先頭に争議団の仲間と共に、富樫専務に肉薄・抗議を行いました。慌てた富樫サンは包囲され、うつろな表情で一時たちすくむありさまでした。そして、抗議の声の中、ガードマンに守られて社内へ逃げ込みました。
 地域・学研の労働者へのビラ配布とマイク情宣、抗議の社前はりつき行動を10時まで打ち抜きました。

            10・1学研社前   社屋裏口へ回って逃げ込もうとし、抗議・追及を浴びる富樫専務

10・9遠藤学研社長宅闘争

 10月9日、横浜、弘明寺の遠藤学研社長宅への抗議・申し入れ行動を行いました。この日はあいにくの雨でしたが、夕方4時少し前、丘の上の遠藤宅へ赴き、団交申し入れを開始しました。夫人がインターホン越しに応対し「外出していません」「(本人と)連絡は取らないことにしています」「裁判で決着がついているから大丈夫、と聞いています」などと答えました。裁判では争議は解決しないので、自主的な話し合い解決が必要なこと、会社で何度申し入れても社長は逃げ回って出てこないので、やむを得ず、こうして自宅へ来ていることなどを伝えました。争議が継続している事実や裁判の実態などにつき伝えようとすると、一方的にインターホンを切ってしまいました。そして、やがてすべての窓のブラインドもおろして閉じこもってしまいました。
 マイク情宣と地域ビラ入れ、結集してくれた全都の仲間と共にシュプレヒコールで争議は続いていることを夫人にも知らしめて、雨の中の行動を打ち抜きました。遠藤社長は在宅していた可能性もあり。不誠実な話し合い拒否の逃亡姿勢に憤りを覚えます。

共闘報告

10・8全争議団闘争勝利!総決起集会を開催
     10・28争団連統一行動の成功をかちとるぞ!

10月8日、豊島勤労福祉会館で、不当解雇などと闘っている全都の争議団が一堂に 会し、職場、各戦線の仲間からも熱い連帯の発言も受けて、全争議団闘争勝利へ決意 を固めました。10月28日には、争議団連絡会議の統一行動を、新加盟の連帯・日 経スタッフ闘争と旭ダイヤ闘争を貫いて打ち抜きます。結集を!
8:00日経スタッフ社前→国税局→日経新聞社大手町本社申し入れ
 11:30 日比谷公園霞門集合 旭ダイヤ闘争赤坂昼デモ
11・19出版関連労組交流会議・秋季シンポジウム
 「中小出版社・現場の実像と労働運動の課題」 不二出版、論創社、三一書房、明石書店など
                   18:30〜 東京しごとセンター5F(飯田橋)