学研株式の買い取り問題、ようやく決着
しかし、株式の処理方針は未だ不明!

 学研は6月21日、シンガポールの投資ファンドのエフィッシモキャピタルマネージメントが保有する学研HD株を30日付で買い取ることで合意したと発表しました。エフィッシモは学研HD株19・81%を保有する筆頭株主で、学習研究社(現・学研HD)の持ち株会社化に反対し、09年9月、学研株の19.81%にあたる約2100万株の買い取りを請求していました。
 買い取り価格は1株230円で、学研HDの提訴を受けた東京地方裁判所が09年9月1〜30日の平均株価などを基に17日に決定。買い取り総額48億2931万円は、銀行からの借り入れと自己資金でまかなう、とされています。
 今回の株式の買い取り決定で需給不安が後退したとの見方で買い安心感が強まったとの見方から一時、株価も上昇したりしました。しかし、以下の不安材料こそ、学研が明確に答えるべき問題としておさえておかねばなりません。
筆頭株主の投資撤退への判断=「経営再建困難」との指摘
 まず、エフィッシモは学研の現状につき、「不祥事が発生するなど適切な経営管理体制が構築されていない」、「事業計画の未達が常態化している」「再任された取締役らの経営能力の欠如は明らか」等として、「改善は困難」等として投資の撤退を表明しました。持ち株会社化によって、ますます株主の声は反映されなくなるという判断を伴ったものですが、購入時の価格で計算すると17億円もの損失となる今回の調停価格をある程度予想した上で、株式買い取り=投資撤退を表明したのは、上記の「学研の経営再建は困難」との判断によるものである、ということです。
買い取り資金=48億円の調達方法について
当座借り越し契約の相手も明かさず、買い取った株式の扱いも不明

 学研は、12月の株主総会時の事業報告書で、この買い取り資金を「特殊当座借り越し契約」(小切手振り出しなどに使う当座預金口座の預金額を上回る金を借り入れる短期契約)によってまかなう、としていました。しかし、株主総会で私たちが質問権を行使して、これはどの銀行を相手にした契約か、また、買い取った学研の株式を消却処理するのか、新たな買い手を求めるのか、などを問い質しましたが、学研経営は、「契約内容および担保資産の内訳につきましては、他の金融機関との取引関係もございますので、回答はご容赦ください。」と銀行名も明かさず、「2番目の買い取り請求権行使後の自己株の処理につきましては、一般論で言いますと、消却するとか、金庫株として所有しながら、M&A等で利用する、もしくは売却する等々あると思いますけど、現時点では全く未定です。」と不誠実かつ曖昧な答弁をくり返し、現在も明らかにしていません。資産的にも48億円が掘り崩しのままとなるかどうかが問われているのにこの回答です。
 学研の経営立て直しはできるのか、どう進めようとしているのかにも関連して、エフィシモから突きつけられた「経営失格」の烙印に対し、何ら反論できていない現状が浮き彫りになっているものです。
出版3社統括の中間持ち株会社発足の意味
 反対の声を押し切って強行発足させたホールディングスと、この下での経営再建が、うまく進んでいるとはとても言えない状況は、上記の事実以外にも現れています。
 「学研HD、重複機能集約」と題して6月7日、報道に発表した出版部門の中間持ち株会社「学研出版ホールディングス」を7月1日付で設立すると発表したことです。「子会社同士で重複する機能の集約や人員再配置を進める」として、学習書を手掛ける学研教育出版(東京・品川)と、実用書や娯楽書籍の学研パブリッシング(同)、販売を手掛ける学研マーケティング(同)の3社を、株式移転方式で学研HDの全額出資子会社から新設する学研出版HDの全額出資会社に移行させる、学研出版HDの社長には、学研パブリッシングの堀昭社長が兼務で就任する、というものです。
 持ち株会社の下に中間持ち株会社を作る、という愚策を講じなければならなくなったのは、今回のケースで言えば、分割した出版部門の事業会社同士の意思疎通が全く出来ていないことを示したものです。持ち株会社化の弊害に対し、さらに泥縄的に対応しようとしている学研経営陣の混迷が露わになっている、としか言いようがありません。
 労働者使い捨て態勢を狙った学研経営の持ち株会社化は、つまずきと、経営陣のなりふり構わぬ労働者への犠牲強要策がむき出しになっていく可能性が強まっています。私たちの争議責任追及の闘いからの逃亡・延命の狙いも含む持ち株会社化にあらためて反対し、学研経営の無責任態勢を打ち破って行きたいと考えています。

<闘争報告> 夏季の現場攻勢へ!
5・28学研社前行動
早朝出社の遠藤社長に抗議の声!富樫専務ら裏口出勤組にも抗議。
 5月28日、早朝からの学研本社前行動を展開しました。7時15分に社前へ到着、同30 分から朝ビラ配布を開始しました。38分頃、遠藤社長が車で出社、今回も裏手の高速道路下の道から回ってきて、地下駐車場へ。早朝から集まった仲間が、「遠藤社長は争議を解決しろ」等のシュプレヒコールを車の周囲から浴びせて抗議しました。
8時過ぎには、中森取締役が五反田方面から一つ遠回りの道を通って、出社してきたので、抗議・団交申し入れを行いました。芝生の脇から正面口へと逃げ込んでいく中森取締役の背中にも抗議のシュプレヒコール。この後、8時20分過ぎから30分過ぎにかけて、本間監査役、富樫専務が五反田駅から大きく遠回りして裏手から社員通用口へ逃げ込んでいきました。ここでもふじせ支援共の仲間が抗議の声を浴びせました。
8時40分頃から、ふじせ労組当該がマイク情宣を開始、出勤して来る学研及び地域の労働者の皆さんへ、争議と学研経営の現状を訴えました。9時を回って、集まった仲間が正面へ移動、10時までの社前座り込み、抗議行動を打ち抜きました。

     遠藤社長の乗った車に抗議                     社前で座り込み

      

6・15学研社前闘争
 6月15日は、午前11時からの社前抗議行動を展開。前回の朝ビラ=「パルス」5月28日号と地域・一般向けの情宣ビラを合わせて配布しました。
 マイク情宣を始めると、しばらくして階段棟からこそこそと総務社員がビデオ撮影。こちらが見ると、慌てて隠れてしまいます。
 11時50分頃から、タクシーが次々と集まり、地下駐車場から来客を乗せて出ていきました。来客を招いての行事の後、品川のホテルで昼食会でも予定していた模様です。
その時間帯に社前で争議状況が現出されることになって、学研経営にとっては面白くない事態だったでしょう。
 21名の仲間が結集。午後1時まで、社前ではりつき抗議行動を打ち抜きました。

 
      学研のサイトでは自社ビルまがいの宣伝をしている本社ビル(建設直後に売却し、リースで使用)前で抗議

<共闘報告>
7・22南部交流会集中闘争
 2004年3月大田区は「大田区では移動介護は要綱により月32時間を上限とする。」として、4月から区内の障害者の移動介護の支援費支給量を月32時間=1日約1時間に削減する措置を強行しました。南部労組の組合員でもある「障害者」の鈴木さんの移動介護も124時間→32時間と激減させられ、これに対して、大田区交渉や裁判闘争を闘ってきています。
7月28日、第2次行政訴訟の判決が予定されていますが、これに先だって、大田区への抗議行動を南部交流会集中闘争として7月22日に行います。鈴木敬治さんと共に移動の自由を取り戻す会の仲間と共に闘います。皆さんの結集を!
 7月22日(木) 11時〜 対大田区集中闘争(申し入れ行動&庁舎前集会)

ホッタ晴信堂闘争 経営側の労働審判活用・押しつけを粉砕!
 本年2月23日付のホッタ晴信堂薬局による不当解雇以降、三多摩合同労組は齊藤組合員の解雇撤回・職場復帰を求めて闘いを継続。4月6日、組合が行なった労働委員会への不当労働行為救済申立てに対抗して、ホッタ晴信堂薬局経営は「地位不存在等」の確認を求める労働審判を申し立て(4月20日付)、6月2日より労働審判が開始されました。しかしこの審判の場では、組合及び代理人の参加を認めない一方で会社側は社長、管理職3名、代理人の参加を認め、被解雇当該1名を会社側多数で取り囲んで、労働審判官(=東京地裁立川支部所属の裁判官)が労組排除・敵視の審判進行、労組否認の暴言、組合に闘争方針転換を迫り金銭解決を促す発言を行なう等、とうてい労働組合として認めることのできない対応をしてきました。
 解雇や不当労働行為に抗して、団体交渉、労働委員会闘争、現場闘争などで闘う合同労組に対し、「個別労使紛争」を専門として「3回以内で解決する」ことをうたう労働審判の活用は、いま一部経営にとって労働者の団結権解体、労組否認・排除を合法的に推進する絶好の武器になって、いくつかの悪用が続いています。
労働審判は6月17に第2回目が行われましたが、若干の質疑の後で24条による終了が決定されました。多くの労組・争議団による緊急抗議声明への賛同を当日の労働審判に先立って地裁情宣の後に民事第4部に提出した結果、集団的労使関係の下での労働組合の闘いであり、労働審判として扱わない(「個別紛争」としての処理を行わない)ことを認めさせた成果で、経営法曹(日本経団連お抱えの弁護士集団)の思惑を粉砕したものです。
職場で困ったら 南部労組に相談を
学研及び関連で働く皆さん。正規・非正規(派遣・フリー・下請編集プロ・パート等)どのような雇用形態でも、職場で困ったら、東京南部労働者組合へ、一人で悩まずご相談ください。 
              TEL・FAX 03-3490-0372  mail  southwind@mbp.nifty.com