12・22株主総会詳報特集
学研経営、業績を大幅に下方修正。株価、続落!
 会社は、2月15日、2010年9月期の連結最終損益が3億円の黒字になりそうだ、と発表しました。9億円の下方修正です。「科学」「学習」の休刊に伴う事業整理損、5億1千5百万円、投資有価証券評価損1億8千万円などの特別損失が膨らんだためとされています。しかし、実態は、最終利益が出るかどうかも分かりません。
 昨年6月、12月の株主総会で、経営陣の無責任な居直り、問題のごまかしと先送り体質が顕著になっています。お約束した12月22日株主総会の詳報をお届けします。
 会場をTOC有明に移し、報道陣も閉め出して開会され、型どおりの事業報告書の読み上げなどの後、富樫専務が書面質問への回答を行いました。以下のとおりです。
<新グループ経営計画・学研2011について>
 初年度である当期は、新グループ体制への移行および構造改革の期間としておりましたが、固定費の削減を実現し、対前年同期比で営業損失および経常損失等に9億5千万円改善し、計画対比では、5億8千7百万円営業損失を圧縮しました。今期以降については、さらに固定費の削減を図るとともに、不採算事業からの撤退・縮小を迅速かつ着実に推進し、また成長事業への積極投資や、また成長事業への積極投資や拡大戦略を徹底することにより計画の実現を図ってまいります。そしてこのことこそが経営責任を全うすることと考えております。
<持ち株会社制の導入について>
当社が持ち株会社制を導入した最大の目的は、自己責任に基づいた自主独立の事業体を構築するためであり、大幅に権限を委譲すると同時に、責任を明確化し、意思決定の迅速化と、市場に即応した機動的な事業運営を可能にする組織改革を実施する、ということにあります。なお、持ち株会社化により労働条件が悪化することはございませんし、グループ各社の業績などにより、賃金や労働条件に差が生じることに関しては十分配慮してまいります。
<持ち株会社化後の労働組合との交渉について>
 当面の間、組合との交渉に関する窓口を学研ホールディングスに定め、今後については労使の交渉や、分割子会社の状況などを見据え、柔軟に対応してまいります。
<新人事制度について>
 現行の人事制度は一般社員、管理職層、経営層、そして組合、社外の専門家らの社内外の各層の声を様々な角度から検討して作成しました。その過程で従前の年功偏重のしくみと運用を改め、頑張った人が報われる制度をめざすこととなり、具体的な制度策定も社内プロジェクトや人事制度改革サポーターなどの協力も仰ぎながら進めてきました。つまり大多数の社員からの支持を受けてスタートしたと考えています。なお、今回の賃金制度の改定においては、改訂前の年齢別、資格等級別の賃金実態を分析すると、過去の制度とその運用が結果として極端な年功偏重になっている部分があり、その影響による頑張っているのに報われない年齢層や資格等級層を是正すると結果としてごく一部の社員の月例賃金が下がるケースが出ました。また、モラール低下を懸念されているようですが、むしろ変更前の状態を維持することの方が、モラールの低下につながる、と考えました。長期展望に立った人事制度の改定であるとご理解いただきたく考えています。
<出版不況への対応と人材の有効活用について>
 出版不況が長引く中、弊社の書籍分野たとえば児童書、学習参考書、生活実用書などは健闘しており、これからの当社のブランド力を活かして、売上げと利益の拡大を図ってまいります。また、雑誌分野では選択と集中を徹底して実践するとともに、雑誌を中心とした多角的な事業展開をおしすすめているところでございます。 
当社の人材の活かし方ですが、持ち株会社下の各事業子会社または機能子会社が自社内で人事配置をフレキシブルに行うのは従前どおりですが、その枠を拡げて、たとえば営業系、編集系、管理系、というように学研グループの中をいくつかの系統に分けて、同一系統の中での会社間の人事交流を積極的に行ってまいる所存です。さらにそうした系統分類に囚われない学研グループ全体での会社間の積極的な人事交流のために、フリーエージェント制や学研グループ内人材公募制導入なども前向きに検討したいと考えております。
<株主によるガバナンスについて>
 持ち株会社化後、上場会社であるホールディングスが、グループ全体の経営や方向性について株主に直接の責任を負うことは当然であります。そして、その一環として当社はグループ各社について、これまでどおり情報の開示を行うことを予定しており、実質的に開示レベルが現在より低下することはありません。また、従前より外部の専門家で構成されるガバナンス評価委員会から客観的な評価を求めるなど、コーポレートガバナンスの強化・徹底を図っており、今後もひき続きこれらを活かして株式会社制に相応したガバナンスの在り方を実現していく所存です。
<家庭訪問販売事業について>
 当社は平成20年10月14日に、家庭訪問販売事業のうち、月間教材群の販売事業から平成23年3月をもって撤退することを報告しておりましたが、さる12月3日、同事業の撤退を平成22年3月に前倒し、同時に家庭向け学年誌「学習」と「科学」においても平成22年3月をもって休刊することにいたしました。
 また小学生を対象にした年間セット教材ニューマイティは平成23年度、中学生を対象にした「ニューマイティV」は平成24年度の教科書改訂に合わせた教材の改訂作業は学研グループ内では行わないことを決定しました。なおセット教材は当期の計画に対しては堅調に推移しましたが、今回の教材の改訂費用と事業の将来性を勘案し、このような決断をいたしました。これらの決定に伴い今期現時点での概算見込みで約5億2千万円を今後の事業整理のために発生する損失見込み額として特別損失に計上することをお知らせしております。ここ10年来、「学習」や「科学」、それに月間教材やセット教材についてはなんとしても継続したい、という思いで事業を展開してまりましたが、これ以上の継続は学研グループとして支えきれず、苦渋の選択をさせていただきました。また学習と科学で培ったノウハウやコンテンツは学研の貴重な財産であり、現在もこれらの財産をおおいに活用し、たとえば「大人の科学マガジン」などで、ヒット商品を生みだしています。また小学生を対象とした新しい科学雑誌の立ち上げを目指し、準備を進めているところです。また、販売代理店様、婦人組織の皆様にはこの度の決定に関するご説明を十分に行うことはもとより、適切に対応させていただくとともに、学習教材など新商品のほか、新たな事業をご提案申し上げるなど、今後もひき続きお取り組みいただきたい、と考えております。さらに家庭訪問販売事業の今後については学研ネクストにおいて継続・存続ではなく成長・発展という志のもと、学研ネクストの前身である研秀出版の事業とのシナジー効果を実現しながら新商品の開発や新事業の開拓に取りくんでまいります。その意味ではすでに実現可能な企画も見いだされており、ひき続きご支援を賜りたくお願いを申し上げます。
<高齢者福祉事業について>
 本社の事業展開は介護保険サービスと介護保険制度外の高齢者専用賃貸住宅を組み合わせたビジネスモデルであり、介護保険制度の変更に伴うリスクが他社に比べて低いという特徴があります。まさに高齢化社会の時代のニーズに応える意義ある事業であると考えております。高齢者専用賃貸住宅分野においては、4年前に全国初の終身賃貸借契約を締結するなど当社グループは業界内での先駆的な取り組みを行っており、他社の介護事業とは異なり、高い収益性と安定性を持つ事業体として成長が期待できるものと考えております。なお学研ココファンホールディングスの企業理念は、当社グループと同様に「すべての人が心豊かに生きることを願い、今日の感動・満足・安心と明日への夢・希望を提供します」であり、高齢者福祉と子育て支援事業を融合させた新たなビジネスモデルに挑戦しております。
<株主総会の運営について>
 今回は、決算期の変更により定時株主総会の開催が6月から12月になり、当日出席される株主様の人数が全く予想がつかず、検討の結果こちらに決めさせていただきました。
また、議事の運営につきましては、議事の整理権は議長にあり、その指示に従っていただけない場合は、しかるべき措置を講じさせていただいており、質疑応答につきましては会議の目的事項について十分に審議を尽くしたものと判断し、議場に質疑の終了をお諮りし、多数の賛成を得て、採決を行わせていただいております。 
また、当社の株主総会は議決権を有する株主様で構成されるものと考えられるので、
株主様でない方のご入場はお断りしています。報道関係者につきましては本総会に先だって一社から入場のご要請がありましたが、他社の総会運営の調査結果なども参考にしながら取材上の別室などのご用意はせず、情報の公開は別途、適正に実施いたします。
<資本準備金を取り崩しての配当について>
 当社では株主様に継続的かつ安定的な配当を実施するとの方針のもと、その都度、株主総会での議決を経て配当を行っておりますのでご了解ください。
<連結決算書類について>
 グループ各社の売上げ高につきましては、早稲田スクール7億3千2百万円、創造学園15億7千5百万円の他、主な子会社の売上高として、学研ステイフル15億5千万円、学研ロジスティックス13億9千万円、秀文社11億2千3百万円、学研ココファンホールディングス5億8千4百万円、タートルスタディスタッフ5億3千9百万円、学研香港4億5千3百万円、東北ベストスタディ4億1千万円、などがございます。
1年以内の償還予定の社債につきましては、学研ステイフル発行が10億円、学研ロジスティックス発行が2千万円、創造学園発行が1億円となっています。
<ロイヤルバンクオブカナダトラストカンパニーケイワンリミテッド様からの株式買い取り請求権の行使について> 
 当該株主様からとの協議においては買い取り価格が整わなかったため、当社は12月6日に買い取り価格の決定を裁判所に申し立てました。裁判所の決定がいつ頃になるのか、買い取り価格がいかほどになるのか、現時点においてはなんとも申し上げられません。また、その資金については事業運転資金の確保の必要性もあり、手元の資金と借入によって対応したいと考えており、取引銀行との間で借入枠の特定契約を結び、株式買い取り時には自己資金内部の金額に基づいた資金調達を予定しています。 なお、この契約は本年11月に成立しております。契約内容および担保資産の内訳につきましては、他の金融機関との取引関係もございますので、回答はご容赦ください。財政面および中期経営計画への影響は、判明次第公表することにしています。また、当社が決めた持ち株会社制移行を含めた経営体制の強化策につきましては、さる6月25日に開催された当社第63回定時株主総会において、当該株主様を除く大多数の株主様からご支持をいただいています。当社経営陣は、このような株主様からのご支持に応えるべく、一丸となってガバナンス体制の強化に努めてまいりますとともに企業価値の向上に向けて邁進してまいる所存です。
<東京ふじせ企画労働組合との紛争を解決すべきではないか、という質問について>
 例年と全く同様の答弁なので省略。裁判結果の一面的な紹介で学研の争議責任をごまかし、解決を拒否する内容。
会場内での質疑・応答
 この後、会場内での質疑応答が行われました。以下、その詳録。
会場内での質疑応答
  遠藤社長は、なるべく多くの株主様にご発言いただきたいので、運営に協力して欲しい旨を述べました。しかし、実際の彼の運営が多くの株主の発言を封じるものでしかないことが後に明白となりました。

株主A   ただいま富樫専務からの書面による質問への答えの一環として、議事運営についての説明が
       ありましたが、これから大事な総会での議論が公正・民主的におこなわれるかどうか、という点
       について、私は議長である遠藤社長にお約束をいただきたい、と考えます。私はこの10数年、
       株主総会に1回も休むことなく出席をして、学研の事業体としての運営を根底から質問すること
       に関する総会に向き合ってきました。その際、今年6月に行われた株主総会においては、とり
       わ議事運営について、株主の十分な発言を保障していないというふうに印象づけられました。
       特に私自身が最後の方でありますが、手を挙げて質問したところ、時間の制約ということを理
       由にさえぎり、また発言された株主についても途中でさえぎって、「意見としてお伺いします」と
       いう木で鼻をくくったような回答がある、これは学研にとって決して十分な株主総会の運営とは
       言えない、と考えています。くれぐれも、このような議事運営をされることのないように遠藤社
       長から特に約束をいただきたい。

遠藤社長   あの、質問は・・?
株主A     質問です。そういう約束をいただけるのかどうかということです。特に従来の6月の株主総
       会の開催から、学研ホールディングスの発足に合わせた12月開催という、このかんで見れば、
       たった半年の間に行われる、このような学研のホールディングスとしての株主総会が、これま
       での株主総会の議事運営をさらにことさら悪くするということがないように、くれぐれも第1回の
       学研ホールディングスとしての株主総会にあたって、遠藤社長に公正な議事運営をしていた
       だけるか、そのお約束をいただけるかどうか、これが質問です。
遠藤社長   議長としては、審議を尽くしたと考えていますが、目的事項にそった十分な審議を行ってま
        いりたい、と考えています。以上です。
株主A     約束したんですね。
株主B     私は学研ホールディングスの、またそれ以前の株主総会には出席しておりませんので、今
       回が初めての出席ということになります。お尋ねしたいのは、この学研ホールディングスが発
       足した理由と目的、そして問題がないだろうか、という検証についてです。質問事項に対する
       富樫専務からの回答の中にも、いくつかございました。しかし、どうも、美辞麗句が並べられて、
       よくなる、自主・自立だ、あるいは自己責任だ、と言われるだけで、果たして、各事業体の実態
       はどうなっているのかということについて、また、事業の構築についてどうするのか、という点に
       ついて明確な説明がなかった、と思えてならないわけです。当然、ホールディングスになった
       以上、大きく分ければ、二つの問題がある、と思います。一つは、株主の視点に立ったものか
       ということがあります。これについては私は多くのことを承知いたしませんが、先ほどの富樫専
       務の説明では事業会社については十分な情報開示を行うということでした。株主の声がどの
       ように保障されるのか、ということについてもう少し丁寧な説明が欲しいな、と考えます。もう一
       つの問題点は、私は社会保険労務士をやっている関係で、従業員、働く者の権利が十分に守
       られる体制がどうやってホールディングスによって確保されるか、という問題に関心を持ってい
       ます。即ち、持ち株会社化が認められた1996年の独禁法改正の国会審議の中であるいはそ
       の後の当時の労働省の審議の中でホールディングスが果たして各事業会社の従業員の労働
       条件や労働問題に十分に解決できる能力を持っているか、その担保があるかどうかということ
       についての諮問や識者からの見解が出されました。そういった中でなかなか難しいという判断
       はされましたけれど、2003年だったと思いますけど、労働省の見解の中で事業会社の労働者
       の労働条件について一定の決定権を持っているような持ち株会社が、それら労働条件につい
       ての責任、説明責任あるいは場合によっては団体交渉などの要求についての応諾義務が発
       生するという判断がされています。先ほどの話にもあったようですけど、従業員の立場からす
       れば、そこで働いている事業があるとき廃止をされたり、あるいは縮小されたりした時に、どう
       やってそれを改変するかを伝えることが大きな問題になる、それを保障するホールディングス
       の経営責任というものが問われてしかるべきだ、そこで具体性をもって回答いただきたい、と
       いう意味で、現在持っている各事業会社の個々の従業員で組織されているいくつの労働組合
       があってどのように、これまでの話し合いの実績がいくつあるのか、ということをお教えいただ
       きたい、同時に私は個別労使紛争に中心的に関わっているということもあって、長時間労働、
       過重労働、パワハラ、セクハラ等の個別の相談案件を多く取り扱っているということもあって学
       研の中にそういった事案があるのかないのかあるとしたらどういう対応をしているのか、このこ
       とにお答えいただきたい。先ほどの富樫専務の東京ふじせ企画労組の問題への回答のよう
       な、いっぺんとうの答えでなく、内容のある回答を、労働組合の現在の状況、個別労使紛争の
       現在の状況についてのご説明、今後の対応についてのご説明をよろしくお願いします。
遠藤社長    ただいまの質問は2点で、まず、持ち株会社への移行の理由、第1点については中森取
         締役からお答えします。
中森取締役  持ち株会社制の最大の目的は、従前より発表しておりますけど、自己責任に基づいた自
         主独立の事業体を構築することがまず第一で、大幅に責任を委譲するとともに責任を明確
        化するとともに、市場に即応した機動的な事業運営を可能にするための組織体制にする、と
        いうことです。それに伴う今後のあり方ですが、連結決算をして発表しておりますので基本的
        には従前以上でもなく以下でもない形で報告させていただいています。セグメント内容につ
        いても今までどおり、傘下の事業会社を含めた今までのセグメントの内容で公表してまいりま
        すので、ご懸念には及ばないと考えます。
遠藤社長    2点目について、木村取締役からお答えします。
木村取締役  当社グループ内において存在する労働組合は二つです。現在のところ、それら組合との個
         別の紛争は全くございません。持ち株会社移行に伴って、従業員個々については十分な説
         明を尽くして移行しています。今後についても不安を持たれないように、先ほど書面での回
         答で申し上げましたけれど、すべての案件についての交渉を当面、持ち株会社で窓口を持
         ち、組合との話し合いを持ちたいと考えています。 またパワハラとかセクハラとかはあって
        はならない話で、当社では、グループ内でコンプライアンスホットラインというものを定めていま
        して、その中でセクハラないしパワハラは禁止しておりまして、それがもし、あったときはメー
        ル等で社内あるいは弁護士事務所でお受けし、内容が非常に微妙な問題もございますので、
        慎重に調査を重ねて対応していきたい、幸い、今のところ大きな問題はございません。また、
        コンプライアンスホットラインに通報したことによって、全く不利益を受けない、あるいはまたそ
        れに付随したことについて報復してはならない、というような定めをしております。
株主B     2つの労働組合については、その組合が所属している会社ではなくて、ホールディングスが
        対応している、という理解でよろしいんですか。その他の事業会社が沢山あると思いますが、
        社内あるいは社外の労働組合を含めて、そういったところが入ったところはないわけです
        か?
木村取締役  現在、学研グループ、正確な数はかなりございますが、その中に労働組合員が社員として
         いらっしゃる会社と全くいらっしゃらない会社と両方ございます。
株主C     私の前の質問者とも関連するのですが、先ほど富樫専務が言われた点について改めてお
        聞きしたいと思います。本日の事業報告の2ページなんですけど、当社グループを取り巻く経
        営状況ということで、変化とか柔軟な対応が求められている、ということが書かれていますが、
        先ほど富樫専務が東京ふじせ企画との法的決着がついていると言われていますけど、これほ
        とんど20年以上昔の判断ですよね。日本の労働関係というのは団交権を基軸として行われ
        ているので、団交拒否というのは非常に重大な不当労働行為なんですけど、経営陣として
        20年前の判断とかにそのように固執し続けて拒否している、ということについて、私は非常に
        怒りを覚えるのですが、最近の判例の中にはたとえ直接の雇用関係になくても、労働組合の
        要求は団体交渉要求として十分成立するのだと、いう判例も出ています。ましてふじせの件
         は、組合潰しのために作られた下請け会社、そこに結成された組合に対し
遠藤社長    質問は何ですか・・(と妨害)
株主C      いま言います。ですから、20年以上前の判例に固執して、東京ふじせ企画労組との団交
        を拒否しているということについては絶対あってはならない、ということなので、もう一度自ら
        社会的な状況の変化に柔軟な対応を取ると言っているんだったら、今の20年後のこの社会
        において求められる学研の対応というのは当然、改められるべきだと私は思います。まして、
        1985年の労働者派遣法というのが労働基準法や労働組合法のような労働者保護法制では
        なくて、
遠藤社長    ご質問の趣旨は・・(とまた妨害)
株主C      労働者派遣法って名前ついてるけど、事業法なんですよ。企業のためにつくられた法律な
        んです。そのようなことを根拠に現在も団交を拒否し続けているということは非常に問題があ
        る、ということで、改めて先ほどの富樫専務の答弁を変更するつもりはないのか、どうか、強く
        問いたい。
木村取締役  法的な決着がついている、ということは最高裁判所ですでに終了している事件でございまし
         て、これについて現在、考えを変えるということはないことは、先ほど、書面で回答したとおり
         です。
株主C     最高裁判所で決定が出たことが根拠にならないことを・・
遠藤社長   他の方、ご質問をどうぞ(と一方的に打ち切ってしまう)
株主D     大きくは二つ、一つは先ほど出た団交の関係のこと、もう一つは議事の運営のことです。一
        つ目は、団体交渉の関係でホールディングスが窓口になる、ということが言われたわけです
        が、ホールディングスのどういう部署が窓口になるのか、ということをお聞きしたいです。それ
        から団体交渉における会社側の出席者、事業会社の方の場合も、ホールディングスの方の
        場合もあると思いますが、少なくともホールディングスの方が出席した時はどの程度あるのか
        ないのか、殆ど出席しているのかいないのか、前に言ったような議題に関わってくることがら
        ですので・・・
遠藤社長   (遮って)会議の目的事項にあったご質問をお願いします。
株主D     株主総会ですから、学研ホールディングスが法令遵守しているか、きちんと労働者に誠実に
        対応しているか、ということは重大なチェックポイントであると思いますので、具体的にうかが
        いたいと思い聞いているのです。それから回答内容を決定するに当たって、どのような組織な
        りメンバーで検討し、回答を練り上げられているのか、を教えてくださいとうのが1点目です。
        2点目は議事運営に関係してなんですが、団体交渉に関わる問題というのは極めて大事なこ
        とだと思いますから、話しているにもかかわらず、議長が制止まではいきませんがちょっかい
        出すような運営がなされています。私は不案内なので教えていただきたいんですが、議長を
        会社の取締役が務めるということは、原初的な民主主義から言って極めておかしいんじゃな
        いか、と思うのですね。定款で決めているからいいだろうということではあるのですが、そうで
        あるなら定款はどのような民主主義的な考えのもとに決められたのか、について説明をいた
        だきたい。若干、補足しますと国会開会などが極めて端的な例としてありますが、議長を首相
        がやるなどということはあり得ないわけです。執行機関が議長を務めるということは民主主義
        から言うとあり得ないわけです、労働組合の場合だって、執行委員長が議長をやるということ
        はあり得ないんですよ。組合員に図って議長を選出して決めるんです。国会であれば、議員
        が選挙をして議長を決める、それは執行機関でないところから選ぶんですよね、何でこんな
        ことになっているのか信じがたいところがあるんです。ですから株主総会ということであれば、
        株主の議決権なんですから、株主から議長を選ぶということを次回以降きちんとやっていただ
        きたい、場合によっては動議を出してもよいくらいだと思っていますので、何故、執行体である
        役員の最高責任者が議長をやっているのか、明解にお答えください。回答が不十分な場合は
        再度、質問させてもらいます。
遠藤社長   ただいまの質問、第一点は団体交渉の件ですね。木村取締役からお答えします。
木村取締役  団体交渉への関わり方、これは労働法規を遵守していることは非常に大切ですが、これに
        ついては、招集通知の1ページ目に書かれている目的事項と関係ございませんが、若干答え
        ます。対応しているのは経営戦略室という部門で、メンバーは話し合いの中身によって相応し
        い方を選んで出席する、どちらの組合でも、相応しいメンバーで運営されています。
遠藤社長    議長の件、同じく木村取締役からお答えします。
木村取締役   株主総会の議長を誰が務めるか、ということですが、今のご指摘のとおり、議長は社長が
         答えることになっております。株式会社の株主総会の運営そのものは会社の業務事項でご
         ざいますので、会社の取締役がやらなければいけない職責とされています。多くの会社で、
         会長、社長が議長を務めておられまして、全く不自然ではありません。また、 定款で定める
         ということは株主総会でご了解を得た定款ですから、間接的に株主の方のご指名で社長が
         議長を務めている、というご判断でよろしいのかと思います。
株主D      今の回答について・・簡単に。
遠藤社長    (さえぎって)他の方(と再質問を封じる)。
        「再質問を続けさせろ」、「公正な運営を約束したんじゃないのか」と抗議の声が場内からわ
       き起こる。指名された別の株主が、「簡単に・・とおっしゃっていますから、続けてください」と議
       長に要請。遠藤社長は、しぶしぶ再質問を認める。

株主D      最後の・・・
遠藤社長    出席番号とお名前を
株主D      先ほど言ったのにまた言わなければならないのですか。録音しているんでしょ。それで、
         ぼくらは何故、録音してはいけないんですか?撮影も禁止というふうになってませんか?
遠藤社長     ・・・(答えられず)。ご質問ですか。 木村取締役がお答えします。
株主D      関連質問です。おかしいんじゃないんですか。株主の権利よりも役員の権利を優先させて
        いるんではないんですか、ということが1点。それから、本来、再質問したかったのは、会社法
        で株主総会の議長は執行役員が務めるときいたのですが、私は不案内なので会社法の何条
        なのかということと、そのような会社法の規定があるのであれば、それは株主の権利を著しく
        侵害するものだと思っていますので、私も勉強したいと思いますので、その文言を読み上げて
        ください。
木村取締役   ご指摘の件、読み上げさせていただきます。会社法第348条、取締役は定款に特段の定
         めがある場合を除き、株式会社の業務を執行する、この規定でございまして株主総会は業
         務執行の一環でございますので、取締役はこの職責があると申し上げました。
株主D      いま、定款の中に別の定めがなければという前提がついているということは、別の定めを
        すれば、議長は株主の中から選ばれるということで差し支えないということを確認したい、とい
        うことが一つと、
遠藤社長   あのー、ご質問を・・(と妨害)
株主D     株主総会が会社の業務執行の一環というのは広い意味ではそのとおりでしょうけど、株主
        総会には独自の位置と役割があると思っているのですけど、株主総会が会社の業務執行の
        一環であるという法律上の論拠が明示されているのであれば、条文を含めて示してください。
木村取締役  まず、二つあるかと思いますが、法律論について株主様とこの場でやりとりするのはいか
        がかな、と思います。また、仮に定款を変更いたしまして、議長を株主の中から選出すること
        が可決されれば、そのような議事運営になると理解しています。
株主D     答えてないですよ。株主総会が会社の事業の一環だということについて、法律上の根拠に
        ついて・・・
遠藤社長   (質問を遮って)おすわりください。
株主D     ちゃんと説明してください。
遠藤議長   (再質問を無視して)他の方、質問はありますか
       「答えなさいよ、株主総会は一般的な業務執行じゃないでしょ」と会場内からの声。
         次に指名された株主からも、今の再質問に答えてもらってから先に進みたい、との要請が
       される。

遠藤社長   これは、株主様との法解釈、見解の相違であると・・・
        ( 株主Dから、そういうことではないですよ、との声。)
         他の方、どうぞ。
株主E     いま、議事が滞ってしまっていますけど、それは質問にきちっと答えないから、スムーズに進
        まないと思うのですけど、的確に答えていただければと思いました。
         事業報告を見せていただいて、すごく綺麗な言葉が並んでいて、でも胸に響いて来ないの
       は何故かなと思ったら、やはり、こういうふうに実現していくのだという具体性が明らかになって
       いなかった、いくら言葉を並べていただいても、感動というか、通り過ぎていってしまう、すべて
       の人が心豊かに生きることを願い、今日の感動、満足、安心と明日への希望を提供します、と
       いうのが企業理念だと書いてあるのですが、学習・科学の廃刊とか、家庭訪問からの撤退だと
       かと並行してこういうことを言われても、どうそれを実現していくのかな、と感じます。
        質問ですが、今後に向かってどういうビジョンでやっていくのか、こういうきれいな言葉でなく、
       具体的に明らかにしていただきたい、ということと、先ほどもありましたように争議は存在しな
       い、関係ないんだという言い方をされてたましたが、やはり30年にわたって労働者との争議が
       存在していること自体が、経営の手腕を問われることではないかと考えます。先ほど、解決金
       名目の金銭要求とおっしゃられていましたが、そういう受け止め方をしていること自体が、やは
       り全体を見渡す視点がないと思います。私も映画会社東映がお金を貸していたジャパマーハイ
       ツという不動産会社で長年にわたって争議を闘っていたんですけども、東映はすぐに会社を倒
       産させてしまって金を貸しただけだから責任はないんだ、と言ってきました。
遠藤社長   あの、質問を言っていただきたい(と遮る)。
株主E    で、金が目的だろうと言い続けてきました。しかし、金が目的ならさっさと違う会社に勤めて自
       分の生活を立て直せばいいだけの話であって何十年も金を目的にして争議をやる必要はない
       わけです。
遠藤社長   あの、簡潔にお願いします(とまた発言妨害)
株主E     その目的というのは、やはり学研の組合潰しに対する労働者の怒りだということをきちんと
       把握しなければ、学研が今後に向けて、希望と感動を与える、などという道は見い出せないと
       おもうんですよ。
遠藤社長   質問はなんですか(と発言妨害)。
株主      だから、今後の経営について労働者との争議の解決を図る、それだけの腹が、遠藤社長
        にすわっているかどうか、そのことを質問したいと思います。
     (会場内から拍手)
遠藤社長   まず、第一の点ですが、これは中期経営計画「学研2011」に示していますように、一番目
        は成長事業の強化拡大、その成長事業とは塾・教室事業であり、高齢者福祉事業、これに
       集中した投資というものをしてまいりたい、と思っています。それから、安定事業の推進として、
       これは出版事業、それは学参とか、・・といったものを(声が小さく、不明確)、コンテンツ、それ
       から雑誌戦略については、いろいろなツールというものを活かして拡大していきたいと考えて
      います。もう一つの安定事業として、・・・
   (内容がないから全然わからない、と会場から苦情)
       それから3つ目が赤字事業からの撤退、これを積極的に進めてまいりたい。そして、第65期
      の営業利益、66期の営業利益を上げるという目標に向け全力を尽くしてまいりたい、と考えて
      います。
       2番目の質問については木村取締役からお答えします。
木村取締役  ただいまのご質問については、先ほどの書面による回答ならびに会場での質問への回
        答で、くりかえしになっていますので、先ほどの回答でご了解いただきたいと考えます。
株主E     遠藤さんに腹があるのか、解決する気概があるのかを聞いている・・
遠藤社長   それは、先ほど書面によるご質問にお答えしたとおりです。
株主E     東映は、ちゃんと解決したんですよ。使用者関係がない、と言い続けていたけれども、職
        場に戻したんですよ。
遠藤社長   その他の案件もございますので・・(と回答を回避)
株主E     そのことを社長はどう考えているのか聞いているんですよ。
      (「社長がちゃんと自分で答えなきゃ駄目ですよ」と会場からの声)
株主F     まず、配当の関連からです。32億の赤字、半期で4円という配当、これは学研の将来を
       深く考えない方からすれば、無配よりはいいという話なんでしょうけれど、この事業報告の中
       にも表が出ていますが、この5年間だけでも総資産ないし純資産、あるいは一株あたり資産
       が、ほぼ3割近い減少となっており、剰余金を取り崩すという、これは資本剰余金でしょ、利
       益が上がってないわけですから、こういうことを3期も続ける、これはもう配当があれば良い
       という話ではない、と思います。前回こういう異常な事態について質問があったと思いますけど、
       そこで木村取締役は利益剰余金から欠損を解消していく、そういう決意の表れとして本業の
       利益で稼いでいくつもりだということをおっしゃられた。6月から9月の決算までまだ3ヶ月くらい
       しか経ってないので、それが全く反映されていないことについてある程度は割り引かなければ
       いけないのですけど、今後、「学研2011」という計画をもって、これから進んでいった結果、
       こういう事態が解消されない、資本剰余金を取り崩して配当に回すとか、利益剰余金への穴
       埋めに使うとか、もし達成されない場合は、木村取締役としては潔く責任を取る、という覚悟な
       んでしょうか?まず、それが一点。次に、これは木村さんひとりでなく遠藤社長ら体制全体の
       責任になると思います。今度のホールディングス化というのは学研にとって第2の創業だと先
       ほどスクリーンに出て、なるほどと思ったのですけど、先ほどの事業戦略の3本柱ということで、
       創業体制を進めていくということで、遠藤社長は第2の創業者というつもりなんでしょうけど、こ
       の3本柱の二つ目まではいいと思いますけど、3つめの不採算部門からの撤退というようなこ
       とは、あまりにもなさけない、ポジティブな目標になっていないでしょう、これは。これは削除し
       て欲しい、そして、これに替わって第一の創業者以来続いている万年争議、これを全面的に
       解決する、その項目を設け、ふじせ争議の解決を3本柱の第一に当てる、こういう考えがあな
       たと木村さんにあるかどうか、それをお聞きしたい、お答えをよろしくお願いします。
遠藤社長    第1点ですが、これは木村取締役がお答えしたのではないのではなかったかと記憶して
         いますが、いずれにしても中森取締役からお答えします。
中森取締役   当社は従前より安定的かつ継続的な配当を行うことを基本方針としておりますけど、6ヶ
         月の変則決算になりました当期は売上げのピーク時が含まれておりません。従ってその
         結果、当期純損失が32億円となったわけです。利益剰余金が38億円の欠損になってお
        りますけど、来期は通常の12ヶ月決算になり、黒字化することは予定されていますが、持ち
       株会社制に移行しました学研ホールディングス単体としたしましては、事業会社ではありませ
       んので配当のベースにする少ない利益しか計上できない、というのが直近の状況です。もち
       ろん、黒字化すること自体は間違いない状況ですし、利益剰余金をもちまして配当を出すとい
       う決意自体は変わっておりませんけど、いかんせん時間がかかってしまうということがありま
       すので、そういった意味で今回、これの解消をご提案させていただいた、ということです。
遠藤社長    2番目の争議解決を目標にせよ、ということについて木村取締役からお答えします。
         (「あなたに訊いているんですよ」と株主F)
木村取締役   2番目の質問については、書面並びに会場でのご質問へのお答えを行っており、繰り
         返しになりますので回答はご容赦いただきたい、と思います。
         (「社長が答えてください」との株主からの声あり)
株主G     私は次元が低いかも知れませんが全く違ったことを質問というか、話させていただきたい。
        それは学習・科学のことです。先日、学習・科学の休刊ということが発表され、休刊というの
       は殆ど廃刊につながるわけで、これは実に残念なことだと私は思っています。うちの孫があ
       れにはまっておりますので、あの日は一晩中泣いておりましたが、学習はともかく科学という
       のは日本という枠で考えても、科学立国ということを表明している日本なのですから、その中
       で子どもに科学を教え、興味を持たせるというのは学研が恐らく日本一だと私は思っています。
       ですから学研がこの火を消してはいけないのではないか、消してしまうと、再度点火するのは
       大変です。何百万人という人がいるわけですから、そのことを経営者が簡単に消してはいけな
       いのではないか、と私は思っているんです。残念というより心外なのは、ここに至るまでに漸
       減の状態になってきていたわけですけど、販売努力も工夫も私が見た限りではあまり見られ
       なかった、これは考えなければいけない、会社の方針として言えば大きい赤字を消そうじゃな
       いかというのは分かるし、絶対反対とは言わないが、先ほど富樫専務が言った新しい科学雑
       誌の企画というものも考えている、ということなので、それがどういうものか聞きたいなと思っ
       ています。会社の見解をお聞きしたい。
岩井執行役員  既にお聞きになっていると思いますが、こういう世の中になりまして、 学年別の雑誌と
          いうのが成立し得なくなった、というのが大きくまとめてしまえば今回の休刊の理由になり
         ます。今、株主様からご指摘のありましたとおり、おおげさかも知れませんが、日本において
        「科学」という雑誌の存在は極めて大きな役割を果たした、という意味で、その休刊を惜しむ
       声ということで大変ありがたいと思います。休刊の発表後、様々な読者、読者の親、元読者の
       方々から電話や手紙があり、メールでも残念だという声をいただいています。では、今後、これ
       を消してしまうのかというお問いかけですが、それはあり得ないことでして、諸々の形を変えて
       これまで培ってきたノウハウとか、コンテンツを活かしていきたいと考えておりまして、既に教
       室事業の中で科学実験教室というものを展開しているとか、あるいは書店を通じて販売してい
       る「大人の科学」シリーズとか、「科学のたまご」シリーズとか、そもそも小学生向けに作った
       「科学」から発展した商品を、様々に形を変えて、世の中に送り出してきているつもりです。今
       般、月刊誌としての「科学」を休刊するやむなきに至りましたが、今後もひき続き、これまでの
       コンテンツノウハウを活かして新たな商品づくり、事業展開を考えていく所存ですので温かく
       見守りいただきますようお願いします。
遠藤社長    学年誌の月刊という形につき休刊としたもので、長年培ってきた科学の学研としての商
        品開発というものは、現在も続けていますし、今後もますます力を入れてまいりますので、ご
        理解ください。
株主H     総会では何回も発言させていただいていますが、それを含めて質問させていただきます。
       大きくは、1点ですが、筆頭株主が昨年6月の株主総会の前に、エフィッシモですけど、遠藤
       社長に解任要求を突きつけて、ついにこの度、投資から撤退するという事態に至ったわけで
       す。先ほど富樫専務からあっさり語られましたけれど、そんなような問題ではない、私は大き
       い問題ではないかな、と思っています。それは何かというと解任要求を迫っていった理由とも
       絡むのですが、今回の撤退に当たってのエフィッシモなりの考え方というものがいくつか出さ
       れています。様々、株主総会の運営のこと、経営方針も含めてですが出てきています。それ
       に対して、どういうふうに会社として答えていったのか、何故、それが結論として撤退に至った
       のか、それについての会社としての責任というのは極めて大きいものがあると思います。それ
       は、あとで二つ目の質問として行いますけど、最初に書面での質問に対する回答ということで、
       富樫専務から出された点ですけど、いま裁判で係争中だから、株の買い取り金額は分からな
       い、ということで、それ以上突っ込んだ話はなかったと思います。お聞きしたいのは、招集通
       知の37頁、45頁にも出ていますが、エフィッシモが所有している株というのは2千百万株です
      ね。その買い取り資金の確保ということで、特殊当座借り越し契約を締結して、投資有価証券
       54億円を担保するんだと書かれていますね。質問ですが、特殊当座借り越し契約というのは
       調べて見ると、金融機関に設けている口座の預金額、それ以上を借りて短期の内に返済する
       ということですけど、具体的に金融名は答えられない、と言ってましたけど、私が気になるのは
       短期に返済する場合でも利子がつくわけですよ。今、裁判の中でやりとりが進んでいるんだと
       思いますが、結局はその利子がいくらになるのか、あるいは買い取り価格をエフィッシモがいく
       らで要求していて会社の方がいくらで応じているのか、それが50億ですむのか60億になるの
       か、あるいはそれも越えてしまうのか、というのは、今、最終損失が32億を超えてしまう状況
       の中で、ある程度、概算で出さなければこの総会は意味がないんじゃないか、と思うんですよ。
        ですから、借り越し契約が11月でされているという先ほどの話であれば、たとえば金融機関
       の名前は出せないにしても、Aという銀行にいくらの預金があって、借り越し契約でいくら借り
       て、いくらの利子を付けていつまでに返済する、ということ、もう一つのBという銀行については
       どうなのか、Cというところについてはどうなのか、ということについては具体的な金額を出して
       もらわないといけない、ここはそういう場でしょ。既に32億の損失が出ていて、それに加えて
       50億を超える金額が出ていくわけですよ。そうやって買い取った2100万株を引き受けてくれ
       る第三者のあてがあるのか、あるいは社内で処理するのか、その方法についてもうかがいた
       い、と考えます。
        もう一つは、エフィッシモが撤退した理由、それとの関係で会社の責任を問いたいのですが、
       それはまず後にして、今の点についてお答え願いたいです。
中森取締役    契約の内容については先ほど書面質問で回答したとおり、詳細についてはご勘弁いた
          だきたいのですが、全体として単体としての当社の現預金の保有残高は現在、90億円ご
         ざいます。連結上では125億円ございます。従って、当座借り越し契約で、買い取りに関わ
        る資金については短期の資金融通ですので、それはご懸念には当たらないのではないかな、
        と思っています。そのようにご理解いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
株主H       利子の概算だけでも言ってくれませんか。
中森取締役    利息につきましては、短期でございますと、それほど高くはないということはご承知かと
          思いますし、また担保を差し入れておりますので、それほどの率ではないということです。
          具体的な%については差し控えさせていただきます。
     (「銀行は何社ですか」と株主Gの声。しかし、答えず)
遠藤社長     2番目に点について木村取締役からお答えします
木村取締役   ご指摘のあった株主様とのやりとりですが、基本的に当社の考え方はたとえ大株主であっ
          たとしても、対応は他の株主様と同様にいたしたい、ということで、こういうものについては
         回答をお断りしている、ということで、解任の株主提案があるということは事実で、考えてい
         ますが、そのこととこの度の買い取り請求がどのような関係を持っているのか、私は当事者
         ではございませんので分かりません。
          ただ、さらに申し上げますと、エフィッシモ様が反対した株主総会、今年の6月ですが、エフ
         ィッシモ様を除きまして株主様の95%以上が賛成をいただいています。
株主H       買い取った株をどうするのか、についても質問しているんですよ。金融機関は何社なの
         かも。
中森取締役   銀行については1社でございます。2番目の買い取り請求権行使後の自己株の処理につ
         きましては、一般論で言いますと、消却するとか、金庫株として所有しながら、M&A等で利
         用する、もしくは売却する等々あると思いますけど、現時点では全く未定です。
遠藤社長    あのだいぶ審議も尽くされてきたと思いますので、この辺で・・
        (社員株主、拍手。場内からは抗議の声がまき起こる)
株主H      2点目があると言っているんですよ。買い取り請求、撤退問題についての会社の責任につ
         いて。発言させてくれるんですか?
    (遠藤社長、結局、再質問させず。「時間、時間と言うがなんなんですか遠藤社長」と会場からの声)
株主I      資本剰余金の取り崩しに関して質問したい、と思います。タコが足食うのは後から足がはえ
        てくるからですけど、企業はそんな簡単に足がはえない、このかん、ずっと売上げも低迷し、
       上向かない。その中でいま最善の方法は何か、というとまさにホールディングスにしたという理
       由として、遠藤さん述べていますけど、自己責任とか責任の明確化、こういう問題だと思うんで
       すね。たとえば、「科学」とか「学習」とかは、つい最近に駄目になったんじゃなくて、大分前か
       ら、遠藤社長は、何十年とつき合ってきたと思うんですよね。エフィッシモが退任要求した時に
       それに従っておけばよかったのだけど、そういう意味では遅すぎます。晩節を汚さないために
       も、今、辞任すべきではないか、というのが僕の意見です。では、具体的には遠藤社長はどう
       いう形になったら責任を取って辞任していくのか、というのが質問です。というのは先ほど、労
       働組合の話が出てましたけれど、話し合いさえ持たないということ自体が、もう異常でしょ、そ
       れは。 先ほど出ていた労働組合と話し合いを持つとか、そういう所から展望が開けてくるので
       はないですかね。たとえば、高齢者の福祉施設の事業、はっきり言って落ち穂拾い的ですよ。             決して、革新的な画期的な事業などではないわけでしょう。利益が知れているわけですよ。で
       すから、買い取り価格で50億円使ったとすると、全部自己資金でやったとしても、たとえば50
       億円が3%くらいで回っているから1億5千万円くらいの利益が出るわけでしょ。32億の損失
       の中で1億5千万円というのは、あまり効き目はないわけですけど。それでも株主が売るという
       異常な事態じゃないですか、それがえんえんと・・
遠藤社長   ご質問は・・・?
株主H     意見ですけど、それに対するそちらの反応と遠藤社長はどうするのか、うかがいたい。
遠藤社長   資本準備金の件については中森取締役からお答えします。
中森取締役  資金の用途について、また当社の運営についてのご質問かとおもいますけど、先ほど来
         申し上げていますとおり、一時的に借入の状態が発生しますが、これについては今後解消さ
         せていただきたい、と申し上げているわけです。従いまして、今後、事業資金を確保しなが
         ら、この資金については返済していく、ということには変わりはございませんので、そういう方
         針でのぞませていただきます
株主I     「関連!」、「関連!」。今の答えになってないんですけど、時間の関係で省略しますけど、あ
        なた方は自分の墓穴を一生懸命掘っているんですよ、気がつきませんか?無責任態勢で。
遠藤社長   ご意見として承ります。
株主I     墓穴を掘ってるんですよ、やめてくださいよ。自分のお金で商売して自分で失敗するのは構い
        ませんけど、株式会社は人のお金を使って仕事しているわけでしょう?
遠藤社長   ご意見として承っておきます。他の方。
株主J    セグメントのことで尋ねたいのですが、その他を含めて7つのセグメント、報告書の6頁のとこ
       ろに表が出ていますけど、これ、いろいろな企業のものを見たりしていますけど、全て赤字とい
       うのはどういう会社なんだ、こんなこと何年間やっているのか遠藤さん、と思っています。
        普通だと一つか二つくらいハイライトみたいな所があっていいはずなのに、結局一つもない、
       教室・塾事業からあと少しみたいな言い方していますけど、これだって創造学園とか早稲田ス
       クールを買って、それが寄与したんだというわけですから、これからは慶応何々とか麻布の何
       々を買うということでしかない、ということになるんですか、遠藤さん。これから、どういうことが
       強化する事業、整理する事業、何を具体的にやっていくのか、言ってください。
中森取締役  まず、全てのセグメントが赤字ではなかったのか、ということですが、当社グループは、四
       半期ごとの業績につきましては季節的な変動が大きくあります。従いまして、前年の変則決算
       でありました6ヶ月につきましては全体的に営業赤字になりますのは通年のことでございます。
       たまたま前期におきましては教室事業につきまして、直営教室事業への投資、また前年あり
       ましたオリコの月謝決済がなくなったこと等があって赤字になったものです。したがって通期に
       おいては全てのセグメントで赤字を無くすという方針には全く変わりはありませんのでご安心
       いただければ、と考えています。特に教室事業におきましては、今後とも拡大策を採らせてい
       ただくということです。
株主K     他の質問者もいるようなので全員、ちゃんと質問させてくださいね、約束したように、ちゃん
       と。2点あります。1点目は、質問書をお送りして訊いているのですけど、派遣・フリー・下請け、
       それぞれ学研で働いている人はいっぱいいると思いますが、会社として把握している範囲で
       派遣・フリーの人数、下請編集プロの数、につき、また、それぞれの労働条件についておおよ
       そのこと、について明らかにしてもらいたい、という質問をしたのですが、この質問書に答えて
       いないんですが、これはどうなんですか。
        もう一点は、先ほどから出ているふじせの件です。まとめて、やるということであれば、続け
       ます。経営環境の中で格差社会の拡大について言っているにもかかわらず、足元で、下請け・
       フリー等の人達が相当違う労働条件で働いている、劣悪な労働条件もあると思いますが、そ
       ういう人達も含めて、学研の仕事が成り立っていると、それにどう目を向けているのかが問わ
       れているのに、それについて明確な把握もしてないのか、と思いました。それから、ふじせの
       件ですが、大分いろいろな株主の方が心配して質問しているわけです。私はその当事者です。
        1977年にふじせ企画に入りました。ふじせと東京ふじせというのはその後すぐに分離され
       て、先ほど孫請けと回答していましたけど、実態はふじせというトンネル会社と実際に業務を
       行う東京ふじせ企画の労働者、ということで働いていたのですけど、私は入って、学研の「科
       学」「学習」の委託編集業務をやっていました。それから途中で本社に派遣されて語学ソフト
       ウエア開発部という所で半年近く仕事をして、一定のサイクルの仕事が終わった頃だったの
       ですが、劣悪な労働条件を改善しようと思って組合を作り、下請けの経営者と話し合いを始め
       たんですよね。そしたら、学研が身を乗り出してきて業務を引き上げると、それが組合結成か
       らわずか一週間です。それから1ヶ月後には下請け会社ごと学研が切り捨てる、倒産・解雇
       ということになったわけです。先ほどの答弁だと、全く無関係の会社、なんか学研と関係のな
       いような外部の団体が学研に対して長年にわたっていちゃもんを付け、嫌がらせをしている
       かのような話でした。これは毎回くりかえされているわけです。とんでもない話です。学研の
       仕事というのをいろいろな人達がやってきて、その中で起きたことについて学研が向き合っ
       ていないということの現れです。
        それで質問の核心というのは、毎回答えているけれど答えになっていないのです。学研に
       争議はない、と一方で言ってるわけです。その一方で組合の行動というのは悪宣伝だと。ふ
       じせ労組の行動を悪宣伝であり歪曲していると言う。しかし、私たちは学研の実態を訴えて、
       今、これを変えないと、争議を解決しないと学研の再建は ない、ということを真剣に訴えてい
       るわけです。しかし、それを歪曲してとらえ、それに対して民事的・刑事的な対抗手段を執る
       と言ってるわけです。学研経営の方から業務を引き上げたのと同じように、このように争議を
       構えていくのだ、やるつもりだ、ということを言って、一方で争議がないという。これは争議が
       ないのであれば、一切無視するということになるのでしょうが、実際はそうでもない、実際争
       議行為が起きている。裁判の内容についても会社の説明は全く一方的なもので、最高裁の
       判決が出たのが2003年です。もう6年経ってます。それでも争議は解決しないんですよ。
       裁判で決着がつくわけじゃないんです。損害賠償裁判という別の裁判もあったわけです。こ
       れは組合が起こしたら勝っていたろう、と言われているわけですが、破産した東京ふじせの
       管財人が学研を相手に起こした裁判で、学研による業務引き上げに渋々であれ同意して解
       約したから損害賠償請求は問えないという判決ではあったのですが、その中で実際には学
       研が組合を潰すために業務を引き上げたこと、学研が実態としてふじせの労働者に対する
       使用者なんだ、ということを明確に認定しているわけです。こういう判決の流れが実際に続
       いていれば、今日の派遣法の実態に現れているような派遣労働者の使い捨てということは
       ないわけですけど、・・・不当な流れのなかでこうなってしまったのだけど、争議は現実にこ
       うして続いている、ということは冷厳な事実なわけですが、それを受け止めて、その中で、対
       抗手段をとるということなのか、それとも争議はない、と言い張って今までどおりの対応をとり
       続けるのか、これ、去年も訊いたのですが、すでに書面でお答えしました、と言っているが、
        答えになってないです。
木村取締役   当社グループの中で、派遣会社との契約に基づいて派遣されている方、編集部門で
        フリーと言われる編集者、編集プロダクションとして委託している会社、いくつもあるかと思
        いますが、それを随時把握はしておりません。従って、人数についての書面でのご質問、
        確かにあったのですが、これを調査するとなると相当な日数を要しますので、現在、回答
        ができないとご理解ください。条件についてのご質問も、まず、フリー編集者さんにお支払
        いする報酬ですが、個別の契約によっていますので、一概にいくらということではございま
        せん。また、派遣会社から派遣されていらっしゃる方、それからプロダクションの社員の方
        が、それぞれ所属する会社からどのくらいの賃金を受け取っているか、ということについて
        は、当社は把握しておりません。
         2つ目の質問について、くりかえしになります。ただ刑事上・民事上のことについて、どの
        ようなことをするのか、というご質問と受け取りましたので、それについてこの場で申し上
        げることはできない、ということで・・・以上です。 (場内からブーイング)
株主K     違う、そういう手段をとるかどうか、と訊いているのですよ。全然、答えになってないじゃ
        ないですか
株主L     配当より若手社員にボーナスを、OB市場を活かせとの質問(略)
遠藤社長   それでは、このあたりで質疑を終えて、決議事項に移りたいと思います。
     (「まだ、手を挙げているじゃないか」等の抗議の声、次々と上がり、場内騒然。社員株主は拍
     手)(「こういうやり方、やめると言ったじゃないか」、「冒頭の約束まもれよ」「何やってんだ」「こ
     ういうことやってるから駄目なんだよ」と抗議が集中し、決議事項の提案内容が聞こえないまま、
     社員株主だけが拍手し、閉会。抗議の中、裏手から役員らは逃亡。

      今回も報道機関の取材申し込みを拒絶し、学研経営は悪質な総会運営を強行したのでした。